So-net無料ブログ作成

ビールだ! ビールだ! [健康小文]

 父の日はビールを飲むによい季節   史朗

 大阪の川柳結社「番傘」を主宰した岸本水府(1892~1965)監修『番傘川柳一万句集』で見つけた句だ。

 今日はどうもちと肌寒く、ビールより吟醸酒がうれしい感じだけど、ま、せっかくだからビールの話。

 快汗―と呼ぶにふさわしい健康的な汗をかいた一日が暮れて、カラカラに乾いたのどに、キーンと冷えたビールを流し込む。ふっと気の遠くなるような快感だ。

 むろん夏の夕べに限らず、ビールはいつ飲んでもうまい、うれしい酒だ。おまけに、体にもよい。

 こんなデータがある。

 カナダの研究者らが約2万人の成人を対象に、飲酒の習慣と、病気で休んだ日数などを調査したレポートによると、

 「ビールを週4~7缶飲んでいる人」は、酒を飲まない人も含めた全平均に比べて、病気にかかる割合が28%も低かった。

 ビールを飲むと、お叱呼がよく出る。ビールの利尿作用と、ビールの水分の相乗作用だ。
 
 成人の1日の尿量は1・2~1・5リットルだが、ビールを1本(大瓶=633ミリリットル)飲めば2㍑以上にふえる。

 これについての最も早い知見を提示した一人は森鴎外だろう。

 早熟の秀才だった鴎外は、19歳にして東京帝国大学医学部を卒業、陸軍病院に勤務中の1884(明治17)年、衛生学研究を命ぜられ、ドイツに留学した。

 ドイツ留学中、ミュンヘン大学衛生学研究所で教授に勧められて、「ビールの利尿作用について」というドイツ語の論文を書いた。

 被験者の6人に、1日10回、ほかに何も飲食せず、ビール、水、ホップ煮汁、アルコール溶液を摂取してもらうという実験を行った。

 結果、アルコールに利尿作用があることが判明。ドイツの学会に発表したところ、大いに喝采をあびたという記録が残っている。

 そのビール熱は帰国後もさめず、「東京醫事新誌」の第520号(明治21年3月17日発行)から531号(6月2日)に、「陸軍一等軍醫醫學士 森林太郎」の署名で、「麥酒ノ利尿作用」なる論文を7回にわたって連載した。

 ビールの利尿作用は、鴎外が指摘したアルコールのほか、ビールに含まれるカリウムにもあるし、『汎用生薬便覧』(2000年刊)には、ホップの薬効の一つに利尿があげられている。

 といったわけで、尿路結石(腎臓から膀胱までの尿の通り道にできる結石)ができやすい人は、「ビールを飲んでダンスをしなさい」と泌尿器科の先生は勧める。

 尿量をふやして、体をよく動かせば、小さい結石なら自然に流れ出ることが多いからだ。

 ビールは胆石を防ぐという研究報告もある。適度のアルコールが胆汁中のコレステロール(胆石の主要成分)を少なくするらしい。

 ビール大瓶1本に含まれるくらいのアルコールは、血液中のHDL(いわゆる善玉コレステロール)をふやし、動脈硬化の進行を抑える。

 1日1合程度の晩酌をしている人には狭心症、心筋梗塞などの心臓病が少ないことが、疫学調査(統計学的手法を用いて病気や健康状態などについて調べる医学)で明らかにされている。

 ビールの「発がん抑制作用」についても多くの研究発表がある。

 米イリノイ大学医学部のR・ネルソン教授らが行った発がん実験では、常にビールを薄めた水を飲ませていたネズミ群は、ほかのネズミ群に比べて、大腸ガンの発生率が半分以下だった。

 日本大学薬学部の滝戸道夫教授(現・名誉教授)らは、ビールの発がん抑制作用の主役は、ホップの中のフムロンという苦みの成分であることを突き止めた。

 滝戸教授は、天然の物質から「ガンの予防薬」を探し出す研究を長年続けている。

 たとえば、カキノタネやカマボコに塗られる赤い色素(アザフィロン系色素)の発がん抑制効果を確認したのは、その成果の一例だ。

 ならば、ガンの予防は、カキノタネをつまみながらビールを......と言ったら、

「それはあまり科学的な話ではありませんね」と笑われてしまったが。

 ホップには植物性の女性ホルモンが含まれている。

 そのため「ビールは女性をセクシーにする」ともいわれる。ビールは女性をより女性的に美しくする酒でもある。

 ─というようなわけで、ビールは元気と美容のクスリ、「百薬の長」の中の長、といえるようだ。

 ただし、そうしたビールの効用は、あくまで「適量」を飲んだ場合の話─。

 ヤボなつけたしだが、飲み過ぎると、薬が毒に変わることもあるのは、ほかのあらゆる酒類と同じである。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。