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人工甘味料は血糖値に? [医学・医療短信]

人工甘味料は血糖値に影響しない可能性/米研究

 人工甘味料は砂糖の代替として飲料や菓子などの食品に広く用いられているが、人工甘味料を摂取しても血糖値には影響を及ぼさないことが、29件のランダム化比較試験(RCT)を対象に行ったメタ解析で示された。

 ただし、研究を行った米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校食品栄養科学部のAlexander Nichol氏は、

「この結果から、血糖値が気になる場合でも人工甘味料の摂取は安全だと言えるが、人工甘味料入りの飲料や食品を好きなだけ食べてよいという意味ではない」と強調している。

 研究の詳細は「European Journal of Clinical Nutrition」5月15日オンライン版に掲載された。

 注=European Journal of Clinical Nutritionは、栄養学を網羅、毎月の査読付き医学雑誌。

 砂糖の替わりに人工甘味料(非栄養甘味料とも呼ばれる)を用いると、甘みを減らすことなく食品や飲料のカロリーを抑えられることから、人工甘味料は肥満や心臓病、特に糖尿病のリスクを低減させると期待されている。

 米国では、その使用量は急激に増えており、1999~2000年から2009~2012年にかけて子どもでは約3倍に、成人でも約1.5倍に増加した。

 現在では、子どもの4人に1人、成人の5人に2人が人工甘味料を習慣的に摂取しているとの推計もある。

 米国では8種類の人工甘味料が認可されており、これらには今回のRCTで検討対象とされたサッカリンとアスパルテーム、ステビオール配糖体、スクラロースが含まれる。

 また、「無糖(sugar-free)」と表示された食品の一部には、糖アルコールと呼ばれる甘味料(ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イソマルトース、水素化デンプン加水分解物)が含まれている。

 今回の研究で、Nichol氏らは、対象者が人工甘味料を他の食品やカロリーを含む飲料なしで単独で摂取したRCT論文を抽出。

 計741人が参加した29件のRCTを対象にメタ解析を実施し、4種類の人工甘味料(アスパルテーム、サッカリン、ステビオール配糖体、スクラロース)が血糖値に及ぼす影響について調べた。

 対象者のほとんどは健康な人で、2型糖尿病患者は69人、健康状態が不明だった人は150人だった。

 結果、人工甘味料を摂取しても血糖値にはベースライン時から上昇はみられず、人工甘味料は血糖値には影響しないことが分かった。

 また、4種類の人工甘味料の間で血糖値への影響に差はみられなかった。

 論文共著者の一人で同校食品栄養科学部のMaxwell Holle氏は、

「過去の研究の多くでは、他の食品と一緒に摂取した場合の人工甘味料の影響のみが検討されていた。

 今回の結果は、人工甘味料を単独で摂取した場合を検討しており、信頼性が高いと言えるだろう」と述べている。

 専門家の1人で米コロンビア大学のMaudene Nelson氏は、

「無糖」表示については誤解が多いと指摘する。

「たとえ砂糖が含まれていなくても、食品や飲料そのものには炭水化物や脂質、たんぱく質が含まれており、摂取すれば血糖値に影響する。

 カロリーもあるので体重にも影響を及ぼすことに気を配る必要がある」と話している。

 また、今回の解析には含まれなかった糖アルコールについて、

「(糖アルコールを)摂取し過ぎると、腹部膨満感や下痢の原因になることにも注意する必要がある」と同氏は付け加えている。

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膵がんリスク [医学・医療短信]

果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連

国立がん研究センターなどの研究グループは、約9万人のデータに基づき、果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連を検討。

膵がんの罹患リスクは果物摂取により低下し、野菜の摂取で上昇することが示された、と発表しました。

解析対象は45~74歳の男女9万185人。

138食品を含む食品摂取頻度調査を基に、果物(17品目)・野菜(29品目)の摂取量によって対象者を4群に分け、最少群を対照としてその他の群のがん罹患リスクを調べました。

