HbA1cの目標値が変わった! [健康短信]
HbA1c管理目標に関する衝撃の声明
7%以上8%未満に!―米国内科学会
声明の背景:米国では糖尿病ガイドラインが乱立、内容に齟齬
米国では、米国糖尿病学会(ADA)や米国臨床内分泌学会・米国内分泌学会(AACE/ACE)などさまざまな学術団体から、糖尿病についてのガイドラインが出ている。
それらの内容には齟齬があり、実際に臨床の現場でどのガイドラインに従うかによって、診療内容が異なってくるという問題が生じているらしい。
そこで、米国内科学会(ACP)の臨床ガイドライン委員会が、複数のガイドラインを独自に評価した上で、ACP独自のHbA1c管理目標についての声明を発表した。
ACPは権威ある学会で、その日本支部設立には日本内科学会の専門医部会が国際交流事業として積極的にかかわっており、多くの日本の内科医にとってもなじみのある学会である。
今回の声明の内容は、ADAやAACE/ACEのガイドラインと全く異なり、薬物療法中の2型糖尿病患者の管理目標をHbA1c7%以上8%未満とする、きわめて衝撃的なものである。
声明を出すに当たって、ACPの臨床ガイドライン委員会では既存の六つの学術団体のHbA1c管理目標に関するガイドラインを検討した。
6人の委員が独立して当該ガイドラインの目的や記載の明確さなどを評価し、受容できる記載については採用するようにした。
日本の糖尿病専門医に最もなじみのある、ADAの臨床実践ガイドラインに対する評点は7点満点で3.7、
その次になじみのあるAACE/ACEのガイドラインに対する評点は2.8と非常に低いものだった。
各ガイドラインについて、このままで臨床医が使用することを推奨できるとした委員は、
ADAガイドライン=6人中1人、AACE/ACEガイドライン=0人。
ほとんどの委員がそのままでは使い物にならないとの評価を下した。
薬物療法中の2型糖尿病患者のHbA1c管理目標は7%以上8%未満!
最終的に以下の四つの声明を発表している。
声明1:臨床医は2型糖尿病患者の血糖管理目標を個別化すべきである。
個別化においては、以下の項目についての議論を基にすべきである。
①薬物療法の利益と害、②患者の嗜好、③患者の全身状態や生命予後、④治療の負担、⑤療養にかかる費用
声明2:臨床医はほとんどの(薬物療法中の)2型糖尿病患者のHbA1cの管理目標を7%以上8%未満とすべきである。
声明3:臨床医はHbA1c 6.5%未満の2型糖尿病患者では薬物療法の減量を検討すべきである。
声明4:臨床医は生命予後が10年未満と思われる以下のような2型糖尿病患者については、治療による利益よりも害が上回るため、HbA1cの目標を設定することを避け、高血糖に関連する自覚症状が最小限になるように治療すべきである。
① 80歳以上の高齢者、②介護施設入所者、③慢性疾病の合併者(認知症、がん、末期腎不全、重症慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全)。
日本糖尿病学会は、第56回日本糖尿病学会年次学術集会にて「熊本宣言2013」を発表した。
それは血糖管理目標値を【HbA1c 7%】未満とし、糖尿病の合併症で悩む人を減らすための努力を惜しまないことを宣言するものだった。
HbA1cを7%以上にすべきだと主張している日本の糖尿病専門医は見たことがない。
反面、今回のACPの声明に対して明確な反論をすることのできる専門医が少ないことも確かである。
薬物療法中の糖尿病患者すべてに対してHbA1cに下限が設定され、それが7%であることに対して明確に拒絶することはできないからである。
ADAの勧告の大きな変化に照応すると、今後は血糖値の正常化よりも緩めのHbA1c(平均血糖)管理でもよい、
どんな(薬物)治療を適応とするのか、
その結果、低血糖頻度・血糖変動も含めて、どのような血糖プロファイル(情報の集約)を生み出すのか、
