「朝型食事」と糖尿病 [ひとこと養生記]
食事を「朝型」にすると糖尿病が改善
体重が減り血糖値も安定
食事パターンを「朝型」にすると、体重が減り、糖尿病の人では血糖コントロールが改善するという研究を、イスラエルのテルアビブ大学が発表した。
研究は、イスラエル保健省の支援を受けて実施された。
イリノイ州シカゴで開催された第100回米国内分泌学会年次総会で発表された。
肥満や過体重の人に共通する食事スタイルとして、夕食でドカ食いをしてカロリーを摂り過ぎる「ビックディナー」がある。
この食習慣を改めて、なるべく朝食でカロリーを多めに摂り、昼食は平均的、夕食を小食にするよう調整すると、1日の摂取カロリーは同じでも、体重が減りやすい。
糖尿病の人では必要なインスリン量が減り、血糖コントロールが改善する。
「多くの人が食事で気にすることは、どんな食品を食べるかとカロリーを抑えることですが、もっと重要なことがあります。それは、食事を摂る時間と頻度です」と、研究チームのリーダー、ダニエラ イカボヴィッチ教授。
「私たちの体の代謝機能は1日を通して変化しています。
同じパンを朝食で摂るのと、夕食で摂るのとでは、グルコース反応が異なります。
朝食で摂った時の方が、体重が減りやすく、痩せやすいのです。糖尿病の人では血糖コントロールが改善します」
朝食が体と頭が活動を開始するためのスイッチに
食事パターンが朝型になると、食欲を抑えられ、脂肪燃焼量が増加することは、過去の研究でも確かめられている。
朝型の食事がとくに影響するのは「体内時計」だ。
食事は、体内時計を調整する因子として働き、食事をいつ食べたのかを目安に、運動や休息に適した体内リズムが調整される。
朝食は特に重要で、体と頭が活動を開始するためのスイッチとなる。体内時計は絶食を長時間続けた後の食事によって調整される、つまり朝食が体内時計をリセットしやすいということが分かっている。
朝食を抜くと、学習や運動能力のパフォーマンスが低下したり、やる気も低下するという研究も報告されている。
また、朝食の摂取頻度が少ない人ほど肥満になりやすいという報告もある。
同じ量の食事であっても、摂取時刻によってエネルギー代謝に与える効果は異なる。
朝食を抜く頻度が高かったり、夜食や間食の頻度が高い人ほど2型糖尿病や肥満のリスクが上昇する。
食事をとる時刻も体内時計に影響する。
1日の最後の食事は夕食だ。夕食をとる時刻が遅いと、体内時計に狂いが生じ夜型になり、心身の不調を引き起こしかねない。
食事を朝型にすると血糖値が低下 インスリン投与量も減少
研究チームは、2型糖尿病と肥満のあり、インスリンで治療をしている、平均年齢69歳の18人の男性と11人の女性を対象に、3ヵ月の実験を行った。
参加者は3ヵ月間、1日の摂取カロリーと栄養バランスが同じになるよう食事を調整し、2つの食事スタイルに振り分けられた。
Aグループは、朝食のボリュームを増やし、昼食は平均的、夕食は少なめにする食事療法を続けた。
Bグループは、1日の食事を6回に分け、摂取カロリーを均等にする食事療法を続けた。
食後の血糖値の上昇が分かるようにするため、血糖値の変動を持続血糖モニターで、研究の開始時と、最初の2週間、終了時に測定した。2週間ごとに血液検査を行い、インスリン値を測定し、インスリン投与量を調整した。
3ヵ月後に、朝食をしっかり摂ったAグループは体重を平均して5kg減らした。
空腹時血糖値は54mg/dL低下し(161から107に低下)、平均血糖値は、最初の2週間は29mg/dL低下し(167から138に低下)、3ヵ月後には38mg/dL低下した(167から129に低下)。
睡眠中の平均血糖値も改善し、朝食をしっかり摂ることで、24mg/dL低下した(131から107に低下)。
インスリン投与量も減少し、1日の単位量は20.5減少した(54.7から34.8に減少)。
食事を1日に6回に分けるダイエットは効果が薄い
食事を1日に6回に分けるダイエットは、朝、昼、夕の3回の食事に加え、3回の間食を加え、合計で1日6食を摂るというもの。1日の摂取カロリーを6回に分けるため、1食の量が少なくなる。
間食を数時間ごとに摂ると、下がり始めた血糖値がまた上昇して安定するので、空腹感を抑えられ体重が減りやすいと考えられている。
しかし、今回の研究では、2型糖尿病患者が1日に6回の食事を摂ると、予想していたよりも体重が減らず、血糖値もそれぼと下がらないことが示された。
体重は3ヵ月間で1.4kg増え、平均血糖値は最初の2週間で171mg/dLから162mg/dLに低下し、3ヵ月後には171から154mg/dLに低下したが、いずれも朝食をしっかり摂ったグループには及ばなかった。
「重要なことは、朝食をしっかり摂ると、体重がベースライン時から変わらない場合でも、2週間後に血糖値の有意な低下がみられたことです。
3種の食事のカロリー配分を変えて、朝食にボリュームをもたせることで、血糖変動に迅速で有益な効果をもたらすことが示されました。体重が減少すれば、さらに改善できる可能性があります」と、イカボヴィッチ教授は話している。
食事パターンを「朝型」にすると、体重が減り、糖尿病の人では血糖コントロールが改善するという研究を、イスラエルのテルアビブ大学が発表した。
研究は、イスラエル保健省の支援を受けて実施された。
イリノイ州シカゴで開催された第100回米国内分泌学会年次総会で発表された。
肥満や過体重の人に共通する食事スタイルとして、夕食でドカ食いをしてカロリーを摂り過ぎる「ビックディナー」がある。
この食習慣を改めて、なるべく朝食でカロリーを多めに摂り、昼食は平均的、夕食を小食にするよう調整すると、1日の摂取カロリーは同じでも、体重が減りやすい。
糖尿病の人では必要なインスリン量が減り、血糖コントロールが改善する。
「多くの人が食事で気にすることは、どんな食品を食べるかとカロリーを抑えることですが、もっと重要なことがあります。それは、食事を摂る時間と頻度です」と、研究チームのリーダー、ダニエラ イカボヴィッチ教授。
「私たちの体の代謝機能は1日を通して変化しています。
同じパンを朝食で摂るのと、夕食で摂るのとでは、グルコース反応が異なります。
朝食で摂った時の方が、体重が減りやすく、痩せやすいのです。糖尿病の人では血糖コントロールが改善します」
朝食が体と頭が活動を開始するためのスイッチに
食事パターンが朝型になると、食欲を抑えられ、脂肪燃焼量が増加することは、過去の研究でも確かめられている。
朝型の食事がとくに影響するのは「体内時計」だ。
食事は、体内時計を調整する因子として働き、食事をいつ食べたのかを目安に、運動や休息に適した体内リズムが調整される。
朝食は特に重要で、体と頭が活動を開始するためのスイッチとなる。体内時計は絶食を長時間続けた後の食事によって調整される、つまり朝食が体内時計をリセットしやすいということが分かっている。
朝食を抜くと、学習や運動能力のパフォーマンスが低下したり、やる気も低下するという研究も報告されている。
また、朝食の摂取頻度が少ない人ほど肥満になりやすいという報告もある。
同じ量の食事であっても、摂取時刻によってエネルギー代謝に与える効果は異なる。
朝食を抜く頻度が高かったり、夜食や間食の頻度が高い人ほど2型糖尿病や肥満のリスクが上昇する。
食事をとる時刻も体内時計に影響する。
1日の最後の食事は夕食だ。夕食をとる時刻が遅いと、体内時計に狂いが生じ夜型になり、心身の不調を引き起こしかねない。
食事を朝型にすると血糖値が低下 インスリン投与量も減少
研究チームは、2型糖尿病と肥満のあり、インスリンで治療をしている、平均年齢69歳の18人の男性と11人の女性を対象に、3ヵ月の実験を行った。
参加者は3ヵ月間、1日の摂取カロリーと栄養バランスが同じになるよう食事を調整し、2つの食事スタイルに振り分けられた。
Aグループは、朝食のボリュームを増やし、昼食は平均的、夕食は少なめにする食事療法を続けた。
Bグループは、1日の食事を6回に分け、摂取カロリーを均等にする食事療法を続けた。
食後の血糖値の上昇が分かるようにするため、血糖値の変動を持続血糖モニターで、研究の開始時と、最初の2週間、終了時に測定した。2週間ごとに血液検査を行い、インスリン値を測定し、インスリン投与量を調整した。
3ヵ月後に、朝食をしっかり摂ったAグループは体重を平均して5kg減らした。
空腹時血糖値は54mg/dL低下し(161から107に低下)、平均血糖値は、最初の2週間は29mg/dL低下し(167から138に低下)、3ヵ月後には38mg/dL低下した(167から129に低下)。
睡眠中の平均血糖値も改善し、朝食をしっかり摂ることで、24mg/dL低下した(131から107に低下)。
インスリン投与量も減少し、1日の単位量は20.5減少した(54.7から34.8に減少)。
食事を1日に6回に分けるダイエットは効果が薄い
食事を1日に6回に分けるダイエットは、朝、昼、夕の3回の食事に加え、3回の間食を加え、合計で1日6食を摂るというもの。1日の摂取カロリーを6回に分けるため、1食の量が少なくなる。
間食を数時間ごとに摂ると、下がり始めた血糖値がまた上昇して安定するので、空腹感を抑えられ体重が減りやすいと考えられている。
しかし、今回の研究では、2型糖尿病患者が1日に6回の食事を摂ると、予想していたよりも体重が減らず、血糖値もそれぼと下がらないことが示された。
体重は3ヵ月間で1.4kg増え、平均血糖値は最初の2週間で171mg/dLから162mg/dLに低下し、3ヵ月後には171から154mg/dLに低下したが、いずれも朝食をしっかり摂ったグループには及ばなかった。
「重要なことは、朝食をしっかり摂ると、体重がベースライン時から変わらない場合でも、2週間後に血糖値の有意な低下がみられたことです。
3種の食事のカロリー配分を変えて、朝食にボリュームをもたせることで、血糖変動に迅速で有益な効果をもたらすことが示されました。体重が減少すれば、さらに改善できる可能性があります」と、イカボヴィッチ教授は話している。
朝ごはん 学力も左右する? [健康]
朝ごはんが大事な理由
1日の長さは24時間。
しかし人間の体内時計は24時間サイクルではない。
そのため体内時計と1日のサイクルがズレてしまいます。
このズレを修正する最も効果的な方法は、朝に光(朝日)をあびること。
そしてもうひとつ、朝ごはんを食べること。
私たちのからだには数多くの時計遺伝子があり、体内時計をつかさどっています。
