茶腹も一時の効用 [健康常識ウソ・ホント]
健康常識ウソ・ホント(22)
茶腹も一時の効用
昼近く、あるいは夕方近く、小腹が空くことがある。
めしにするには少し時間が早すぎる。
「茶腹も一時(いっとき)、お茶でも飲んでしのいでおこうか」
てなことを、むかしの人は言ったらしい。
いや、いまの人だって言ってるのではないか? おれが聞かないだけで―。
ともあれ、字引きを見てみよう。
「茶腹も一時 茶だけでも飲めば、一時は空腹をしのぐことができる。わずかばかりのものでも一時しのぎになる。」(『広辞苑』)
『ことわざ辞典』には、
「【参考】湯腹も一時 松の木柱も三年」とある。
「腐りやすい松の木の柱でも三年くらいはもつということから、どんなものでも役に立つというたとえ」だそう。なるほど。
茶の話に戻る。
「お茶は薬」といわれるほど、茶にはさまざまな効能がある。
だが、淹(い)れ方、飲み方を間違えると、せっかくの薬理作用が裏目にはたらいてしまう。
緑茶のさわやかな渋みをつくるのは、タンニンの仲間のカテキンという化学成分だ。
殺菌力があり、血管を収縮させたり、体液の分泌を抑えたりする収斂(しゅうれん)作用がある。
また、お茶やコーヒーに多く含まれるカフェインには疲労回復の作用もある。
しかし、胃の中に何も入ってないときの高濃度のカテキンやカフェインは、胃壁を荒らす。
「茶腹」に濃い茶を用いるのは禁物だ。
カテキンは、湯の温度が高いほど溶け出しやすい。
あまり熱い湯で淹れると、カテキンがどっさり溶け出て、収斂作用がきつくなり、胃液の分泌を妨げる。
消化不良を起こし、便秘になったりもする。
「宵越しの茶は飲むな」といわれるのも、理由は同じ。
前夜の飲み残しのお茶をそのままにしておくと、水分の中にカテキンがいっぱい溶け出す。
朝、そこへ湯を注ぎ足したものは、カテキンの濃縮液のようなものだ。
お茶を普通に淹れたとき、湯に溶け出すカテキンやカフェインの濃度は0.1%ほど。
これくらいのカテキンやカフェインは、胃壁を保護して、胃炎や胃潰瘍を防ぐ効果もあるという。
つまり、お茶は淹れ方しだいで毒にも薬にもなるわけだ。
とくに玉露のような上等のお茶には、熱い湯は合わない。
玉露のとろりとしたうま味は、テアニンなどアミノ酸の味なのだが、お茶のアミノ酸類は、低い温度のほうが溶けだしやすい。
だからいいお茶は、60度ぐらいのぬるめの湯でゆっくり出すのが、おいしく飲むこつだ。
一方、番茶などにはアミノ酸が少ない。
うま味より渋味が売り物だから熱い湯でさっと淹れるのが、よい。
緑茶には、紅茶にはほとんど入ってないビタミンCが豊富に含まれている。
お茶1杯(200CC)のビタミンCの量は、番茶4㎎、煎茶8㎎、玉露20㍉㌘。
これはビタミンCの代名詞になっているレモン(1個中に45㍉㌘)にもヒケをとらない。
ただ、お茶の葉から湯へ溶け出すビタミンCは、1回目で70%、2回目で残りの30%。
3回目からはビタミンCのない出がらしとなる。
ところで、風邪の季節にぜひお勧めしたいのは「お茶のうがい」だ。
外出から帰ったときや、夜寝る前など、1日3~4回(多ければ多いほどよい)、生ぬるい緑茶か紅茶で、のどの奥までよく洗うようなうがいをすれば風邪をひかない。インフルエンザも防ぐ。
これは緑茶や紅茶に含まれるカテキンの仲間のエピガロカテキンガレートという物質が、生体の細胞に取りつくウイルスの働きを妨げるためである。
島村忠勝・昭和大学医学部教授(細菌学=現・名誉教授)が発見、実証した。
食中毒の季節には、食後のお茶を忘れてはならない。
やはり島村教授の実験では、緑茶1mlで1万個の0157を死滅させるという。
たくさん飲む必要はない。
湯のみ茶碗1杯に100mlは入る。食後1杯のお茶を飲むだけでじゅうぶんだそうだ。
茶腹も一時の効用