16.9年間(中央値)の追跡期間中に、577人が膵がんと診断された。

全果物摂取量の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが26%低かった。

柑橘類(みかん、みかん以外の柑橘類、オレンジジュース)に限定した場合にも、ほぼ同様のリスク低下が認められた。

果物摂取と膵がん罹患リスク低下との関連は、非喫煙者でより明瞭だった。

一方、全野菜摂取の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが30%高かった。

ただ、アブラナ科野菜や緑黄色野菜など特定の種類に限定した場合、膵がん罹患リスクとの有意な関連は認められなかった。

また、全野菜摂取と膵がん罹患リスク上昇との関連は、喫煙者において有意だったが、非喫煙者では有意な関連は示されなかった。

果物や野菜の摂取によるがんの予防効果については、幾つかのがんで可能性が示されている。

しかし、膵がんに関しては、これまでに一定の研究結果が得られていない。

そこで研究グループは、日本人の生活習慣病予防と健康寿命延伸を目的に国内で実施されているJPHCのデータを用いて、果物・野菜の摂取量と膵がんの罹患リスクとの関連を検討した。

果物摂取と膵がんの罹患リスク低下との関連が認められた今回の結果について、研究グループは、

「果物に含まれるビタミンなどの抗酸化成分が、膵がんのリスク低下に関係しているのではないか」と考察。

一方で、野菜摂取にリスク上昇との関連が認められた点については、

「喫煙者でリスクの上昇が顕著になることから、野菜とたばこに含まれる成分との相互作用の可能性が考えられるが、明確な理由は分からない」とコメントしている。

その上で、

「今回の研究は、日本人が対象のものでは過去最大規模だが、症例数は必ずしも多くはない。日本人を含むアジア人における疫学研究は少ないため、さらなる研究の蓄積が必要だ」と今後の課題を示している。

食物繊維をとろう

さまざまな食材をバランスよく食べましょう。

なかでも便秘予防に役立つ食物繊維は重要。

食物繊維には2種類あり、ごぼうやいも類などに多い「不溶性食物繊維」は便のかさを増し、海藻類や雑穀などに多い「水溶性食物繊維」は便の滑りをよくします。

こうして便通がよくなっていると、腸内が掃除され、腸内環境が整うのです。

さらには、全粒穀物に含まれる食物繊維により、満腹感を長時間持続しやすくなり、摂取カロリーを抑えられる。全粒穀物は体重コントロールにも有利です。

発酵食品も強い味方

味噌、納豆、チーズをはじめ、有益な菌を含む発酵食品も、腸の健康に欠かせません。

なかでも手軽にとれるヨーグルトはおすすめで、目安量は毎日100g。

夕食後に食べると有益な菌が腸に長時間留まるので、より高い効果が期待できるようです。

ヨーグルトは商品によって入っている菌が異なります。

ドリンクやフルーツ入りなどのタイプもありますが、カロリーなどに気をつければ、基本的にどれを選んでもOK。体調や便の状態をチェックしながら、いろいろ試すのもいいでしょう。

食べる量も大切

食べる量が少ないと便の材料が不足して、スムーズに排便できなくなります。

その対策のためにもしっかり食べ、体に必要な成分を取り込みましょう。

食欲がないときは、具だくさんの味噌汁やスープ、ヨーグルトなどがおすすめです。

なお、お菓子やインスタント食品に含まれる添加物は、腸内細菌のバランスを崩すとも言われています。

できるだけ避けましょう。

 体を動かす

 ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、腸の動きを活性化し、排便を促します。体を動かせば、おなかがすき、おいしく食事ができるというメリットもあります。

監修:飯野久和昭和女子大教授 農学博士
(「みんなの健康ライブラリー」2017年3月掲載より)

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悪性黒色腫(メラノーマ) [医学・医療短信]

