「立つだけダイエット」 [ひとこと養生記]
糖尿病対策に「立つだけダイエット」
1日で座ったまま過ごす時間を減らし、立つ時間を増やすだけで、体重を減らせることが明らかになった。
座らないだけでダイエットになるという「立つだけダイエット」が話題になっているが、そこには科学的な根拠があることが裏付けられた。
座ったまま過ごす時間が30分続いたら、立ち上がって軽い運動をするだけで、血糖値とインスリン値を低下できる。
座り過ぎのもたらす弊害が大きな話題に
肥満や2型糖尿病の原因のひとつが運動不足だと知っていても、椅子に座り過ぎているからだと考える人はまだ少ない。
しかし、欧米では椅子の座り過ぎのもたらす弊害が大きな話題になって、オフィスから椅子を撤去する企業も出てきた。
主な事務機器メーカーは、スタンディングデスクを開発した。
一部のベンチャー企業や外資系企業では、健康増進のためにスタンディングデスクを導入するケースも増えている。
米国のメイヨークリニックが「立位時間を増やすだけで、体の代謝が向上し、消費カロリーを増やせる。立ち上がるだけで健康増進につながり、寿命を延ばせる」という研究を発表した。
この研究は、欧州心臓病学会の学会誌に発表された。
健康上のリスクを軽減するためには、1日を通して座ったまま過ごす時間がどれだけ長いかを知り、意識して体をより多くを動かすことが重要だ。
目に見える効果があると分かれば、「仕事中にもなるべく立ち上がろう」「余暇の時間は立ったまま過ごそう」という気持ちになるかもしれない。
細切れの時間でも1日分を集めると相当な時間になる。
立ったまま過ごす時間を1日1時間増やすことを目標に取り組んでみてはいかがだろう。
座ったままの生活が引き起こす健康リスク
これまでの研究で、座ったまま体を動かさないことで引き起こされる健康リスクとして、次のことが分かっている。
座ったまま過ごす時間が4時間増えると――
・ エネルギーの消費量を減少し、エネルギー代謝が悪くなる。
・ 体脂肪を燃焼させるホルモンが不活性になる。
・ インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が起こり、血糖値が上昇しやすくなる。
・ 血管の内皮機能が低下し、交感神経の働きが上がり、血圧が上昇しやすくなる。
・ 脚の筋肉が衰え、肥満になりやすくなる。これらが相乗的に作用し、エネルギー代謝がますます悪くなる。
座ったまま過ごす時間が長く、身体活動が減ると、▽心臓病、▽2型糖尿病、▽肥満、▽がん、▽背部痛、▽認知症、▽うつ病、▽筋肉変性といった疾患の発症リスクが上昇する。
1日6時間立っていると54kcalを多く燃焼
メイヨークリニックの行った研究では、坐ったまま過ごす時間を1日に6時間減らし、代わりに立ったまま過ごすと、体重増加を防げることが明らかになった。
この研究は医学誌「欧州予防医学雑誌」に発表された。
研究では、座位よりも立位がより多くのカロリーを燃焼するかを検証するために、合計1,184人を対象とした46件の研究を分析した。
対象者の平均年齢は33歳で、60%が男性、BMI(体格指数)の平均は24、平均体重は65kgだった。
結果、立っているは、座っているときに比べ、1分当たり0.15kcalのエネルギーを多く燃焼することが明らかになった。
1日6時間立っていると、坐っている場合に比べ、体重が65kgの人は1日に54kcalを多く燃焼することになる。
立ったまま過ごす時間を増やすことで、食事の摂取カロリーが増えないと仮定すると、1年間で体重を2.5kg、4年間で10kg減らせる計算になる。
「立ったまま過ごす時間を増やすことで得られる恩恵は、体重コントロールにとどまりません。
より多くのカロリーを燃焼でき、筋肉の活動を増やし、心疾患、脳卒中、2型糖尿病の発症リスクを低下できます」
と、米国のメイヨークリニックの予防心臓学部の部長であるフランシスコ ロペス-ヒメネス教授。
座ったままの生活は体に悪い影響をもたらす
