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がんの種類別生存率、日本は? [健康]

 全世界におけるがん患者の生存率の年次推移を観察する、最大規模の国際共同科学計画「CONCORD」には、71カ国300以上の施設から約600人の研究者が参画している。

 先ごろ、2000~14年に診断された3,750万症例の生存率に関する調査結果=最新版「CONCORD-3」が、発表された。=医学誌『ランセット』(2018年1月30日オンライン版)。

 2008年に初めて報告されたCONCORD研究では、日本を含む31カ国における乳房、大腸、前立腺の3種のがん190万症例の5年生存率が比較され、がん生存率の国際的な差異が明らかとなった。

 2014年には「CONCORD-2」として、前記の3種のがんに胃、肝、肺、子宮頸部、卵巣、白血病を加えた、67カ国2,570万症例の5年生存率の年次推移が示された。

 今回のCONCORD-3では、最新5年分のがん生存率 (2010~14年)のデータが追加された。
調査の対象となるがん種も拡大、18部位または部位群となっている。

 具体的には、成人の食道、胃、大腸、肝、膵、肺、女性乳房、子宮頸部、卵巣、前立腺、悪性黒色腫、成人および小児それぞれの脳腫瘍、白血病、リンパ腫である。

 それによると、大部分のがん種において5年生存率が最も高かった地域は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィンランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデンであった。

 多くのがん種において生存率は改善傾向にあり、この傾向は予後不良とされているがん種でも認められた。

 日本からは2000~14年に診断されたがん患者として、209万6,697例が登録された。

 日本のがん5年生存率が他国・地域に比べて特に高かったのは、胃がん(60.3%)、食道がん(36.0%)、肺がん(32.9%)であった。

 これらのがんでは韓国でも生存率が高く、胃がんは日本を上回る68.9%、食道がんは31.3%だった。

 一方、日本の5年生存率で世界平均に比べて低かったのは、ほくろののがん=悪性黒色腫(69.0%)、血液がん(骨髄性腫瘍は33.3%、リンパ性腫瘍は57.3%)だった。 

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コーヒーによる口臭、どうする? [健康雑談]

 1日のはじまりや仕事の合間、食後などにコーヒーを飲むという人は多い。

 ただコーヒーを飲むと、そのあと独特の口臭が残る。

 コーヒー豆の微粒子は舌の表面に付着しやすく、口臭になってしまうのだそうだ。

 口の中は唾液によって、通常であれば中性にかなり近い弱酸性に保たれているが、コーヒーの酸味が口の中を酸性にしてしまうことも、口臭につながるようだ。
 
 コーヒーには、渋み成分も含まれているが、この成分が唾液の分泌を低下させて、口の中を乾燥しやすくさせることも、口臭をさらに悪化させるといわれている。

 コーヒーを飲んだあとの口臭を改善するには、口の中に付着しているコーヒーの成分を取り除くのがいちばん。

 時間があるなら、歯磨きをするのもよい。

 ただし歯磨き粉とコーヒーの臭いが混ざると、余計に嫌な臭いになる可能性があるので、歯磨き粉はつけずに、歯ブラシで磨くだけにしておこう。

 コーヒーの成分が付着しやすのは、歯よりも舌だが、硬い歯ブラシで舌をゴシゴシこすると、舌を傷つけて、味覚障害などを招く恐れがある。
 
 舌を掃除するなら、舌ブラシかやわらかい歯ブラシを使い、奥から前に向けてそっと動かす程度にとどめよう。

 歯磨きができない場合は、コーヒーを飲むときに、水も用意しておくのがオススメ。

 そして、コーヒーを飲んだら水を飲み、舌の表面についているコーヒーの成分を洗い流す。

 このときに水を口に含んで、口の中の天井にあたる部分を舌でゴシゴシこすると、臭いが取れやすくなる。

 水で舌をきれいにしたあとは、ガムを噛むとよい。

 噛むことによって唾液の分泌が促され、口の中を中性に戻すことができるし、唾液による自浄作用で、口の中を清潔に保つことができる。

 ミルク成分が入っているラテ、カプチーノなどよりは、ブレンドがおススメ。

 舌苔の表面は、口臭発生菌の集合体である事が多く、食事による栄養素が張ってくると、菌はよろこぶ。

 とくに、ラテなどの乳脂肪分が入ってくると、コンセントの雄と雌のように、舌苔と乳脂肪分がカップリングをしてしまい、長い間、口腔内に違和感を残す。

 なるべく、プレーンなコーヒーの方が臭いにつながりにくい。

 (監修:中城歯科医院院長・中城基雄先生)