脳にある中枢の時計遺伝子は主に朝日を浴びることでリセットされ、 その他の臓器(肺、肝臓、腎臓、心臓、筋肉など)にある時計遺伝子は朝ごはんをとることでリセットされます。
「朝ごはんを食べる習慣がない」という人も多いようですが、朝ごはんは重要な役割を担っています。
栄養を摂取する、体温を上げることで代謝を高める、便秘を解消するといったことに加えて、朝ごはんを食べる習慣があるかどうかが、仕事や勉強の効率に影響を与えることもわかっています。
朝ごはんを食べると脳にエネルギー源となるブドウ糖が補給され、脳の働きは活発になります。
逆に朝ごはんをとらずにいきなりお昼ごはんを食べると、朝ごはんを食べている場合に比べて血糖値が急上昇しやすくなってしまいます。
するとからだはインスリンを大量に分泌するため血糖値が下がります。
この急激な血糖値の上昇・低下が眠気や集中力の低下などの原因になるといわれています。
つまり、朝ごはんを食べないと、
「朝、ボーっとしていて、昼食後はひどい眠気に襲われがち」になる。
仕事や勉強がはかどるはずがありません。
文部科学省の「全国学力・学習状況調査」でも、
「毎日、朝ごはんを食べる子どもほど学力が高い傾向がある」ことが明らかになっています。
朝食習慣の有無が年収に影響すると指摘する研究者もいます。
朝ごはんにたんぱく質を摂取すると体温が上昇し、午前中から脳の機能が活発になり、集中力が高まるという報告もあります。
たとえダイエット中でも、朝ごはんを抜くことはおすすめできません。
朝ごはんを食べないことはダイエットの大敵です。
朝ごはんを食べずにお昼ご飯を食べると、血糖値が急上昇しやすくなり、インスリンが大量に分泌されます。
インスリンは、脂肪の合成を促進する働きがあるため、大量のインスリンが分泌されると、からだは太りやすい状態になってしまいます。
昼食後の血糖値を安定させ、インスリンの分泌を抑えるには、朝ごはんに食物繊維の多いものを食べることが効果的だとされています。
これは最初に食べる食事(ファストミール)が、次の食事後の血糖値に影響を及ぼすという「セカンドミール効果」という、グリセミック指数の提唱者、ジェンキンズ博士らの理論に基づいた考え方です。
グリセミック指数(glycemic index グリセミック・インデックス、GI値)=食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値。
1981年、カナダのトロント大のデイヴィッドJ.ジェンキンス教授(栄養学)らが、食品による血糖値の上がり方の違いを発見し、提唱した。
食品の炭水化物50グラムを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表す。
朝ごはんを食べないデメリットはたくさんあります。
朝ごはんを作ったり、食べたりする時間が取れないという人は、手軽に食べられるミニトマトやキュウリを常備しておいて食べたり、野菜ジュースを飲んだりするだけでもよいので、食物繊維が含まれたものをとるようにしましょう。
それも難しいならば、通勤中にコンビニエンスストアで買ったものを出社後に食べるのもOK。
レタスやトマトが具材のサンドイッチなど、野菜がとれるものがおすすめです。
朝は食欲がないという人は、恐らく前日の晩ごはんに問題があります。
食べる時間が遅かったり、消化しにくいものを食べていたり、食べ過ぎていたりなど――。
夕食から翌日の朝食までの間隔は10時間以上あけるのが理想的です。
朝ごはんが食べられないという人は、夕食の内容や時間を見直してみましょう。
繰り返しになりますが、私たちのからだや精神にとって、朝ごはんが果たす役割は非常に重要です。
1日の長さは24時間。
しかし人間の体内時計は24時間サイクルではない。
そのため体内時計と1日のサイクルがズレてしまいます。
このズレを修正する最も効果的な方法は、朝に光(朝日)をあびること。
そしてもうひとつ、朝ごはんを食べること。
私たちのからだには数多くの時計遺伝子があり、体内時計をつかさどっています。
脳にある中枢の時計遺伝子は主に朝日を浴びることでリセットされ、 その他の臓器(肺、肝臓、腎臓、心臓、筋肉など)にある時計遺伝子は朝ごはんをとることでリセットされます。
「朝ごはんを食べる習慣がない」という人も多いようですが、朝ごはんは重要な役割を担っています。
栄養を摂取する、体温を上げることで代謝を高める、便秘を解消するといったことに加えて、朝ごはんを食べる習慣があるかどうかが、仕事や勉強の効率に影響を与えることもわかっています。
朝ごはんを食べると脳にエネルギー源となるブドウ糖が補給され、脳の働きは活発になります。
逆に朝ごはんをとらずにいきなりお昼ごはんを食べると、朝ごはんを食べている場合に比べて血糖値が急上昇しやすくなってしまいます。
するとからだはインスリンを大量に分泌するため血糖値が下がります。
この急激な血糖値の上昇・低下が眠気や集中力の低下などの原因になるといわれています。
つまり、朝ごはんを食べないと、
「朝、ボーっとしていて、昼食後はひどい眠気に襲われがち」になる。
仕事や勉強がはかどるはずがありません。
文部科学省の「全国学力・学習状況調査」でも、
「毎日、朝ごはんを食べる子どもほど学力が高い傾向がある」ことが明らかになっています。
朝食習慣の有無が年収に影響すると指摘する研究者もいます。
朝ごはんにたんぱく質を摂取すると体温が上昇し、午前中から脳の機能が活発になり、集中力が高まるという報告もあります。
たとえダイエット中でも、朝ごはんを抜くことはおすすめできません。
朝ごはんを食べないことはダイエットの大敵です。
朝ごはんを食べずにお昼ご飯を食べると、血糖値が急上昇しやすくなり、インスリンが大量に分泌されます。
インスリンは、脂肪の合成を促進する働きがあるため、大量のインスリンが分泌されると、からだは太りやすい状態になってしまいます。
昼食後の血糖値を安定させ、インスリンの分泌を抑えるには、朝ごはんに食物繊維の多いものを食べることが効果的だとされています。
これは最初に食べる食事(ファストミール)が、次の食事後の血糖値に影響を及ぼすという「セカンドミール効果」という、グリセミック指数の提唱者、ジェンキンズ博士らの理論に基づいた考え方です。
グリセミック指数(glycemic index グリセミック・インデックス、GI値)=食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値。
1981年、カナダのトロント大のデイヴィッドJ.ジェンキンス教授(栄養学)らが、食品による血糖値の上がり方の違いを発見し、提唱した。
食品の炭水化物50グラムを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表す。
朝ごはんを食べないデメリットはたくさんあります。
朝ごはんを作ったり、食べたりする時間が取れないという人は、手軽に食べられるミニトマトやキュウリを常備しておいて食べたり、野菜ジュースを飲んだりするだけでもよいので、食物繊維が含まれたものをとるようにしましょう。
それも難しいならば、通勤中にコンビニエンスストアで買ったものを出社後に食べるのもOK。
レタスやトマトが具材のサンドイッチなど、野菜がとれるものがおすすめです。
朝は食欲がないという人は、恐らく前日の晩ごはんに問題があります。
食べる時間が遅かったり、消化しにくいものを食べていたり、食べ過ぎていたりなど――。
夕食から翌日の朝食までの間隔は10時間以上あけるのが理想的です。
朝ごはんが食べられないという人は、夕食の内容や時間を見直してみましょう。
繰り返しになりますが、私たちのからだや精神にとって、朝ごはんが果たす役割は非常に重要です。
朝食を食べないと動脈硬化リスクが2倍に [ひとこと養生記]
朝食を食べないと動脈硬化リスクが2倍に
糖尿病の人に朝食は大切
朝食を抜く習慣のある人は、朝食をしっかり食べる習慣のある人に比べ、動脈硬化を発症する可能性が2倍に高まるという研究が発表された。
「朝食をしっかり摂ることが、動脈硬化を予防するためにも大切です」と研究者は述べている。
朝食を食べる習慣にはメリットがある
「朝食は1日で最初に摂る食事です。朝食でエネルギーをしっかり摂ることが、心臓血管を保護するのに役立つ可能性があります。
朝食を抜く習慣は、喫煙、運動不足、高コレステロールなどと同じように、動脈硬化を促す危険因子のひとつといえます」と、マウントサイナイ医科大学のヴァレンティン フスター教授(心臓学)。
朝食を食べる習慣は、1日のエネルギー摂取量、食事の代謝効率、満腹感の得やすさや食欲の調節などに関わる。
それに加えて、朝食を食べることが、心臓血管の健康にも大きく影響している。
これまでの研究で、朝食を抜くと、肥満、2型糖尿病、高コレステロール血症などの危険性が高まることが明らかになっている。
これらは心臓病の危険因子となる。
米国のマウントサイナイ病院などの研究チームは、朝食を抜くことが動脈硬化が進行しやすくなるのではないかと考え、調査を行った。
この研究は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表された。
4,000人以上の朝食を調査
研究チームは、スペインのマドリードに在住している会社員を対象に横断研究を行い、心臓病の既往歴のない成人4,052人を対象に、食事に関するアンケートを実施した。
朝食が1日の総エネルギー摂取量に占める割合によって、朝食の摂取パターンを3つに分類した。
(1)朝食で1日のエネルギーの5%未満を摂取する人。朝食をほとんどのコーヒーやジュースのみで済まし、朝食にかける時間はわずか5分。
(2)朝食で1日の20%以上のエネルギーを摂る人。コーヒーやオレンジジュース、トースト、トマト、ハム、フルーツ、シリアル、全粒粉のクッキーやペストリーなど、ボリュームのある朝食を食べていた。
(3)朝食で1日の5〜20%のエネルギーを摂る人。コーヒー、オレンジジュース、フルーツ、トースト、クッキー、ペストリーなど、軽めの朝食を食べていた。
研究に参加した4,052人のうち、(1)の「朝食抜き派」は2.9%、(2)の「朝食重視派」は27.7%、(3)の「朝食軽め派」は69.4%だった。
朝食を食べない人で動脈硬化が進行
動脈硬化には2つのタイプがある。
1つは「アテローム性動脈硬化症」。
血管の内膜にコレステロールや脂肪が柔らかい沈着物(プラーク)となってたまっていき、血液の通り道が狭くなり血液をスムーズに通せなくなり血流が悪化する。