立つことで基礎代謝を向上し、体幹・腹筋・太腿などの筋肉を刺激することができる。
「1度に何時間も座り続けないようにすることが重要です。
座ったまま過ごすことは、明らかに体に悪い影響をもたらします」
と、ロペス-ヒメネス教授は強調している。
「週に適度な運動を150分以上行い、座ったまま過ごす時間が続いたら、休憩を挟んでなるべく体を動かすように、生活スタイルを変えていくべきです。
このことを知ることが健康改善に向けた第一歩となります」と。
立位時間を増やすことで燃焼できるカロリーはさらに増える可能性がある。
「研究では座ったまま動作をしない場合を想定しましたが、実際には人は立っている間に、何かしらの活動をするものです。
体の重心を保とうとして、重心をかける足を片方からもう片方に変えたり、前後に動いたりして、しっかりとした自発的な活動をしています」(ロペス-ヒメネス教授)。
さらに、たとえばオフィスで立ち上がると、キャビネットからファイルを取り出したり、ごみ箱を移したり、体が動かす頻度が増す。
長く座り続けると代謝機能や血流が悪くなる
これまでの研究で、長く座り続けると体の代謝機能や血液の流れに悪影響を及ぼすことが分かってきた。
立ったり歩いたりしているときは脚の筋肉が働く。
すると、筋肉の細胞内で血液中から糖や中性脂肪が取り込まれエネルギーとして消費される。
ところが座ると、全身の代謝機能を支えてきた脚の筋肉が活動せず、糖や中性脂肪が取り込まれにくくなり、血液中で増えてしまう。
活発なウォーキングなどの運動を週に150分以上行うことが推奨されている。
この基準を満たしている人でも、座ったまま過ごす時間が長いと、糖尿病など体に悪影響が出てくることが、スコットランドのエディンバラ大学などが1万4,000人を対象に行った研究で明らかになった。
生活のちょっとした活動は運動になる
「体を動かさない時間が増加すると、健康上の悪影響が懸念されます。
生活を見直して、ウォーキングなどのアクティブな時間を増やすべきです」
と、エディンバラ大学のスポーツ運動科学研究所のテッサ ストレイン氏。
「日常生活で必要とされる身体活動のレベルを少しでも超えるものは全て"運動"と言えます。運動するかしないかの違いはとても大きいのです」と、ストレイン氏は指摘する。
人と並んで話しながら歩いているときに、呼吸をちょっと意識する、あるいは心臓がドキドキ動いていることを自覚するぐらいの速度で歩く――この程度でも立派な運動になる。
階段を2階や3階まで歩いて上がるとか、掃除をするといったことも運動だ。
仕事の合間に2分間の休憩をとり体を動かそう
「仕事で座っている時間が長いオフィスワーカーは、仕事の合間にときどき2分間の休憩をとり、体を動かし、さらに、毎日30分ウォーキングをすると、動脈硬化や血栓の原因になる中性脂肪を大幅に低下できます」
と、オタゴ大学の人間栄養学部のメレディス ペディー氏は言う。
過去の研究では、オフィスワーカーが30分ごとに2分間の休憩をとり、軽いウォーキングなどの運動をすると、血糖値とインスリン値が低下することも示されている。
デスクワーク中心の生活を、立位に切り替えるのはなかなか難しいかもしれないが、目に見える効果や数字的な裏付けがあれば、糖尿病のある人でもモチベーションを高められるだろう。
オフィスワーカーが身体活動量を増やす工夫
毎日の生活で、ちょっとしたことを工夫すると、身体活動量を増やすことができるという。
ペディー氏は次のことを勧めている。
・ 仕事のミーティングなどは、電話や電子メールで済まさないで、相手に直接話す。
・ 1時間ごとに立ち上がり体操や運動をする。
・ ランチの時間には10~20分ほど歩く。
・ 休憩時間に歩く。家やオフィスの周りを歩くことを習慣にする。
・ ちょっとした用事があるときは、車でなく徒歩で行く。
・ エレベーターやエスカレータを使わず、階段を使う。
・ 家にはテレビのリモコンを近くに置かない。家事は立ったまま行う。