昼近く、あるいは夕方近く、小腹が空くことがある。
めしにするには少し時間が早すぎる。
「茶腹も一時(いっとき)、お茶でも飲んでしのいでおこうか」
てなことを、むかしの人は言ったらしい。
いや、いまの人だって言ってるのではないか? おれが聞かないだけで―。
ともあれ、字引きを見てみよう。
「茶腹も一時 茶だけでも飲めば、一時は空腹をしのぐことができる。わずかばかりのものでも一時しのぎになる。」(『広辞苑』)
『ことわざ辞典』には、
「【参考】湯腹も一時 松の木柱も三年」とある。
「腐りやすい松の木の柱でも三年くらいはもつということから、どんなものでも役に立つというたとえ」だそう。なるほど。
茶の話に戻る。
「お茶は薬」といわれるほど、茶にはさまざまな効能がある。
だが、淹(い)れ方、飲み方を間違えると、せっかくの薬理作用が裏目にはたらいてしまう。
緑茶のさわやかな渋みをつくるのは、タンニンの仲間のカテキンという化学成分だ。
殺菌力があり、血管を収縮させたり、体液の分泌を抑えたりする収斂(しゅうれん)作用がある。
また、お茶やコーヒーに多く含まれるカフェインには疲労回復の作用もある。
しかし、胃の中に何も入ってないときの高濃度のカテキンやカフェインは、胃壁を荒らす。
「茶腹」に濃い茶を用いるのは禁物だ。
カテキンは、湯の温度が高いほど溶け出しやすい。
あまり熱い湯で淹れると、カテキンがどっさり溶け出て、収斂作用がきつくなり、胃液の分泌を妨げる。
消化不良を起こし、便秘になったりもする。
「宵越しの茶は飲むな」といわれるのも、理由は同じ。
前夜の飲み残しのお茶をそのままにしておくと、水分の中にカテキンがいっぱい溶け出す。
朝、そこへ湯を注ぎ足したものは、カテキンの濃縮液のようなものだ。
お茶を普通に淹れたとき、湯に溶け出すカテキンやカフェインの濃度は0.1%ほど。
これくらいのカテキンやカフェインは、胃壁を保護して、胃炎や胃潰瘍を防ぐ効果もあるという。
つまり、お茶は淹れ方しだいで毒にも薬にもなるわけだ。
とくに玉露のような上等のお茶には、熱い湯は合わない。
玉露のとろりとしたうま味は、テアニンなどアミノ酸の味なのだが、お茶のアミノ酸類は、低い温度のほうが溶けだしやすい。
だからいいお茶は、60度ぐらいのぬるめの湯でゆっくり出すのが、おいしく飲むこつだ。
一方、番茶などにはアミノ酸が少ない。
うま味より渋味が売り物だから熱い湯でさっと淹れるのが、よい。
緑茶には、紅茶にはほとんど入ってないビタミンCが豊富に含まれている。
お茶1杯(200CC)のビタミンCの量は、番茶4㎎、煎茶8㎎、玉露20㍉㌘。
これはビタミンCの代名詞になっているレモン(1個中に45㍉㌘)にもヒケをとらない。
ただ、お茶の葉から湯へ溶け出すビタミンCは、1回目で70%、2回目で残りの30%。
3回目からはビタミンCのない出がらしとなる。
ところで、風邪の季節にぜひお勧めしたいのは「お茶のうがい」だ。
外出から帰ったときや、夜寝る前など、1日3~4回(多ければ多いほどよい)、生ぬるい緑茶か紅茶で、のどの奥までよく洗うようなうがいをすれば風邪をひかない。インフルエンザも防ぐ。
これは緑茶や紅茶に含まれるカテキンの仲間のエピガロカテキンガレートという物質が、生体の細胞に取りつくウイルスの働きを妨げるためである。
島村忠勝・昭和大学医学部教授(細菌学=現・名誉教授)が発見、実証した。
食中毒の季節には、食後のお茶を忘れてはならない。
やはり島村教授の実験では、緑茶1mlで1万個の0157を死滅させるという。
たくさん飲む必要はない。
湯のみ茶碗1杯に100mlは入る。食後1杯のお茶を飲むだけでじゅうぶんだそうだ。
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