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腹が減ってはいくさができぬ生理学 [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(4)  

空腹の運動生理学

〈腹が減っては軍(いくさ)はできぬ 空腹では活動ができない=『広辞苑』〉。

これはホントのことである。

東京大学教養学部の宮下充正教授(運動生理学)は、そのことを実験的に証明した。

若い元気な男性が、朝飯抜きで、息がちょっとはずみ、胸がわずかにドキドキする程度の軽い運動をやったとき、血液中の糖分の数値=血糖値が、どのように変わっていくかを調べた。

血液中の糖分(ブドウ糖)は、運動のエネルギー源となる物質で、空腹時の血糖値の正常値は80~100㍉㌘(血液1㌥㍑中)とされている。

詳しいデータは省略するが、運動開始から60分後には、血糖値が70㍉㌘に減った。

さらに90~120分後には60㍉㌘に下がった。

そして、60㍉㌘を境目としてそれ以下になると、運動を続けることができなくなった。

つまり、朝飯前の運動や仕事は1時間が限度──ということが、まずわかった。

そこで、次の実験として、血糖値が下がってきて、60㍉㌘近くになったとき、角砂糖を吸収しやすいように水に溶かして飲ませた。

すると、血糖値が上がり、元気が出て、運動を続けることができた。

だが、砂糖水を飲ませない(糖分を補給しない)と、血糖値はそのまま下がり続けて、60㍉㌘を切ると、「もうイヤです」と運動をやめてしまった。

体がへばるだけでなく、ヤル気もなくなったわけだ。

このように血糖値が下がってくると、体の働きが低下するだけではなく、脳の働きも低下する。

いや、体よりも先に脳がへばってくる。

体ではたんぱく質や脂肪もエネルギー源となるが、脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけだからだ。

ひどく疲れたとき、甘いものを口にすると元気がでるのは、血糖値が上がり、脳と体の働きが回復するからである。

会議などが長引いてだれてきたら(頭が疲れてきたら)、コーヒーや紅茶に少し多めに砂糖を入れて飲むとよい。

また、運動の前にとる食事も糖質の多いものがよい。

運動のエネルギーとして直接使われるのは糖分だけだからだ。

試合の2時間ぐらい前にごはん、もち、うどん、パン、ようかん、カステラなど、糖質たっぷりの食品を食べる。

肉や卵などを食べても、たんぱく質が分解されてエネルギー源となるのには時間がかかるので、即効性は得られない。

しかし、体を構成するのはたんぱく質なのだから、日常、肉や卵もしっかり食べなければいけない。

たんぱく質と糖質、脂肪の関係を車にたとえると、たんぱく質は車体やエンジンで、糖質と脂肪はガソリンである。

どれが欠けても車は走らない。
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