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心拍数と心血管リスク [医学・医療短信]

中年期安静時心拍数75超で心血管リスク倍増

 スウェーデン・University of Gothenburg(ヨーテボリ大学)のXiao-jing Chen氏らは、スウェーデン人男性約800人を21年間追跡して安静時心拍数が健康に及ぼす影響を検討。

 結果、50歳時の安静時心拍数が75/分を超えていた男性は55/分未満であった男性に比べ、全死亡および心血管イベントのリスクが2倍に上昇することが示されたとOpen Heart(2019; 6: e000856)に発表した。

 1/分増加ごとに全死亡リスク3%上昇

 この研究では、1943年にスウェーデン・イエーテボリで出生した男性1,450人をランダムに抽出。

 そのうち研究に同意してライフスタイル、心血管疾患(CVD)の家族歴、ストレスの強さに関する質問票に回答した798人を、1993年(50歳)から2014年(71歳)まで21年間追跡した。

 1993年、2003年、2014年の各時点で、安静時心拍数の測定および心電図検査を含む総合的な診察を行った。

 追跡期間中に119人(14.9%)が死亡、237人(29.7%)がCVDを発症、113人(14.2%)が冠動脈性心疾患(CHD)を発症した。

 1993年時に安静時心拍数が55/分以上の男性は55/分未満の男性に比べ、喫煙率が高い一方で身体活動度は低く、強いストレスを受けており、高血圧や過体重などの心血管危険因子の保有率が高かった。

 また、1993年時において安静時心拍数が75/分を超える男性は55/分未満の男性に比べ、全死亡リスク、CVDリスク、CHDリスクがそれぞれ約2倍に上昇していた。

 安静時心拍数が1/分増加するごとに、全死亡リスクは3%、CVDリスクは1%、CHDリスクは2%上昇した。

 心拍数の経年変化なければリスク低下

 一方、1993~2003年(50~60歳)の安静時心拍数の変化が4/分以内で安定していた男性は、5/分以上増加した男性に比べてその後11年間のCVDリスクが44%低かった。

 Chen氏らは研究の限界として、

 ①観察研究であるため因果関係を証明することはできない

 ②研究対象が男性のみ③被験者の加齢自体が危険因子として影響した可能性がある―などの点を指摘。

 その上で、今回の結果について、

 「将来の心血管リスクを特定する上で、安静時心拍数の経時的変化を観察することが重要である可能性を示唆しており、臨床的に重要な意味を持つ」と結論している。

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脳は豆腐 [医学・医療短信]

 長生きのコツを聞かれて、「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」と答えたのは、91歳の天寿を全うした岸信介元首相だった。

 老人の風邪は肺炎に進展しやすい。

 転ぶと、骨折しやすく、太ももの付け根を折って寝たきりになったり、頭を打って大ごとになる例が少なくない。

 脳は、豆腐のように軟らかい組織で、周りを脳脊髄液で囲まれ、頭蓋骨の中に浮かんでいる。

 豆腐の入ったボウルをゴツンとぶつけると、豆腐がゴシャゴシャと動くように、頭を打つと、その衝撃で脳が1秒の10分の1とか100分の1といった速さで振動する。

 頭蓋骨の中で脳が強くゆさぶられ、片方に寄る。

 脳の機能が一時的に障害されて短時間、意識を失ったり、判断力が鈍ったり、記憶喪失を起こしたりする。

「脳振盪(しんとう)」と呼ばれる状態だ。

 たいていすぐに回復して、大したことにはならないのだが、とっさの防御反応が鈍くなった人は、頭をまともに打って、脳の中に血液がたまる「硬膜下血腫」ができることがある。