もう1つは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石灰化と呼ばれるタイプ。
血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなってしなやかさがなくなり、血流によるダメージを受けやすくなる。
研究では、アテローム性動脈硬化症の測定については、超音波検査で頸動脈、腎臓の腹部大動脈、大腿動脈を調べ、プラークがどれだけたまっているか調べた。
心臓に血液を供給している冠動脈でのカルシウムの沈着についても調べた。
さらに全身の6ヵ所(左・右頸動脈、大動脈、左・右大腿動脈、冠動脈)を調べ、全身性動脈硬化症の判定も行った。
その結果、「朝食抜き派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになった。
「朝食抜き派」では、非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍に、それぞれ上昇していた。
腹囲周囲径、体格指数、血圧、コレステロール値など、アテローム性動脈硬化症の危険因子となる検査値も、「朝食抜き派」では高い傾向が示された。
朝食をきちんと食べる人の生活は健康的
朝食を抜く習慣は、症状や病気が現れる以前の段階の「無症候性動脈硬化症」に大きく関わることが明らかになった。
朝食を抜く習慣のある人は、過体重や肥満になりやすいだけでなく、食事の時間が不規則になりがちで、アルコールを多く摂取していたり、喫煙習慣があるなど、全体的に生活スタイルが不健康である傾向があることも分かった。
朝食を抜くことの多い人は、体重を減らすためにダイエットに取り組んでいる人が多かった。
しかし、朝食を抜くことで、昼食以降でエネルギーを摂り過ぎてしまい、1日の摂取エネルギーは変わらないか、むしろ多くなり過ぎてしまうパターンが多い。
「体重を減らしたり、メタボを解消したいと考え、朝食をスキップしたり、3食を2食以下に減らすことを考える人は少なくないのですが、そうした食事スタイルが逆に肥満やメタボ、2型糖尿病を誘引してしまうおそれがあるのです」と、スペイン心血管研究センター(CNIC)のヴァレンティン フスターター氏。
一方で、逆に食事を規則正しく摂っている人は、1日の摂取エネルギーが安定し、運動量も多く、喫煙率が低く、より健康的な生活をしている傾向が示された。
なぜ「朝食抜き」は健康に悪いのか
朝食を抜くと、空腹感が強くなり、それを満たすために昼食や夕食で食べ過ぎてしまう傾向がある。
また、朝食を抜くことで、お菓子などの間食を摂り過ぎてしまうおそれもある。
1日の栄養素のバランスを考えて間食をとれれば理想的だが、多くの場合で栄養バランスを乱す原因となる。
夕食から朝食までの間は、もっとも長い空腹時間になる。
昼食や夕食でより多くの食事を摂取すると、食後に血糖値が上昇しやすくなり、血糖を下げるインスリンも分泌され、肥満になりやすくなる。1日の摂取エネルギーが変わらない場合でも、朝食を摂ることで、昼食後の血糖値を低く抑えられる効果(セカンドミール効果)を得られやすくなり、また食欲を増進させるホルモンを低下させることも期待できる。
体には1日のリズムを作る体内時計がそなわっており、朝起きて光を浴びて、目から入る光の刺激でリセットされる。体内時計のリズムを整えるためにも、朝食は大切だ。
食事をすることで、インスリンが分泌され、時計遺伝子が発現して時計がリセットされる。
光を浴びるのと同様に、朝食を食べることで、眠りから活動に向かうリズムが整えられる。
「朝食で勧められるのは、パンなどは食物繊維の多い全粒粉のものを選び、野菜やフルーツを摂り、脂肪の少ない肉類や、植物性のタンパク質を摂ることです」と、ディードワニア氏はアドバイスしている。
朝食を抜く習慣のある人は、朝食をしっかり食べる習慣のある人に比べ、動脈硬化を発症する可能性が2倍に高まるという研究が発表された。
「朝食をしっかり摂ることが、動脈硬化を予防するためにも大切です」と研究者は述べている。
朝食を食べる習慣にはメリットがある
「朝食は1日で最初に摂る食事です。朝食でエネルギーをしっかり摂ることが、心臓血管を保護するのに役立つ可能性があります。
朝食を抜く習慣は、喫煙、運動不足、高コレステロールなどと同じように、動脈硬化を促す危険因子のひとつといえます」と、マウントサイナイ医科大学のヴァレンティン フスター教授(心臓学)。
朝食を食べる習慣は、1日のエネルギー摂取量、食事の代謝効率、満腹感の得やすさや食欲の調節などに関わる。
それに加えて、朝食を食べることが、心臓血管の健康にも大きく影響している。
これまでの研究で、朝食を抜くと、肥満、2型糖尿病、高コレステロール血症などの危険性が高まることが明らかになっている。
これらは心臓病の危険因子となる。
米国のマウントサイナイ病院などの研究チームは、朝食を抜くことが動脈硬化が進行しやすくなるのではないかと考え、調査を行った。
この研究は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表された。
4,000人以上の朝食を調査
研究チームは、スペインのマドリードに在住している会社員を対象に横断研究を行い、心臓病の既往歴のない成人4,052人を対象に、食事に関するアンケートを実施した。
朝食が1日の総エネルギー摂取量に占める割合によって、朝食の摂取パターンを3つに分類した。
(1)朝食で1日のエネルギーの5%未満を摂取する人。朝食をほとんどのコーヒーやジュースのみで済まし、朝食にかける時間はわずか5分。
(2)朝食で1日の20%以上のエネルギーを摂る人。コーヒーやオレンジジュース、トースト、トマト、ハム、フルーツ、シリアル、全粒粉のクッキーやペストリーなど、ボリュームのある朝食を食べていた。
(3)朝食で1日の5〜20%のエネルギーを摂る人。コーヒー、オレンジジュース、フルーツ、トースト、クッキー、ペストリーなど、軽めの朝食を食べていた。
研究に参加した4,052人のうち、(1)の「朝食抜き派」は2.9%、(2)の「朝食重視派」は27.7%、(3)の「朝食軽め派」は69.4%だった。
朝食を食べない人で動脈硬化が進行
動脈硬化には2つのタイプがある。
1つは「アテローム性動脈硬化症」。
血管の内膜にコレステロールや脂肪が柔らかい沈着物(プラーク)となってたまっていき、血液の通り道が狭くなり血液をスムーズに通せなくなり血流が悪化する。
もう1つは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石灰化と呼ばれるタイプ。
血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなってしなやかさがなくなり、血流によるダメージを受けやすくなる。
研究では、アテローム性動脈硬化症の測定については、超音波検査で頸動脈、腎臓の腹部大動脈、大腿動脈を調べ、プラークがどれだけたまっているか調べた。
心臓に血液を供給している冠動脈でのカルシウムの沈着についても調べた。
さらに全身の6ヵ所(左・右頸動脈、大動脈、左・右大腿動脈、冠動脈)を調べ、全身性動脈硬化症の判定も行った。
その結果、「朝食抜き派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになった。
「朝食抜き派」では、非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍に、それぞれ上昇していた。
腹囲周囲径、体格指数、血圧、コレステロール値など、アテローム性動脈硬化症の危険因子となる検査値も、「朝食抜き派」では高い傾向が示された。
朝食をきちんと食べる人の生活は健康的
朝食を抜く習慣は、症状や病気が現れる以前の段階の「無症候性動脈硬化症」に大きく関わることが明らかになった。
朝食を抜く習慣のある人は、過体重や肥満になりやすいだけでなく、食事の時間が不規則になりがちで、アルコールを多く摂取していたり、喫煙習慣があるなど、全体的に生活スタイルが不健康である傾向があることも分かった。
朝食を抜くことの多い人は、体重を減らすためにダイエットに取り組んでいる人が多かった。
しかし、朝食を抜くことで、昼食以降でエネルギーを摂り過ぎてしまい、1日の摂取エネルギーは変わらないか、むしろ多くなり過ぎてしまうパターンが多い。
「体重を減らしたり、メタボを解消したいと考え、朝食をスキップしたり、3食を2食以下に減らすことを考える人は少なくないのですが、そうした食事スタイルが逆に肥満やメタボ、2型糖尿病を誘引してしまうおそれがあるのです」と、スペイン心血管研究センター(CNIC)のヴァレンティン フスターター氏。
一方で、逆に食事を規則正しく摂っている人は、1日の摂取エネルギーが安定し、運動量も多く、喫煙率が低く、より健康的な生活をしている傾向が示された。
なぜ「朝食抜き」は健康に悪いのか
朝食を抜くと、空腹感が強くなり、それを満たすために昼食や夕食で食べ過ぎてしまう傾向がある。
また、朝食を抜くことで、お菓子などの間食を摂り過ぎてしまうおそれもある。
1日の栄養素のバランスを考えて間食をとれれば理想的だが、多くの場合で栄養バランスを乱す原因となる。
夕食から朝食までの間は、もっとも長い空腹時間になる。
昼食や夕食でより多くの食事を摂取すると、食後に血糖値が上昇しやすくなり、血糖を下げるインスリンも分泌され、肥満になりやすくなる。1日の摂取エネルギーが変わらない場合でも、朝食を摂ることで、昼食後の血糖値を低く抑えられる効果(セカンドミール効果)を得られやすくなり、また食欲を増進させるホルモンを低下させることも期待できる。
体には1日のリズムを作る体内時計がそなわっており、朝起きて光を浴びて、目から入る光の刺激でリセットされる。体内時計のリズムを整えるためにも、朝食は大切だ。
食事をすることで、インスリンが分泌され、時計遺伝子が発現して時計がリセットされる。
光を浴びるのと同様に、朝食を食べることで、眠りから活動に向かうリズムが整えられる。
「朝食で勧められるのは、パンなどは食物繊維の多い全粒粉のものを選び、野菜やフルーツを摂り、脂肪の少ない肉類や、植物性のタンパク質を摂ることです」と、ディードワニア氏はアドバイスしている。
糖尿病、緊急事態? [健康短信]
糖尿病患者は緊急手術を受けられなくなる?
