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新規脂質低下薬に対する動脈硬化学会の指針 [健康短信]

動脈硬化学会がPCSK9阻害薬の使用に声明

 日本動脈硬化学会は3月2日、東京都でプレスセミナーを開き、新規脂質低下薬として注目されているPCSK9阻害薬の適正使用を促すための声明文を発表した。

 同学会PCSK9阻害薬適正使用声明文作成ワーキンググループ委員長で金沢大学病院循環器内科コレステロール外来の野原淳氏は、声明文の内容を説明するとともに、同学会が公表している「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を踏まえて、同薬の適正使用指針を示した。

FHヘテロ接合体の治療、冠動脈疾患の再発予防で投与を考慮

 同学会では、PCSK9阻害薬は特に冠動脈疾患の発症リスクが高い家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体の患者と、冠動脈疾患の二次(再発)予防において高リスク病態を合併する患者を中心に使用されるべきであるとしている。

 しかし、野原氏ら委員によると、現状、PCSK9阻害薬が適切に使用されていないケースも一部見られるという。

 そこで同氏は、実臨床において同薬が適応となる患者像と、これらの患者における望ましい投与方法を明確化するためのフローチャートを示した。

 FH患者における冠動脈疾患の再発予防では、積極的にLDL-C70mg/dL未満を目指すべきで、スタチン最大耐用量にエゼチミブを併用しても管理不十分であれば、PCSK9阻害薬の併用を積極的に考慮するとした。

 また、LDL-Cの低下効果は処方変更後1~2 カ月で判定し、PCSK9阻害薬を開始する際は専門医に相談することが望ましいと補足した。

 FH以外の患者の冠動脈疾患の再発予防では、エゼチミブ併用かつスタチン最大耐用量でLDL-Cが管理目標値に達しない場合は、PCSK9阻害薬の投与を考慮するとともに再度FHを疑う必要があるとした。

 さらに、PCSK9阻害薬を検討する症例では、高血圧・糖尿病・喫煙など古典的危険因子も十分にコントロールし、投与開始時には専門医に相談することが望ましいとしている。

 今後の課題として、野原氏は「冠動脈疾患以外の高リスクの動脈硬化性疾患やスタチン不耐の患者などにも、PCSK9阻害薬を推奨すべきかどうか検討する必要がある」と指摘し、「同薬の投与を開始する基準となるLDL-C値や投与間隔、投与による長期的リスクなども明らかにしていかなければならない」と述べた。

 同学会では、PCSK9阻害薬を使用する医師および施設に対し、最新の情報収集に努めるよう呼びかけている。

 なお、今回提示されたフローチャートおよび声明文の詳細は、同学会の公式サイトで確認できる。
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