・ スーパーマーケットに買い物に行くときは、歩いて行ける一番遠い場所に駐車する。
1日で座ったまま過ごす時間を減らし、立つ時間を増やすだけで、体重を減らせることが明らかになった。
座らないだけでダイエットになるという「立つだけダイエット」が話題になっているが、そこには科学的な根拠があることが裏付けられた。
座ったまま過ごす時間が30分続いたら、立ち上がって軽い運動をするだけで、血糖値とインスリン値を低下できる。
座り過ぎのもたらす弊害が大きな話題に
肥満や2型糖尿病の原因のひとつが運動不足だと知っていても、椅子に座り過ぎているからだと考える人はまだ少ない。
しかし、欧米では椅子の座り過ぎのもたらす弊害が大きな話題になって、オフィスから椅子を撤去する企業も出てきた。
主な事務機器メーカーは、スタンディングデスクを開発した。
一部のベンチャー企業や外資系企業では、健康増進のためにスタンディングデスクを導入するケースも増えている。
米国のメイヨークリニックが「立位時間を増やすだけで、体の代謝が向上し、消費カロリーを増やせる。立ち上がるだけで健康増進につながり、寿命を延ばせる」という研究を発表した。
この研究は、欧州心臓病学会の学会誌に発表された。
健康上のリスクを軽減するためには、1日を通して座ったまま過ごす時間がどれだけ長いかを知り、意識して体をより多くを動かすことが重要だ。
目に見える効果があると分かれば、「仕事中にもなるべく立ち上がろう」「余暇の時間は立ったまま過ごそう」という気持ちになるかもしれない。
細切れの時間でも1日分を集めると相当な時間になる。
立ったまま過ごす時間を1日1時間増やすことを目標に取り組んでみてはいかがだろう。
座ったままの生活が引き起こす健康リスク
これまでの研究で、座ったまま体を動かさないことで引き起こされる健康リスクとして、次のことが分かっている。
座ったまま過ごす時間が4時間増えると――
・ エネルギーの消費量を減少し、エネルギー代謝が悪くなる。
・ 体脂肪を燃焼させるホルモンが不活性になる。
・ インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が起こり、血糖値が上昇しやすくなる。
・ 血管の内皮機能が低下し、交感神経の働きが上がり、血圧が上昇しやすくなる。
・ 脚の筋肉が衰え、肥満になりやすくなる。これらが相乗的に作用し、エネルギー代謝がますます悪くなる。
座ったまま過ごす時間が長く、身体活動が減ると、▽心臓病、▽2型糖尿病、▽肥満、▽がん、▽背部痛、▽認知症、▽うつ病、▽筋肉変性といった疾患の発症リスクが上昇する。
1日6時間立っていると54kcalを多く燃焼
メイヨークリニックの行った研究では、坐ったまま過ごす時間を1日に6時間減らし、代わりに立ったまま過ごすと、体重増加を防げることが明らかになった。
この研究は医学誌「欧州予防医学雑誌」に発表された。
研究では、座位よりも立位がより多くのカロリーを燃焼するかを検証するために、合計1,184人を対象とした46件の研究を分析した。
対象者の平均年齢は33歳で、60%が男性、BMI(体格指数)の平均は24、平均体重は65kgだった。
結果、立っているは、座っているときに比べ、1分当たり0.15kcalのエネルギーを多く燃焼することが明らかになった。
1日6時間立っていると、坐っている場合に比べ、体重が65kgの人は1日に54kcalを多く燃焼することになる。
立ったまま過ごす時間を増やすことで、食事の摂取カロリーが増えないと仮定すると、1年間で体重を2.5kg、4年間で10kg減らせる計算になる。
「立ったまま過ごす時間を増やすことで得られる恩恵は、体重コントロールにとどまりません。
より多くのカロリーを燃焼でき、筋肉の活動を増やし、心疾患、脳卒中、2型糖尿病の発症リスクを低下できます」
と、米国のメイヨークリニックの予防心臓学部の部長であるフランシスコ ロペス-ヒメネス教授。
座ったままの生活は体に悪い影響をもたらす
立つことで基礎代謝を向上し、体幹・腹筋・太腿などの筋肉を刺激することができる。