先ごろ米国内科学会が、薬物療法中の糖尿病のHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)の管理目標は7%以上8%未満にすべきという声明を出した。
これに関連して、HbA1cが7%未満でないと大手術はできないのか、と懸念する向きがある。
高血糖が術後のアウトカム(成果)に悪い影響を与えることはよく知られている。
以前はHbA1c 7%超では大手術(全身麻酔が必要な開腹・開胸術など)は避けるべきとされていた。
今もHbA1c 7%超の糖尿病患者の抜歯やインプラント手術に当たって、血糖管理の面で実施可能かどうか、歯科医から問い合わせを受ける糖尿病担当医は多い。
実際、日本歯周病学会の「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン(改訂第2版)」では、観血的処置を行う際の血糖管理について、
「直接的な血糖コントロール値の基準はない。
しかし、歯周外科治療ではHbA1c 6.9%前後を参考値としてよいと考えられる」と記載されている。
今後、薬物療法中の糖尿病患者の血糖管理目標が7%台になるとすれば、ほとんどの例では緊急の大手術を行うのは難しくなるのではないか?
米デューク大学のグループが15年間の手術データを後ろ向きに解析し、術前のHbA1cおよび周術期の平均血糖値と術後30日間の死亡率との関係について報告した。
研究は、デューク大学の統計学部門、麻酔学部門、内分泌栄養部門、神経生物学の研究者たちが行った。
同大学の1999~2013年の手術記録のデータベースを後ろ向きに検討したものである。
計24万6,650人に計43万1,480件の手術が実施されていた。
その中で、記録が不十分(どんな手術がなされたか不明)であったり、1年以内に同じ手術が繰り返されていたり、HbA1cが測定されていなかったりしたものを除外し、最終的に1万3,077件の手術データを採用した。
除外の最大の理由は、術前90日以内にHbA1cが測定されていないことであった。
研究者らが注目したのは、周術期の血糖管理と術後30日間の死亡率との関係である。
周術期の平均血糖値は、手術当日から術後3日までの全血糖測定値の平均値と定義した。
また、術前90日以内の直近のHbA1cと死亡率との関係も検討した。
記録を2015年まで下って検討することにより、術後3年までの死亡率や時間制約を付けない形での死亡率も検討した。
一方、入院期間などの指標はベッド管理状況などの影響を受ける可能性があるため、治療成績を見るための指標として採用しなかった。
術前HbA1c高値は術後の予後悪化に関連せず
HbA1cのデータがない症例も合わせて検討すると、術後の死亡率は心臓手術(1万2,199件、30日間死亡率2.2%)と非心臓手術(16万7,376件、同0.9%)とで異なっていたため、解析は両者を分けて行った。
結果、1万3,077件のうち心臓手術が6,393件、非心臓手術が6,684件であった。
心臓手術では術後30日間死亡率に差異はなかったが、非心臓手術では大きく上昇していた。
周術期平均血糖値、術前HbA1c、術後30日間死亡率の3者の関係性を検討すると、術前HbA1cと周術期平均血糖値との間に正の相関はあるものの、術前HbA1cと術後30日間死亡率については、心臓手術では相関がなく、非心臓手術に関しては、有意な負の相関を示した。
一方、周術期平均血糖値については、心臓手術では高血糖および低血糖が、非心臓手術では高血糖が術後30日間死亡率と有意に関連していた。
周術期平均血糖値と術後30日間死亡率の関係性は心臓手術と非心臓手術で異なっており、前者ではU字、後者では線形の関係性を持っている。
心臓手術においては周術期平均血糖値120~160mg/dLで、死亡率が低かった。
なお、死亡率を見る期間を術後30日間でなく、3年あるいは期間の限定をなくす形で検討しても、術前HbA1cと非心臓病手術後死亡率との負の相関は残っていたという。
HbA1cが高いことは手術延期の理由にならない
現在の日本糖尿病学会の手術前血糖管理目標は、
① 尿ケトン陰性。
② ②空腹時血糖値100~140mg/dLまたは食後血糖値200mg/dL以下
―というような内容であり、HbA1cに関しての制約はない。
また、現在、周術期血糖管理についてさまざまな学会が似たようなガイドラインを出している。
例えば、米国糖尿病学会は80~180mg/dLが望ましいとし、
カナダ糖尿病学会では90~180mg/dLが望ましいとしている。
そうした意味では、現時点でもHbA1c高値というだけで手術を月単位で延期する必要はなさそうである。
それどころか、本研究の結果からは、心臓手術ではHbA1cと30日間死亡率に相関はなく、非心臓手術においてはなんと負の相関であった。
HbA1cが高いことは、手術延期の理由にはならないようである。
しかし、本研究の結果で手術の可否に関してHbA1cに縛られなくてもよいということ以上に大切なのは、周術期血糖管理について心臓手術と非心臓手術を分けて考える必要があるかもしれないということである。
本研究では、心臓手術と非心臓手術において周術期平均血糖値と術後30日間死亡率との関係性が異なっていて、前者では明確にU字であり、後者では線形だったのである。
このことは、心臓手術の方が低血糖による死亡リスクの上昇が大きいことを示唆するだろう。
現時点では、周術期血糖管理目標について心臓手術と非心臓手術を明確に分離しているガイドラインはない。
むろん、HbA1cが臨床的に重要な指標であることは否定できないのはいうまでもないのだが。
先ごろ米国内科学会が、薬物療法中の糖尿病のHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)の管理目標は7%以上8%未満にすべきという声明を出した。
これに関連して、HbA1cが7%未満でないと大手術はできないのか、と懸念する向きがある。
高血糖が術後のアウトカム(成果)に悪い影響を与えることはよく知られている。
以前はHbA1c 7%超では大手術(全身麻酔が必要な開腹・開胸術など)は避けるべきとされていた。
今もHbA1c 7%超の糖尿病患者の抜歯やインプラント手術に当たって、血糖管理の面で実施可能かどうか、歯科医から問い合わせを受ける糖尿病担当医は多い。
実際、日本歯周病学会の「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン(改訂第2版)」では、観血的処置を行う際の血糖管理について、
「直接的な血糖コントロール値の基準はない。
しかし、歯周外科治療ではHbA1c 6.9%前後を参考値としてよいと考えられる」と記載されている。
今後、薬物療法中の糖尿病患者の血糖管理目標が7%台になるとすれば、ほとんどの例では緊急の大手術を行うのは難しくなるのではないか?
