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果物とがん [健康短信]

がん予防に効く

果物ががん予防に効果があることは、よく知られています。

世界がん研究基金と米国がん研究協会の判定では、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肺のがんに対して、「果物はリスクを下げる可能性が大である」としています。

日本人のエビデンス(科学的証拠)に基づく評価でも食道がんのリスクを下げるのは「ほぼ確実」、胃がんと肺がんも「可能性あり」と判定されています。

果物ががん予防に効果を発揮する要因で最も大きいのは「抗酸化ビタミン」、ビタミンCの存在です。

体内で発生する活性酸素やフリーラジカルといったがんを作り出す物質を消し去ることを「抗酸化」といいますが、ビタミンCは抗酸化作用と免疫力を高める働きも持っているので、総合的にがん予防に寄与する可能性が高いといえるようです。

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トマトと肺機能 [健康短信]

肺機能の低下を抑制

米ジョンズ・ホプキンス大の研究チームは、食事から摂取する抗酸化物質と肺機能の関係を検討。

果物とトマトの摂取が、成人、特に前喫煙者の肺機能低下を遅らせる可能性が示されたと報告しました。

ドイツ、英国、ノルウェーの3カ国680人(平均年齢43.8±6.6歳)を10年追跡し、食事から摂取した抗酸化物質によって10年後の加齢に伴う肺機能低下を抑制できるどうかを検討しました。

1日にトマトを2個以上、あるいは生の果物を3人前以上摂取した人は、トマト1個未満または果物1人前未満の人に比べて、肺機能の低下が遅れることが示されました。

特に慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患リスクが高い人には果物の摂取が推奨されるということです。

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ナッツ&心血管疾患予防 [健康短信]

ナッツで心血管疾患予防

1日30㌘程度のナッツを食べていると、心筋梗塞の発症リスクがぐんと減ると、米ハーバード大学公衆衛生学栄養学の研究チームが報告しました。

同大が32年にわたり行ってきた看護師健康調査(対象は女性)と医療専門職追跡研究(対象は男性)という大規模疫学調査のデータを解析したもので、対象者の年齢層は40代後半~60代前半で、体格指数(BMI)は標準体形の25前後でした。

最長28年にわたる追跡期間中に合計1万41366人が心血管疾患を発症。

発症リスクとナッツ摂取との関連を調べたところ、ナッツを1サービング摂取するごとに、心筋梗塞の発症リスクが13%も減少することがわかりました。

サービング=食べ物や飲み物の平均化した単位。例、パン1枚、ナッツ28㌘は1サービング。

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認知機能改善 [健康短信]

心リハで認知機能改善

高齢者の慢性心不全は認知機能の低下を伴うことが多いといわれています。

獨協医科大学心臓・血管内科・井上晃男教授は、心臓リハビリテーションが認知機能の改善に有効であることを第52回日本成人病学会で解説しました。

慢性心不全になると、身体活動が低下、フレイル(生活機能が全般に衰える)に陥ることで認知機能の低下を招きます。

そのため服薬アドヒアランス(積極的に治療を受ける)が低下し、さらに心不全を悪化させるという悪循環に陥ります。

しかし、心リハ開始3カ月で注意機能・遂行機能が改善、12カ月後には言語記憶能力も有意に改善した、と海外文献でも報告されています。

井上教授らの研究もそのことを裏づけるものです。

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オーガニック食品とがん予防 [健康短信]

オーガニック食品はがん予防に有用か

 化学肥料や農薬を使用しないオーガニックの果物や野菜は高価だが、それだけの価値があるようだ。

 ソルボンヌ・パリ・シテ大学(フランス)のJulia Baudry氏らの研究から、オーガニック食品の摂取頻度が高いほどがんに罹患(りかん)するリスクが低い可能性があることが分かった。

 詳細は「JAMA Internal Medicine」10月22日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、オーガニック食品を摂取する人は、尿中の残留農薬の数値が低いことや、農薬に暴露するほどがんの罹患リスクが上昇することが報告されている。

 ある英国の研究では、今回の研究と同様に、オーガニック食品を摂取すると非ホジキンリンパ腫の罹患リスクが低減することが示されているという。

 今回の研究は、フランスで進行中の栄養と健康に関する研究に参加した成人男女6万8946人(ベースライン時の平均年齢44.2歳、女性78%)のデータを分析したもの。

 参加者には質問紙調査を実施し、果物や野菜、乳製品、肉、魚、卵、パンなどのオーガニック食品の摂取状況について尋ねた。

 平均4.5年間追跡して解析した結果、がんの家族歴や生活習慣因子などを考慮しても、オーガニック食品を摂取するほど、がんの罹患リスクが低減することが明らかになった。

 オーガニック食品の遵守度スコアが最高四分位群では、最低四分位群に比べてがんリスクが25%低かった(ハザード比0.75、95%信頼区間0.63~0.88、傾向P値0.001)。

