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食べてすぐ寝ると牛になる [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(14)  

食べてすぐ寝ると牛になる

誰でも、子どものころ親によく言い聞かされ、記憶の深層に沈着したことわざや格言の類の一つ、二つを持っているだろう。

たとえば、浪費や怠惰を戒める「一円を笑う者は一円に泣く」とか、「今日の仕事を明日に延ばすな」など、口うるさく言われたのがどんな子で、その親がどんなにそのことを気にしていたかわかるようだ(それ、じつはおれのことだけど)。

もう一つ、「食べてすぐ寝ると牛になる」もよく言われた。

これは誰に聞いてもたいてい「覚えがある」という答えが返ってくる。

つまり子どもというのは、いや大人だって、食べたあとはつい体を横にしたくなるのではないか。
そして、むかしの家の「茶の間」という畳敷きのダイニングルームは、それをするのに好適の部屋だった。

なぜ、食べると眠くなるのか?

食物が胃腸に入ると、消化のため血液がそこに集まり、頭のほうに回る血液が少なくなるからだ。
「腹の皮が張れば目の皮がたるむ」というわけで、ごく自然な生理的現象なのである。

そんなとき、気ままに横になって、その兆しが生じたらガス放出なんかも気がねなくやれて、とろとろまどろむことができたら、ゴクラク、ゴクラクである。

昔の人もその効用をよく知っていて、「食後の一睡、万病円」といっている。

万病円とは、江戸時代、万病に効能があるとされた丸薬である。

この食後の横臥は、右腹を下にすればさらによろしい。

胃袋は腹のなかで左上から右下にかけて斜めに位置している。

右腹を下にすれば、胃の中の食物が流れやすく、消化作用を促進する。

体を横にすれば、肝臓の働きもよくなる。

食後の一睡は、胃腸の弱い人や肝機能の落ちている人にとっては、適切な養生法であるともいえる。

反対に、食後すぐ風呂に入ったり、運動したりするのは、よくない。

胃に回る血液が少なくなり、消化作用を妨げる。

もっとも、食べて寝るのがよいといっても、それはあくまで「一睡(30分くらい)」であって、就寝前に食べてそのまま朝まで寝てしまうのは、最悪だ。

食物が胃と腸で消化されるには4~5時間はかかる。

就寝中、頭は休んでいても、腹はえんえん徹夜作業していたのでは、体の疲労は回復しない。

就寝前3~4時間は食べないほうがよい。

胃がんの患者には、①15分以内に食べ終わる「早めし」で、②食後すぐに働き始め、③夕食をとる時刻が遅い人が多かった──という研究調査がある。

昔の人は「親が死んでも食(じき)休み」とも言っている。

──といったようなわけで、食べてすぐ横になるのが悪いことではない─のは、医学的にも検証ずみ。

「牛になる」を、「牛のような丈夫な胃になる」と解釈すれば正解だ。

「牛になるよ!」と叱るのは、牛に対しても失礼だ。

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