米デューク大学のグループが15年間の手術データを後ろ向きに解析し、術前のHbA1cおよび周術期の平均血糖値と術後30日間の死亡率との関係について報告した。
研究は、デューク大学の統計学部門、麻酔学部門、内分泌栄養部門、神経生物学の研究者たちが行った。
同大学の1999~2013年の手術記録のデータベースを後ろ向きに検討したものである。
計24万6,650人に計43万1,480件の手術が実施されていた。
その中で、記録が不十分(どんな手術がなされたか不明)であったり、1年以内に同じ手術が繰り返されていたり、HbA1cが測定されていなかったりしたものを除外し、最終的に1万3,077件の手術データを採用した。
除外の最大の理由は、術前90日以内にHbA1cが測定されていないことであった。
研究者らが注目したのは、周術期の血糖管理と術後30日間の死亡率との関係である。
周術期の平均血糖値は、手術当日から術後3日までの全血糖測定値の平均値と定義した。
また、術前90日以内の直近のHbA1cと死亡率との関係も検討した。
記録を2015年まで下って検討することにより、術後3年までの死亡率や時間制約を付けない形での死亡率も検討した。
一方、入院期間などの指標はベッド管理状況などの影響を受ける可能性があるため、治療成績を見るための指標として採用しなかった。
術前HbA1c高値は術後の予後悪化に関連せず
HbA1cのデータがない症例も合わせて検討すると、術後の死亡率は心臓手術(1万2,199件、30日間死亡率2.2%)と非心臓手術(16万7,376件、同0.9%)とで異なっていたため、解析は両者を分けて行った。
結果、1万3,077件のうち心臓手術が6,393件、非心臓手術が6,684件であった。
心臓手術では術後30日間死亡率に差異はなかったが、非心臓手術では大きく上昇していた。
周術期平均血糖値、術前HbA1c、術後30日間死亡率の3者の関係性を検討すると、術前HbA1cと周術期平均血糖値との間に正の相関はあるものの、術前HbA1cと術後30日間死亡率については、心臓手術では相関がなく、非心臓手術に関しては、有意な負の相関を示した。
一方、周術期平均血糖値については、心臓手術では高血糖および低血糖が、非心臓手術では高血糖が術後30日間死亡率と有意に関連していた。
周術期平均血糖値と術後30日間死亡率の関係性は心臓手術と非心臓手術で異なっており、前者ではU字、後者では線形の関係性を持っている。
心臓手術においては周術期平均血糖値120~160mg/dLで、死亡率が低かった。
なお、死亡率を見る期間を術後30日間でなく、3年あるいは期間の限定をなくす形で検討しても、術前HbA1cと非心臓病手術後死亡率との負の相関は残っていたという。
HbA1cが高いことは手術延期の理由にならない
現在の日本糖尿病学会の手術前血糖管理目標は、
① 尿ケトン陰性。
② ②空腹時血糖値100~140mg/dLまたは食後血糖値200mg/dL以下
―というような内容であり、HbA1cに関しての制約はない。
また、現在、周術期血糖管理についてさまざまな学会が似たようなガイドラインを出している。
例えば、米国糖尿病学会は80~180mg/dLが望ましいとし、
カナダ糖尿病学会では90~180mg/dLが望ましいとしている。
そうした意味では、現時点でもHbA1c高値というだけで手術を月単位で延期する必要はなさそうである。
それどころか、本研究の結果からは、心臓手術ではHbA1cと30日間死亡率に相関はなく、非心臓手術においてはなんと負の相関であった。
HbA1cが高いことは、手術延期の理由にはならないようである。
しかし、本研究の結果で手術の可否に関してHbA1cに縛られなくてもよいということ以上に大切なのは、周術期血糖管理について心臓手術と非心臓手術を分けて考える必要があるかもしれないということである。
本研究では、心臓手術と非心臓手術において周術期平均血糖値と術後30日間死亡率との関係性が異なっていて、前者では明確にU字であり、後者では線形だったのである。
このことは、心臓手術の方が低血糖による死亡リスクの上昇が大きいことを示唆するだろう。
現時点では、周術期血糖管理目標について心臓手術と非心臓手術を明確に分離しているガイドラインはない。
むろん、HbA1cが臨床的に重要な指標であることは否定できないのはいうまでもないのだが。
糖尿病の原因は一つだけではない [健康雑談]
新たな五つの分類
糖尿病は5つの病型に分類でき、それぞれに合った治療法を開発すれば、より治療を効果的に行えるようになる可能性がある――。
スウェーデンとフィンランドの研究チームがこんな提案を発表した。
研究は医学誌「ランセット 尿病・内分泌学」に発表された。
糖尿病は現在では大きく「1型糖尿病」と「2型糖尿病」と分類され、それ以外に、特定の疾患が原因で発症する糖尿病、妊娠糖尿病がある。
スウェーデンとフィンランドの研究チームはこのほど、糖尿病の分類を増やし、全体を五つのタイプに分類するという提案を発表した。
「糖尿病は考えられている以上に複雑な疾患であることが分かってきました。
患者の病態に合わせた個別化された治療が求められています」 と、スウェーデンのルンド大学糖尿病・内分泌学部のリーフ グループ教授。
世界の糖尿病人口は4億2,500万人に上り、2045年までに6億2,900万人に増えると予測されている。
適正な治療を行わず、血糖コントロールが不良の状態が続くと、腎不全、網膜症、心筋梗塞、脳卒中、下肢の切断などが引き起こされる。
「将来に合併症を起こるのを防ぐために、現在の診断法と糖尿病の分類だけでは十分ではありません」と、グループ教授は指摘する。
ルンド大学糖尿病センターとフィンランド分子医学研究所などの研究チーム実施している「ANDIS」研究は、スウェーデンのスコーネ県に在住し、新たに糖尿病と診断された患者を対象としている。
研究チームは、18~97歳の1万4,775人の糖尿病患者を対象に、詳細なデータベースを作成した。
データベースには、インスリン分泌、血糖値、抗GAD抗体、インスリンの分泌機能を示すHOMA-β、インスリン抵抗性を示すHOMA-R、発症年齢、BMIなどが含まれる。
結果、糖尿病は、それぞれが大きな特徴をもつ五つのタイプに分類できることを明らかにした。
・ グループ1:重度の自己免疫性糖尿病(SAID)
1型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)に相当する。
膵臓のβ細胞を攻撃する自己抗体である抗GAD抗体が陽性となっており、自己免疫的な機序により発症する。
・ グループ2:重度のインスリン欠乏糖尿病(SIDD)
HbA1C値が高く、インスリン分泌障害および中程度のインスリン抵抗性を特徴とし、肥満は少ない。自己免疫が原因ではない。
・ グループ3:重度のインスリン抵抗性糖尿病(SIRD)
肥満および重度のインスリン抵抗性を特徴とする。
インスリン分泌は保たれているが、体はそれに反応しなくなっている。
併発症の医療費がもっとも高い。
・ グループ4:軽症の肥満関連糖尿病(MOD)
肥満はあるもののインスリン抵抗性は軽度で血糖上昇も軽度。
比較的若い年齢で罹患する肥満の患者が含まれる。
・ グループ5:軽症の加齢関連糖尿病(MARD)
高齢の患者で構成されるグループで、全体の40%を占め、もっとも多い。
加齢に伴い血糖値が上昇するが、その程度は軽度。
詳細に診断すれば、適切な治療を早期に始められる
このうち「成人潜在性自己免疫性糖尿病」(LADA)は、抗GAD抗体が陽性で、最初は2型糖尿病のように徐々に進行するが、その後インスリン分泌が低下して、1型糖尿病と同様の病態となる。
この5群の分類によると、グループ2では網膜症の発症率がもっとも高く、グループ3では腎障害の発症率がもっとも高いことも判明した。
合併症のリスクの高い患者には、検査の頻度を増やして、適切な治療を行うことが求められる。
「これまでは、たとえばインスリン療法が必要な患者にインスリンを処方するのが遅れるなど、適切な治療を適時に行えないケースがありました。合併症を発見するための検査が遅れたケースもあります。もっと詳細に診断できるようになれば、適切な治療を早期に始められるようになります」と、グループ教授は言う。
「糖尿病の分類を細分化することで、将来に合併症が起こるリスクも、より正確に分かるようになります。適切な診断により、より良い治療を目指すことが理想的なシナリオです」と、つけ加えている。
中国とインドでも大規模な調査を予定
ただ、今回の研究は北欧の患者が対象で、たとえばアジア系の患者の病態が異なるなど、世界各地の状況はかなり違うため、すぐに糖尿病治療が変わるわけではない。
スウェーデンとフィンランドだけの比較でも、データの傾向には若干の違いがあった。
研究チームは、異なる民族的な背景をもつ患者でも類似の分類が可能かどうかを調べるために、中国とインドで大規模な調査を行うことも予定している。
「研究を長く続けるほど、より良好なデータを得られるようになります。世界的には遺伝子や地域の環境による影響で、グループ分類がもっと増える可能性もあります」と、ルンド大学のエマ アクスイト准教授は言う。
「いずれにせよ、個々の患者に合った治療を行えるようにするために、糖尿病の病型の分類を増やすことは大きな意義があります」と、アクスイト准教授は結論している。
糖尿病は5つの病型に分類でき、それぞれに合った治療法を開発すれば、より治療を効果的に行えるようになる可能性がある――。
スウェーデンとフィンランドの研究チームがこんな提案を発表した。
研究は医学誌「ランセット 尿病・内分泌学」に発表された。
糖尿病は現在では大きく「1型糖尿病」と「2型糖尿病」と分類され、それ以外に、特定の疾患が原因で発症する糖尿病、妊娠糖尿病がある。
スウェーデンとフィンランドの研究チームはこのほど、糖尿病の分類を増やし、全体を五つのタイプに分類するという提案を発表した。
「糖尿病は考えられている以上に複雑な疾患であることが分かってきました。
患者の病態に合わせた個別化された治療が求められています」 と、スウェーデンのルンド大学糖尿病・内分泌学部のリーフ グループ教授。
世界の糖尿病人口は4億2,500万人に上り、2045年までに6億2,900万人に増えると予測されている。
適正な治療を行わず、血糖コントロールが不良の状態が続くと、腎不全、網膜症、心筋梗塞、脳卒中、下肢の切断などが引き起こされる。
「将来に合併症を起こるのを防ぐために、現在の診断法と糖尿病の分類だけでは十分ではありません」と、グループ教授は指摘する。
ルンド大学糖尿病センターとフィンランド分子医学研究所などの研究チーム実施している「ANDIS」研究は、スウェーデンのスコーネ県に在住し、新たに糖尿病と診断された患者を対象としている。
研究チームは、18~97歳の1万4,775人の糖尿病患者を対象に、詳細なデータベースを作成した。
データベースには、インスリン分泌、血糖値、抗GAD抗体、インスリンの分泌機能を示すHOMA-β、インスリン抵抗性を示すHOMA-R、発症年齢、BMIなどが含まれる。