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チョコレート効果  [健康雑談]

 バレンタインデーなので、チョコレートの話(自分でも安直な着想だと思います)。

 チョコレートを毎日食べると、血圧が下がり、善玉コレステロールが上ることが、「日本初の産学官大規模臨床試験」で確認された。

 野村コンファレンスプラザ日本橋で開かれたメディアセミナーにおける、瀧本陽介さん(株式会社ヘルスケアシステムズ代表取締役)と、大澤俊彦さん(愛知学院大学心身科学部学部長・教授)のお話─。

 愛知県蒲郡市、愛知学院大学、株式会社明治は、「蒲郡市ヘルスケア計画」に基づく取り組みとして、産学官共同で「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」を、14年3月からスタートさせた。

 蒲郡市内外の45~69歳の347人(男性123人、女性224人)に、カカオポリファノールを多く含むチョコレートを毎日一定量(1日25㌘)、1ヵ月間食べてもらい、その前後の血圧、体重、血液成分、自覚的な体調など心身状態の変化を調べた。

 以下のことがわかった。

 ① 血圧の低下。

 被験者を高血圧群(収縮期血圧140mmHg以上あるいは拡張期血圧90mmHg以上の82人)と、正常血圧群(収縮期血圧140mmHg未満かつ拡張期血圧90mmHg未満の265人)に分けて、チョコレート摂取前後の最高血圧(収縮期血圧)の変化をみた。

 高血圧群では、摂取前の平均値145.6mmHgが139.74mmHgに低下した。

 正常者群では、摂取前の平均値119.02mmHgが117.4mmHgに低下した。

 血圧低下の幅が、高血圧の人は大きく(平均5.86mmHgの低下)、正常血圧の人は小さい(平均1.62mmHgの低下)。理想的効果といえる。

 ② HDLコレステロール(善玉)の上昇。

 コレステロール、中性脂肪、尿酸など、さまざまな数値を測った血液検査で、きわだった結果がでたのが、善玉コレステロールの上昇だった。

 チョコレート摂取前の被験者全員の平均値は67.9mg/Dlだったが、摂取後は69.7mg/dLにふえた。

 ③ 心身ともに活動的。

 被験者に実施した「SF-36」による健康調査アンケートの結果─。

 *身体の痛み:からだの痛みのためにいつもの仕事が妨げられることが全然なかった。

 *全体的健康感:健康状態は非常によい。

 *活力:過去1ヵ月間、常に活力にあふれていた。

 *日常役割(精神):過去1ヵ月間、仕事や普段の活動のさい、心理的な理由による問題はなかった。

 *心の健康:過去1ヵ月間、落ち着いていて、楽しく、おだやかな気分であった。

 注・SF-36は、さまざまな疾患の健康関連QOL(生活の質)を測定する、世界的に用いられている調査表。

 ④ 体重・BMI(体格指数=体重㌔㌘を身長㍍の2乗で割った数値)は不変。

 被験者全員の体重の平均値は、チョコレート摂取前は58.72+-11.36㎏、摂取後は58.74+-11.24㎏。

 BMIの平均値は、摂取前22.61+-3.28、摂取後は22.62+-3.25。

 どちらもほとんど変化なく、有意差がないことが確認された。

 チョコレートを食べると、血圧が下がり、善玉がふえるのは、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールの作用と考えられている。

 ヨーロッパで行われた、「ホワイトチョコレート」(カカオポリフェノールが含まれない)と、通常の「チョコレート」を食べ比べた研究でも同じような効果が得られている。

 ところが、この比較実験では1日100㌘、約500㌔㌍のチョコレートを食べつづけた結果、体重増加というデメリットが生じた。

 蒲郡市の実証研究では、そうしたカロリーの取り過ぎを避けるため、カカオポリフェノールの含有量70%以上の「ダークチョコレート」を選んだことにより、体重はふえず、メリットのみ得られた。

 1コは小さな長方形の消しゴムぐらいの大きさ。

 実験では「CACAO72%」を1日5コ食べたようだ。

 小生も食してみた。

 感想は、スイーツとしては甘さが一味足りず、ちと不満なしとせず。

 だが、「甘さより苦みがわかってこそ大人」。

 「うまいサプリ」と思えば、文句なし。

 これぞ、言葉の正しい意味における「健康食品」といえるのではないか。
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屋内凍死 要注意! [ひとこと養生記]

