朝のウォーキング効果 [医学・医療短信]
「朝30分のウォーキング」に降圧効果
過体重や肥満の人は、朝30分程度のウォーキングをすると、血圧コントロールに有用な可能性があることが、ベイカー心臓・糖尿病研究所(オーストラリア)のMichael Wheeler氏らの研究から明らかになった。
この研究では、特に女性は、朝の運動に加えて座位時間を頻繁に中断することで、さらに血圧が下がることも示された。
研究の詳細は「Hypertension」2月20日オンライン版に発表された。
Wheeler氏らは今回、座りがちな生活習慣の55~80歳の高齢者67人(平均年齢67歳)を対象に、運動と座位時間の中断の組み合わせが血圧に及ぼす影響について調べた。
参加者には、
(1)8時間連続して座る(対照群)、
(2)1時間座った後に中強度のウォーキングを30分行い、その後6.5時間座って過ごす、
(3)1時間座った後に中強度のウォーキングを30分行い、その後6.5時間座っている間に30分ごと3分間の軽いウォーキングを行う-という3つの実験を、6日間以上の間隔を空けてランダムな順序で行ってもらった。
その結果、男女ともに、朝に30分のウォーキングを行うと、運動しなかった場合に比べて、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の平均値がいずれも低下したことが分かった。
特に女性では、朝のウォーキングに加えて、その日の座っている時間を頻繁に中断するとSBP値が大きく低下することが明らかになった。
一方、男性では、座位時間を中断しても、さらなる降圧効果は認められなかった。
Wheeler氏は、
「男女ともに、朝の運動後または座位時間を頻繁に中断した後にみられたSBP値の低下効果は、降圧薬を服用した場合に期待されたものに近かった」と述べている。
また、今回の結果では、朝の運動や座位時間の中断による降圧効果に男女差がみられた。
この理由は明らかではないが、Wheeler氏らは、
「運動に対するアドレナリン反応などの複数の因子が影響した可能性がある」と推測している。
さらに、同氏らによれば、研究に参加した女性は全員が閉経後であり、心疾患リスクが高い時期であったとしている。
Wheeler氏によると、これまでの研究で、心疾患リスクが高い人は、座っている時間を中断して身体を動かすことは血圧管理に有用であることが報告されているという。
同氏らは、
「朝に運動したり、座っている時間を中断したりすることが、若者や適正体重の人の血圧管理にも有益なのかどうかについては、今後さらに検討する必要がある」と述べている。
過体重や肥満の人は、朝30分程度のウォーキングをすると、血圧コントロールに有用な可能性があることが、ベイカー心臓・糖尿病研究所(オーストラリア)のMichael Wheeler氏らの研究から明らかになった。
この研究では、特に女性は、朝の運動に加えて座位時間を頻繁に中断することで、さらに血圧が下がることも示された。
研究の詳細は「Hypertension」2月20日オンライン版に発表された。
Wheeler氏らは今回、座りがちな生活習慣の55~80歳の高齢者67人(平均年齢67歳)を対象に、運動と座位時間の中断の組み合わせが血圧に及ぼす影響について調べた。
参加者には、
(1)8時間連続して座る(対照群)、
(2)1時間座った後に中強度のウォーキングを30分行い、その後6.5時間座って過ごす、
(3)1時間座った後に中強度のウォーキングを30分行い、その後6.5時間座っている間に30分ごと3分間の軽いウォーキングを行う-という3つの実験を、6日間以上の間隔を空けてランダムな順序で行ってもらった。
その結果、男女ともに、朝に30分のウォーキングを行うと、運動しなかった場合に比べて、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の平均値がいずれも低下したことが分かった。
