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「酒は百薬の長」の虚実 [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(24)  

「酒は百薬の長」の虚実

酒に関する名言、格言の類を集めたものを走り読みして気になったことがある。

それは日本人にはどうも否定的な酒観?の持ち主が多いようだということだ。

なにかよほど酒にひどい目に合わされたのか、恨みつらみが言外ににじみ出ている感じなのだ。

例を挙げるとこんなふうである。
「一杯は人、酒を飲み、二杯は酒、酒を飲み、三杯は酒、人を飲む」(千利休)

「好んで酒を飲むべからず。固辞しがたくとも微醺(びくん)にして止むべし」(松尾芭蕉)

「酒を多く飲んで飯を少なく食う人は命短し」(貝原益軒)

「百薬の長とはいえど、万の病は酒よりこそ起これ」(吉田兼好)

ただ、一方にはこんな人もいる。

将棋の升田幸三さんの生前、面接取材した際、医者にかかっても薬はめったに飲んだことがないとおっしゃる。

「どうしてですか?」

「医者がくれるのは一薬だが、わしは毎日、百薬の長を飲んどる」
大いに笑わせてもらったが、適量の酒はまさにしかり、である。

「酒の十徳」を挙げてみよう。

①気持ちのイライラを鎮め、心を安らかにする精神安定剤。

②憂うつな気分を浮き立たせ、心を陽気にする抗うつ剤。

③胃液の分泌を促す食欲亢進剤。

④眠りを誘う催眠剤。

⑤善玉コレステロールのHDLを増やし動脈硬化を防ぐ心臓病の予防薬。

⑥血圧を下げる降圧剤。

⑦尿の出をよくし、尿路結石を防ぐ利尿剤。

⑧発汗を促し風邪を治す解熱剤(例=たまご酒)。

⑨脳を刺激し意識を回復させる気付け薬。

⑩セックスをつよくする催淫剤。

まさに百薬の長、これほど多彩な薬理作用をもつ薬はほかにはないだろう。

急いでヤボなつけたしをするが、こうした酒の薬効は、適量を守ったときにのみ得られる。

飲み過ぎると逆効果、命取りになりかねない。

適量とはどれくらいか?

「1日1単位」、多くても「2単位」が限度と、心臓病や肝臓病の専門医は異口同音に注意している。

1単位(純アルコール換算20g)は、ビール=中びん1本、日本酒=1合、ウイスキー=ダブル1杯、焼酎=0.6合、ワイン=1/4本、缶チューハイ=1.5缶といったところ。

適量の酒が、心臓病、脳梗塞のリスクを有意に下げることは、世界各地で行われたさまざまな疫学調査によって実証されている。

だが、だからといって、もともと酒に弱い人が無理して飲むのはNG、バカげている。

酒(アルコール)は、体に入ると肝臓で分解処理される。

そのさい必要な酵素が3種類あるのだが、日本人などモンゴロイト(黄色人種)の約40%は、そのなかの1種類ALDH2の活性が弱いか、欠けている。

そのため少量のアルコールでも悪酔いしやすい。酒に強いか、弱いかは、これで決まる。

酒をすこし飲んだだけで、たちまち顔が赤くなり、胸がドキドキする人は、ALDH2が欠損していると考えてマチガイない。
そういう人は、たとえ社長命令でも一気飲みなんて絶対やってはいけない。

「酔いに十の損あり」と古人も教えている。

─てな、わけで、「酒は百薬の長」は、ホントであり、ウソでもある。

このようにまったく一筋縄ではいかないのが、酒の酒たるところだろう。
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