 この冬最後の(で、あってほしい)寒波襲来。

 北陸地方の超絶過酷な豪雪に比べると、子どもだましみたいな寒さなので申し訳ないのだが、寒い、寒いと愚痴りつづけている。

 新聞を開いたら、でっかい見出し。
 「凍死 熱中症死の1.5倍 年間1000人超、屋内要注意」  

 おったまげた。どういうことなんだ。本文を読んでみよう。

 冬は屋内での凍死にご用心--。

 熱中症の危険性は広く知られているが、低体温症による死亡(凍死)の方が、死者数は1.5倍にも上っている。

 2010年以降はほぼ毎年、1000人以上が犠牲となっており、大半は高齢者。

 室内で低体温症に陥った例が多く、背景に孤立や貧困もあるとみられる。

 専門家は調査や対策の必要性を訴えている。

 冷え込みが厳しくなった1月末、東京都板橋区にある帝京大病院の高度救命救急センターに、意識のない80代の女性が運び込まれた。

 体の深部の温度が26度まで下がったショック状態。

 独居で認知症の症状があり、近所の人が自宅を訪ねると意識がもうろうとしていたため、救急搬送された。

「低体温症に陥るお年寄りの典型例。似た状況の人が連日のように搬送されてくる」と、同病院の三宅康史教授(救急医学)は明かした。

 低体温症は、寒さで体の熱が奪われ、体の深部が35度以下になって全身に障害が起きる症状。

 重症化すると凍死する場合がある。

 厚生労働省の人口動態統計によると、00~16年の国内の凍死者は計約1万6000人で、熱中症の1.5倍に上る。

 山岳遭難など特殊な環境で起きると思われがちだが、屋内での発症例が非常に多い。

 日本救急医学会の4年前の調査では、全国の救急医療機関など91施設に低体温症で搬送された計705人のうち、屋内での発症は517人と7割以上を占めた。

 患者の平均年齢は72.9歳で、高血圧や糖尿病、精神疾患などの病歴のある人が目立つ。

 死者は161人に達していた。北日本だけでなく、兵庫県や熊本県など西日本でも多くの症例が報告されている。

 三宅さんは「患者の生活実態から考えると、背景には高齢化に加え、重症になるまで気付かれない孤立化や、十分栄養が取れない貧困層の増大がある」と話す。

 首都大学東京の藤部文昭特任教授(気象学)によると、人口動態統計の数値の推移からもその傾向が読み取れるという。

 低温による凍死者数は、1980年代まで年400人前後だったが90年代から急増。

 低体温症に陥りやすい高齢者層の増加が要因の一つとみている。

 藤部特任教授は「凍死は、これまで熱中症ほど注目されず、全体像も未解明。

 実態の把握と対策が必要だ」と指摘する。(共同=毎日新聞2018年2月12日 )

 どちらさまもご用心ください。
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葛根湯二題、いつ飲む&意外な効果 [ひとこと養生記]