特に女性では、朝のウォーキングに加えて、その日の座っている時間を頻繁に中断するとSBP値が大きく低下することが明らかになった。
一方、男性では、座位時間を中断しても、さらなる降圧効果は認められなかった。
Wheeler氏は、
「男女ともに、朝の運動後または座位時間を頻繁に中断した後にみられたSBP値の低下効果は、降圧薬を服用した場合に期待されたものに近かった」と述べている。
また、今回の結果では、朝の運動や座位時間の中断による降圧効果に男女差がみられた。
この理由は明らかではないが、Wheeler氏らは、
「運動に対するアドレナリン反応などの複数の因子が影響した可能性がある」と推測している。
さらに、同氏らによれば、研究に参加した女性は全員が閉経後であり、心疾患リスクが高い時期であったとしている。
Wheeler氏によると、これまでの研究で、心疾患リスクが高い人は、座っている時間を中断して身体を動かすことは血圧管理に有用であることが報告されているという。
同氏らは、
「朝に運動したり、座っている時間を中断したりすることが、若者や適正体重の人の血圧管理にも有益なのかどうかについては、今後さらに検討する必要がある」と述べている。
糖尿病と朝食 [医学・医療短信]
血糖値上昇
2型糖尿病患者が朝食を抜いて昼食まで空腹でいると、昼食と夕食の後の血糖値が上昇しやすくなり、血糖コントロールの悪化につながるという、イスラエルのテルアビブ大学糖尿病ユニットの研究結果が発表されました。
研究参加者は、過体重の2型糖尿病患者22人(平均年齢57歳、罹病期間8.4年、HbA1c7.7%)。
「糖尿病患者が朝食を抜くと、たとえ昼食と夕食の炭水化物の量を減らしたとしても、血糖値の上昇を抑えることはできないでしょう」と、研究チームを主宰する教授は説明しています。
2型糖尿病患者が朝食を抜いて昼食まで空腹でいると、昼食と夕食の後の血糖値が上昇しやすくなり、血糖コントロールの悪化につながるという、イスラエルのテルアビブ大学糖尿病ユニットの研究結果が発表されました。
研究参加者は、過体重の2型糖尿病患者22人(平均年齢57歳、罹病期間8.4年、HbA1c7.7%)。
「糖尿病患者が朝食を抜くと、たとえ昼食と夕食の炭水化物の量を減らしたとしても、血糖値の上昇を抑えることはできないでしょう」と、研究チームを主宰する教授は説明しています。
心房細動指針 [医学・医療短信]
心房細動指針改訂
米国心臓協会、米国心臓病学会、米国不整脈学会は、心房細動(AF)管理ガイドライン(指針)2014年版を5年ぶりに改訂しました。
新指針では、AF患者の脳卒中予防に従来のワルファリンではなく非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬/直接作用型経口抗凝固薬を推奨しています。
「肥満のAF患者に対しては減量を推奨する。
減量によってAF関連の健康リスクが減少するだけでなく、AFが改善する可能性もあることが複数の研究で示された」
新指針の執筆委員長は、
「AF患者は脳卒中リスクが上昇しており、重篤な転帰をたどる可能性がある。
AF患者は、脳卒中リスク低下のために血栓形成リスクを低下させることだ」と話しています。
米国心臓協会、米国心臓病学会、米国不整脈学会は、心房細動(AF)管理ガイドライン(指針)2014年版を5年ぶりに改訂しました。
新指針では、AF患者の脳卒中予防に従来のワルファリンではなく非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬/直接作用型経口抗凝固薬を推奨しています。
「肥満のAF患者に対しては減量を推奨する。
減量によってAF関連の健康リスクが減少するだけでなく、AFが改善する可能性もあることが複数の研究で示された」
新指針の執筆委員長は、
「AF患者は脳卒中リスクが上昇しており、重篤な転帰をたどる可能性がある。
AF患者は、脳卒中リスク低下のために血栓形成リスクを低下させることだ」と話しています。
アスピリンと 心血管疾患 [健康]
アスピリンの常用は?