 硬膜下血腫

 転んで頭を打っても、コブなどはできない。

 頭の外側には何の変化も認められない。

 だが脳の表面が傷つき、出血して、脳の表面と脳を覆っている硬膜の間に血液がたまり、血腫ができることがある。

 硬膜下血腫という。

 出血量の多い「急性硬膜下血腫」の場合、数時間内に意識を失うなどの異常が生じる。

 しかし、チョロッと出血したぐらいでは症状はほとんど出ないと、脳神経外科の専門家、平川公義・東京医科歯科大学名誉教授。

「症状が出たとしても、手足の力がなんとなく弱いとか、歩くときにちょっとふらつくとか、せいぜいそんなものです」

 ──そして1日か2日で元に戻る。出血が吸収されてしまうからだ。

「しかし、2、3日たってもどうも頭が痛い、へんな感じがあるというようなら病院に行ってください。

 何もなければそのまま何もしないで、むしろ1カ月か1カ月半たってなんだかおかしいと感じたら、CTで検査してもらい、確定診断を受けたほうがよいでしょう」

 ──そのとき脳では「慢性硬膜下血腫」が発生している。

 脳の硬膜の内側に血の塊ができる「慢性硬膜下血腫」は、高齢者に多くみられる脳障害で、頭を打ってから1カ月、ときには2、3カ月たってから徐々に症状が現れてくる。

「頭重や頭痛も訴えますが、足がふらつき、体の片側に軽いまひが生じることもあります。

 なんとなく周囲の状況がよくわからない感じで、ボーッとして反応が悪くなります。

 高齢者の慢性硬膜下血腫はよく見逃されたり、誤診されて老年性痴呆と間違われることがあります。

 ぼけてしまったということでほうっておかれると、治る認知症を見逃すことになります」

「また、例えば、正常圧水頭症といって、脳の中の脳脊髄液の循環が悪くなって、脳に水がたまってくる病気でも、ふらついたり、言葉がもつれたり、意識が悪くなったり、失禁したりします。

 お年寄りの頭の具合がだんだんおかしくなってきたら、頭の中で何が起こっているか、詳しく調べて、原因を突き止めなければいけません」

 以上、平川公義・東京医科歯科大名誉教授のアドバイス。

タグ:脳は豆腐
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睡眠障害 [医学・医療短信]

年をとると、寝つきがわるい(入眠困難)、夜中にしばしば目覚めてトイレに立つ(中途覚醒)、朝早く目覚める(早朝覚醒)などの睡眠障害がふえます。

そのため日中ぼんやりしていたり、眠気のためしばしば昼寝をすることにもなります。

そうした睡眠障害の原因はさまざまで、夜間の頻尿、睡眠時の呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)、足の不随意な動き(むずむず脚症候群)、関節痛などの身体的要因、神経症やうつ病などの精神的な要因が挙げられています。

周囲の人が、そうした人たちと接触する時間を多くし、話しかけたり、一緒に作業するなどの手段を用いて働きかける方法など、家庭で実行できることも多く、効果を上げています。

世界睡眠学会が睡眠に関する知識の普及や啓発を目的として「世界睡眠デー」に制定したのは2007年。世界70カ国以上が参加、睡眠障害を予防・治療し睡眠問題が社会に及ぼす悪影響を減らすため多くの活動を行っています。

世界の睡眠優先順位の実態では、成人の92%が、睡眠は健康充足にとって重要であると考えています。

また、82%がたった一晩でもよく眠れないと悪影響を実感し、68%が毎日の睡眠時間を増やすことができればQOL(生命・生活の質)が向上すると考えています。

ぐっすり眠りましょう。

タグ:睡眠障害
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心拍数と心血管リスク [医学・医療短信]


中年期安静時心拍数75超で心血管リスク倍増

 スウェーデン・University of GothenburgのXiao-jing Chen氏らは、スウェーデン人男性約800人を21年間追跡して安静時心拍数が健康に及ぼす影響を検討。

 結果、50歳時の安静時心拍数が75/分を超えていた男性は55/分未満であった男性に比べ、全死亡および心血管イベントのリスクが2倍に上昇することが示されたとOpen Heartに発表した。

 1/分増加ごとに全死亡リスク3%上昇

 この研究では、1943年にスウェーデン・イエーテボリで出生した男性1,450人をランダムに抽出。

 そのうち研究に同意してライフスタイル、心血管疾患(CVD)の家族歴、ストレスの強さに関する質問票に回答した798人を、1993年(50歳)から2014年(71歳)まで21年間追跡した。

 1993年、2003年、2014年の各時点で、安静時心拍数の測定および心電図検査を含む総合的な診察を行った。

 追跡期間中に119人(14.9%)が死亡、237人(29.7%)がCVDを発症、113人(14.2%)が冠動脈性心疾患(CHD)を発症した。

 1993年時に安静時心拍数が55/分以上の男性は55/分未満の男性に比べ、喫煙率が高い一方で身体活動度は低く、強いストレスを受けており、高血圧や過体重などの心血管危険因子の保有率が高かった。