 友あり、遠方よりEメール。

 なかなか風邪が治らないので、薬局で葛根湯(かっこんとう)を求めようとしたら、「葛根湯が効くのは、初期の風邪です」と言われた。本当か? と。

 本当だ。

 小生は以前、漢方の大家の著述の手伝いをしたことがあり、漢方にはちっとばかり詳しいのです。

 漢方では、薬は、患者の「証」を診て処方する。

 証とは「この患者のこの症状には、この薬が最も適している」という漢方独特の診断法だ。

 「葛根湯の証」は、次のような体質と症状だ。

 1 体力が中等度以上で(漢方では「実証」という)、

 2 頭痛、悪寒、発熱があり、

 3 しかし、汗が出る気配はなく、

 4 首の後ろがこっている。

 風邪のひき始めは、たいてい背筋に寒気が走り、頭が痛く、熱が出る。

 この三症状に加えて、首の後ろにこわばりを感じ、汗はまだ出てないというようであれば、どんぴしゃり、葛根湯の証だ。

 だが、ほぼ同じような症状でも、じっとり汗ばんできたときは、もう葛根湯は効かない。

 このときに用いるのは桂枝葛根湯という薬だ。

 葛根湯医者

 漢方の風邪薬の代名詞のような葛根湯は、ひき始めの風邪には特によく効く。

 その薬効のメカニズムも科学的に解明されている。

 葛根湯の成分が、風邪のウイルスを食べる細胞(マクロファージ)の働きを活性化するのだという。

 しかし、漢方でいう「葛根湯の証」(頭痛、発熱、悪寒、首の後ろのこわばりなどの四条件)に適応する病気は風邪だけではない。

 例えば鼻炎、慢性副鼻腔炎、中耳炎、片頭痛、歯痛、肩こり、五十肩、神経痛、高血圧、大腸炎...といった病気にも「証」が合えば葛根湯が用いられ、よく効く。

 そして、そういう「証」をもつ症例はとても多いので、江戸の昔は、どんな病人にもあてずっぽうに葛根湯を出す医者がいた。

 落語に登場する「葛根湯医者」は"ヤブ"の別名だ。

 これを裏返せば、葛根湯の適応症がいかに多いかという証拠になるだろう。

 くしゃみやせき、重い物を持ち上げたりした時の「腹圧性尿失禁」に対する葛根湯の効果を報告した医師もある。

 この場合は「証」とは関係なく葛根湯を投与して効いたそうだ。

 尿漏れ漢方薬

 くしゃみや笑った拍子におしっこが少し漏れる「腹圧性尿失禁」に対する葛根湯の効果を、最初に見つけたのは、漢方の専門家でも、泌尿器科医でもなく、産婦人科医だった。

 進純郎・前葛飾赤十字産院院長だ。

「風邪をひいたら、おしっこが漏れるようになったんです」という患者が来た。

 ゴホンとやると腹圧がかかるから、漏れるのだろう。

 腹圧性尿失禁だな、と思ったが、どうしたらよいかわからない。

 その場しのぎで

「まず風邪を治しましょう」と葛根湯を処方したところ、何日かして、

「先生、風邪が治ったら、おしっこ漏れもなくなりました」

 それがきっかけで、尿漏れの相談を受けると葛根湯を処方し、数十例中80%を超える有効率を得た。

「東洋医学会のにわか会員になって発表したところ、漢方の専門家がワーッと驚いてくれて、みんなが使い始めて、確かによく効く、と」

 なぜ効くのか?

 葛根湯の成分の麻黄に含まれるエフェドリンと、芍薬(しゃくやく)のピオニフロリンの相互作用ではないか、というのが、進先生の考えだ。
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風邪をひく原因&風邪薬の選び方 [ひとこと養生記]

 風邪をひく原因の8~9割は、ウイルスによる感染です!

 ほとんどの風邪は、気温差や疲労などがきっかけとなり、免疫力が低下し、ウイルスに感染してしまうことが原因です。

 秋冬は特に空気が乾燥する季節です。

 乾燥するとウイルスが繁殖しやすくなります。

 乾燥した空気は鼻や喉の粘膜を乾かすため、より一層ウイルスに感染しやすくなってしまうのです。

 体の免疫力を維持できれば風邪をひきにくくなります。

 もし風邪をひいてしまっても治りやすく、悪化しにくくなります。

 基本は「栄養バランスのとれた食事」「十分な睡眠」「休養をとる」「体を冷やさない・温める」「乾燥させない」こと。

 日頃から運動をして筋肉をつけ、冷やさない生活を心がけることも風邪に負けない体づくりのひとつです。

 風邪をひきやすいシチュエーション  

 薄着で外出

 風邪をひいている人と一緒にいた

 多忙な日が続く

 季節の変わり目

 風邪ウイルスに負けないポイント.

 1 免疫力を下げない

 2 ウイルスの侵入を防ぐ

 免疫力を維持するために効果的なこと

 栄養バランスのとれた食事

 体を冷やさず、温める

 十分な睡眠・休養

 湿度を保つ(乾燥させない)