心血管疾患(CVD)の既往がない患者では、アスピリンの心血管イベント予防効果は小さく、深刻な出血リスクが上昇すると、英ロンドン大学の研究グループが報告しました。
リーダーの教授は、
「心臓発作や脳卒中を予防する目的でアスピリンを使用している患者は非常に多い。
しかし、われわれの研究結果は、アスピリンの心血管イベント予防効果は小さく、深刻な出血リスクの上昇で相殺されることを示している」と述べ、
「CVD既往がない患者に対して、心血管イベント予防目的でのアスピリン使用を推奨するエビデンス(医学的証拠)は不十分」と結論づけています。
心血管疾患(CVD)の既往がない患者では、アスピリンの心血管イベント予防効果は小さく、深刻な出血リスクが上昇すると、英ロンドン大学の研究グループが報告しました。
リーダーの教授は、
「心臓発作や脳卒中を予防する目的でアスピリンを使用している患者は非常に多い。
しかし、われわれの研究結果は、アスピリンの心血管イベント予防効果は小さく、深刻な出血リスクの上昇で相殺されることを示している」と述べ、
「CVD既往がない患者に対して、心血管イベント予防目的でのアスピリン使用を推奨するエビデンス(医学的証拠)は不十分」と結論づけています。
タグ:アスピリン 心血管疾患(CVD)
赤ん坊の風呂の湯加減 [健康短信]
●赤ん坊の風呂の湯加減、指先では×
皮膚にはおびただしい感受体の網の目がひろがっています。
熱い物を押しつけると、3万もある「温点」のいくつかが危険を告げます。
しかし、脳は2、3個の感受体から通報がきただけでは、あまり注意を払いません。
熱い針を皮膚に押しつけも、それほど熱く感じませんが、同じ熱さでもアイロンを押しつけると全身に警報がでます。
ですから、赤ん坊の風呂の湯加減を指先だけでみるのは危ない。
指先ではお湯があまり熱くなくても、赤ん坊の体じゅうの感受体では非常に熱く感じられるからです。
皮膚にはおびただしい感受体の網の目がひろがっています。
熱い物を押しつけると、3万もある「温点」のいくつかが危険を告げます。
しかし、脳は2、3個の感受体から通報がきただけでは、あまり注意を払いません。
熱い針を皮膚に押しつけも、それほど熱く感じませんが、同じ熱さでもアイロンを押しつけると全身に警報がでます。
ですから、赤ん坊の風呂の湯加減を指先だけでみるのは危ない。
指先ではお湯があまり熱くなくても、赤ん坊の体じゅうの感受体では非常に熱く感じられるからです。
タグ:温点 赤ん坊の風呂の湯加減
果物とがん [健康短信]
がん予防に効く
果物ががん予防に効果があることは、よく知られています。
世界がん研究基金と米国がん研究協会の判定では、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肺のがんに対して、「果物はリスクを下げる可能性が大である」としています。
日本人のエビデンス(科学的証拠)に基づく評価でも食道がんのリスクを下げるのは「ほぼ確実」、胃がんと肺がんも「可能性あり」と判定されています。
果物ががん予防に効果を発揮する要因で最も大きいのは「抗酸化ビタミン」、ビタミンCの存在です。
体内で発生する活性酸素やフリーラジカルといったがんを作り出す物質を消し去ることを「抗酸化」といいますが、ビタミンCは抗酸化作用と免疫力を高める働きも持っているので、総合的にがん予防に寄与する可能性が高いといえるようです。
果物ががん予防に効果があることは、よく知られています。
世界がん研究基金と米国がん研究協会の判定では、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肺のがんに対して、「果物はリスクを下げる可能性が大である」としています。
日本人のエビデンス(科学的証拠)に基づく評価でも食道がんのリスクを下げるのは「ほぼ確実」、胃がんと肺がんも「可能性あり」と判定されています。
果物ががん予防に効果を発揮する要因で最も大きいのは「抗酸化ビタミン」、ビタミンCの存在です。
体内で発生する活性酸素やフリーラジカルといったがんを作り出す物質を消し去ることを「抗酸化」といいますが、ビタミンCは抗酸化作用と免疫力を高める働きも持っているので、総合的にがん予防に寄与する可能性が高いといえるようです。
トマトと肺機能 [健康短信]
肺機能の低下を抑制
米ジョンズ・ホプキンス大の研究チームは、食事から摂取する抗酸化物質と肺機能の関係を検討。
果物とトマトの摂取が、成人、特に前喫煙者の肺機能低下を遅らせる可能性が示されたと報告しました。
