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冬こそダイエット! [医学・医療短信]

「寒い冬こそダイエット!」なぜ効果的なのか
石蔵文信 / 大阪大学招へい教授

 肥満でダイエットをがんばっている患者さんがいる。

 寒くなってきたのに、半袖Tシャツと半ズボンといういで立ちで診察に来る。

 本人は夏も冬も同じ服装で、別に寒くはないらしい。

 むしろ夏は汗をかいてきついという。

 私が留学していた米国ミネソタ州には肥満の人が多く、結構寒い時でも半袖で歩いている人が多かった。

 おそらく皮下脂肪がコート代わりになって寒さを感じないのだろう。

 逆に夏の暑さには弱く、エアコンで室内をがんがん冷やすので、夏の間彼らと一緒にいると薄着の私は寒さで震えたものだった。

「夏はやせる」は昔の話?

 肥満の人は夏には大汗をかくのでやせる、と思われがちだが、実は案外冬の方がやせやすい。

 私の患者さんも冬は自然と数キロやせるが、夏にはかえって太るという。

 なぜだろうか。

 夏に体重が増えるのを夏太りという。
 
 今や夏やせは死語になりつつある。

 夏やせはエアコンがなかった時代、暑さのために食欲が落ち、食べないことでやせる状態を指していた。

 十分に栄養が取れず、水分やミネラル補給もできなければ熱中症などで命に危険が及ぶ。

 昔は栄養状態の悪い高齢者や乳幼児が夏場に亡くなることが多かった。

 そのため、夏には栄養のあるものを食べようと、江戸時代の発明家、平賀源内が提唱して、ウナギのかば焼きを食べる土用の丑(うし)が定着したともいわれている。

 現代はエアコンで室温を管理できるので、高温で食欲がなくなるのは外出の後ぐらいだろう。

 しかし、栄養のあるものを食べないと夏バテになるという意識から、しっかり食べるだけでなく、脱水予防のためにカロリーのあるスポーツドリンクなどをガブ飲みすることも多い。

 そうなるとやせるどころか逆に体重が増えても不思議ではない。

 また、夏の気温は私たちの体温に近いので、体温維持などの基礎代謝が落ちる。

 これも夏太りの原因だ。

 汗をかくからカロリーを消費しているように感じるが、汗は主にクールダウンなど体温調節の役割を持つので、エネルギー消費量はわずかだ。

 寒さに震えるとブドウ糖と脂肪が燃える

 では冬はというと、夏と違って外気温と体温に大きな差があり、基礎代謝が上がる。

 ブドウ糖だけで体温を維持するのに足りない時は脂肪も使うので、ダイエットにはもってこいの季節である。

 やせている人は体脂肪が少ないので、体温を維持しにくく体温を上げにくい。

 だから「やせている人は寒さに弱い」は正しい。

 消費されたブドウ糖や脂肪は熱になり、残りかすはガソリンなどの燃料と同じく二酸化炭素と水になる。

 二酸化炭素は肺から、水は腎臓から排出される。

 そのため冬は尿の回数が増える。

 特に寒いところに長くいると、水分を飲んでいないのに尿がよく出るのはこのメカニズムからだ。

 冬も半袖、短パン姿の冒頭の患者さんの体内では脂肪がたくさん燃えているはずだから、ダイエット効果は確かにあるだろう。

 ただし、夏と同様にエアコンで部屋を快適な室温にして過ごしたり、防寒服で暖かくして外出したりすると基礎代謝は下がり、ダイエット効果も減る。

 そこで、冬は室温を少し低めに設定し、なるべく薄着で過ごすと基礎代謝が上がり、ダイエット効果が上がる。

 その時、尿の回数と量が増えれば代謝が盛んになっている証拠なので、目安にしてほしい。

 ただし、夜寝る時に同じことをすると体温が下がり、冬山遭難と同じような低体温症になる恐れがある。

 夜はしっかり部屋を暖めて布団に入ろう。

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