といったことが重要になるのかもしれない。
7%以上8%未満に!―米国内科学会
声明の背景:米国では糖尿病ガイドラインが乱立、内容に齟齬
米国では、米国糖尿病学会(ADA)や米国臨床内分泌学会・米国内分泌学会(AACE/ACE)などさまざまな学術団体から、糖尿病についてのガイドラインが出ている。
それらの内容には齟齬があり、実際に臨床の現場でどのガイドラインに従うかによって、診療内容が異なってくるという問題が生じているらしい。
そこで、米国内科学会(ACP)の臨床ガイドライン委員会が、複数のガイドラインを独自に評価した上で、ACP独自のHbA1c管理目標についての声明を発表した。
ACPは権威ある学会で、その日本支部設立には日本内科学会の専門医部会が国際交流事業として積極的にかかわっており、多くの日本の内科医にとってもなじみのある学会である。
今回の声明の内容は、ADAやAACE/ACEのガイドラインと全く異なり、薬物療法中の2型糖尿病患者の管理目標をHbA1c7%以上8%未満とする、きわめて衝撃的なものである。
声明を出すに当たって、ACPの臨床ガイドライン委員会では既存の六つの学術団体のHbA1c管理目標に関するガイドラインを検討した。
6人の委員が独立して当該ガイドラインの目的や記載の明確さなどを評価し、受容できる記載については採用するようにした。
日本の糖尿病専門医に最もなじみのある、ADAの臨床実践ガイドラインに対する評点は7点満点で3.7、
その次になじみのあるAACE/ACEのガイドラインに対する評点は2.8と非常に低いものだった。
各ガイドラインについて、このままで臨床医が使用することを推奨できるとした委員は、
ADAガイドライン=6人中1人、AACE/ACEガイドライン=0人。
ほとんどの委員がそのままでは使い物にならないとの評価を下した。
薬物療法中の2型糖尿病患者のHbA1c管理目標は7%以上8%未満!
最終的に以下の四つの声明を発表している。
声明1:臨床医は2型糖尿病患者の血糖管理目標を個別化すべきである。
個別化においては、以下の項目についての議論を基にすべきである。
①薬物療法の利益と害、②患者の嗜好、③患者の全身状態や生命予後、④治療の負担、⑤療養にかかる費用
声明2:臨床医はほとんどの(薬物療法中の)2型糖尿病患者のHbA1cの管理目標を7%以上8%未満とすべきである。
声明3:臨床医はHbA1c 6.5%未満の2型糖尿病患者では薬物療法の減量を検討すべきである。
声明4:臨床医は生命予後が10年未満と思われる以下のような2型糖尿病患者については、治療による利益よりも害が上回るため、HbA1cの目標を設定することを避け、高血糖に関連する自覚症状が最小限になるように治療すべきである。
① 80歳以上の高齢者、②介護施設入所者、③慢性疾病の合併者(認知症、がん、末期腎不全、重症慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全)。
日本糖尿病学会は、第56回日本糖尿病学会年次学術集会にて「熊本宣言2013」を発表した。
それは血糖管理目標値を【HbA1c 7%】未満とし、糖尿病の合併症で悩む人を減らすための努力を惜しまないことを宣言するものだった。
HbA1cを7%以上にすべきだと主張している日本の糖尿病専門医は見たことがない。
反面、今回のACPの声明に対して明確な反論をすることのできる専門医が少ないことも確かである。
薬物療法中の糖尿病患者すべてに対してHbA1cに下限が設定され、それが7%であることに対して明確に拒絶することはできないからである。
ADAの勧告の大きな変化に照応すると、今後は血糖値の正常化よりも緩めのHbA1c(平均血糖)管理でもよい、
どんな(薬物)治療を適応とするのか、
その結果、低血糖頻度・血糖変動も含めて、どのような血糖プロファイル(情報の集約)を生み出すのか、
といったことが重要になるのかもしれない。