危険なほくろの見分け方

 医学的には色素性母斑や単純黒子などと呼ばれる「ほくろ」。

 メラニン色素を生み出すメラノサイトという細胞が集まってできたもので、良性の腫瘍に分類されます。

 生まれつきのものもありますが、後天的なものは小児期から思春期に増え、それ以降はあまり増えることはありません。

 女性の場合、ホルモン分泌の変化によって、妊娠中に増える人もみられます。

 しかし、形のおかしいほくろができた、前からあったものの一部の色が濃くなってきたなど、何かしら変化がみられたら、要注意です。

 皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」が疑われる場合があります。

 メラノサイト(色素細胞)が「がん化」する

 皮膚は、表皮(角質層、顆粒層、有棘層、基底層)、真皮、皮下組織と、何層もの組織でできています。

 メラノーマは、表皮の基底層にあるメラノサイトが、がん化したものです。

 メラノサイトがあれば、全身のどこでも発症する可能性があり、ときにはまぶたや鼻腔、唇、口腔などにできることも。

 また、進行が速いものでは、肺や肝臓、骨、リンパ節などに転移することも少なくないのです。

 メラノーマの4つのタイプ

 メラノーマは、できやすい部位や形状などによって、主に四つのタイプに分けられます。
 
 1.末端黒子型

 日本人に最も多いタイプ/足の裏や手のひら、手足の爪などにできやすい/褐色・黒褐色の小さなシミが広がっていき黒くなる/潰瘍ができることもある/爪にできる場合、黒褐色のスジが縦に入り、広がっていく

 2.表在拡大型

 メラニン色素の少ない白色人種に多いタイプ/胸、腹、背中などの体幹や、四肢のどこにでも発症する/小さなシミが、徐々に濃くなり、盛り上がっていく

 3.結節型

 部位を問わず発生する/進行が速く転移しやすいため、メラノーマの中で最も悪性度の高いタイプ/突然ほくろのような黒い盛り上がりができ、それが徐々に大きくなっていく

 4.悪性黒子型

 高齢者に多い/日光にさらされている顔に発生しやすく、首や手の甲などにできることもある/褐色・黒褐色のシミが濃くなりながら徐々に大きくなる/しこりやこぶになることもある/紫外線と外的刺激が発症要因に

 メラノーマの罹患率は、高齢になるほど上がります。

 これは紫外線の影響で、高齢者ほど紫外線を浴びてきた期間が長くなるためだと考えられています。 
 日焼け止めの使用で、メラノーマの発生率が下がるという報告もあります。

 一方、日本人は足の裏など紫外線の影響を受けにくい部位の発症が多く、体重がかかったり、衣類でこすれるなどの刺激も要因のひとつと考えられています。

 転移、再発に注意が必要

 治療の基本は切除手術です。

 再発防止のため、がんの縁から1~2cm程度の範囲を切除します。

 また、切除した部位や範囲によって、皮膚の一部を移植することもあります。

 なお、メラノーマはリンパ節に転移しやすい疾患のため、手術の際に「センチネルリンパ節生検」が行われます。

 近年の研究で、がん細胞が一番初めに到達するセンチネルリンパ節に転移が認められなければ、転移の心配はほとんどないことがわかったためです。

 しかし、なかには術後の早い時期に再発や転移がみられることあり、経過観察を続けることが必要となります。

 また、抗がん剤による化学療法や放射線治療は、あまり有効性が高くないと考えられています。

 ほかに、ニボルマブ、イピリムマブなどNKT細胞を利用した免疫療法などがありますが、その効果は一定していません。

 このようなことからも、メラノーマは早期発見が非常に大切だといえるでしょう。

 メラノーマを見逃さないために

 メラノーマは、良性のほくろやシミとの違いがわかりづらく、見逃されやすいといえます。

 しかし、注意深く観察すれば、自分でも発見できる「がん」なのです。

 メラノーマは大きさや形状などが次第に変化していくので、1年に1回は全身のチェックをしましょう。

 頭や背中など自分で見えない部分は、家族や身近な人と確認し合うことをおすすめします。

 【早期発見しやすい特徴】

 今までなかった場所にできた/足の裏や手のひらでは直径が7mm以上ある(直径の目安は6mm以上など諸説あります)/色にムラがある/輪郭がギザギザしている、にじみ出たようになっている/形が左右非対称である/爪に褐色または黒褐色の細い縦のスジ(色素線条)が入っている

 【1~2年の間に変化して見られる特徴】

 色=薄い褐色から濃い黒に変化する/色に濃淡が出てくる/一部の色が抜けてまだらになる
 大きさ=明らかに大きくなっている(1年以内の短期間で大きくなるものは特に注意が必要)/形=輪郭がギザギザしたり、左右非対称になってくる/輪郭の一部から色が染み出して見える/一部が盛り上がったりしこりができる