 また、1993年時において安静時心拍数が75/分を超える男性は55/分未満の男性に比べ、全死亡リスク、CVDリスク(同1.8、1.1~3.0、P=0.014)、CHDリスク(同2.2、1.1~4.5、P=0.025)がそれぞれ約2倍に上昇していた。

 安静時心拍数が1/分増加するごとに、全死亡リスクは3%、CHDリスクは2%上昇した。
 
 心拍数の経年変化なければリスク低下

 一方、1993~2003年(50~60歳)の安静時心拍数の変化が4/分以内で安定していた男性は、5/分以上増加した男性に比べてその後11年間のCVDリスクが44%低かった。

 Chen氏らは研究の限界として、

 ①観察研究であるため因果関係を証明することはできない

 ②研究対象が男性のみ③被験者の加齢自体が危険因子として影響した可能性がある―などの点を指摘。

 その上で、今回の結果について、

「将来の心血管リスクを特定する上で、安静時心拍数の経時的変化を観察することが重要である可能性を示唆しており、臨床的に重要な意味を持つ」と結論している。
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よい睡眠 [医学・医療短信]

睡眠時間が6時間未満の人はメタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクが上昇すると、韓国ソウル大学医学部の研究チームが13万人以上の調査結果を報告しました。

メタボや糖尿病のリスクがもっとも低いのは睡眠時間が7~8時間の人で、睡眠不足を解消すると空腹時血糖値の低下、インスリン分泌能の増大などが得られ、2型糖尿病のリスクが低下することが明らかになりました。

「メタボや2糖尿病を予防・改善するために、睡眠習慣の見直しをするべきです」と、研究者は述べています。毎晩ぐっすり眠りましょう。

よい睡眠3カ条

米国睡眠学会は、睡眠時間を十分に確保し、質の良い睡眠を得るために、次のことをアドバイスしています。

1 起きた時に朝日を浴びる

太陽の光を浴びると、体内時計がリセットされ、夜の一定時刻になると自然に眠る準備がはじまり、寝つきが良くなります。

2 ウォーキングなどの運動をする

適度な運動をする習慣は、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけ、良い睡眠につながります。

3 寝る前にリラックスする時間帯をつくる

睡眠に大きく関わるのが自律神経の働き。

寝る前に体がリラックスした副交感神経が優位の状態に向かう移行期をつくる工夫が必要です。

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友人と糖尿病 [医学・医療短信]

「友人が多いほど糖尿病になりにくい」は本当か

 中高年から高齢になると社会的に孤立している人よりも、付き合いのある友人が多い人ほど2型糖尿病になりにくい可能性があることが、オランダで行われた新たな研究で報告された。

「BMC Public Health」オンライン版に掲載された論文の著者らは、社会的なネットワークを広げて孤立を防ぐことは、2型糖尿病の予防策の一つになると強調している。

 この研究は、オランダに在住する40~75歳の男女を対象とした観察研究(Maastricht Study)に参加した2861人のデータを解析したもので、交友関係の広さや社会的な交流への参加頻度と糖尿病リスクとの関係を調べた。

 参加者の平均年齢は60歳、半数は女性であり、56.7%は血糖値が正常で、15%は糖尿病前症、28.3%は2型糖尿病患者(既往例が24.4%、新規診断例が3.9%)であった。

 解析の結果、付き合いのある知り合いが多い方が、少ない人よりも2型糖尿病の発症リスクが低かった。

 こうした知り合いが1人減るごとに、男女で糖尿病リスクは5~12%高まっていた。

 また、女性では独居であるかどうかは糖尿病リスクに影響しなかったが、男性では一人暮らしをする人で糖尿病リスクが94%高まっていた。

 研究を主導したマーストリヒト大学のStephanie Brinkhues 氏は、

「社会的ネットワークはその範囲が広いほど、個人のライフスタイルに重要な影響を与えるようになる。

 ネットワークが広いということは、必要な時に社会的支援を受けやすく、自宅の外に出る機会が多いことを意味する。

 こうした活動は健康的な食習慣や運動習慣を促し、ライフスタイルに改善をもたらす」と述べており、

 社会的なネットワークを広げることは運動不足や肥満を主たる原因とする2型糖尿病を予防するのに重要なステップになると強調している。

 また、1人暮らしの男性で2型糖尿病リスクが高かった理由について、論文の責任著者を務める同大学准教授のMiranda Schram氏は、

「男性は一人になると、女性よりも自分自身の事に無頓着になり、新鮮な野菜や果物を食べなくなったり、運動をしなくなるなど不健康な生活習慣に陥りやすくなると考えられる」と指摘する。