「1度に何時間も座り続けないようにすることが重要です。
座ったまま過ごすことは、明らかに体に悪い影響をもたらします」
と、ロペス-ヒメネス教授は強調している。
「週に適度な運動を150分以上行い、座ったまま過ごす時間が続いたら、休憩を挟んでなるべく体を動かすように、生活スタイルを変えていくべきです。
このことを知ることが健康改善に向けた第一歩となります」と。
立位時間を増やすことで燃焼できるカロリーはさらに増える可能性がある。
「研究では座ったまま動作をしない場合を想定しましたが、実際には人は立っている間に、何かしらの活動をするものです。
体の重心を保とうとして、重心をかける足を片方からもう片方に変えたり、前後に動いたりして、しっかりとした自発的な活動をしています」(ロペス-ヒメネス教授)。
さらに、たとえばオフィスで立ち上がると、キャビネットからファイルを取り出したり、ごみ箱を移したり、体が動かす頻度が増す。
長く座り続けると代謝機能や血流が悪くなる
これまでの研究で、長く座り続けると体の代謝機能や血液の流れに悪影響を及ぼすことが分かってきた。
立ったり歩いたりしているときは脚の筋肉が働く。
すると、筋肉の細胞内で血液中から糖や中性脂肪が取り込まれエネルギーとして消費される。
ところが座ると、全身の代謝機能を支えてきた脚の筋肉が活動せず、糖や中性脂肪が取り込まれにくくなり、血液中で増えてしまう。
活発なウォーキングなどの運動を週に150分以上行うことが推奨されている。
この基準を満たしている人でも、座ったまま過ごす時間が長いと、糖尿病など体に悪影響が出てくることが、スコットランドのエディンバラ大学などが1万4,000人を対象に行った研究で明らかになった。
生活のちょっとした活動は運動になる
「体を動かさない時間が増加すると、健康上の悪影響が懸念されます。
生活を見直して、ウォーキングなどのアクティブな時間を増やすべきです」
と、エディンバラ大学のスポーツ運動科学研究所のテッサ ストレイン氏。
「日常生活で必要とされる身体活動のレベルを少しでも超えるものは全て"運動"と言えます。運動するかしないかの違いはとても大きいのです」と、ストレイン氏は指摘する。
人と並んで話しながら歩いているときに、呼吸をちょっと意識する、あるいは心臓がドキドキ動いていることを自覚するぐらいの速度で歩く――この程度でも立派な運動になる。
階段を2階や3階まで歩いて上がるとか、掃除をするといったことも運動だ。
仕事の合間に2分間の休憩をとり体を動かそう
「仕事で座っている時間が長いオフィスワーカーは、仕事の合間にときどき2分間の休憩をとり、体を動かし、さらに、毎日30分ウォーキングをすると、動脈硬化や血栓の原因になる中性脂肪を大幅に低下できます」
と、オタゴ大学の人間栄養学部のメレディス ペディー氏は言う。
過去の研究では、オフィスワーカーが30分ごとに2分間の休憩をとり、軽いウォーキングなどの運動をすると、血糖値とインスリン値が低下することも示されている。
デスクワーク中心の生活を、立位に切り替えるのはなかなか難しいかもしれないが、目に見える効果や数字的な裏付けがあれば、糖尿病のある人でもモチベーションを高められるだろう。
オフィスワーカーが身体活動量を増やす工夫
毎日の生活で、ちょっとしたことを工夫すると、身体活動量を増やすことができるという。
ペディー氏は次のことを勧めている。
・ 仕事のミーティングなどは、電話や電子メールで済まさないで、相手に直接話す。
・ 1時間ごとに立ち上がり体操や運動をする。
・ ランチの時間には10~20分ほど歩く。
・ 休憩時間に歩く。家やオフィスの周りを歩くことを習慣にする。
・ ちょっとした用事があるときは、車でなく徒歩で行く。
・ エレベーターやエスカレータを使わず、階段を使う。
・ 家にはテレビのリモコンを近くに置かない。家事は立ったまま行う。
・ スーパーマーケットに買い物に行くときは、歩いて行ける一番遠い場所に駐車する。