 かたさ=一部または全部がかたくなってくる(通常、ほくろのかたさは均一)
□爪=縦のスジの色が濃くなってくる/スジの幅が広くなってくる/爪が割れたり、爪の生え際に色が染み出したりする

 早期発見のためにも、チェックポイントに当てはまるようなほくろやシミを見つけたら、速やかに皮膚科を受診してください。

 大きさの変化などを確認するには、写真を保存しておくと比較しやすいでしょう。

 受診の際は、いつごろ現れたのか、変化に気づいた時期などを可能な限り医師に伝えるようにします。

 外的な刺激もメラノーマの発生要因になると考えられているので、ほくろやシミを気にして頻繁にさわったり、傷つけたりすることはやめましょう。

 ダーモスコピー検査と皮膚生検

 「ダーモスコピー」は、患部を拡大して観察する医療機器で、メラノーマの診察に用いられます。

 専門医でも見分けのつきにくいほくろやシミの状態を、より詳しく観察できるため、早期発見に役立ちます。

 それでも診断がつかない場合、患部を慎重に採取して顕微鏡でさらに詳しく調べる「皮膚生検」を行うこともあります。

 ただし、皮膚科専門医であってもダーモスコピー検査を行っていない場合もあるので、事前に確認してから受診するとよいでしょう。

 監修:関東中央病院皮膚科特別顧問 日野治子
 (「みんなの健康ライブラリー」2018年11月掲載より)

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睡眠時間と脱水 [医学・医療短信]

睡眠時間が短いと脱水リスク上昇

 睡眠時間が短いと脱水になるリスクが高くなる。

米・Pennsylvania State UniversityのAsher Y. Rosinger氏らは、米国人と中国人を対象に睡眠時間と脱水リスクについて検討した結果、一晩の睡眠時間が8時間の人に比べて6時間の人では脱水になるリスクが6割上昇すると「Sleep」オンライン版)で報告した。

バソプレシンの分泌を逃す

 短時間または長時間の睡眠は腎機能の低下に関連するとされているが、睡眠と脱水の関連についてはほとんど研究が行われていない。

 そこでRosinger氏らは、米国人と中国人を対象に睡眠が体内水分量と脱水リスクに与える影響を検討した。

 米国民保健栄養調査(NHANES)に参加した米国人1万4,239例(2007~08年:4,680例、2009~12年:9,559例)とKailuan Studyに参加した中国人1万1,903例を対象に、睡眠時間と体内水分量のバイオマーカー(尿比重と尿浸透圧)との関係を検討した。

 尿比重が1.020 g/mL超、尿浸透圧は831mOsm/kg超の場合を不適切な体内水分量と定義した。

 糖尿病患者と利尿薬服用者を除外し、より健康的なサブグループ(米国人1万1,353例、中国人8,766例)を対象に解析を行った。

 米国人の解析では、睡眠時間が8時間の群に比べて6時間の群では尿比重が有意に上昇し、体内水分量が不適切になるリスクが59%上昇していた(調整後オッズ比1.59、95%CI 1.25~2.03)。

 中国人の解析では、8時間睡眠群に比べて6時間以下の睡眠群で尿比重が上昇し、体内水分量が不適切になる傾向が認められた(8時間睡眠群に対する6時間睡眠群の調整後オッズ比1.42、95%CI 1.26~1.60)。

 9時間以上の睡眠と体内水分量に関連は認められなかった。

 同氏は「体内水分量を調整する抗利尿ホルモンのバソプレシンは終日分泌されているが、睡眠サイクルの後半に短時間でより多量に分泌される。

 そのため夜間の睡眠時間が短いと、バソプレシンがより多く分泌されるタイミングを逃してしまう可能性がある」と指摘する。

 脱水は認知、気分、体力など多くの身体システムと機能に負の影響を及ぼし、長期または慢性の脱水は尿路感染症や腎結石などのリスクを高める可能性がある。

 同氏は、

 「夜間に6時間しか寝ていない人では脱水リスクが上昇する可能性がある。十分な睡眠時間が確保できなかった日の翌日に体調不良または疲労を感じた場合は、水分を多く摂取することが重要だ」とアドバイスしている。

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歯の本数と睡眠時間 [医学・医療短信]

歯の本数が少ないと適切な睡眠時間を保てない?