 ウイルスの侵入を防ぐために効果的なこと

 うがい・手洗い・マスク

 ウイルスの侵入を防ぐために「うがい・手洗い」「マスクをする」も習慣にしましょう。

 風邪の症状はいろいろ。だからお薬もいろいろ。

 その時の状態にあった風邪薬を選びましょう。

 市販薬は風邪のウイルスを殺すものではなく、つらい症状を抑える対症療法です。

 急激な発熱や、高熱が続く、1週間たっても治らない場合は医療機関を受診をしてください。

 風邪のひきはじめ=寒気やだるさを感じ始めた初期。

 ひいたと感じたら熱が上がる前にすぐ飲むのがポイントです。

 発熱や悪寒=熱が上がると体力が消耗してしまいます。

 その時はむりやり下げるのではなく、発汗させることで熱を下げるものをおすすめします。

 のどの違和感、痛み=のどが痛むときは、のどの炎症をおさえる成分が含まれているものを。

 鎮痛剤成分が含まれている商品もあります。

 のどの腫れ+せき・たんなど=のどが痛むだけでなく、咳やたんもでているときに。
 
 鼻水・鼻づまり=鼻症状だけの場合は、総合感冒薬ではなく鼻水や鼻づまりに特化したものを選びましょう。

 吐き気、胃腸の症状=吐き気など胃腸を中心とした症状に。

 熱、頭痛、咳、鼻水などさまざまな症状=熱、頭痛、咳、鼻水などさまざまな風邪の症状が出ている時は総合的に効く総合感冒薬を。

 市販の風邪薬でも高血圧、糖尿病、緑内障、前立腺肥大症、甲状腺機能障害、アレルギーがある人は、注意して薬を選ばないといけません。
 
 ただでさえ体がつらいのに、数多く並ぶ薬の中から自分にあうものを選ぶのは難しいでしょう。 

 薬局の薬剤師、登録販売者にご相談ください。

 薬剤師・健康マイスター 松澤美穂さんの記事を要約
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かぜをひきやすい人は?  [ひとこと養生記]

かぜをひきやすい人は食事が不規則かつ偏食
地域住民約4万人を対象に横断研究

 かぜの予防には、一般的に手洗いおよびうがいの励行、十分な休養、バランスの取れた食事などが有効とされているが、大規模疫学研究では日常生活習慣とかぜ予防の関連性は明確にされていない。

 神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の柴田みち氏と同科教授の中島啓氏らは、地域住民約4万人を対象とした横断疫学研究を行い、かぜ罹患と日常生活習慣との関連について調べた。

 その結果、かぜの罹患と日常生活習慣、中でも食事摂取習慣との関連性が明らかになったと第52回日本成人病(生活習慣病)学会(1月13~14日)で報告した。

 2.1%がかぜをよくひく

 対象は、2007年に健康診断を受けた埼玉県在住の健康な成人3万9,524人(年齢40~79歳)。

 健康診断受診時の自覚症状を含む問診票の回答および身体計測値、検査値を集計し、自己申告によるかぜの罹患しやすさと、日常生活習慣ならびに各種パラメータとの関連性を検討した。

 頭痛、胃痛、下痢などの32の症状から過去1カ月間に当てはまる自覚症状を選択させ、自覚症状の中で「かぜをよくひく」を選択した場合に「かぜをひきやすい(SPCC)」、選択しなかった場合に「かぜをひきにくい(非SPCC)」と判断した。

 検討の結果、SPCC群は846人(2.1%)で、SPCC群は非SPCC群に比べて白血球数(6.4±1.5103/μL vs. 6.3±1.4103/μL、P=0.01)、血清ALT(26.8±18.9IU/L vs. 24.8±16.6IU/L、P<0.001)が有意に高く、血清HDL-C(59.5±15.3 mg/dL vs. 61.5±16.0mg/dL、P<0.001)が有意に低く、睡眠時間(6.4±0.9時間vs. 6.5±0.9時間、P<0.001)が有意に短かった。

 かぜをひきやすい人は睡眠5時間以下、運動習慣なし

 BMIのカテゴリー(18.9以下、19.0~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)別に見ると、かぜをひきやすい人の割合はBMI 23.0~24.9で最も低かった。

 SPCC群の生活習慣と各項目との関連について年齢、BMI、生活習慣、治療歴、関連する交絡因子などを調整してロジステック回帰分析を行った。

 その結果、SPCCの割合はBMI 23.0~24.9に対して他のBMIカテゴリー(BMI 27.0以上を除く)で有意に高かった。

 睡眠時間では7時間に対して5時間以下、飲酒習慣では「飲まない」に対して「時々飲む(月1~3回)」、運動習慣では「月1~2回」に対して「ほとんどしない」でSPCCの割合が有意に高かった。

 食事摂取習慣別に見ると、「バランス良い食事を摂取している」に比べて「偏食」の方がSPCCの割合が高かった。

 食事回数では「1日3回規則正しく食べる」に比べて「欠食あり」、「不規則」で高かった。

 食事バランスと食事回数の両者を組み合わせると「不規則」かつ「偏食」の場合にSPCCの割合が最も高かった。

 今回の結果から、「かぜをよくひく」と自覚している人は、全体の2.1%で、白血球数、血清ALTが高く、血清HDL-Cが低く、睡眠時間が短かった。

 また、BMI23以上25未満では他のBMIに比べてかぜをひきにくく、生活習慣に関しては、短時間睡眠(5時間以下)、時々飲酒(月1~3回)、運動習慣なしで、食事摂取習慣が「欠食あり」、「不規則」、「不規則かつ偏食あり」ではかぜをひきやすいことが明らかとなった。

