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睡眠の12指針 [健康短信]

1 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。

 ●睡眠の長い人、短い人、季節でも変化。8時間にこだわらない。

 ●年をとると必要な睡眠時間は短くなる。

2 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法。

 ●就寝4時間前のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける。

 ●軽めの読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。

3 眠たくなってから床に就く。就寝時間にこだわり過ぎない。

 ●眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ、寝つきを悪くする。

4 同じ時刻に毎日起床。

 ●早寝早起きではなく、早起きが早寝に通じる。

5 光の利用でよい睡眠。

 ●目がさめたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。

6 規則正しい3度の食事。規則的な運動習慣。

 ●朝食は心身の目覚めに重要。夜食はごく軽く。

 ●運動習慣は熟眠を促進。

7 昼寝をするなら15時前の20~30分。

 ●長い昼寝はかえってぼんやりのもと。

 ●夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。

8 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに。

 ●寝床で長く過ごしすぎると熟眠感が減る。

9 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のビクつき・むずむず感は要注意。

 ●睡眠の病気(睡眠時無呼吸症候群。むずむず脚症候群)、専門的な治療が必要。

10 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に相談。

11 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。

 ●睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。

12 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全。

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睡眠と糖尿病 [健康短信]


睡眠時間が6時間未満の人はメタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクが上昇すると、韓国ソウル大学医学部の研究チームが13万人以上の調査結果を報告しました。

睡眠不足だと、インスリン抵抗性が低下し、食欲にかかわるレプチンとかグレリンといったホルモンの分泌がアンバランスになるためだということです。

インスリン抵抗性とは、糖質を処理するインスリンの作用─インスリンの「効き具合」のこと。

レプチンは、物を食べておなかがいっぱいになってくると、脂肪から分泌されるホルモンです。

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高齢者の肺炎 [健康小文]


寒さが身にしむ十二月が始まります。

高血圧、心臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ぜんそく、関節リウマチなどをもつ人、高齢者や乳幼児は、よくよく用心の必要な怖い季節です。

風邪をひかないようにしましょう。

高齢者の風邪は肺炎に移行しやすく、自覚症状が乏しい。

①熱は高くならない。②せきやたんもあまり出ない。③呼吸が苦しいとも言わない。④顔だけ赤い。⑤ぐったりしてしまう。⑥食べない。

すぐ病院に行くべきというシグナルは、呼吸の変化。

呼吸が浅く、速く、1分間に25回以上にもなります。

風邪をひいて食事がのどを通らない時も、湯水だけは飲んでください。

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ああ、歳末…… [雑感小文]

 雪がふる…

田子の浦にうちいでて見れば 白妙の富士の高嶺に 雪はふりつつ  山部赤人

雪降れば 木ごとに花ぞ咲きにけり いづれを梅とわきて折らまし  紀友則

いざ行かん 雪見にころぶ所まで 松尾芭蕉

これがまあ 終(つい)のすみかか雪五尺 小林一茶

最上川 逆白波のたつまでに ふぶくゆふべとなりにけるかも  斎藤茂吉

いくたびも 雪の深さをたずねけり 正岡子規

百八の鐘鳴り止みぬ そとは雪  三橋鷹女

タグ:歳末句歌
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あってもなくてもいい臓器? [健康短信]

─あってもなくてもいい臓器?