 現在の歯の本数が少ない高齢者は、歯の本数が多い人に比べて短時間睡眠や長時間睡眠になるリスクが高い可能性があることが、東北大学大学院国際歯科保健学分野の小山史穂子氏(現・大阪国際がんセンターがん対策センター)の検討で分かった。

 詳細は「Sleep Medicine」オンライン版に掲載された。

 適切な睡眠時間を保つことは健康維持に重要であるが、これまでの研究で睡眠時間は長すぎても短すぎても死亡率の上昇など健康問題につながることが示されている。

 一方、歯の本数が少ない人はかみ合わせが不安定になり、下の顎(あご)が上方に回転して気道を狭め、睡眠時の呼吸を妨げる可能性があることが指摘されている。

 そこで、小山氏らは今回、日本人の高齢者を対象に、歯の本数と睡眠時間の長さの関連を調べる横断研究を実施した。

 この研究は、65歳以上を対象に実施した日本老年学的評価研究(JAGESプロジェクト)の2010年度調査データを用いたもの。

 睡眠時間に関する質問については、ランダムに抽出した2万3444人のうち2万548人(平均年齢73.7歳)から回答が得られた。

 解析では、7時間の睡眠時間を基準として現在の歯の本数と短時間睡眠(4時間以下)あるいは長時間睡眠(10時間以上)との関連を調べた。

 結果、歯が20本以上の高齢者では、短時間睡眠の割合は2.3%(160人)、長時間睡眠の割合は2.8%(195人)だったのに対し、歯が少ない高齢者ではそれぞれ3.3%(100人)、9.0%(272人)といずれも割合が高いことが分かった。

 また、性や年齢などの関連因子で調整して統計解析したところ、歯の本数と睡眠時間はU字型の関連を示し、歯が20本以上の高齢者に比べて歯が少ない人では短時間睡眠であるリスクは1.4倍、長時間睡眠であるリスクは1.8倍であることが明らかになった。

 さらに、歯の本数が1~9本の人でも短時間睡眠のリスクは1.3倍、長時間睡眠のリスクは1.5倍であった。

 以上の結果を踏まえ、小山氏らは「歯が20本以上ある高齢者に比べて、10本未満と少ない高齢者では短時間睡眠や長時間睡眠になりやすい可能性がある。

 高齢になっても歯の健康を保ち、数多くの歯を保持することが適切な睡眠時間を取り続けることにつながると考えられる」と結論づけている。

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運動不足による疾患 [医学・医療短信]

 数千人、数万人規模を長年追跡
世界の成人14億人に運動不足による疾患リスク

 世界で成人の4人に1人が運動不足による疾患リスクに直面しているとみられることが、世界保健機関(WHO)の研究チームの調査で明らかになった。

 14億人を超える成人が座りがちな生活による運動不足が原因で、心疾患や糖尿病、認知症、一部のがんを発症しやすい状態にあるという。

 詳細は医学専門紙「The Lancet Global Health」オンライン版に掲載された。

 WHO非感染性疾患予防部門のRegina Guthold氏らは今回、世界168カ国、計190万人の18歳以上の成人を対象に実施された358件の調査データを用いて、国や地域別の運動不足の人の割合について分析を行った。

 結果、2016年には世界の女性の約3人に1人(31.7%)、男性の4人に1人(23.4%)が推奨される身体活動レベル(中強度運動を週に150分以上または高強度運動を週に75分以上)に達していないことが分かった。

 また、東アジアと東南アジアを除く全ての地域で、女性は男性に比べて運動量が少ないことも明らかになった。

 そのほか、高所得国では、2001年から16年にかけて運動不足の成人の割合は約5ポイント増加し36.8%に達したのに対し、東アジアや東南アジアといった低所得国では0.2ポイント増の16.2%にとどまっていた。

