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夜になると視力が落ちる [ひとこと養生記]


鳥目(とりめ)の原因はなに?

暗い場所や夜になると急激に視力が落ちて見えにくくなる「夜盲症」。俗にいう「鳥目」の症状や原因、治療法─。

夜盲症:暗順応の障害

明るい所から暗い所へ移ると、はじめのうちはよく見えなくても時間の経過とともに暗さに慣れ、周囲の状況がだんだんと見えるようになります。

この現象を「暗順応」といいます。

反対に、暗い所から明るい所へ急に出たときも、最初はまぶしくて見えなくても徐々に目が慣れてきます。

こちらは「明順応」です。

夜盲症(鳥目)は「暗順応」の機能がうまく働かないために起こる視覚の病気です。

ですから、夜だけでなく昼間でも暗い所へ移ると夜盲症の症状がでます。

明るいところでは普通に見えるので夜盲症と気がつかないことも多く、とくに子どもの場合は発見が遅れるケースもあるようです。

夜盲症の程度は、時間がたつと少しずつ暗いところに目が慣れてくる人から、まったく見えないという人まで多様です。

先天性と後天性の夜盲症

夜盲症には先天性と後天性があり、先天的の夜盲症には進行性と非進行性(停止性)があります。

光を感じる「網膜」に異常がみられる「網膜色素変性症」は先天性進行性夜盲症の代表格です。

夜盲以外にも視野が狭くなる視野狭窄や視力の低下などの視覚障害もみられる遺伝性の難病です。

幼児期に夜盲症があっても、進行せず視力や視野に異常はきたしません。

暗いところ以外では普通に日常生活を送ることができます。

「小口病」といって眼底が剥げかかった金箔のようになる病気や、「白点状眼底」と呼ばれる眼底に小さな点が見られる症状などが挙げられます。

後天性夜盲症

網膜の炎症「網膜脈膜炎」やビタミンA欠乏症による夜盲症が代表的です。

ただし、現在の日本の食生活では、ビタミンAの欠乏による夜盲症はあまり見られないと専門家は述べています。


ビタミンAの欠乏は、夜盲症のほかにも皮膚や粘膜の乾燥、免疫機能の低下などを引き起こします。

ビタミンAは正常な細胞分化に欠かせない役割を担うのですが、体内では合成できないため食品から摂る必要があります。

不足すると、皮膚や粘膜など上皮細胞の機能低下や、成長阻害の原因になる可能性が考えられます。

さらに夜盲症においては、ビタミンAは目の網膜で光を受光する「ロドプシン」の原料になります。

ロドプシンが合成できなくなると網膜の機能が損なわれ、暗順応に病理が起こります。

ビタミンA欠乏症の予防には、「レチノール」が多く含まれるウナギやレバーなどの摂取が推奨されていますが、過剰に摂取するとめまいや肝臓の機能低下、骨がもろくなるなどの過剰症についても懸念されています。

緑黄色野菜に含まれるベータカロテンは、体内で分解されてビタミンAに変換されますので過剰摂取の心配はありません。

夜盲症の治療

夜盲症の多くは先天的なもの(=遺伝が関係している)といわれています。

はっきりした原因は不明で治療法も確立されていません。

夜盲症の網膜は光刺激に弱くなっているので遮光眼鏡で保護する、屋外作業を控えるなど、対症療法が必要です。

後天的な夜盲症は、ビタミンA(ベータカロテン)の投与や、網膜の炎症の抑制など、原因別の治療法が確立されています。

いずれにしても、暗くなると急に目が見えなくなったら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

執筆 吉村 佑奈(保健師・看護師)
監修 株式会社 とらうべ
適宜要約 丸山寛之
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