ドイツ、英国、ノルウェーの3カ国680人(平均年齢43.8±6.6歳)を10年追跡し、食事から摂取した抗酸化物質によって10年後の加齢に伴う肺機能低下を抑制できるどうかを検討しました。
1日にトマトを2個以上、あるいは生の果物を3人前以上摂取した人は、トマト1個未満または果物1人前未満の人に比べて、肺機能の低下が遅れることが示されました。
特に慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患リスクが高い人には果物の摂取が推奨されるということです。
米ジョンズ・ホプキンス大の研究チームは、食事から摂取する抗酸化物質と肺機能の関係を検討。
果物とトマトの摂取が、成人、特に前喫煙者の肺機能低下を遅らせる可能性が示されたと報告しました。
ドイツ、英国、ノルウェーの3カ国680人(平均年齢43.8±6.6歳)を10年追跡し、食事から摂取した抗酸化物質によって10年後の加齢に伴う肺機能低下を抑制できるどうかを検討しました。
1日にトマトを2個以上、あるいは生の果物を3人前以上摂取した人は、トマト1個未満または果物1人前未満の人に比べて、肺機能の低下が遅れることが示されました。
特に慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患リスクが高い人には果物の摂取が推奨されるということです。
ナッツ&心血管疾患予防 [健康短信]
ナッツで心血管疾患予防
1日30㌘程度のナッツを食べていると、心筋梗塞の発症リスクがぐんと減ると、米ハーバード大学公衆衛生学栄養学の研究チームが報告しました。
同大が32年にわたり行ってきた看護師健康調査(対象は女性)と医療専門職追跡研究(対象は男性)という大規模疫学調査のデータを解析したもので、対象者の年齢層は40代後半~60代前半で、体格指数(BMI)は標準体形の25前後でした。
最長28年にわたる追跡期間中に合計1万41366人が心血管疾患を発症。
発症リスクとナッツ摂取との関連を調べたところ、ナッツを1サービング摂取するごとに、心筋梗塞の発症リスクが13%も減少することがわかりました。
サービング=食べ物や飲み物の平均化した単位。例、パン1枚、ナッツ28㌘は1サービング。
1日30㌘程度のナッツを食べていると、心筋梗塞の発症リスクがぐんと減ると、米ハーバード大学公衆衛生学栄養学の研究チームが報告しました。
同大が32年にわたり行ってきた看護師健康調査(対象は女性)と医療専門職追跡研究(対象は男性)という大規模疫学調査のデータを解析したもので、対象者の年齢層は40代後半~60代前半で、体格指数(BMI)は標準体形の25前後でした。
最長28年にわたる追跡期間中に合計1万41366人が心血管疾患を発症。
発症リスクとナッツ摂取との関連を調べたところ、ナッツを1サービング摂取するごとに、心筋梗塞の発症リスクが13%も減少することがわかりました。
サービング=食べ物や飲み物の平均化した単位。例、パン1枚、ナッツ28㌘は1サービング。
認知機能改善 [健康短信]
心リハで認知機能改善
高齢者の慢性心不全は認知機能の低下を伴うことが多いといわれています。
獨協医科大学心臓・血管内科・井上晃男教授は、心臓リハビリテーションが認知機能の改善に有効であることを第52回日本成人病学会で解説しました。
慢性心不全になると、身体活動が低下、フレイル(生活機能が全般に衰える)に陥ることで認知機能の低下を招きます。
そのため服薬アドヒアランス(積極的に治療を受ける)が低下し、さらに心不全を悪化させるという悪循環に陥ります。
しかし、心リハ開始3カ月で注意機能・遂行機能が改善、12カ月後には言語記憶能力も有意に改善した、と海外文献でも報告されています。
井上教授らの研究もそのことを裏づけるものです。
高齢者の慢性心不全は認知機能の低下を伴うことが多いといわれています。
獨協医科大学心臓・血管内科・井上晃男教授は、心臓リハビリテーションが認知機能の改善に有効であることを第52回日本成人病学会で解説しました。
慢性心不全になると、身体活動が低下、フレイル(生活機能が全般に衰える)に陥ることで認知機能の低下を招きます。
そのため服薬アドヒアランス(積極的に治療を受ける)が低下し、さらに心不全を悪化させるという悪循環に陥ります。
しかし、心リハ開始3カ月で注意機能・遂行機能が改善、12カ月後には言語記憶能力も有意に改善した、と海外文献でも報告されています。
井上教授らの研究もそのことを裏づけるものです。
タグ:心臓リハビリテーション 認知機能