健康雑談(19)朗報 [健康雑談]
コレステロールに関する朗報
健康診断を受けると必ず要注意の*印がついてくる項目がある。
同憂の士も多いと思うのだが、総コレステロール値だ。
検査結果を聞いた当座は卵やバターを控えたりもするけれど、いつの間にか元に戻ってしまい、次回もまた*印がついてくる。背が低い埋め合わせにコレステロールが高いのかもしれない。
なぜ、コレステロールの高いのはよくないのか。
動脈硬化が進んで心筋梗塞、脳梗塞を招きやすいからだ─といわれている。
ご存じのようにコレステロールは、人体約60兆個の細胞の構成成分であり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの材料であり、胆汁酸の原料でもある。体に不可欠の物質だ。
昔の日本人に脳出血が多かった最大の一因は、低栄養=低コレステロールのせいで血管が脆弱(ぜいじゃく)になり破れやすかったからだ。
しかし、現代日本人の血管は、過栄養=高コレステロールのせいで分厚く硬化し、破れにくいかわりに詰まりやすくなった。
これを防ぐには、高いコレステロール値を下げたほうがよいとされ、食事を変え運動をしても下がらない人にはコレステロール低下薬(総称スタチン)が処方される。
だが多くの疫学調査を検証すると、日本人の場合、スタチンでコレステロールを下げなければならない人はごく限られている。
「それは、①家族性高コレステロール血症(遺伝的にコレステロールが高くなる体質で心筋梗塞になりやすい。略称FH)の人、②過去に心筋梗塞を発症し再発があやぶまれる人、③50歳前後で総コレステロール値が280を超える人─そんなところでしょう」と、浜崎智仁・富山医科薬科大学教授。
近年次々に発表されている「高齢者の余命とコレステロール値の関係」についての研究によれば、コレステロール値が高いほうが長生きできる。
男性の場合、死亡率がいちばん低いのは総コレステロール値240~280の人たちで、女性の場合は総コレステロール値の高いのは死亡率とはほとんど無関係。
男女共にコレステロール値240以上が最も安全域だという。これは朗報だ。
現在健康で、ただコレステロール値がすこし高いだけという人は、それについての心配は全くご無用。
肉や卵などを控える必要はない。
「動物性食品の摂取の目安は、1日に肉を最低50㌘、それに魚ひと切れ、卵1個、牛乳1、2本を加えたいものです」
老年医学の権威、柴田博・元東京都老人総合研究所副所長はそう話している。
━以上は、畏友、大森浩氏が編集長だった『週刊 世界と日本』2005年9月5日「ヘルス談話室」に寄稿した拙文です。
10年も前の旧稿を再録、ごらんいただくのはいまも事情はまったく変わってないからです。
柴田博先生は、現在、日本応用老年学会理事長。当ブログの「肉食べるな! 食べろ! どっちなの?」もご一見ください━。
健康診断を受けると必ず要注意の*印がついてくる項目がある。
同憂の士も多いと思うのだが、総コレステロール値だ。
検査結果を聞いた当座は卵やバターを控えたりもするけれど、いつの間にか元に戻ってしまい、次回もまた*印がついてくる。背が低い埋め合わせにコレステロールが高いのかもしれない。
なぜ、コレステロールの高いのはよくないのか。
動脈硬化が進んで心筋梗塞、脳梗塞を招きやすいからだ─といわれている。
ご存じのようにコレステロールは、人体約60兆個の細胞の構成成分であり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの材料であり、胆汁酸の原料でもある。体に不可欠の物質だ。
昔の日本人に脳出血が多かった最大の一因は、低栄養=低コレステロールのせいで血管が脆弱(ぜいじゃく)になり破れやすかったからだ。
しかし、現代日本人の血管は、過栄養=高コレステロールのせいで分厚く硬化し、破れにくいかわりに詰まりやすくなった。
これを防ぐには、高いコレステロール値を下げたほうがよいとされ、食事を変え運動をしても下がらない人にはコレステロール低下薬(総称スタチン)が処方される。
だが多くの疫学調査を検証すると、日本人の場合、スタチンでコレステロールを下げなければならない人はごく限られている。
「それは、①家族性高コレステロール血症(遺伝的にコレステロールが高くなる体質で心筋梗塞になりやすい。略称FH)の人、②過去に心筋梗塞を発症し再発があやぶまれる人、③50歳前後で総コレステロール値が280を超える人─そんなところでしょう」と、浜崎智仁・富山医科薬科大学教授。
近年次々に発表されている「高齢者の余命とコレステロール値の関係」についての研究によれば、コレステロール値が高いほうが長生きできる。
男性の場合、死亡率がいちばん低いのは総コレステロール値240~280の人たちで、女性の場合は総コレステロール値の高いのは死亡率とはほとんど無関係。
男女共にコレステロール値240以上が最も安全域だという。これは朗報だ。
現在健康で、ただコレステロール値がすこし高いだけという人は、それについての心配は全くご無用。
肉や卵などを控える必要はない。
「動物性食品の摂取の目安は、1日に肉を最低50㌘、それに魚ひと切れ、卵1個、牛乳1、2本を加えたいものです」
老年医学の権威、柴田博・元東京都老人総合研究所副所長はそう話している。
━以上は、畏友、大森浩氏が編集長だった『週刊 世界と日本』2005年9月5日「ヘルス談話室」に寄稿した拙文です。
10年も前の旧稿を再録、ごらんいただくのはいまも事情はまったく変わってないからです。
柴田博先生は、現在、日本応用老年学会理事長。当ブログの「肉食べるな! 食べろ! どっちなの?」もご一見ください━。
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