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「胸焼けに重曹」は逆効果 [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(21)  

「胸焼けに重曹」は逆効果

焼き芋のうまい季節が到来した。

焼き芋や甘いもの、脂っこいものを食い過ぎると胸焼けがする。

このとき、重曹を一と匙、冷たい水で飲み下すと、たちまちスーッとおさまる。

子どものころ、祖母がそれをやっているのを見たことがある。

そのように「胸焼けにはソーダ」は、昔からよく知られている庶民的な健康常識だ。

だが、この「おばあさんの知恵」は、一見ホントみたいだが、ウソである。

たしかに重曹を飲むと、胸焼けの症状はたちまち解消される。

しかしその効果は一時的なものでしかない。

30分もすれば元に戻ってしまう。

なぜか?

胸焼けは、酸性の胃液が食道内に逆流するために起こる。

胃の中にアルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)が入ると、胃酸(胃液中の塩酸)と反応し、中和する。

胸焼けがしずまる。

ところが、中和によって二酸化炭素(炭酸ガス)が発生する(ゲップがでるのは、そのためだ)。

この炭酸ガスが刺激となって新たな胃酸が分泌される。

再生産された胃酸は食道へ逆流し、胸焼けが再発する。

「あれ? ソーダー、効かなかった。量が少なかった?」

と、もう一度、重曹を飲むと、また同じことがくり返される。

食道の炎症はさらに悪化する。

つまり、胸焼けの重曹服用は根本的な解消法にはならないばかりか、かえって症状を増悪させる。逆効果でしかない。

では、どうする?

牛乳を飲めばよい。

牛乳も同じように胃酸を中和するが、炭酸ガスは生じない。ゲップはでない。

細かな粒子となって胃壁に付着し、胃を保護する。

ただし、ごくごくと一気に飲むと、胃酸と一度に反応・凝固し、胃壁を保護する効果はえられない。

ゆっくり、唾液と混ざるような感じで飲むのがよい。

ところで、胸焼けにもいくつか種類がある。

焼き芋などを食べ過ぎたときの胸焼けは、糖質や脂質の過剰摂取によって胃酸の分泌促進が起こるためだ。

急いで食事をしたりしたときも、胸焼けがよく起こる。

食道の中の圧力が上がったり、食道の下部が押し広げられ、胃液が逆流しやすいからだ。

食べ物が食道内に入ると、正常では収縮波が食道にあらわれ、食べ物を胃のほうに向かって押し進める。

そうした食道の動きがうまく調節されず、収縮がくり返し起こっても先に進んでいかないことがある。

この場合も食べ物がつかえる感じと一緒に胸焼けが生じる。

高齢者ではこのような胸焼けがよくみられる。

病気の症状として起こる胸焼けも多い。

食道裂孔ヘルニア・逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、食道けいれん症などだ。

精神的ストレスによる胸焼けもある。

大きな心配事があり、ものがのどを通らないときの胸やけが、それだ。

妊娠初期にみられる胸焼けには、このような精神的な面も関係しているようだ。

胸焼けがひんぱんに起こるときは消化器内科へ―。

余談。

呑酸嘈囃。なんのことだか、おわかりですか?

『広辞苑』によると、

呑酸(どんさん)は、

「酸味のある胃液が口腔内に逆流する現象。胃酸過多症などの一症状。げっぷ」である。

嘈囃(そうそう)は、本見出しではなく、「むねやけ」の項に

むねやけ【胸焼け・嘈囃】食道内に灼熱感の起こること。云々―。

と、空見出しとしてだけある。

―てなわけで、ゲップ、胸焼けの症状を、むかしのお医者さんは「呑酸嘈囃」とカルテに記した。

なお、同音類似語の「嘈嘈(そうそう)」は、「①声の調子のはやいさま。②声のさわがしいさま」のことである。


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Tadalafilo

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