 オーガニック食品の摂取頻度が高い人では、特に閉経後の乳がんリスクは34%低下し、全てのリンパ腫リスクは76%、非ホジキンリンパ腫リスクは86%それぞれ低下したという。

 しかし、Baudry氏をはじめとする専門家らは、オーガニックか否かにかかわらず、果物や野菜が豊富な食事は慢性疾患やがんのリスクを低減することは明らかであり、

 「オーガニック製品を買えないからといって果物や野菜の摂取をやめるべきではない」と指摘している。

 米国がん協会(ACS)のMark Guinter氏は「人種にかかわらず、果物や野菜の摂取ががん予防につながることは明らかだ」と話している。

 論文の付随論評を執筆した米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のFrank Hu氏によると、動物実験レベルでは農薬によりDNA損傷が進み、がんリスクが増大する可能性が示されている。

 しかし、GuinterとHuの両氏は、がん予防を目的とした食事に関する新たな勧告を出すには、その根拠となるヒトを対象としたエビデンスがまだ不十分だとし、「現時点では食事や運動を通して適正体重を維持することががん予防には重要だ」との見解を述べている。

 Hu氏は「オーガニック食品かどうかにかかわらず、果物や野菜の摂取量を増やすことは食事の質を改善し、がんを含めた慢性疾患の予防に有用だと考えられる」と付け加えている。

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睡眠の12指針 [健康短信]

1 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。

 ●睡眠の長い人、短い人、季節でも変化。8時間にこだわらない。

 ●年をとると必要な睡眠時間は短くなる。

2 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法。

 ●就寝4時間前のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける。

 ●軽めの読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。

3 眠たくなってから床に就く。就寝時間にこだわり過ぎない。

 ●眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ、寝つきを悪くする。

4 同じ時刻に毎日起床。

 ●早寝早起きではなく、早起きが早寝に通じる。

5 光の利用でよい睡眠。

 ●目がさめたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。

6 規則正しい3度の食事。規則的な運動習慣。

 ●朝食は心身の目覚めに重要。夜食はごく軽く。

 ●運動習慣は熟眠を促進。

7 昼寝をするなら15時前の20~30分。

 ●長い昼寝はかえってぼんやりのもと。

 ●夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。

8 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに。

 ●寝床で長く過ごしすぎると熟眠感が減る。

9 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のビクつき・むずむず感は要注意。

 ●睡眠の病気(睡眠時無呼吸症候群。むずむず脚症候群)、専門的な治療が必要。

10 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に相談。

11 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。

 ●睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。

12 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全。

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睡眠と糖尿病 [健康短信]


睡眠時間が6時間未満の人はメタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクが上昇すると、韓国ソウル大学医学部の研究チームが13万人以上の調査結果を報告しました。

睡眠不足だと、インスリン抵抗性が低下し、食欲にかかわるレプチンとかグレリンといったホルモンの分泌がアンバランスになるためだということです。

インスリン抵抗性とは、糖質を処理するインスリンの作用─インスリンの「効き具合」のこと。

レプチンは、物を食べておなかがいっぱいになってくると、脂肪から分泌されるホルモンです。

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あってもなくてもいい臓器? [健康短信]

─あってもなくてもいい臓器?

「五臓六腑」ということばがあります。

 古代の中国医学(漢方)で人間の内臓全体を
言い表すのに用いた成句です。

 五臓は、肝・心・脾・肺・腎。

 六腑は、胃・大腸・小腸・胆・膀胱・三焦。

 それぞれに深遠な解釈が加えられています。

 しかし、それらはどれも現代医学の知見とは遠く隔たったものでしかありません。

 一例を今回の主題でもある「脾」で見てみましょう。

 ①営気を臓する。

 ②昇清を主(つかさど)る。

 ③津液の生成を主る。

「営気」とは、血液と共に脈の中を流れる「気」のこと。

「昇清」とは、消化・吸収された滋養物=清を上方の肺に送る機能。

「津液」は唾液。

 これが漢方の「脾」。西洋医学(つまり現代医学)の脾臓とはまつたく異なる概念です。
 
「卑」なる臓器のやわな役割

 脾臓の脾は、からだに関する文字をつくる「月(にくづき)」と「卑」を組み合わせた常用漢字です。

 脾臓はまさにそのような臓器です。

 脾臓は左の上腹部にあり、上方は横隔膜に、内側は左の腎臓と接しています。

 前方には胃があり、肋骨の下に隠れているので、体表からは触れません。

 大きさは、長さ12cm、幅7.5cm、厚さ5cm、重量100~200g。

 やわらかくて、腎臓のようなソラマメに似た形をしています。

 色は、暗赤色、赤紫色、煉瓦色─と、内部に流れ込んだ血液量で変化します。

 脾臓は英語では「スプリィーン(spleen)」。

 この語は、不機嫌、癇癪、憂鬱といった意味にも用いられます。

 脾臓が気力や感情の宿るところと考えられていたからです。

 脾臓の機能は、①免疫機能、②血球の破壊、③血液貯蔵、とされています。

 しかし、仮に脾臓を摘出しても生存上なんら差し支えありません。

 脾臓が失われても、他の臓器(主に肝臓)によってその機能を補うことができるからです。

 つまり脾臓はなければなくてもよい臓器なのです。

 シェイクスピアも悩んだ?