「五臓六腑」ということばがあります。

 古代の中国医学(漢方)で人間の内臓全体を
言い表すのに用いた成句です。

 五臓は、肝・心・脾・肺・腎。

 六腑は、胃・大腸・小腸・胆・膀胱・三焦。

 それぞれに深遠な解釈が加えられています。

 しかし、それらはどれも現代医学の知見とは遠く隔たったものでしかありません。

 一例を今回の主題でもある「脾」で見てみましょう。

 ①営気を臓する。

 ②昇清を主(つかさど)る。

 ③津液の生成を主る。

「営気」とは、血液と共に脈の中を流れる「気」のこと。

「昇清」とは、消化・吸収された滋養物=清を上方の肺に送る機能。

「津液」は唾液。

 これが漢方の「脾」。西洋医学(つまり現代医学)の脾臓とはまつたく異なる概念です。
 
「卑」なる臓器のやわな役割

 脾臓の脾は、からだに関する文字をつくる「月(にくづき)」と「卑」を組み合わせた常用漢字です。

 脾臓はまさにそのような臓器です。

 脾臓は左の上腹部にあり、上方は横隔膜に、内側は左の腎臓と接しています。

 前方には胃があり、肋骨の下に隠れているので、体表からは触れません。

 大きさは、長さ12cm、幅7.5cm、厚さ5cm、重量100~200g。

 やわらかくて、腎臓のようなソラマメに似た形をしています。

 色は、暗赤色、赤紫色、煉瓦色─と、内部に流れ込んだ血液量で変化します。

 脾臓は英語では「スプリィーン(spleen)」。

 この語は、不機嫌、癇癪、憂鬱といった意味にも用いられます。

 脾臓が気力や感情の宿るところと考えられていたからです。

 脾臓の機能は、①免疫機能、②血球の破壊、③血液貯蔵、とされています。

 しかし、仮に脾臓を摘出しても生存上なんら差し支えありません。

 脾臓が失われても、他の臓器(主に肝臓)によってその機能を補うことができるからです。

 つまり脾臓はなければなくてもよい臓器なのです。

 シェイクスピアも悩んだ?

 ただ、ときたま脾臓の存在を強く感じることがあります。

 急激な運動をしたときに生じる脇腹の痛みです。

 あれの大きな一因は、脾臓の中の血液がいっせいに体内に送り出され虚血(血液不足)が起
きるためです。

 あの痛み、英語では「スティッチ(Stitch)」と表現するようです。

 縫い物・刺繍、手術創の縫合などの「ひと針」を意味する単語です。

 シェイクスピアにもその痛みが描写されている作品があると聞き、全集をめくってみましたが、残念ながら見つけることができませんでした。

 脾臓の病気はそんなに多いものではありません。

 ただし、脾臓を摘出することによって、別の病気が改善する場合があります。

 特発性血小板減少性紫斑病や遺伝性球状赤血球症です。

 特発性血小板減少性紫斑病は血小板が減少し、出血の危険が高まる病気です。

 治療は、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法や副腎皮質ステロイド療法がありますが、手術で脾臓を取り除くのも効果的な一法です。

 遺伝性球状赤血球症は、遺伝的異常により赤血球が破壊され、貧血をきたす疾患です。

 貧血が重症の場合、脾臓摘出術が唯一の治療法です。

 このほか、脾臓が何らかの原因で大きくなった「脾腫」では、脾臓の機能が亢進し、貧血や出血が出現します。

 手術によって脾臓を摘出することがあります。

 むろん、そのことによる不都合はなにも起こりません。

 くり返します。脾臓がなくても、人間は生きていくことができます。

 脾臓を摘出すると、感染を防御する抗体をつくったり、望ましくない微生物を血液から取り除いたりする体の能力がある程度失われます。

 結果、感染に対する防御能力が低下してしまいます。

 脾臓には、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌といった特定の種類の細菌に対する防御の役割があるため、脾臓を摘出した場合は、感染リスクが特に高くなります。

 このようなリスクがあるため、これらの微生物の感染から体を守るためにワクチンを接種します。

 インフルエンザワクチンの接種も必ず毎年受ける必要があります。

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通じぬ悩み [健康短信]

 ●通じぬ悩みは老少不定

 便秘と不眠は、高齢者の二大愁訴といわれています。

 しかし若い人にもけっこう多い─いやむしろ若い人ほど多いようです。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、便秘に悩む人は660万人、そのことを隠している人や自覚のない人を含めると、1000万人を超えるのでは推測されています。

 10代後半から30代前半の女性に最も多く、40~50%を占めています。 

 若い女性の2人に1人が、いつもあの妙にうっとうしい不快感に悩まされているとは、なんともお気の毒……。

 ですが、厚労省調査では、便秘に悩む女性のうち病院で治療を受けている人は約3割、4割は市販薬を飲み、3割弱は治療を受けていません。

 受診しない理由は、①恥ずかしい。②たかが便秘。③便秘薬なら薬局で入手できるなど。

「便秘がつらいと言って病院に来る人はごく少ないのですが、ほかの病気で便秘を訴える人はとても多い。

 睡眠、食欲、便通、そして女性の患者さんには生理、この四つは問診のさい必ず聞くわけですが、便秘をしていると答える人はたくさんいます」

 と、消化器内科の専門医は話しています。

 以下、便秘について総合的にかんがえてみましょう。

 ●便秘の定義はありません

 日曜日の昼下がり、退屈しのぎに手にとった文庫本のぱらっと開いたページにこんな一節を見つけました。

「産婦人科学の教授が、その講義のはじめに言った。

『諸君、女とは、一日に一度ミクチュレート(放尿)し、一週に一度デフィケート(排便)し、一月に一度メンスツルエート(通経)し、一年に一度パーテュレート(出産)し、そうして機会あるときはいつでもコピュレート(交尾)する動物である』

