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健康雑談(9)年の分母 [日記・雑感]

 年の速度

「一月往(い)ぬ、二月逃げる、三月去る」という。

 年が明けたのは、ついこの間のような気がするが、もう三月だ。

「ただ過ぎに過ぐるもの 帆かけたる舟。人の齢(よわい)。春、夏、秋、冬。」は、『枕草子』。

 清少納言の時代の最も早い乗り物は帆かけ舟だった。

 いまは、過ぎに過ぐるもの、ジェット機、新幹線、人の齢。

 いや、飛行機も電車も個体それぞれの最高速度はきまっているが、年齢の体感速度は自分一個のなかで年ごとに速くなる。

 子どものころは1年がとても長かった。

 青年のころの1年も濃密で変化に富んでいた。

 老年の1年はいやに短い。

 去年も今年も同じ水の流れのように淡く速く過ぎ去る。

「老後は、わかき時より、月日の早き事、十ばいなれば、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年とし、喜楽して、あだに日をくらすべからず」(益軒『養生訓』巻第八)

 年をとるほど1年が短く感じられる現象を「ジャネの法則」というそうだが、私見では、年の「分母」が大きくなるためである。

 例えば3歳の子の1年は、分母が3で、分子が1。3分の1だが、60歳の1年は60分の1だ。20倍速く過ぎ去るのは、当然だ。

 ま、しかし、その老年の1年は、変化のないことをこそ喜ぶべきだろう。

 去年同様、ことしもまずまず元気で、何事もないことを、よしとしなければなるまい。

 益軒さんも前句につづいてこう諭していられる。
「心しづかに、従容として余日を楽しみ、いかりなく、欲すくなくして、残躯をやしなふべし。」
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