 そのため、2型糖尿病のリスクが高い人には、新しい友人を作って交流したり、ボランティアや趣味の集まりに積極的に参加することが勧められるとしている。

 両氏はともに、この研究は社会的ネットワークの広さと2型糖尿病リスクとの関連を示したに過ぎないが、これまで他の研究で、独居や社会的サポートの不足が2型糖尿病リスクを高める可能性が報告されていることから、

「これらの2つの因子は2型糖尿病の発症に大きく影響する可能性が高い」との考えを示している。

 一方で、米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏は専門家の立場から、

 この研究は大規模で印象的なものではあるが、数々の限界点があると指摘する。

 その一つは、研究デザイン自体の問題で、人生のある時期だけを検討したに過ぎず、人生の中で起こった個々人の変化を考慮していない点にあるという。

 また、糖尿病の発症には多くの因子が関連しており、それぞれの影響の大きさを正確に測るのは難しく、今回の結果を再現するにはさらに多くの研究を行う必要があるとしている。

 同氏は、社会的ネットワークが2型糖尿病の発症に何らかの役割を果たすにしてもその影響は小さく、

「友人の多さや社会的な孤立の有無で糖尿病の発症や進行に影響があるとは考えにくい」と話している。

タグ:糖尿病
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お笑いとうつ病 [医学・医療短信]

「うつ病に効果あるかも」お笑いと健康の関係
石蔵文信 / 大阪大学招へい教授

 明るく楽しく過ごすことが健康につながり、がんや高血圧、糖尿病の治療に良い効果があることはよく知られている。

 例えばがんと診断され、完治の見込みがなく、余命が1年くらいと宣告された時、より良い治療を求めてドクターショッピングを繰り返すとあまり長生きできない印象があるが、逆に腹をくくって、残った財産で好きなことをしようと決めた患者さんは、予想以上に元気でい続けることがある。

 私の知人も末期がんで余命1年未満と宣告されたが、残った人生を楽しく生きるしかないと腹をくくったようで、最後までたばこや酒をやめなかったが3年以上元気だった。

 笑いと健康の関係を調べる研究が進んでいる

 がん患者が楽しく生きることで、がん細胞をやっつけるナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫系が活性化され、がんを封じ込めるのではないかと考えられている。

 さらに笑うことで、緊張時の交感神経モードから、リラックス時の副交感神経モードになるため血圧が下がり、血流が改善する効果も期待できる。

 最近は、笑いの健康への効果を真剣に検討する研究者が増えてきたようだ。

 中国の研究者が成人のうつ病、不安および睡眠の質に対するお笑い介入の効果をいろいろなデータベースを解析して検討している(Journal of Advanced Nursing誌オンライン版2019年3月18日号)。
 
 それによると、お笑い介入が成人のうつ病、不安を有意に減少させ、睡眠の質を改善することが示されたという。

 そして長期的なお笑い介入は、うつ病患者により多くの利益をもたらすのではないか? と推測されている。

 難しいのは笑いのツボが個人で違うことや、笑いの質をどのように評価するかだろう。

 お笑いがうつ病に良いかもしれないと思って、患者を無理に演芸場に連れて行くのは、あまりお勧めできない。

 またスペインの研究者は、笑いを誘うようなユーモラスなビデオをうつ病患者と健常者に見せて笑いの質を分析している(Journal of Affective Disorders誌2014年5月号)。