 ぼくは均整のとれた、しゃれた文章だと思う。」(サマセット・モーム『作家の手帳』中村佐喜子訳=新潮文庫)。

 大いにためらいながら引き写したのですが、モームが手帳にこの文言を記したのは1894年、ロンドンの医学校の3年生でした。

 女性のみなさま、時代の古さと作家の若さに免じて、大々的セクハラをお許しください。

 さて、本論。

 冗談半分とはいえ、「1日に1度の放尿」はいくらなんでもあまりにも少なすぎます。

 いったいに女性はそれを我慢しがちで、そのため膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすく、で、そうした病気はチャスティティ・ディジーズ(慎み深いための病気)とも呼ばれます。

 起きているときは2~3時間に1回、膀胱をカラッポにするのが、健康上のだいじな心がけです。

「1週に1度の排便」というのも、どうかと思いますが、便秘には「何日間排便がなければ便秘である」といった明確な定義はありません。

 一般的には、排便が週に1回程度だったり、薬がないと排便できなかったりするような状態だと「便秘」と考えられています。

 毎日排便しないといけないと思っている人もいるようですが、3日に1度でもそのあとスッキリするのであれば問題なし。

 毎日出ていても、スッキリしないとか、ガスがたまっておなかが張るなど、不快症状があるようだと、ちと問題ありです。

 快食・快眠・快便は、健康の最もわかりやすいバロメーター。

 おいしく食べて、よく眠って、スッキリ出ると、今日も元気だ! と実感できます。

 反対に、食欲がなく、夜は眠れず、全然出ない─となると、日々の生きるよろこびは、はなはだしく損なわれます。

 便秘は、単にあの妙にうっとうしい不快感だけではなく、肌荒れもひどくなるし、腹痛を起こし、頭痛の原因にもなります。

 ストレスによって便秘が起こることもあります。

 ときには大腸がんなど重大な病気が隠れていることもあます。

「たかが便秘」と軽視してはいけないのです。

 ●高齢者の便秘、便秘促進食のせい!?

 かつて金沢医大老年病学教室が調べた「年代別排便回数の比較(週)」を見ると、

 幼児 7回以上=60%、4~6回=35%、0~3回=5%。

 成人 7回以上=70%、4~6回=25%、0~3回=5%。

 70歳以上 7回以上=15%、4~6回=35%、0~3回=50%。
 
 高齢者の半数は1週3回以下だったのです。

 年をとると、なぜ便通が激減するのでしょか?

 同教室の関本博教授(当時)が挙げた理由は、

 ①硬い物を食べなくなり、食物繊維の摂取が減る。

 ②腸内の食物を下へ送り便を出す「ぜん動運動」を行う腸管の平滑筋の数が中年以降へり始めて、70歳ぐらいでは、若いころの6割程度になる。

 ③腸内細菌のビフィズス菌とか乳酸菌のような善玉菌が少なくなり、腸の動きを悪くするウェルシュ菌などが増える。

 ④便が腸の中に長く滞留するため、水分が吸収されて硬くなる。

 要するに、便の材料になりにくい軟らかい物を好んで食べところへもってきて、胃腸の働きが悪くなり、腸内には悪玉菌が増え、便が硬くなる。

 悪条件がいくつも重なるというわけです。

 お年寄りが、うどんとかそばのような軟らかい物を好み、あまり硬い物は食べたがらないのは、歯が弱いということもあるが、年をとると、すぐエネルギーになる糖質を欲するように体が変わってくるのだろうと、専門家は言っています。