 以上から、柴田氏は「かぜの罹患と日常生活習慣、中でも食事摂取習慣との関連性が明らかになった。これらの改善により、かぜ罹患の予防につながる可能性が示された」と考察した。

 医学新聞『Medical Tribune』2018年2月5日 による

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爆発的にふえるPADへの対応 [ひとこと養生記]


 爆発的に増えるPADへの対応を考える
 慶應義塾大学循環器内科専任講師 香坂 俊


 PAD(末梢動脈疾患)は足の血管に動脈硬化が起こって、十分な血液が流れなくなることで発症します。

 かつてはASO(閉塞性動脈硬化症)などとも呼ばれていましたが、罹病者数がふえるにつれて「大血管の閉塞」ばかりでなく「狭窄」や「中・小血管」でも臨床的に問題になることがふえてきたことを受けてPADという用語が多く使われるようになってきています。

 心臓の冠動脈と違い、足は血管が何本も末梢に向けて流れています。

 大腿動脈に対応して深大腿動脈などの細かい枝が何本かあります。

 膝下ではさらに前脛骨、後脛骨、腓骨動脈の3本に分かれ、それぞれが枝を出しています。

 ですので、1本や2本閉塞したとしても心臓のようにすぐに心筋梗塞になるということはないのですが、最近は患者さんの高齢化に伴い、1本がすでに狭くなっていたところに、さらにもう1本も閉塞してしまうということが起こるようになり、米国では55歳以上の成人の10%程度にPADがあると推計されています。

 PADに対する治療法

  虫食いのように狭窄や閉塞が多発しているPAD患者さんに対して、現場はどう対応しているかといえば、

 片っ端から病変をカテーテルで開ける

 リハビリテーションを積極的に行う

 たまに血管バイパス手術を行ったりすることもあり

 という感じかと思います。

 この辺りの対処法は冠動脈疾患(CAD)の治療と似ているのですが、PADについてはこれが有効!という明確な指針がまだ示されておらず、施設やドクターによってやっていることはずいぶん違います。

 最近の報告ですが、ズバリ「末梢動脈疾患の予防法及びカウンセリングの活用不足について」という論文も出ており、PADに対する方針の徹底というところは国際的にも問題になっています。

 この論文では米国のナショナルデータを使ってPAD患者に対する外来での対応の仕方をデータ化していますが、抗血小板薬やスタチンの使用が35~40%以下にとどまるというさんたんたる結果を示しており(これに対してCAD患者での使用率はいずれも90%以上)、PADの対応にはなにかブレイクスルーが必要と長年言われ続けてきました。

 足の血管障害に抗凝固薬?

 そこに一石を投じる研究が昨年(2017年)秋に公表されました。

 ① CADまたはPAD患者を登録

 ② 登録患者を下記の3群にランダム化

 (ア) 標準治療である抗血小板薬単剤投与(アスピリン単剤)

 (イ) 低用量抗凝固薬投与(リバーロキサバン10mgx2)

 (ウ) 両者併用投与

 ③ 予後平均2年間追跡し主要心血管イベント(MACE)を検証

 ④ 結果として(イ)と(ウ)の低用量抗凝固薬を併用した群でMACE(心血管イベント)の有意な改善が認められた。

 抗凝固薬について、これまでCADでもPADでも「強過ぎる」ということが問題でした。

 2002年のWARIS試験では心筋梗塞患者に対してワルファリンがダメ[出血リスク増加]

 2012年のATLAS TIMI 52試験ではPCI(経皮的冠動脈形成術)後の患者さんで低用量の新規抗凝固薬がダメ[同じく出血リスク増加]

 しかし、このCOMPASS試験では低用量抗凝固薬群のトータルベネフィットが抗血小板薬単剤群を上回り、ようやく「動脈系疾患での理想的な抗凝固薬の投与量が提示できたかのか?」というブレイクスルーを示すことに成功しました。

 しかし、トータルのMACEでの結果は良好であったものの、非致死的な出血(特に消化管出血)は低用量抗凝固薬使用群で多く、もっとこの積極的治療の良い適応となる患者群を絞り切れないのか?というところが課題として残ったわけです。
 
