減量には朝食? [医学・医療短信]
「減量には朝食が必須」は嘘?
一般的に朝食を取ることは体重管理で重要だと考えられているが、日常的な朝食の摂取が減量を促すことを支持するエビデンスはない、とのメタ解析結果が明らかになった。
オーストラリア・Monash UniversityのKatherine Sievert氏らがBMJ(British Medical Journal 2019; 364: l42)に発表した。
体重の差わずか0.44㎏
これまで、複数の研究から朝食の摂取は体重管理に役立つことが示されていた。
しかし、そのほとんどが観察研究で、日常的な朝食摂取以外の健康的な生活習慣や食品選択などが結果に影響している可能性は否定できなかった。
そこで今回Sievert氏らは、日常的な朝食摂取が体重およびエネルギー摂取に及ぼす影響について検討するため、システマチックレビューとメタ解析を実施した。
同氏らは、PubMedなどから1990年1月~2018年1月に発表された、朝食が体重またはエネルギー摂取に及ぼす影響について検討したランダム化比較試験(RCT)に関する文献を検索した他、icalTrials.govなどを用いて2018年10月時点で論文化されていないRCTおよび進行中のRCTを検索した。
注=PubMed(パブメド)は生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載する MEDLINEなどへの無料検索エンジンである。 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立 医学図書館(NLM)が情報検索Entrezシステムの一部としてデータベースを運用して いる。
メタ解析には13件のRCTを組み入れた。
このうち7件で朝食が体重の変化に及ぼす影響が、10件では朝食がエネルギー摂取に及ぼす影響が検討されていた。
解析の結果、日常的に朝食を抜いた被験者は朝食を摂取した被験者よりも体重減少がわずかに多かった(平均差0.44kg、95%CI 0.07~0.82kg)。
ただし、試験結果の間に非一貫性が認められた(I2=43%)。
また、朝食摂取群では朝食抜き群と比べて1日当たりのエネルギー摂取量が多かった(平均差259.79kcal/日、95%CI 78.87~440.71kcal/日)。
ただし、これらの試験結果の間にも大きな非一貫性が認められた(I2=80%)。
成人の減量では逆効果となる可能性も
その他、これまで1日の早い時間帯に食べた方がカロリーは消費されやすく、遅い時間帯の食べ過ぎを防げると考えられてきたが、今回のメタ解析では、朝食を取る人と朝食抜きの人でエネルギー代謝率に差は認められなかった。
さらに一般的な考えに反し、朝食を抜くことと午後の空腹感の増強に関連は認められなかったという。
ただし、今回のメタ解析に組み入れられたRCTは全てバイアスのリスクが高く、追跡期間が短かった(平均追跡期間は体重への影響を検討したRCTで7週間、エネルギー摂取への影響を検討したRCTで2週間)。
以上の結果から、Sievert氏らは「組み込まれた大半のRCTの質が低かったため、解析結果は慎重に解釈する必要がある」と強調。
その上で、「現在のエビデンスに基づけば、朝食摂取が優れた減量戦略とは言い難い」と指摘した。
「体重管理において、日常的な朝食摂取に減量以外の重要な効果がある可能性は否定できないものの、成人に減量のために朝食を取るよう勧める際には、逆効果となる可能性もあるため注意が必要だ」と結論している。
一般的に朝食を取ることは体重管理で重要だと考えられているが、日常的な朝食の摂取が減量を促すことを支持するエビデンスはない、とのメタ解析結果が明らかになった。
オーストラリア・Monash UniversityのKatherine Sievert氏らがBMJ(British Medical Journal 2019; 364: l42)に発表した。
体重の差わずか0.44㎏
これまで、複数の研究から朝食の摂取は体重管理に役立つことが示されていた。
しかし、そのほとんどが観察研究で、日常的な朝食摂取以外の健康的な生活習慣や食品選択などが結果に影響している可能性は否定できなかった。
そこで今回Sievert氏らは、日常的な朝食摂取が体重およびエネルギー摂取に及ぼす影響について検討するため、システマチックレビューとメタ解析を実施した。
同氏らは、PubMedなどから1990年1月~2018年1月に発表された、朝食が体重またはエネルギー摂取に及ぼす影響について検討したランダム化比較試験(RCT)に関する文献を検索した他、icalTrials.govなどを用いて2018年10月時点で論文化されていないRCTおよび進行中のRCTを検索した。
注=PubMed(パブメド)は生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載する MEDLINEなどへの無料検索エンジンである。 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立 医学図書館(NLM)が情報検索Entrezシステムの一部としてデータベースを運用して いる。
メタ解析には13件のRCTを組み入れた。
このうち7件で朝食が体重の変化に及ぼす影響が、10件では朝食がエネルギー摂取に及ぼす影響が検討されていた。
解析の結果、日常的に朝食を抜いた被験者は朝食を摂取した被験者よりも体重減少がわずかに多かった(平均差0.44kg、95%CI 0.07~0.82kg)。
ただし、試験結果の間に非一貫性が認められた(I2=43%)。
また、朝食摂取群では朝食抜き群と比べて1日当たりのエネルギー摂取量が多かった(平均差259.79kcal/日、95%CI 78.87~440.71kcal/日)。
ただし、これらの試験結果の間にも大きな非一貫性が認められた(I2=80%)。
成人の減量では逆効果となる可能性も
その他、これまで1日の早い時間帯に食べた方がカロリーは消費されやすく、遅い時間帯の食べ過ぎを防げると考えられてきたが、今回のメタ解析では、朝食を取る人と朝食抜きの人でエネルギー代謝率に差は認められなかった。
さらに一般的な考えに反し、朝食を抜くことと午後の空腹感の増強に関連は認められなかったという。
ただし、今回のメタ解析に組み入れられたRCTは全てバイアスのリスクが高く、追跡期間が短かった(平均追跡期間は体重への影響を検討したRCTで7週間、エネルギー摂取への影響を検討したRCTで2週間)。
以上の結果から、Sievert氏らは「組み込まれた大半のRCTの質が低かったため、解析結果は慎重に解釈する必要がある」と強調。
その上で、「現在のエビデンスに基づけば、朝食摂取が優れた減量戦略とは言い難い」と指摘した。
「体重管理において、日常的な朝食摂取に減量以外の重要な効果がある可能性は否定できないものの、成人に減量のために朝食を取るよう勧める際には、逆効果となる可能性もあるため注意が必要だ」と結論している。
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