 でんぷんや砂糖のような糖質は、食べると体の中ですぐブドウ糖に変わってエネルギーになります。

 しかし、脂肪がブドウ糖に変わるには、複雑な過程を経なければなりません。

 たんぱく質も、脂肪ほどではないが、アミノ酸からアミノ基とかカルボキシル末端というようなものをはずして、燃料として燃えやすくするには、ちょっと時間がかかります。

 要するに脂肪やたんぱく質をエネルギーに変えるには手間ひまがかかり、お年寄りには体質的に合わなくなってくるのです。

 で、体の燃料としていちばん使いやすい糖質─うどんのような軟らかくて繊維質の少ない、便をつくる材料の少ない物─への好みが強くなる。

 つまり体の欲求として、便秘を促進するような食事になっているのです。

 便秘を解消するには、まず食事内容を変える必要があるようです。

 ●便秘の種類と便秘解消法

 便秘は、腸管に病変がある「器質性便秘」と、病変のない「機能性便秘」に大別されます。

 普通にいう便秘は機能性便秘のことで、便が大腸に長くとどまり、水分が吸収されて硬くなった状態です。

 器質性便秘の原因でいちばん気をつけなければいけないのは、大腸がんです。

 イヤな感じの便秘が何日も続くようなときは、便潜血検査、内視鏡検査、尿や血液の一般検査などきちんと診てもらいましょう。

 機能性便秘には、腸の動きが悪い「弛緩(しかん)性便秘」と、腸が動き過ぎる「痙攣(けいれん)性便秘」があります。

 弛緩性便秘は、①便意が少ない、②腹部に軽い不快感があるが、痛みはない、③便が硬くて、太い、④市販の下剤を飲むと具合がよくなる、⑤食物繊維の多い食事を取れば通じがよくなる─といった症状がみられます。

 一方、痙攣性便秘は、①しばしば腹痛や不快感が生じ、②排便するとその症状がなくなる、③便が硬くコロコロしている、④残便感がある、⑤腹が張るのに通じがない、⑥ストレスがたまっている─といったふうです。

 便秘を解消する効果的な方法を三つ、専門家に挙げてもらいました。

 1 朝食前に冷たい水を飲む。

 レントゲンで胃の透視をしているとき、氷のうを腹に当てると、ピピッと胃が動きます。

 同じように冷たい水を飲んでも胃腸が動いて、排便を促します。

「年寄りの冷や水」というのは、水の中に入ったりするのがよくないので、飲む分にはいいはず。

 便の軟らかさを保つためにも、水分は十分、補給すべきです。

 2 運動して体をよく動かす。

 運動は"ウン動"、運動しないと腸も動きません。

 お年寄りの便秘の一因は運動不足。

 これを解消するには歩くのが一番。ゴルフやテニス、ラジオ体操など、体をひねる運動―もおすすめです。

 腹筋運動も効果的。

 やり方はこうです。

 仰向けに寝て、上体を心持ち起こしてヘソを見る。

 数秒こらえて元に戻し、繰り返す。この動作を朝晩、寝床の中で─。

 そのあと、腹の上に「の」の字を書くように手のひらでマッサージするのも、即効性ありです。

 3 食物繊維を多くとる。

 食物繊維や水分をバランスよくとると、便のかさがふえたり、軟らかくなったりして、出やすくなります。

 絶対的推奨品は、おから。これを天然塩で味つけし、ニンジン、ゴボウと煮込みます。

 便秘に効くだけでなく健康食としても最上の一品です。

 ●便秘と塩と下剤の関係

 便秘薬を正しく使うには、自分の便秘はどのタイプか正しく知る必要があります。

 先年、便秘や胃炎の治療に使われている医療用医薬品「酸化マグネシウム」をのんだ高齢者らが、意識を失うなどの高マグネシウム血症を起こし、2人が死亡するということがありました。

 マグネシウムは、腸の中に水分を引き寄せて、腸の運動や排便を助ける効果があります。

 で、マグネシウムの化合物(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム)が便秘症の治療に用いられます。 

 各製薬会社による推計使用者は年間延べ約4500万人。

 症状の性質上、長期服用になりがちで、意識障害、不整脈、呼吸抑制、血圧低下などが起きる可能性があります。

 長期服用者に対しては、血液中のマグネシウム濃度の測定など十分な観察を─と厚労省は指示しました。

 そこでお勧めしたいのが、マグネシウムだけでなくカリウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛など微量元素をバランスよく含む海洋ミネラル製剤「MCM」です。詳しくはネットで──。 

 ところで、昔の天然塩の中にはマグネシウムがたくさん入っていました(だからすぐしっけてべとついた)。

 それが糞便中の水分を保持して便を軟らかくしました。

 便秘に悩む人は天然塩を用い、食物繊維の豊富な物を食べるとよいのです。

 イチ押しは、さっきいった、おから。天然塩で味つけしたおから料理を!