 そこで今回のサブ解析の論文は、PADの患者に限定したらCOMPASS試験の結果はどうなるかということを示したものです。

 結論から書きますが、CADの患者に限定したサブ解析(全体のおおよそ7割)と比較し、PAD群(全体のおおよそ3割)ではより明確に低用量抗凝固薬使用のベネフィットが得られています。

 さらに重要なポイントとして、PAD患者では低用量抗凝固薬使用群において【脚切断】というハードエンドポイントのリスクも下がるということもこのサブ解析で示されています。

 私の考え:PADの薬物療法に関する議論がようやく始まる

 これまでPADに関しては「何をしていいかよく分からない」というのが正直なところであったかと思います。

 ですが患者さんの数はふえ続け、おそらく近い将来幅広い科でABIを測ってスクリーニングを行っていくことになるのではないでしょうか?そうしたときに、まず治療法として提示できるのがアスピリンだけでは寂しいので、明確にPADと認識された方には低用量抗凝固療法を試み、次にカテーテルインターベンションなどを考えていくというステップに応じた治療戦略を今後考えることができるようになるのではないでしょうか?

  NOACやDOACと呼ばれる新規経口凝抗固薬の導入に伴い、かなり心房細動や深部静脈血栓症患者に対する治療法の理解が進んだが、同じようなことがPAD患者に関しても起こることを期待したいと思います。

 あす2月10日は「フットケアの日」。

 糖尿病や末梢動脈疾患による足病変の予防・早期発見・早期治療の啓発を目的に、日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックが制定、日本記念日協会が認定した。

 2と10でフット(足)の語呂合わせから決められた。 

(医学誌『Medical Tribune』による)
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加熱式たばこはノープロブレムか? [ひとこと養生記]

 加熱式たばこのharm reductionは証明されていない

 喫煙量をわずかに減らしても有意義な健康上の利益はもたらされず、一方でたばこと電子たばこ(わが国ではニコチン入りの電子たばこは発売されていない)あるいは加熱式たばこの二重使用は心血管リスクを上昇させる。

「harm reduction(害の軽減)」というキーワードを使って加熱式たばこの販売を促進すべきではない。

 さらに"電子たばこは禁煙率を低下させる"と主張し、"より安全である"と銘打ったたばこ製品(加熱式たばこやニコチン入りの電子たばこ)のマーケティング手法は、若い世代をニコチン依存症に導いてしまう可能性が高い。

 安全な喫煙レベルというものは存在しない。

 リスク低減商品と銘打った加熱式たばこに変更すれば長期的な冠動脈疾患や脳卒中の健康被害のリスクがほとんどなくなる、または完全になくなると勘違いすべきではない。

 わが国ではニコチン入りの電子たばこの発売は認可されていないため、加熱式たばこが相次いで発売されている。

 すなわち、わが国は加熱式たばこの実験場となっていると考えられる。

 米国では米食品医薬品局(FDA)が加熱式たばこを認可しておらず、FDA科学諮問委員会は、IQOSが紙巻たばこ喫煙より害が少ないというフィリップモリスの主張を5対4で否定した。

 禁煙のポイント
 
 正しい禁煙法と禁煙でやってはいけないことを以下に示す。

 正しい禁煙方法

 ①期日を決めて一気に禁煙を実行する。完全に禁煙する

 ②ある程度の禁断症状(ニコチン離脱症状)を覚悟する

 ③吸いやすい「行動」をやめる

 ④吸いやすい「環境」をつくらない

 ⑤吸いたくなったら「代わりの行動」を取る

 ⑥自力でできない場合は禁煙補助薬を使用(禁煙外来)

 禁煙でやってはいけないこと

 ①だんだんと減らそうとすること

 ②軽いたばこに変えること

 ③加熱式たばこ・電子たばこに変えること

 ④「1本くらいなら」と甘く見ること

 能動喫煙も受動喫煙も安全なレベルは存在しないことが証明されている。

 健康のためには禁煙は必須である。

 受動喫煙も軽い喫煙の別の形態であることも考えて受動喫煙防止法を早期に成立させる必要がある。

 (医学誌『Medical Tribune』より。筆者・橋本 洋一郎)
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たばこの安全レベルは? [ひとこと養生記]

