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コレステロールと認知症の関係 [健康短信]

コレステロールが認知症リスクを下げる?

85~94歳の超高齢者は、コレステロール値が高いと、認知症のリスクが低下するという研究調査がアメリカで発表された。

石蔵文信・大阪大学招へい教授(人間科学研究科未来共創センター)の以下のような投稿を新聞のニュースメールで読んだ。

 コレステロールは健康被害の代名詞のような存在だが、半面、体の重要な構成要素の源であり、多くのホルモン、特に性ホルモンやストレスに関係するステロイド系ホルモンの原料となる大切な物質だ。

 とはいえ、特に小さな粒であるLDLコレステロールが過剰になると血管の内皮にたまって「粥状(じゅくじょう)硬化」(プラーク)となり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因となる。

 で、コレステロール値が高い人にはそれを下げる薬が処方される。

 コレステロール値を下げる薬には、

▽食事から取り込んだ脂肪を腸で吸収するのをじゃまする薬

▽吸収された脂肪分がコレステロールにならないようにする薬

▽コレステロールの排出を促す薬

 --などがある。

 遺伝的にコレステロールが高くなる病気の人以外は、食事など生活習慣を整えることで正常になるはずだが、おいしいものが満ちあふれている現代社会ではなかなか難しいだろう。

 過剰なコレステロールは血管病変の元凶

 血管内皮にコレステロールがたまると、なぜ動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞につながるのか。

 動脈硬化とは、血管が土管のように硬くなる状態。

 石灰化といって、石のように動脈が硬くなる患者さんもいるが、日本人で動脈が石のようになる方はまれ。

 土管というよりは、粥(かゆ)のようなものがたまる粥状硬化が一般的だ。

 動脈の3層構造のうち、タマネギの薄皮のような内膜と、平滑筋の集まった中膜の間にコレステロールが粥状にたまる。

 LDLコレステロールは粒が小さく、内膜を通ってたまりやすいので悪玉と呼ばれている。

 薄皮1枚の下にたまったコレステロールが何かの衝撃(ストレス)を受けて破れると、そこで血が固まるため、血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞を起こす。

 薄皮が大動脈で裂けると大動脈解離だ。

 このように、過剰なコレステロールは血管病変の元凶となるが、総コレステロール値の上昇が、認知機能低下リスクの「低さ」と関連するという研究結果が発表され、話題になっている。

 アメリカの研究者が、循環器の大規模調査で有名な「フラミンガム研究」をもとに、研究登録時に認知機能が正常だった1900人のデータを解析した。

 結果は「Alzheimer's & Dementia(アルツハイマー病)」2018年3月4日オンライン版に掲載された。

 高いコレステロール値が認知機能維持と関係

 それによると、中年期と比べて総コレステロール値が上昇すると、75~84歳の高齢者は、研究登録時から10年後までに、「認知機能低下のリスク」が50%高くなったが、85~94歳の高齢者ではリスクが32%も低くなるという予想外の結果が出た。

 また、脂質改善薬に認知機能低下を予防する効果があることもわかったが、年齢が上がるにしたがってその効果は弱くなるという。

 研究者は「因果関係がわかっていないので、超高齢者のコレステロール値を無理に上げようとしないように」と注意を促している。

 なぜこのような結果になったのだろうか? 

 研究者はさらにこうもつけ加えている。

「85歳になると、突然コレステロールが健康に良いものになるわけではない。

 85歳まで長生きできるような人は、高コレステロールの悪影響から身を守ってくれる何らかの因子を兼ね備えている可能性が高い」

 私も理由を考えてみた。

 平均寿命を超えて85歳まで生きてきた人は、普通の人より元気なのは確かだ。

 体力的、肉体的にも優れたものを持ち、精神的にも前向きだろう。

 恐らくやりたいことをやり、食べたいものを食べてきたのではないだろうか。

 その意味では、むしろ健康に関して無頓着な人かもしれない。

 健康に気を使うのは大切だが、食べたいものまで制限するとストレスがたまる。

 気にしなければコレステロール値は上がるかもしれないが、ストレスは少ない。

 このように、細かいことを気にしないストレスフリーな生活習慣が、認知機能低下のリスクを低くする要因の一つになったのかもしれない、と私には思える。

 加齢と肉体の衰えはどうしようもない。

 であれば、心の健康を重視して、楽しく生きたいものだ。
 
 毎日新聞 2018年4月11日配信

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