結果、糖尿病は、それぞれが大きな特徴をもつ五つのタイプに分類できることを明らかにした。
・ グループ1:重度の自己免疫性糖尿病(SAID)
1型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)に相当する。
膵臓のβ細胞を攻撃する自己抗体である抗GAD抗体が陽性となっており、自己免疫的な機序により発症する。
・ グループ2:重度のインスリン欠乏糖尿病(SIDD)
HbA1C値が高く、インスリン分泌障害および中程度のインスリン抵抗性を特徴とし、肥満は少ない。自己免疫が原因ではない。
・ グループ3:重度のインスリン抵抗性糖尿病(SIRD)
肥満および重度のインスリン抵抗性を特徴とする。
インスリン分泌は保たれているが、体はそれに反応しなくなっている。
併発症の医療費がもっとも高い。
・ グループ4:軽症の肥満関連糖尿病(MOD)
肥満はあるもののインスリン抵抗性は軽度で血糖上昇も軽度。
比較的若い年齢で罹患する肥満の患者が含まれる。
・ グループ5:軽症の加齢関連糖尿病(MARD)
高齢の患者で構成されるグループで、全体の40%を占め、もっとも多い。
加齢に伴い血糖値が上昇するが、その程度は軽度。
詳細に診断すれば、適切な治療を早期に始められる
このうち「成人潜在性自己免疫性糖尿病」(LADA)は、抗GAD抗体が陽性で、最初は2型糖尿病のように徐々に進行するが、その後インスリン分泌が低下して、1型糖尿病と同様の病態となる。
この5群の分類によると、グループ2では網膜症の発症率がもっとも高く、グループ3では腎障害の発症率がもっとも高いことも判明した。
合併症のリスクの高い患者には、検査の頻度を増やして、適切な治療を行うことが求められる。
「これまでは、たとえばインスリン療法が必要な患者にインスリンを処方するのが遅れるなど、適切な治療を適時に行えないケースがありました。合併症を発見するための検査が遅れたケースもあります。もっと詳細に診断できるようになれば、適切な治療を早期に始められるようになります」と、グループ教授は言う。
「糖尿病の分類を細分化することで、将来に合併症が起こるリスクも、より正確に分かるようになります。適切な診断により、より良い治療を目指すことが理想的なシナリオです」と、つけ加えている。
中国とインドでも大規模な調査を予定
ただ、今回の研究は北欧の患者が対象で、たとえばアジア系の患者の病態が異なるなど、世界各地の状況はかなり違うため、すぐに糖尿病治療が変わるわけではない。
スウェーデンとフィンランドだけの比較でも、データの傾向には若干の違いがあった。
研究チームは、異なる民族的な背景をもつ患者でも類似の分類が可能かどうかを調べるために、中国とインドで大規模な調査を行うことも予定している。
「研究を長く続けるほど、より良好なデータを得られるようになります。世界的には遺伝子や地域の環境による影響で、グループ分類がもっと増える可能性もあります」と、ルンド大学のエマ アクスイト准教授は言う。
「いずれにせよ、個々の患者に合った治療を行えるようにするために、糖尿病の病型の分類を増やすことは大きな意義があります」と、アクスイト准教授は結論している。
AED? 死戦期呼吸? [ひとこと養生記]
女子マネジャー死亡、「呼吸」誤解? AED使ってれば
新潟県の高校の野球部でマネジャーをしていた女子生徒が練習直後に倒れ、死亡するということがあった。
生徒は倒れたときに心室細動を発症していた。
自動体外式除細動器(AED)を使えば、救える可能性がある症状だ。
AEDの設置が広がっても突然死が後を絶たない背景には、AEDの性能についての理解が深まっていないことや、卒倒などの場面に遭遇すると、落ち着いて使いこなせない実態がある。
認知度低い「死戦期呼吸」
生徒は7月21日午後、練習があった野球場から学校まで約3・5キロを走った後に倒れた。
野球部の監督は「呼吸はある」と判断し、AEDを使わずに救急車の到着を待った。
しかし、その呼吸は、「死戦期呼吸」というものだった可能性がある。
心停止の状態になっても、下あごだけが動いたり、しゃくり上げるようなしぐさをしたりして、呼吸をしているように見えることがある。
病院に運ばれた生徒は低酸素脳症で死亡した。
病院の医師は「心室細動が起きていた」と生徒の家族に説明したという。
AEDは、心臓がけいれんしたような状態(心室細動)になり、血液を送り出せなくなっている状態を、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための機器だ。
校内のAEDは、生徒が倒れた玄関に近い事務室の前など計3カ所あった。
日本救急医学会の指導医の太田祥一医師は、「死戦期呼吸と普通の呼吸とを見分けるのは、一般市民には難しい」と指摘する。
死戦期呼吸の認知度が低いことも、AEDでの素早い処置に思いが至らない要因の一つとみる。
死戦期呼吸
死戦期呼吸(しせんきこきゅう)とは、心停止直後の傷病者に見られる、しゃくりあげるような呼吸。現場や救急室では「ギャスピング」ということが多い。
死戦期呼吸は正常の呼吸とは違い、顎が動いているだけで胸が動いておらず、肺での酸素化ができていない。
鼻や口の前にティッシュをかざすと、通常の呼吸ではティッシュが吹き上がるが、死戦期呼吸では動かない。
そのため、呼吸をしていない傷病者と同様に処置する必要がある。
しかし、医療関係者以外が見分けることは難しく、呼吸していると判断されてしまうことが多い。
死戦期呼吸の種類
下顎呼吸
吸気時に下顎を動かして空気を飲み込むような呼吸であり、顎の動きのみで胸郭はほとんど動かない。
鼻翼呼吸
吸気時に鼻翼が広がり呼気時に鼻翼が縮まる呼吸であり、やはり胸郭がほとんど動かない。
あえぎ呼吸
深い吸息と速い呼息が数回続いた後に無呼吸となる呼吸。
処置
呼吸をしていないので、人工呼吸やAEDによる蘇生を要する。
心臓マッサージ(胸骨圧迫)
原因が何にせよ、呼吸が十分できておらず、心臓が止まって血液を全身に送り届けられなくなると、その瞬間から脳細胞が死んでいき、数分で社会復帰が難しいレベルにまで脳機能が破壊されてしまう。
1秒でも早く、全身への血液循環を回復させなければならない。
動かなくなった心臓の代わりに、胸の上から心臓を押すことで、血液を送り出そうとするのが心臓マッサージ(胸骨圧迫)。
1分間に100~120回のリズムで、左右の乳首をつないだ線の真ん中あたりを5~6㎝沈むぐらいに押す。
押した後は胸が元の位置に戻るまで手を放す。
呼吸や心拍がある状態であれば、心臓マッサージ(胸骨圧迫)に対して何らかの反応を示すはず。そこで中止すればよい。
心臓マッサージに合わせて人工呼吸を行うこともある。
しかし、人工呼吸を行うことで心臓マッサージ(胸骨圧迫)がいったん中断してしまうよりは、心臓マッサージ(胸骨圧迫)だけを続けた方がよいとされている。
見知らぬ人が倒れている場合、口と口をつけて人工呼吸をするのはかなり抵抗があるし、嘔吐物や出血があれば人工呼吸を行うことはためらわれることもある。
救助者が1人しかいない場合は、心臓マッサージに専念しよう。
新潟県の高校の野球部でマネジャーをしていた女子生徒が練習直後に倒れ、死亡するということがあった。
生徒は倒れたときに心室細動を発症していた。
自動体外式除細動器(AED)を使えば、救える可能性がある症状だ。
AEDの設置が広がっても突然死が後を絶たない背景には、AEDの性能についての理解が深まっていないことや、卒倒などの場面に遭遇すると、落ち着いて使いこなせない実態がある。
認知度低い「死戦期呼吸」
生徒は7月21日午後、練習があった野球場から学校まで約3・5キロを走った後に倒れた。
野球部の監督は「呼吸はある」と判断し、AEDを使わずに救急車の到着を待った。
しかし、その呼吸は、「死戦期呼吸」というものだった可能性がある。
心停止の状態になっても、下あごだけが動いたり、しゃくり上げるようなしぐさをしたりして、呼吸をしているように見えることがある。
病院に運ばれた生徒は低酸素脳症で死亡した。
病院の医師は「心室細動が起きていた」と生徒の家族に説明したという。
AEDは、心臓がけいれんしたような状態(心室細動)になり、血液を送り出せなくなっている状態を、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための機器だ。
校内のAEDは、生徒が倒れた玄関に近い事務室の前など計3カ所あった。
日本救急医学会の指導医の太田祥一医師は、「死戦期呼吸と普通の呼吸とを見分けるのは、一般市民には難しい」と指摘する。
死戦期呼吸の認知度が低いことも、AEDでの素早い処置に思いが至らない要因の一つとみる。
死戦期呼吸
死戦期呼吸(しせんきこきゅう)とは、心停止直後の傷病者に見られる、しゃくりあげるような呼吸。現場や救急室では「ギャスピング」ということが多い。
死戦期呼吸は正常の呼吸とは違い、顎が動いているだけで胸が動いておらず、肺での酸素化ができていない。
鼻や口の前にティッシュをかざすと、通常の呼吸ではティッシュが吹き上がるが、死戦期呼吸では動かない。
そのため、呼吸をしていない傷病者と同様に処置する必要がある。
しかし、医療関係者以外が見分けることは難しく、呼吸していると判断されてしまうことが多い。
死戦期呼吸の種類
下顎呼吸
吸気時に下顎を動かして空気を飲み込むような呼吸であり、顎の動きのみで胸郭はほとんど動かない。
鼻翼呼吸
吸気時に鼻翼が広がり呼気時に鼻翼が縮まる呼吸であり、やはり胸郭がほとんど動かない。
あえぎ呼吸
深い吸息と速い呼息が数回続いた後に無呼吸となる呼吸。
処置
呼吸をしていないので、人工呼吸やAEDによる蘇生を要する。
心臓マッサージ(胸骨圧迫)
原因が何にせよ、呼吸が十分できておらず、心臓が止まって血液を全身に送り届けられなくなると、その瞬間から脳細胞が死んでいき、数分で社会復帰が難しいレベルにまで脳機能が破壊されてしまう。
1秒でも早く、全身への血液循環を回復させなければならない。
動かなくなった心臓の代わりに、胸の上から心臓を押すことで、血液を送り出そうとするのが心臓マッサージ(胸骨圧迫)。
1分間に100~120回のリズムで、左右の乳首をつないだ線の真ん中あたりを5~6㎝沈むぐらいに押す。
押した後は胸が元の位置に戻るまで手を放す。
呼吸や心拍がある状態であれば、心臓マッサージ(胸骨圧迫)に対して何らかの反応を示すはず。そこで中止すればよい。
心臓マッサージに合わせて人工呼吸を行うこともある。
しかし、人工呼吸を行うことで心臓マッサージ(胸骨圧迫)がいったん中断してしまうよりは、心臓マッサージ(胸骨圧迫)だけを続けた方がよいとされている。
見知らぬ人が倒れている場合、口と口をつけて人工呼吸をするのはかなり抵抗があるし、嘔吐物や出血があれば人工呼吸を行うことはためらわれることもある。
救助者が1人しかいない場合は、心臓マッサージに専念しよう。
夜になると視力が落ちる [ひとこと養生記]
鳥目(とりめ)の原因はなに?
