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お茶は薬、鉄剤禁忌はウソ。 [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(46)  

鉄剤=OK、気管支拡張剤=NG。

♫夏も近づく八十八夜…も過ぎて、新茶の出盛る季節が訪れた。

急須に少し多めに茶葉を入れ、少し待ってつぐと、茶わんに緑色の光がみち、さわやかな香りが立ちのぼる。………。

「茶は養生の仙薬なり。延齢の妙術なり」と説いたのは、臨済宗の開祖、栄西禅師。宋から茶の種を持ち帰って栽培し、『喫茶養生記』を著した。日本で本格的に飲茶の習慣が普及したのはそれ以後といわれる。

現代科学が明らかにした緑茶の効能は、抗酸化作用、血中コレステロール低下作用、血圧降下作用、血糖低下作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用、虫歯・口臭予防作用、疲労感や眠気の除去作用……などなど。

「抗酸化」から「抗インフル」までを言い換えると、がん、動脈硬化、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、風邪、食中毒を防ぎ・治す効果あり─ということになる。

健康な高齢者とアルツハイマー型認知症患者の「食品摂取頻度調査」を行った植木彰・自治医大教授(神経内科)によると、健康なお年寄りたちが緑茶を1日5杯以上飲んでいるのに対して、認知症の人はほとんど飲んでいなかった。

「緑茶のフラボノイド(カテキン)には、抗酸化作用があることが知られており、アルツハイマー型認知症の発症の予防に関与していることが考えられる」と、『ボケを防ぐ本』(マキノ出版刊)で述べている。

 金沢大学大学院神経内科の山田正仁教授は、緑茶に含まれるポリフェノール類が認知症の予防・治療に役立つ可能性について着目。

高齢化が進んだ石川県内の町で、飲んだ緑茶の量と認知症の発症リスクとの関連を調べている。

風邪の季節の「お茶うがい」を唱道した島村忠勝・昭和大学医学部名誉教授(細菌学)は、食中毒の季節には「食後のお茶」をお忘れなく─と強くすすめている。

緑茶1㍉㍑でO157を1万個死滅させる。だからたくさん飲む必要はない。湯のみ茶碗1杯(約100㍉㍑)で十分だそうだ。

ところで、お茶といえば、昔は「鉄剤服用の30分~1時間は緑茶の飲用をさける」が常識とされていた。

緑茶の渋み成分のカテキン(タンニン)が鉄と結合してタンニン酸となり、腸粘膜からの鉄の吸収を妨げるというのがその理由だった。

だが、この「常識」はウソだとわかった。

中程度の鉄欠乏性貧血の人を二つのグループに分けて、鉄剤服用30分前後にお茶を飲んだグループと、飲まないグループとで、貧血の回復の程度を調べたが、明らかな差異はなかった。

鉄欠乏性貧血で体内の鉄量が減少した状態だったら、茶を飲もうが飲むまいが(カテキンがあってもなくても)、腸管からは効率よく鉄が吸収される。鉄剤の貧血改善効果は同じなので茶を禁じるのは無意味─ということに今はなっている。

貧血は赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)が減少して起こる。

血色素は、鉄とたんぱく質からできている。

貧血の約7割はその鉄が不足した「鉄欠乏性貧血」だ。

小学3年生の女児がしょっちゅう頭が痛い、痛いと言う。髄膜炎ではないかと心配したが、血液検査で貧血とわかった。鉄剤を注射したら頭痛もケロリと治った。

別の子は一時期、むやみに氷を食べたがるようになった。これも鉄欠乏性貧血による異食症だった。鉄剤を飲ませたら氷を食べるのが止まった。

小児科の先生から聞いた症例だ。

小学生のころは体の成長が速く、バランスのよい食事をしていても鉄分が不足することがあるという。

貧血になると体のあちこちで酸素不足が起こる。顔色が青白くなり、息切れ、動悸、めまい、疲労けん怠感、頭痛、耳鳴り、食欲不振、微熱……といった症状が出てくる。

注意力や集中力の低下も起こる。急に成績が下がった学童の原因が貧血だったという話もある。

貧血かどうかは2cc程度の採血検査でわかる。

●ひとこと追加。

お茶をたくさん飲んではいけないといわれるのは、ぜんそくなどの治療で気管支拡張剤を用いているときだ。

薬の主成分のテオフィリンとお茶のカフェインは、作用が似ているため、薬が効きすぎて副作用が出やすくなるからだ。

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