 この結果について、Guthold氏らは、高所得国ではデスクワークなどで座りがちな仕事が増えたことや、車社会の発達で運動不足が加速しているのではとの見方を示している。

 これらの結果を踏まえ、Guthold氏らは「自転車や徒歩で通勤したり、積極的にスポーツを楽しめるようなインフラ整備を国レベルで進めることが重要だ」と指摘している。

 論文の共著者でWHO同部門のFiona Bull氏は、こうした取り組みにおいては、特に女性が運動できる環境を整備して、運動量の男女差を解消することが不可欠だと付け加えている。

 この研究論文の付随論評を執筆したシドニー大学(オーストラリア)のMelody Ding氏によれば、一部の国や地域では女性が運動するのを妨げる社会的、文化的な障壁があり、例えば、女性の活動が著しく制限されるサウジアラビアやイラクでは、成人の約半数が運動不足であると推計されるという。


 同氏はまた、「今回の調査では低所得国よりも高所得国で運動不足の蔓延(まんえん)が深刻化しているという結果が得られたが、運動不足に関連する疾患の負荷は低中所得の国でより大きいことにも注意が必要だ」と話している。
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筋トレと心臓 [健康短信]

週60分までの筋トレが心臓の健康に良い?

 筋力トレーニングなどのレジスタンス運動を週に60分まで行うと、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが有意に低下する可能性があることが、米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究で示された。

 一方で、レジスタンス運動を週に60分以上行っても、これらの心血管疾患(CVD)リスクのさらなる低下はみられないことも分かった。

 詳細は「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版に発表された。

 Lee氏らは、レジスタンス運動による健康効果に着目。

 すでに、レジスタンス運動を週に60分まで行うと脂質異常症やメタボリック症候群になるリスクが低下することを報告している。
 
 そこで今回、同氏らはレジスタンス運動の心血管系への影響を調べるため、1987~2006年に2回以上診察を受けた男女1万2591人(平均年齢47歳)を対象に、平均で5.4年および10.5年間の追跡調査を実施した。

 その結果、週に1~3回または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、CVDイベントの発生リスクが40~70%低いことが分かった。

 レジスタンス運動によるこれらのベネフィットは、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動とは独立していた。

 一方、レジスタンス運動をより頻回(週に4回以上)あるいは週に60分以上行ってもCVDリスクはこれ以上低下しなかった。

 Lee氏によれば、これまで筋力トレーニングはスポーツ選手が行うものと考えられ、心血管系への効果についてはあまり検討されていなかった。

 同氏は「ランニングなどの有酸素運動が心血管系に良い影響を与えることは知られていた。

 この結果から、筋力トレーニングにも同様のベネフィットがあることが明らかになった」と述べている。
 
 研究には関与していない、米マウントサイナイ・リバーサイド医療グループのAlon Gitig氏も、

 「筋力トレーニングには見た目をよくするだけではなく、健康へのベネフィットがあるのは明らかで、心血管の状態にも直接影響するようだ」と評価している。

 また、Lee氏は、この研究では、レジスタンス運動の心臓へのベネフィットはBMIが変わらなくても認められたことを指摘。

 その上で、

「運動の健康効果は減量に伴うものだと考えられてきたが、そうではないことが示された」と話している。

 ただし、今回の研究は、筋力トレーニングを行うと心筋梗塞や脳卒中を防げることが証明されたわけではない。

 Gitig氏は「参加者の多くは白人男性で、自ら医療機関を受診した人が多かったため、より健康的だった可能性がある」として、結果の解釈には慎重になるべきだとの考えを述べている。

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玄米効果 [健康短信]

心臓疾患防止

食事で玄米や全粒粉を増やすと、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症を減らせることが、ハーバード大学公衆衛生大学院が約13万人を24年間追跡した研究で明らかになりました。

バターやチーズ、赤身の肉、ベーコンやハムなど、動物性の脂に多く含まれる飽和脂肪酸は、体内で悪玉のLDLコレステロールを増やす作用があります。

しかし、減らした分のカロリーを何で補うかで、心臓疾患のリスクは変わってきます。

「心臓疾患を予防するために勧められるのは、多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸、精製されていない全粒粉などの炭水化物です」