 しかし、糞闘努力の甲斐もなく、ウンに見放される日が続くと、下剤に頼りたくなります。

 ところが、その下剤の乱用が便秘をいっそう悪化させてしまいます。

 下剤は「出なくて苦しい」状態を一時的に改善するもので、便秘そのものを治す薬ではありません。

 どうにも苦しいときに薬を使うのはかまわないのですが、下剤を使うことに慣れると、便意を感じて、トイレに行き、排便するという腸のリズムが失われます。

 下剤はあくまでも急場の対処法、一時的使用を原則とすべき薬です。

 市販の下剤のうち最も種類が多いアロエやセンナ、大黄が成分として配合されている「アントラキノン系下剤(刺激性便秘薬)」は、大腸を刺激することによって便意を生じさせます。

 この「刺激性便秘薬」長期使用で効きがわるくなったり、大腸の自発的な動きが弱ったりする欠点があります。

 大腸の粘膜が黒ずむ大腸メラノーシス(大腸黒皮症)も発生しやすくなります。

 アロエ、センナ、大黄は、自然の成分の生薬なので安心感がありますが、長期連用は控えたほうがよいのです。

 が、便秘に詳しくない先生にかかると、下剤の大半を占めるアントラキノン系下剤を処方されることが多いようです。

 便秘の名医としてしられる、松生恒夫・松生クリニック院長は、漢方薬を下剤として選ぶさいは、大黄などの含有量はごく少量で効果が得られる「防風通聖散」を第一選択にしているということです。

 2012年、便秘治療薬としては約30年ぶりに発売された「ルビプロストン(商品名アミティーザカプセル」は、小腸に作用し、便に含まれる水分をふやし、便を軟らかく移動しやすくします。

 慢性便秘に広く効果があり、長く飲んでも効きがわるくなる心配が少ないことがわかっています。

 ルビプロストン(Lubiprostone)は、主に過敏性腸症候群に関連する慢性特発性便秘症やオピオイド投与の副作用としての便秘の治療に用いられる医薬品である。

 米国で2006年1月に(2007年9月、2013年4月に承認追加)、日本では2012年7月に承認された。商品名アミティーザ。

 続いて2017年3月、同じように腸管の水分量をふやす便秘型過敏性腸症候群の治療薬としてリナクロチド(商品名リンゼス錠)が発売されました。

 2017年10月、日本最初の「慢性便秘症診療ガイドライン(指針)」が、日本消化器病学会関連研究会の慢性便秘の診断・治療研究会により刊行されました。

 同指針の策定に加わった横浜市立大学大学院の中島淳・主任教授(肝胆膵消化器病学)は、メディア・セミナーで、「ガイドラインで変わる日本の慢性便秘症」をテーマに講演。

「日本の便秘治療がガラパゴスから脱して、グローバル基準となり、患者が適切な治療を受けられるよう願っている」と話しました。

 同指針で、エビデンス(科学的証拠)レベルAかつ推奨度1で「有用であり使用を推奨する」とされたのは、ルビプロストン、リナクロチドと酸化マグネシウムなどの2種類。

「ルビプロストンと酸化マグネシウムを強く推奨」とされています。

 平成30年が便秘医療の元年になるよう期待したいと思います。

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膵臓は消化酵素を作る工場 [医学・医療短信]