喫煙に安全なレベルは存在しない

 全世界で約10億人の成人が喫煙している。

 英国では喫煙者の26%が禁煙ではなくて喫煙量を減らしたいと希望し、2013年と2014年に喫煙者の40〜41%が以前より喫煙量を減らしたという報告がなされた。

 2009~14年に全喫煙者に占める1日にたばこを1〜5本しか喫煙しない人の割合が18.2%から23.6%に増加した。

 米国でも2005~15年に全喫煙者に占める1日の喫煙量が10本未満の人の割合が16%から27%に増加した。

 一般的にニコチンやタール含有量の少ないたばこ(軽いたばこ)では、喫煙本数が少なければ比較的安全であると信じられているが、実際は間違っている。

 米国の成人2万4,658人の10%が「軽いたばこは有害ではない」と答え、軽いたばこの喫煙者のうち「喫煙習慣が多くの害に関連している」と考えていたのはわずか35%であった。

 わが国でも「喫煙量を減らした量に比例して害が減る」と考える喫煙者が多く、「喫煙本数を減らす」、「軽いたばこに変更する」、最近では「加熱式たばこに変更する」ことで喫煙による害を減らそうとするケースがよく見受けられる。

 実際、肺がんでは喫煙本数を1日20本から1本に減らすことでリスクは5%に減少する、と報告されている(それでもかなりリスクが高い)。

 しかし、これまでの研究で、喫煙本数と心血管疾患の関係は非線形であり、喫煙本数を減らしても減らした量に比例してリスクは減らないことが示されている。

 今回取り上げた論文では、1日1〜5本の少ない喫煙本数における冠動脈疾患と脳卒中のリスクを定量化するために喫煙量と心血管疾患の関連を検討した。

 研究のポイント:1日1本のみの喫煙でも、冠動脈疾患や脳卒中のリスクが予想以上に高い。

 喫煙未経験者に対する冠動脈疾患の相対リスクは、男性では1日1本で1.48倍、1日20本で2.04倍。

 女性では1日1本で1.57倍、1日20本で2.84倍であった。

 1日20本の喫煙によって増加するリスクに対する1日1本の喫煙によって増加するリスクの割合(過剰相対リスク)は、男性で46%、女性で31%(同38%)であった。

 喫煙未経験者に対する脳卒中の相対リスクは、男性では1日1本で1.25倍、1日20本で1.64倍、女性ではそれぞれ1.31倍、2.16倍であった。

 1日20本の喫煙によって増加するリスクに対する1日1本の喫煙によって増加するリスクの割合(過剰相対リスク)は、男性で41%、女性で34%であった。

 結論として、1日1本のみの喫煙でも、冠動脈疾患や脳卒中のリスクが予想以上に高い(1日20本喫煙による増加リスクの約半分)という結果となった。

 心血管疾患に関して安全なレベルの喫煙は存在しないので、喫煙者はこれらの疾患のリスクを有意に減らすためには喫煙本数を減らすのではなくて、喫煙を止めるべきである。

 健康のためには禁煙は必須

1.1日1箱(20本)の喫煙に比べて1日1本の喫煙では脳卒中リスクは半減するのみ

 前述の通り、肺がんでは喫煙量を減らした比率に応じてリスクが減る(喫煙量を1日20本から1本にすればリスクは5%に減少)ことが報告されている。

 同様に心血管疾患でも、喫煙量を1日20本から1本に減らすと心臓発作や脳卒中リスクが5%(20分の1)に減ると考えがちだが、今回のメタ解析では1日1本では20本に比べてリスクの増加が半減するだけであることが示された。

 また過去には、たばこ煙曝露量と虚血性心疾患の用量反応関係は線形ではないと報告されており、今回、冠動脈疾患とともに脳卒中でも同様の結果が示された。

 多くの喫煙者は、軽いたばこに変更する、喫煙本数を減らすことでたばこの害を減らせる、と信じているようだが、禁煙を推奨する心血管疾患領域の専門家の間では軽いたばこへの変更や喫煙本数の減少は、喫煙者が期待しているほどのリスク軽減にならないと考えられてきたことが、さらに確実になった。

 1日1本のたばこでも冠動脈疾患と脳卒中の発症リスクが非常に高くなることを喫煙者に理解してもらう必要がある。

 医学誌『Medical Tribune』掲載の論文を要約・転載。
 筆者は、橋本 洋一郎・熊本市民病院神経内科医師。

 橋本 洋一郎 1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科。
 専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。
 急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中で色々な活動を行っている。
 日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。
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