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かぜをひきやすい人は?  [ひとこと養生記]

かぜをひきやすい人は食事が不規則かつ偏食
地域住民約4万人を対象に横断研究

 かぜの予防には、一般的に手洗いおよびうがいの励行、十分な休養、バランスの取れた食事などが有効とされているが、大規模疫学研究では日常生活習慣とかぜ予防の関連性は明確にされていない。

 神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の柴田みち氏と同科教授の中島啓氏らは、地域住民約4万人を対象とした横断疫学研究を行い、かぜ罹患と日常生活習慣との関連について調べた。

 その結果、かぜの罹患と日常生活習慣、中でも食事摂取習慣との関連性が明らかになったと第52回日本成人病(生活習慣病)学会(1月13~14日)で報告した。

 2.1%がかぜをよくひく

 対象は、2007年に健康診断を受けた埼玉県在住の健康な成人3万9,524人(年齢40~79歳)。

 健康診断受診時の自覚症状を含む問診票の回答および身体計測値、検査値を集計し、自己申告によるかぜの罹患しやすさと、日常生活習慣ならびに各種パラメータとの関連性を検討した。

 頭痛、胃痛、下痢などの32の症状から過去1カ月間に当てはまる自覚症状を選択させ、自覚症状の中で「かぜをよくひく」を選択した場合に「かぜをひきやすい(SPCC)」、選択しなかった場合に「かぜをひきにくい(非SPCC)」と判断した。

 検討の結果、SPCC群は846人(2.1%)で、SPCC群は非SPCC群に比べて白血球数(6.4±1.5103/μL vs. 6.3±1.4103/μL、P=0.01)、血清ALT(26.8±18.9IU/L vs. 24.8±16.6IU/L、P<0.001)が有意に高く、血清HDL-C(59.5±15.3 mg/dL vs. 61.5±16.0mg/dL、P<0.001)が有意に低く、睡眠時間(6.4±0.9時間vs. 6.5±0.9時間、P<0.001)が有意に短かった。

 かぜをひきやすい人は睡眠5時間以下、運動習慣なし

 BMIのカテゴリー(18.9以下、19.0~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)別に見ると、かぜをひきやすい人の割合はBMI 23.0~24.9で最も低かった。

 SPCC群の生活習慣と各項目との関連について年齢、BMI、生活習慣、治療歴、関連する交絡因子などを調整してロジステック回帰分析を行った。

 その結果、SPCCの割合はBMI 23.0~24.9に対して他のBMIカテゴリー(BMI 27.0以上を除く)で有意に高かった。

 睡眠時間では7時間に対して5時間以下、飲酒習慣では「飲まない」に対して「時々飲む(月1~3回)」、運動習慣では「月1~2回」に対して「ほとんどしない」でSPCCの割合が有意に高かった。

 食事摂取習慣別に見ると、「バランス良い食事を摂取している」に比べて「偏食」の方がSPCCの割合が高かった。

 食事回数では「1日3回規則正しく食べる」に比べて「欠食あり」、「不規則」で高かった。

 食事バランスと食事回数の両者を組み合わせると「不規則」かつ「偏食」の場合にSPCCの割合が最も高かった。

 今回の結果から、「かぜをよくひく」と自覚している人は、全体の2.1%で、白血球数、血清ALTが高く、血清HDL-Cが低く、睡眠時間が短かった。

 また、BMI23以上25未満では他のBMIに比べてかぜをひきにくく、生活習慣に関しては、短時間睡眠(5時間以下)、時々飲酒(月1~3回)、運動習慣なしで、食事摂取習慣が「欠食あり」、「不規則」、「不規則かつ偏食あり」ではかぜをひきやすいことが明らかとなった。

 以上から、柴田氏は「かぜの罹患と日常生活習慣、中でも食事摂取習慣との関連性が明らかになった。これらの改善により、かぜ罹患の予防につながる可能性が示された」と考察した。

 医学新聞『Medical Tribune』2018年2月5日 による

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