暗い場所や夜になると急激に視力が落ちて見えにくくなる「夜盲症」。俗にいう「鳥目」の症状や原因、治療法─。
夜盲症:暗順応の障害
明るい所から暗い所へ移ると、はじめのうちはよく見えなくても時間の経過とともに暗さに慣れ、周囲の状況がだんだんと見えるようになります。
この現象を「暗順応」といいます。
反対に、暗い所から明るい所へ急に出たときも、最初はまぶしくて見えなくても徐々に目が慣れてきます。
こちらは「明順応」です。
夜盲症(鳥目)は「暗順応」の機能がうまく働かないために起こる視覚の病気です。
ですから、夜だけでなく昼間でも暗い所へ移ると夜盲症の症状がでます。
明るいところでは普通に見えるので夜盲症と気がつかないことも多く、とくに子どもの場合は発見が遅れるケースもあるようです。
夜盲症の程度は、時間がたつと少しずつ暗いところに目が慣れてくる人から、まったく見えないという人まで多様です。
先天性と後天性の夜盲症
夜盲症には先天性と後天性があり、先天的の夜盲症には進行性と非進行性(停止性)があります。
光を感じる「網膜」に異常がみられる「網膜色素変性症」は先天性進行性夜盲症の代表格です。
夜盲以外にも視野が狭くなる視野狭窄や視力の低下などの視覚障害もみられる遺伝性の難病です。
幼児期に夜盲症があっても、進行せず視力や視野に異常はきたしません。
暗いところ以外では普通に日常生活を送ることができます。
「小口病」といって眼底が剥げかかった金箔のようになる病気や、「白点状眼底」と呼ばれる眼底に小さな点が見られる症状などが挙げられます。
後天性夜盲症
網膜の炎症「網膜脈膜炎」やビタミンA欠乏症による夜盲症が代表的です。
ただし、現在の日本の食生活では、ビタミンAの欠乏による夜盲症はあまり見られないと専門家は述べています。
ビタミンAの欠乏は、夜盲症のほかにも皮膚や粘膜の乾燥、免疫機能の低下などを引き起こします。
ビタミンAは正常な細胞分化に欠かせない役割を担うのですが、体内では合成できないため食品から摂る必要があります。
不足すると、皮膚や粘膜など上皮細胞の機能低下や、成長阻害の原因になる可能性が考えられます。
さらに夜盲症においては、ビタミンAは目の網膜で光を受光する「ロドプシン」の原料になります。
ロドプシンが合成できなくなると網膜の機能が損なわれ、暗順応に病理が起こります。
ビタミンA欠乏症の予防には、「レチノール」が多く含まれるウナギやレバーなどの摂取が推奨されていますが、過剰に摂取するとめまいや肝臓の機能低下、骨がもろくなるなどの過剰症についても懸念されています。
緑黄色野菜に含まれるベータカロテンは、体内で分解されてビタミンAに変換されますので過剰摂取の心配はありません。
夜盲症の治療
夜盲症の多くは先天的なもの(=遺伝が関係している)といわれています。
はっきりした原因は不明で治療法も確立されていません。
夜盲症の網膜は光刺激に弱くなっているので遮光眼鏡で保護する、屋外作業を控えるなど、対症療法が必要です。
後天的な夜盲症は、ビタミンA(ベータカロテン)の投与や、網膜の炎症の抑制など、原因別の治療法が確立されています。
いずれにしても、暗くなると急に目が見えなくなったら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
執筆 吉村 佑奈(保健師・看護師)
監修 株式会社 とらうべ
適宜要約 丸山寛之
痛風の藥と心臓病の関係 [健康小文]
痛風治療薬により心血管イベント発生率に差
痛風患者が使用している治療薬により心血管イベントの発生率に差が見られると、米国などのグループが発表した。
痛風患者は心筋梗塞、脳卒中、心不全を含む心血管疾患のリスクが高い。
同グループは2008~13年のメディケア登録から、プロベネシドまたはアロプリノールによる治療を開始した65歳以上の痛風患者を抽出。
傾向スコアによりプロベネシド群とアロプリノール群を1:3でマッチさせ、心血管イベント発生率を比較した。
解析対象はプロベネシド群9,722例、アロプリノール群2万9,166例で、平均年齢76歳、男性54%であった。
解析の結果、100人・年当たりの心筋梗塞または脳卒中の発生率はアロプリノール群の2.83例に対し、プロベネシド群では2.36例で有意差が認められた。
二次解析では、プロベネシドはアロプリノールに比べて心筋梗塞、脳卒中、心不全の悪化および死亡のリスク低下と関係していた。
これらの結果は、登録時に心血管疾患または慢性腎臓病がなかった患者を対象にしたサブグループ解析でも一貫していた。
痛風患者が使用している治療薬により心血管イベントの発生率に差が見られると、米国などのグループが発表した。
痛風患者は心筋梗塞、脳卒中、心不全を含む心血管疾患のリスクが高い。
同グループは2008~13年のメディケア登録から、プロベネシドまたはアロプリノールによる治療を開始した65歳以上の痛風患者を抽出。
傾向スコアによりプロベネシド群とアロプリノール群を1:3でマッチさせ、心血管イベント発生率を比較した。
解析対象はプロベネシド群9,722例、アロプリノール群2万9,166例で、平均年齢76歳、男性54%であった。
解析の結果、100人・年当たりの心筋梗塞または脳卒中の発生率はアロプリノール群の2.83例に対し、プロベネシド群では2.36例で有意差が認められた。
二次解析では、プロベネシドはアロプリノールに比べて心筋梗塞、脳卒中、心不全の悪化および死亡のリスク低下と関係していた。
これらの結果は、登録時に心血管疾患または慢性腎臓病がなかった患者を対象にしたサブグループ解析でも一貫していた。
ビタミンDで「がんリスク減」 [ひとこと養生記]
春が本格的に始まった。
紫外線、要注意の季節だが、それも程度問題。
ビタミンDが十分にとれている人は、不足気味な人に比べ、がんになるリスクが2割程度低くなるとの研究結果を国立がん研究センターの研究グループがまとめ、8日付の英医学誌「BMJ」電子版に発表した。
ビタミンDとがんとの関係を調べた研究では最も規模が大きいという。
採血に協力した全国の40~69歳の男女を2009年までの平均16年間追跡。
がんになった人を含む計約8000人について、保存していた血液中のビタミンD濃度とがん発症との関係を調べた。
ビタミンDの血中濃度が低い人から高い人へと四つの組に分け、最も低い組を基準とした場合、2番目に低い組はがん発症のリスクが19%低下、2番目に高い組は25%低くなった。最も高い組も22%低下した。
がんの種類では、肝臓がんでリスクの低下が大きかった。
肝臓がんは肝炎から進行するため、ビタミンDの炎症を抑える作用などがリスクを下げる可能性があるという。
ビタミンDは魚類やキノコ類に豊富に含まれるほか、日光に当たると体内(皮膚)で作られる。「サンシャインビタミン」である。
カルシウムの代謝や平衡にかかわり、骨や歯を作るのに必要なビタミンとしてもよく知られている。
脳や神経、血管なども含む全身の器官に及ぶこともわかってきた。
血液とともに体内を循環して様々な組織や細胞に作用し、「老化」と言われる身体機能の変化の多様な側面にも関与している。
健康に良い多彩な働きを持つことから、近年「ビタミン」というよりも「長寿ホルモン」と呼ばれる。
国立がん研究センターの山地太樹・分子疫学研究室長は「ビタミンDの摂取は食事のバランスに加え、適度な日光浴が重要だ。
ただ、血液中のビタミンD濃度が高ければ高いほどよいわけではなく、サプリメントなどで過剰にとる必要はないだろう」と話している。
ビタミンDの不足は多くの病気の原因になる。
・高血圧
・動脈硬化
・ガン
・肥満
・慢性腎臓病
・糖尿病
・自己免疫疾患
・感染症
・骨粗しょう症
・関節症
・精神、神経疾患
このように、生活習慣病のみならず、ガンや精神疾患にもビタミンDがかかわっていることが明らかになりつつある。
現代人はビタミンD不足
日本人の食事摂取基準では、ビタミンDの1日の摂取目安量は5.5μg、上限は50μgとされている。
この目安量は骨密度の低下を招かないために最低限必要な血中ビタミンD濃度を維持するために必要な摂取量を推定したものだが、これを満たしている人はとても少ない。
ビタミンDを補うには主に二つの方法がある。
日光に当たって皮膚でビタミンDを合成する方法。