 それによると、うつ病患者と健常者では笑いのタイプに差が見られ、さらに笑いとうつ病状態との間にも強い関連性があることが示唆されている。

 このことから笑いを分析することでうつ病の状態や深刻度を把握できる可能性があるとしている。

 ただ、やはり笑いには個人的な差が大きく、楽しそうに笑っていない場合もあったようだ。

 日本でも、落語家を招いて「笑いの健康作用検証試験」が行われた 。

 見ただけでは病気と分からない「ほほえみうつ病」

 「ニコニコしているからうつ病ではない」と短絡的に考えて診断を誤ることもある。

 通称“ほほえみうつ病”という概念がある。

 中高年男性によくある状態で、診察室に入ってきた時は妙にニコニコしていて、あまり重症なうつ病には見えない。

 症状も軽めに言うので、医師は深刻なうつ病と診断しない場合がある。

 うつ病は血液や画像検査では診断できないので、本人の申告をもとに医師が判断する。

 だから、ニコニコして症状も深刻でなかったらうつ病と診断できないことがある。

「深刻なうつ病と診断されて、休職でもさせられたら大変だ」との思いから、症状をつい軽く伝えてしまう人もいるからだ。

 それを避けるためにも身近にいる妻や親からの聞き取りは重要だ。

 もし妻や親がもっと深刻な状態であると話したら、そちらの方が真実かもしれないと判断した方が安全である。

 ほほえみ型うつ病の男性の表情は総じて硬く、楽しそうでないことは経験豊富な医師なら気づくだろう。

 笑うことが健康に良いのは確かだろうが、しんどい時に無理に笑う必要はない。

 つらい気持ちを素直に出したほうがよい場合もある。

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脳腸相関 [医学・医療短信]

 腸内細菌の種類や数は人によって異なります。

 また同じ人でも年齢や生活環境、食べ物などの影響で、絶えず変化します。

 一般的に、約75%は日和見菌、そして有用菌が約20%を占めているなら、腸内環境は良好と言えるでしょう。

 有害菌が増えると、生活習慣病をはじめとした病気のリスクが高まります。

 また、実年齢より上に見られるなど、老化にも深い関わりがあるようです。

 腸の状態は便でわかる!?

 健康な人の便の約80%は水分です。

 残りの20%には、栄養や水分を吸収したあとの食べ物のカス、はがれた腸粘膜、腸内細菌が含まれています。

 腸内細菌の数は、便1gにつき1兆個と言われています。

 便の様子を見れば、腸内環境の状態もわかります。セルフチェックをしましょう。

 色は?

 健康的な便の色は黄土色。便は本来、胆汁の色素である黄色をしており、腸内に留まる時間が長いと次第に黒味を帯びてきます。

 ただし、コーヒーなどの飲食物の影響で黒味を帯びる場合もあります。
 便が真っ黒なら食道や胃に出血・炎症があるのかもしれません。

 真っ赤や灰色などの場合も、病気のサインの可能性があるので、受診しましょう。

 固さは?

 水分量は80%程度、こねた後の粘土くらいの固さで、スルッと排便できるのがベスト。

 大腸に長く留まると水分を失い、コロコロで固くなります。

 よい便の条件としては、バナナ状で、ある程度の長さがあることも挙げられます。

 においは?

 健康な便には、ほとんどにおいがありません。

 しかし、有害菌が増え、分解したタンパク質や脂肪が発酵すると、きついにおいが発生します。

 また、便が大腸に長く留まるほど、においはきつくなります。

 自分の便のにおいをチェックする場合は、排便後に一度トイレから出て、数秒後に再度入るとわかりやすいでしょう。

 回数は?

 1日1回、あるいは3日で2回を目指したいもの。

 残便感があり、短時間に何度もトイレに行ったときは1回として数えます。

 トイレに行く時間帯を決めておくと、リズムができて排便しやすくなります。

 逆に便意をがまんすると、腸に留まる時間が長くなり、便の質が低下します。

 腸の健康のカギは「食生活」

 腸の健康を支える「腸内環境」は、生活習慣や年齢などの影響を強く受けます。

 規則正しい生活や適度な休息といった健康の基本は、腸の健康維持にも欠かせません。

 そのほかにも心がけたいことを紹介します。

膵がんリスク

 国立がん研究センターなどの研究グループは、約9万人のデータに基づき、果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連を検討。

 膵がんの罹患リスクは果物摂取により低下し、野菜の摂取で上昇することが示された、と発表しました。

 解析対象は45~74歳の男女9万185人。

 138食品を含む食品摂取頻度調査を基に、果物(17品目)・野菜(29品目)の摂取量によって対象者を4群に分け、最少群を対照としてその他の群のがん罹患リスクを調べました。

