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益軒の暴論 [雑感小文]

 貝原益軒の『養生訓』が説く、心身合一の健康法の数々は、現代にもりっぱに通用するものが多い。

 だが、睡眠に関する次のような一節だけは、どうにもいただけない。

「睡(ねぶり)の欲をこらえて、いぬる事をすくなくするが養生の道なる事は人しらず。

 ねぶりをすくなくすれば、無病になるは、元気めぐりやすきが故なり。

 ねぶり多ければ、元気めぐらずして病となる。夜ふけて臥(が)しねぶるはよし。

 昼いぬるはもっとも害あり」 (巻第一)

 ──これ、現代文に直すまでもないとおもうが、いっていることは以下のようなことだろう。

 眠いのを我慢して寝ないのが、健康法であるのを知らない人がいる。

 睡眠を少なくすると病気をしなくなるのは、元気が体を循環するからだ。

 睡眠が多いと、元気が循環せず病気になる。深夜に床に就いて寝るのはよい。

 昼間に寝るのはきわめてよくない。

 このなかで少し当たっているのは、睡眠時間が長過ぎるのもよくないというくだりぐらいで、その他の記述はかなりの曲論・暴論と言わねばならない。

 現代医学は、「ねぶり少なければ病となる(寝不足は万病の元である)」ことを明らかにしている。  
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