食事またはサプリメントからビタミンDを補う方法だ。
【日光浴で補う方法】
日光浴といっても、紫外線に当たりすぎれば皮膚ガンを招く危険性もあるため、
日光に当たれば当たるほどよいというわけではない。
当たってから24時間以内に肌がうっすらと赤くなる程度の強さの日光を、
体表面積の20%(腕や下肢、顔、手など)に毎日5分浴びると、有効といわれている。
しかし、色の黒いメラニン色素の多い人や高齢者は、同じ量の日光を浴びても作られるビタミンDの量は少なくなる。
高齢者は若い人の25%程度しかビタミンDを産生することができない。
つまり、若い人の4倍の時間日光浴をする必要がある。
紫外線ケアをしている女性も要注意。
人は太陽光の中の紫外線B波の刺激を受けることで、ビタミンDを作り出すが、一方で、紫外線のA波は合成されたビタミンDを破壊する作用を持っているため、日光浴だけで十分とは思わずに、日光浴+食事でビタミンDを補うことが大切だ。
【食事で補う方法】
日光が十分でない成人は、1日に20~25μgのビタミンDの摂取が必要。
ビタミンDは脂溶性であるため、脂に富んだ魚や魚卵、卵黄などにたくさん含まれている。
また、きのこ類にも比較的多く含まれている。
生だけでなく乾物も料理に取り入れると補給しやすい。
ビタミンDは脂溶性だが、なぜか肉類にはほとんど含まれていない。
食事からビタミンDを補うには、主菜には魚を使い、副菜にきのこを取り入れた献立が効果的。
ビタミンDは、焼く煮る揚げるといった調理をしても、ほとんど分解されないという特徴を持っている。
同じ食材でも調理方法を変えることで飽きずに食べられるのではないだろうか。
紫外線、要注意の季節だが、それも程度問題。
ビタミンDが十分にとれている人は、不足気味な人に比べ、がんになるリスクが2割程度低くなるとの研究結果を国立がん研究センターの研究グループがまとめ、8日付の英医学誌「BMJ」電子版に発表した。
ビタミンDとがんとの関係を調べた研究では最も規模が大きいという。
採血に協力した全国の40~69歳の男女を2009年までの平均16年間追跡。
がんになった人を含む計約8000人について、保存していた血液中のビタミンD濃度とがん発症との関係を調べた。
ビタミンDの血中濃度が低い人から高い人へと四つの組に分け、最も低い組を基準とした場合、2番目に低い組はがん発症のリスクが19%低下、2番目に高い組は25%低くなった。最も高い組も22%低下した。
がんの種類では、肝臓がんでリスクの低下が大きかった。
肝臓がんは肝炎から進行するため、ビタミンDの炎症を抑える作用などがリスクを下げる可能性があるという。
ビタミンDは魚類やキノコ類に豊富に含まれるほか、日光に当たると体内(皮膚)で作られる。「サンシャインビタミン」である。
カルシウムの代謝や平衡にかかわり、骨や歯を作るのに必要なビタミンとしてもよく知られている。
脳や神経、血管なども含む全身の器官に及ぶこともわかってきた。
血液とともに体内を循環して様々な組織や細胞に作用し、「老化」と言われる身体機能の変化の多様な側面にも関与している。
健康に良い多彩な働きを持つことから、近年「ビタミン」というよりも「長寿ホルモン」と呼ばれる。
国立がん研究センターの山地太樹・分子疫学研究室長は「ビタミンDの摂取は食事のバランスに加え、適度な日光浴が重要だ。
ただ、血液中のビタミンD濃度が高ければ高いほどよいわけではなく、サプリメントなどで過剰にとる必要はないだろう」と話している。
ビタミンDの不足は多くの病気の原因になる。
・高血圧
・動脈硬化
・ガン
・肥満
・慢性腎臓病
・糖尿病
・自己免疫疾患
・感染症
・骨粗しょう症
・関節症
・精神、神経疾患
このように、生活習慣病のみならず、ガンや精神疾患にもビタミンDがかかわっていることが明らかになりつつある。
現代人はビタミンD不足
日本人の食事摂取基準では、ビタミンDの1日の摂取目安量は5.5μg、上限は50μgとされている。
この目安量は骨密度の低下を招かないために最低限必要な血中ビタミンD濃度を維持するために必要な摂取量を推定したものだが、これを満たしている人はとても少ない。
ビタミンDを補うには主に二つの方法がある。
日光に当たって皮膚でビタミンDを合成する方法。
食事またはサプリメントからビタミンDを補う方法だ。
【日光浴で補う方法】
日光浴といっても、紫外線に当たりすぎれば皮膚ガンを招く危険性もあるため、
日光に当たれば当たるほどよいというわけではない。
当たってから24時間以内に肌がうっすらと赤くなる程度の強さの日光を、
体表面積の20%(腕や下肢、顔、手など)に毎日5分浴びると、有効といわれている。
しかし、色の黒いメラニン色素の多い人や高齢者は、同じ量の日光を浴びても作られるビタミンDの量は少なくなる。
高齢者は若い人の25%程度しかビタミンDを産生することができない。
つまり、若い人の4倍の時間日光浴をする必要がある。
紫外線ケアをしている女性も要注意。
人は太陽光の中の紫外線B波の刺激を受けることで、ビタミンDを作り出すが、一方で、紫外線のA波は合成されたビタミンDを破壊する作用を持っているため、日光浴だけで十分とは思わずに、日光浴+食事でビタミンDを補うことが大切だ。
【食事で補う方法】
日光が十分でない成人は、1日に20~25μgのビタミンDの摂取が必要。
ビタミンDは脂溶性であるため、脂に富んだ魚や魚卵、卵黄などにたくさん含まれている。
また、きのこ類にも比較的多く含まれている。
生だけでなく乾物も料理に取り入れると補給しやすい。
ビタミンDは脂溶性だが、なぜか肉類にはほとんど含まれていない。
食事からビタミンDを補うには、主菜には魚を使い、副菜にきのこを取り入れた献立が効果的。
ビタミンDは、焼く煮る揚げるといった調理をしても、ほとんど分解されないという特徴を持っている。
同じ食材でも調理方法を変えることで飽きずに食べられるのではないだろうか。
腰みがき10カ条 [ひとこと養生記]
近年の研究で、腰痛の大半を占める非特異的腰痛(慢性腰痛症)は、体幹筋(背骨を支える筋肉)の機能不全によることがわかりました。
現代生活には体幹筋を甘やかし、腰部の負担を増大させる環境要因があふれています。
体幹筋の機能を回復する最良の方法は、能動的治療法(運動療法)です。
運動療法は、「患者が自分自身の体を使い、能動的に行う運動によって、障害を改善し、さらに機能を上げる治療手段」と定義されています。
平たく一言でいえば、体を動かして腰痛を治そうというわけです。
例えば、車を使わず歩いて買い物に行く、デスクワークの途中で席を立って大きな背伸びをするなどの生活行動も、広い意味での運動療法です。
それを意識的に行うために、日本整形外科学会が作成したのが「腰みがき10カ条」。
毎日の「歯みがき」と同じように、腰のケア(姿勢と運動)を生活の中に習慣づけて、腰痛を防ぎ・治そうという勧めです。
①背筋を伸ばす。
②おなかに力を入れる(立ち姿勢のとき)。
③お尻をすぼめる(同)。
④ひざを軽く曲げる(同)。
⑤椅子には深く腰かけ、机に近づく。
⑥ひざを曲げて寝る。
⑦うつぶせで寝ない。
⑧ひざを曲げて荷物を持ち上げる。
⑨急に体をひねらない。
⑩毎日かかさず運動を。
現代生活には体幹筋を甘やかし、腰部の負担を増大させる環境要因があふれています。
体幹筋の機能を回復する最良の方法は、能動的治療法(運動療法)です。
運動療法は、「患者が自分自身の体を使い、能動的に行う運動によって、障害を改善し、さらに機能を上げる治療手段」と定義されています。
平たく一言でいえば、体を動かして腰痛を治そうというわけです。
例えば、車を使わず歩いて買い物に行く、デスクワークの途中で席を立って大きな背伸びをするなどの生活行動も、広い意味での運動療法です。
それを意識的に行うために、日本整形外科学会が作成したのが「腰みがき10カ条」。
毎日の「歯みがき」と同じように、腰のケア(姿勢と運動)を生活の中に習慣づけて、腰痛を防ぎ・治そうという勧めです。
①背筋を伸ばす。
②おなかに力を入れる(立ち姿勢のとき)。
③お尻をすぼめる(同)。
④ひざを軽く曲げる(同)。
⑤椅子には深く腰かけ、机に近づく。
⑥ひざを曲げて寝る。
⑦うつぶせで寝ない。
⑧ひざを曲げて荷物を持ち上げる。
⑨急に体をひねらない。
⑩毎日かかさず運動を。