 16.9年間(中央値)の追跡期間中に、577人が膵がんと診断された。

 全果物摂取量の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが26%低かった。

 柑橘類(みかん、みかん以外の柑橘類、オレンジジュース)に限定した場合にも、ほぼ同様のリスク低下が認められた。

 果物摂取と膵がん罹患リスク低下との関連は、非喫煙者でより明瞭だった。

 一方、全野菜摂取の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが30%高かった。

 ただ、アブラナ科野菜や緑黄色野菜など特定の種類に限定した場合、膵がん罹患リスクとの有意な関連は認められなかった。

 また、全野菜摂取と膵がん罹患リスク上昇との関連は、喫煙者において有意だったが、非喫煙者では有意な関連は示されなかった。

 果物や野菜の摂取によるがんの予防効果については、幾つかのがんで可能性が示されている。

 しかし、膵がんに関しては、これまでに一定の研究結果が得られていない。

 そこで研究グループは、日本人の生活習慣病予防と健康寿命延伸を目的に国内で実施されているJPHCのデータを用いて、果物・野菜の摂取量と膵がんの罹患リスクとの関連を検討した。

 果物摂取と膵がんの罹患リスク低下との関連が認められた今回の結果について、研究グループは「果物に含まれるビタミンなどの抗酸化成分が、膵がんのリスク低下に関係しているのではないか」と考察。

 一方で、野菜摂取にリスク上昇との関連が認められた点については、「喫煙者でリスクの上昇が顕著になることから、野菜とたばこに含まれる成分との相互作用の可能性が考えられるが、明確な理由は分からない」とコメントしている。

 その上で「今回の研究は、日本人が対象のものでは過去最大規模だが、症例数は必ずしも多くはない。日本人を含むアジア人における疫学研究は少ないため、さらなる研究の蓄積が必要だ」と今後の課題を示している。

 監修:飯野久和昭和女子大教授 農学博士
タグ:腸内細菌
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「朝から牛丼」のすすめ [医学・医療短信]

「朝から牛丼」は昼の血糖値急上昇を防ぐ?
米井嘉一 / 同志社大学教授

 健康な体を作るためには朝ご飯をきちんと食べることが大切です。

 しかし最近、朝食を取らない子供や大人が増えています。

 朝食を欠食すると子供が肥満になりやすいことが知られています。

 大人では脳卒中の頻度が増えます。

 過去と比べて日本人の食事パターンは大きく変化しています。

 子供も大人も夜型の生活パターンが増え、夜食や間食は増えていますが、朝食を抜くケースも増える傾向にあります。

 その原因を突き詰めると睡眠との関連が大きいことがわかります。

 夜更かしをすれば当然、睡眠不足になります。

 それは朝食の欠食に直結します。

 朝起きても、寝ぼけ状態が強ければ朝食を食べる気にはなれません。

 胃腸のぜん動運動が落ち込んでしまっているからです。

 同じカロリーでも、夜食は血糖値が上がりやすくなります。

 そのため睡眠中に高血糖になったり、その反動で低血糖になったりします。

 反動というのは、高血糖になった時にインスリンが過剰に分泌され、余分のインスリン作用によって低血糖が生じてしまう現象です。

 高血糖や低血糖のように、睡眠中に血糖値が不安定になると睡眠の質が下がります。

 また、寝る前にスマートフォンを触る人も要注意です。

 スマホの光は網膜を刺激して、睡眠を促すホルモンのメラトニン分泌を止める作用があります。

 そのため睡眠の質が低下します。

 心身のストレスが強い人も、朝食を食べない率が高いようです。

 ストレスが強いと寝つきが悪くなり、夜中に目が覚める頻度が高まります。

 朝起きても気分はすぐれず、元気よく朝食を食べる気分にはなれないでしょう。

 朝食を食べないと何が起きるの?

