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頭寒足熱のエピソード [健康常識ウソ・ホント]

健康常識ウソ・ホント(3)

頭寒足熱・和&洋

18世紀初頭のオランダにヘルマン・ブールハーフェという天下に隠れもない名医がいた。

いくら名医でも寿命には勝てない。

病名は不明だが、70歳で没し、どういう理由でか、遺産が競売されることになった。

競売品のなかに1冊の手稿本(手書きの本)があった。

手づくりの書物がしっかり封じられ、表紙に「医学の無類で最も深い秘密」と記されてある。

競り合いの末、裕福な町医者が非常な高価でこの本を落札した。

さあ、なにはともあれ、当代の名医が書き遺した「医学の秘密」である。

なにか画期的な治療法か、あるいは不老長寿の妙薬の処方か、さぞかし貴重な学殖知識が述べられてあるだろう。

ふるえる手で封印を切り、本を開いた。

なんと、どのページも白紙である。

いや、第1ページだけに大きな文字で、こう書いてあった。
「頭を冷やし、足を温かくし、体を窮屈にするな。そうすれば、お前はすべての医者をあざ笑うことができる!」

ことの真偽はともかく、これは「健康説話」としてよくできた話である。

実際、頭を熱くしない、足を冷やさない、窮屈な衣服を着ない──どれも、健康法の基本的な心得である。

「頭を冷やし、足を温かくし」が、いわゆる「頭寒足熱」のことであるのは言うまでもないだろう。

「頭寒足熱【意味】頭部はのぼせず、足のほうは冷えないのが人体の健康な状態であること。また頭を冷やして足をあたためるのが、健康を保つためにはよい方法であること。」─とは、鈴木棠三・広田栄太郎編『故事ことわざ辞典』の簡にして要を得た説明。

人間の体は、上半身は温度が高くて(心臓を中心に37度前後)、下半身は低く、とくに足は31度以下だ。

このような体温の上下差は、全身の血液循環をわるくする。

血液循環がわるくなると、動脈からはじゅうぶんな酸素や栄養が送られてこない。

静脈からは老廃物や炭酸ガスがスムーズに出ていかない。

そういう状態が長く続くと、しだいに体調が低下し、本格的な悪化(つまり病気)を招くことにもなる。

だから、病気を防ぎ、病気を治し、健康を保つためには、まず体温の上下差を解消し、下半身の冷えのない状態をつくらなければいけない。

そのための最も効果的な方法は「靴下の重ねばき」と「半身浴」である。

─と、「冷えとり健康法」の第一人者、進藤義晴先生は勧める。
冬はもとより夏でも靴下をしっかりはき、毎日一度は、みずおちから下をぬるま湯(体温よりやや高い程度の湯)に20~30分つけてじっくり温める。

この二つを励行するだけで、多くの病気や症状が軽快し、体調がめきめきよくなるはずだ。現代日本のブールハーフェは、そう力説した。

内輪話─。

いま「半身浴」という言葉はだれでも知っていて、『広辞苑』(第六版)にも載っているが、そもそもの始まりは、小生が進藤先生の話を聞いて、雑誌『壮快』(1989年3月号=マキノ出版)に記事を書いたとき、編集部がかんがえた造語である。

取材に同行した若い編集者は、現在、同社の社長である。

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