 人体のみごとなしくみ 「膵臓」

「隠れた臓器」は消化酵素を作る工場

 言うまでもないことですが、漢字は中国から渡来しました。

 そして、これまた言うまでもないことですが、日本の漢方も元をたどると中国医学に行きつきます。

 しかし、膵臓はそのどちらとも無関係です。

 膵臓の「膵」の字は漢字ではないし、漢方の「五臓六腑」に膵臓は含まれていないからです。

「膵」の字は日本でつくられた「国字」で、「膵臓」は日本人がかんがえた臓器の名称です。

「膵臓」は日本語、重要な働きが二つ

 膵臓は、胃の裏側にある長さ15~20㌢の細長い臓器です。

 右側が太く、左側が細くなったオタマジャクシのような形をしています。

 古代ギリシャでは、膵臓は「胃のクッションとなる肉の塊」と考えられ、「パンクレアス(pancreas)」と呼ばれました。

 panは「すべて」、creasは「肉」という意味です。

 英語のパァンクリィアス(pancreas)もフランス語のパンクレアース(Pancréas)もドイツ語のパンクリアス(Pankreas)も、どれももとはそれです。

 もちろん、日本語の「膵臓」も。

 膵臓の膵の字は、身体を表わす「月(にくづき)」と、すべてを表わす「萃」を組み合わせて作られた文字です。

 余談になりますが、月(にくづき)と月(つきへん)は見分けができないほど酷似していますが、まったくの別字です。

 月(にくづき)は、もとが「肉」なので、すべて体にかかわる文字をつくります。胃、脳、胸、肩、肝、膵、胆などなど……。

 月へんは欠けた月の形を表わし、暦にも関係しているので、漢和辞典を開いてみると、朝、期、朔、朧(おぼろ)など「時・気象」にかかわる文字が散見されます。

 膵臓の話には戻ります。

 膵臓は、けっして単なる「胃のクッション、肉の塊」ではありません。

 膵臓には人間の身体を守るための重要な働きが二つあります。

 一つは膵液の分泌、もう一つはインスリン、の分泌です。

 膵液は、膵臓から十二指腸に外分泌される消化液で、トリプシンなどのたんぱく質分解酵素、リパーゼなどの脂肪分解酵素、アミラーゼなどの炭水化物分解酵素,ヌクレアーゼなどの核酸分解酵素が含まれています。

 つまり、三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)のすべてが消化できるのです。

 膵液の分泌が低下すると、消化・吸収不良をおこし、下痢や脂肪便になります。

 インスリンは、血糖値を下げる働きをするホルモンです。

 インスリンは、すい臓のランゲルハンス島にあるΒ(ベーター)細胞で作られます。

 食事によって血液中のブドウ糖がふえると、すい臓からインスリンが分泌されて、ブドウ糖は筋肉などへ送り込まれ、エネルギーとして利用されます。

 インスリンの作用が不足すると、血糖は細胞内に取り込まれず、血液中に血糖がだぶつきます。

 つまり高血糖=糖尿病になります。

 この病態はひとたび発症するともう元には戻りません。不治の病でした。

 多飲多尿。ひっきりなしに水を飲み、とめどなく甘い尿を排せつするこの病気は、エジプトやインド、中国の最古の文献にも記載されています。

 1921年、インスリンが発見される前と後では時代は明確に二分されます。

 発見前には死を待つしかなかった何百万人もの人々が生き永らえ、現代生活を享受できるようになりました。

 この発見を成し遂げたのは、二人の若い医師─研修医とその助手─でした。

 研究を主導した研修医、バンティングはのちにノーベル医学・生理学賞を得ています。

 インスリン治療は、インスリンを、体外から注射で補い、本来、体にそなわった血糖値を下げる作用を取り戻す治療法です。

 膵臓の三大病気

 膵臓の病気は、急性膵炎、慢性膵炎、膵がんの三つに集約されます。

 急性膵炎は、膵臓の急性炎症で、他の臓器にまで影響を及ぼします。

 原因は、アルコールと胆石です。

 最も多い症状は、上腹部痛ですが、背部まで痛みが広がることもあります。

 嘔吐、発熱などの症状や、状態が悪化すると、意識障害やショック状態など重症化することもあります。

 治療は、絶飲食による膵臓の安静と、十分な量の輸液投与です。

 慢性膵炎は、膵臓の正常な細胞が壊れ、膵臓が線維化する病期です。

 原因は、男性では飲酒が最も多く、女性では原因不明の特発性が多くみられます。

 治療は、膵液に含まれるたんぱく分解酵素を阻害し、膵臓の炎症による腹痛、吐き気などを改善する薬を使用します。

 膵がんは膵臓にできる悪性の腫瘍です。

 肺がん、大腸がん、胃がんについで死因の第4位。

 毎年3万人以上が膵がんで亡くなっています。60歳ごろからふえ始め、高齢になるほど多くなります。

 すい臓がんは「がんの王様」とも称されるほど生存率が低く、恐ろしいがんとして知られています。

 星野仙一・元監督や九重親方・元横綱千代の富士など、有名人がこの病気で亡くなられたニュースは記憶に新しいところです。

 仲代達矢さんの夫人で演出家の宮崎恭子さんは、1996年の初夏、膵臓がんで亡くなりました。

 がんが肝臓に転移したことを知らされたとき、「あとどれくらいですか」とたずね、

「抗がん剤が効けば2年、効かなかったら半年」という医師の答えに、

「あらあら、半年、せわしないわね」と笑ったそうです。

 そして、死のほとんど直前まで主宰する無名塾の塾生の稽古を指導したそうです。

 膵臓がんと聞くと、すぐそのみごとな挿話を思い出します。

 話がそれました。

 膵臓がんの予防は、適度な運動をし、肥満を防いで、喫煙や食生活の改善を心がけることでリスクを減らすことが大切です。

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