 朝食を食べないと、昼食や夕食時の血糖値が上昇します。

 血糖値が140 mg/dL 以上になる急激な血糖上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、さまざまなアルデヒドが同時多発的に生成される「アルデヒドスパーク」を引き起こします。

 これが血管内皮障害など、体のさまざまな部位の細胞障害、組織障害の直接的な原因になるのです。

 ではなぜ、朝食を食べないと昼食時の血糖値が上昇するのでしょうか。

 それは血糖を上昇させるホルモンが多く分泌されるからです。

 血糖値を調整するホルモンは、血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンに大別されます。

 血糖値低下ホルモンはインスリンだけですが、血糖値上昇ホルモンはコルチゾル、アドレナリン、成長ホルモン、グルカゴンなど複数あります。

 低血糖は体にとって危険なので、低血糖を防ぐための機構が備わっているのです。

 低血糖防御機構の中でもっとも強力な血糖上昇作用があるのが、グルカゴンです。

  朝食「あり」と「なし」の時の血糖変動の違い

 朝食を食べた時と欠食した時の血糖値変動の違いを図で説明します。

 朝食をしっかりと、よくかんでゆっくり食べると、食後の血糖上昇は緩やかで、血糖値スパイクは生じません。

 低血糖にもならないのでグルカゴンの出番はありません。

 ところが、朝食を抜くと食べない時間が長くなります。

 血糖値が下がるのでグルカゴンが分泌されて血糖値を上げようとします。

 その状態で昼食を取ると血糖値はさらに上がりやすくなります。

 当然、上昇した血糖値を下げるためにインスリンも多く分泌されます。

 朝食を抜くとインスリンもグルカゴンも多く分泌されます。

 両者ともに膵臓(すいぞう)で作られます。

 このような生活を続けると、膵臓がインスリンもグルカゴンも大量に作り続けなくてはならないため、膵臓が疲れてインスリンを作れなくなり、糖尿病の発症につながります。

 朝食を食べられる体作りが大切

 これまで朝食を食べない習慣がついた人が突然、朝食を食べるとかえって調子が悪くなることがあります。

 おなかが張ったり、気持ち悪くなったり、胃がもたれたりします。

 そのような人は胃腸の働き(ぜん動運動)が衰えているので、まずは胃腸の働きを整え、朝食を受け入れる準備から始めましょう。

 朝食の欠食と睡眠には深い関係があります。

 朝食を食べたいと思ったら、前の日は夜更かしをせず、睡眠を十分にとることが大切です。

 時間の余裕がないと朝食も食べられないので、朝は早めに起きましょう。

 できれば散歩するくらいの余裕がほしいところです。

 これでばっちり、朝食受け入れ準備の完了です。

 前夜の飲酒が過ぎると、アルコール分解過程で生成されたアルデヒドの作用で睡眠の質が下がり、胃腸のぜん動運動も抑えられます。

 お酒の量を減らしてみましょう。

 タバコのニコチンも胃腸の動きを抑えます。

 ニコチンの禁断症状がもっとも強く表れる朝に一服すると食欲が抑えられ、朝ご飯を食べられなくなります。

 一服をやめ、散歩などをしておなかをすかせましょう。

 朝食に何を食べればよいか?

 私たちの実験で、朝に牛丼を食べると、おにぎりやサンドイッチに比べて昼食後の血糖値が上がりにくいという結果が得られました。

 朝はできるだけガッツリ食べた方がよいというのが結論です。

 結果を見て以降、私も時々「朝牛(あさぎゅう=朝に牛丼を食べること)」をしています。

 朝から牛丼が食べられるのは元気な証拠。健康に生まれ変わった自分を実感してください。



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酒⇒食道がん? [医学・医療短信]

 国立がん研究センター食道外科の大幸宏幸科長の解説。

 アルコールがすべて悪いかというとそうではないので、60~70代の高齢男性に患者が多く、飲酒や喫煙が主な原因とされる食道がんについて、国立がん研究センター食道外科の大幸宏幸科長の解説。

 酒をたくさん飲む人は食道がんになりやすいのですか。

 お酒を飲む人すべてががんになりやすいわけではありません。

 アルコールを代謝する二つの酵素をつくる遺伝子に異常がある人がお酒をたくさん飲んでいると、うまく代謝されずにアセトアルデヒドという発がん性のある物質が体の中に蓄積され、食道がんになりやすくなります。

 初めてお酒を飲んだときに顔が赤くなる人がそのタイプで、「フラッシャー」と呼ばれます。

――そのようなタイプの人が気をつけることは。

 アルコールを控え、定期的に検査を受けることです。

 食道がんも早期の発見、治療が大事で、食道の粘膜にとどまるがんであれば、しっかり治療できれば長期生存が期待できます。 
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