と、ハーバード大学公衆衛生大学院のフランクフー教授(栄養疫学)は話しています。

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慢性腰痛 [健康短信]

慢性腰痛は精神的なストレス

体の異常がないのに痛みが3ヵ月以上続く「慢性腰痛」は、精神的なストレスが原因であることが多く、ウォーキングやストレッチなどが予防や再発に効果的です。

東京大学医学部附属病院22世紀医療センターの調査によると、

多くの人が、

「仕事に対する満足度が低い」

「上司のサポート不足」

「週労働時間が60時間以上」

「日常生活や仕事に支障をきたした経験のある人が家族にいる」

 といった問題を抱えていることが判明しました。

「前かがみの姿勢、座位での猫背、腰を反らした状態が続くと、腰への負担が増し、それが引き金になって痛みや違和感を生じやすくなる」ということです。

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減量には朝食? [医学・医療短信]

「減量には朝食が必須」は嘘?

 一般的に朝食を取ることは体重管理で重要だと考えられているが、日常的な朝食の摂取が減量を促すことを支持するエビデンスはない、とのメタ解析結果が明らかになった。

 オーストラリア・Monash UniversityのKatherine Sievert氏らがBMJ(British Medical Journal 2019; 364: l42)に発表した。

 体重の差わずか0.44㎏

 これまで、複数の研究から朝食の摂取は体重管理に役立つことが示されていた。

 しかし、そのほとんどが観察研究で、日常的な朝食摂取以外の健康的な生活習慣や食品選択などが結果に影響している可能性は否定できなかった。

 そこで今回Sievert氏らは、日常的な朝食摂取が体重およびエネルギー摂取に及ぼす影響について検討するため、システマチックレビューとメタ解析を実施した。

 同氏らは、PubMedなどから1990年1月~2018年1月に発表された、朝食が体重またはエネルギー摂取に及ぼす影響について検討したランダム化比較試験(RCT)に関する文献を検索した他、icalTrials.govなどを用いて2018年10月時点で論文化されていないRCTおよび進行中のRCTを検索した。

 注=PubMed(パブメド)は生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載する MEDLINEなどへの無料検索エンジンである。 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立 医学図書館(NLM)が情報検索Entrezシステムの一部としてデータベースを運用して いる。

 メタ解析には13件のRCTを組み入れた。

 このうち7件で朝食が体重の変化に及ぼす影響が、10件では朝食がエネルギー摂取に及ぼす影響が検討されていた。

 解析の結果、日常的に朝食を抜いた被験者は朝食を摂取した被験者よりも体重減少がわずかに多かった(平均差0.44kg、95%CI 0.07~0.82kg)。

 ただし、試験結果の間に非一貫性が認められた(I2=43%)。

 また、朝食摂取群では朝食抜き群と比べて1日当たりのエネルギー摂取量が多かった(平均差259.79kcal/日、95%CI 78.87~440.71kcal/日)。

 ただし、これらの試験結果の間にも大きな非一貫性が認められた(I2=80%)。

 成人の減量では逆効果となる可能性も

 その他、これまで1日の早い時間帯に食べた方がカロリーは消費されやすく、遅い時間帯の食べ過ぎを防げると考えられてきたが、今回のメタ解析では、朝食を取る人と朝食抜きの人でエネルギー代謝率に差は認められなかった。

 さらに一般的な考えに反し、朝食を抜くことと午後の空腹感の増強に関連は認められなかったという。

 ただし、今回のメタ解析に組み入れられたRCTは全てバイアスのリスクが高く、追跡期間が短かった(平均追跡期間は体重への影響を検討したRCTで7週間、エネルギー摂取への影響を検討したRCTで2週間)。

 以上の結果から、Sievert氏らは「組み込まれた大半のRCTの質が低かったため、解析結果は慎重に解釈する必要がある」と強調。

 その上で、「現在のエビデンスに基づけば、朝食摂取が優れた減量戦略とは言い難い」と指摘した。

「体重管理において、日常的な朝食摂取に減量以外の重要な効果がある可能性は否定できないものの、成人に減量のために朝食を取るよう勧める際には、逆効果となる可能性もあるため注意が必要だ」と結論している。

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