 ただ、ときたま脾臓の存在を強く感じることがあります。

 急激な運動をしたときに生じる脇腹の痛みです。

 あれの大きな一因は、脾臓の中の血液がいっせいに体内に送り出され虚血(血液不足)が起
きるためです。

 あの痛み、英語では「スティッチ(Stitch)」と表現するようです。

 縫い物・刺繍、手術創の縫合などの「ひと針」を意味する単語です。

 シェイクスピアにもその痛みが描写されている作品があると聞き、全集をめくってみましたが、残念ながら見つけることができませんでした。

 脾臓の病気はそんなに多いものではありません。

 ただし、脾臓を摘出することによって、別の病気が改善する場合があります。

 特発性血小板減少性紫斑病や遺伝性球状赤血球症です。

 特発性血小板減少性紫斑病は血小板が減少し、出血の危険が高まる病気です。

 治療は、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法や副腎皮質ステロイド療法がありますが、手術で脾臓を取り除くのも効果的な一法です。

 遺伝性球状赤血球症は、遺伝的異常により赤血球が破壊され、貧血をきたす疾患です。

 貧血が重症の場合、脾臓摘出術が唯一の治療法です。

 このほか、脾臓が何らかの原因で大きくなった「脾腫」では、脾臓の機能が亢進し、貧血や出血が出現します。

 手術によって脾臓を摘出することがあります。

 むろん、そのことによる不都合はなにも起こりません。

 くり返します。脾臓がなくても、人間は生きていくことができます。

 脾臓を摘出すると、感染を防御する抗体をつくったり、望ましくない微生物を血液から取り除いたりする体の能力がある程度失われます。

 結果、感染に対する防御能力が低下してしまいます。

 脾臓には、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌といった特定の種類の細菌に対する防御の役割があるため、脾臓を摘出した場合は、感染リスクが特に高くなります。

 このようなリスクがあるため、これらの微生物の感染から体を守るためにワクチンを接種します。

 インフルエンザワクチンの接種も必ず毎年受ける必要があります。

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通じぬ悩み [健康短信]

 ●通じぬ悩みは老少不定

 便秘と不眠は、高齢者の二大愁訴といわれています。

 しかし若い人にもけっこう多い─いやむしろ若い人ほど多いようです。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、便秘に悩む人は660万人、そのことを隠している人や自覚のない人を含めると、1000万人を超えるのでは推測されています。

 10代後半から30代前半の女性に最も多く、40~50%を占めています。 

 若い女性の2人に1人が、いつもあの妙にうっとうしい不快感に悩まされているとは、なんともお気の毒……。

 ですが、厚労省調査では、便秘に悩む女性のうち病院で治療を受けている人は約3割、4割は市販薬を飲み、3割弱は治療を受けていません。

 受診しない理由は、①恥ずかしい。②たかが便秘。③便秘薬なら薬局で入手できるなど。

「便秘がつらいと言って病院に来る人はごく少ないのですが、ほかの病気で便秘を訴える人はとても多い。

 睡眠、食欲、便通、そして女性の患者さんには生理、この四つは問診のさい必ず聞くわけですが、便秘をしていると答える人はたくさんいます」

 と、消化器内科の専門医は話しています。

 以下、便秘について総合的にかんがえてみましょう。

 ●便秘の定義はありません

 日曜日の昼下がり、退屈しのぎに手にとった文庫本のぱらっと開いたページにこんな一節を見つけました。

「産婦人科学の教授が、その講義のはじめに言った。

『諸君、女とは、一日に一度ミクチュレート(放尿)し、一週に一度デフィケート(排便)し、一月に一度メンスツルエート(通経)し、一年に一度パーテュレート(出産)し、そうして機会あるときはいつでもコピュレート(交尾)する動物である』

 ぼくは均整のとれた、しゃれた文章だと思う。」(サマセット・モーム『作家の手帳』中村佐喜子訳=新潮文庫)。

 大いにためらいながら引き写したのですが、モームが手帳にこの文言を記したのは1894年、ロンドンの医学校の3年生でした。

 女性のみなさま、時代の古さと作家の若さに免じて、大々的セクハラをお許しください。

 さて、本論。

 冗談半分とはいえ、「1日に1度の放尿」はいくらなんでもあまりにも少なすぎます。

 いったいに女性はそれを我慢しがちで、そのため膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすく、で、そうした病気はチャスティティ・ディジーズ(慎み深いための病気)とも呼ばれます。

 起きているときは2~3時間に1回、膀胱をカラッポにするのが、健康上のだいじな心がけです。

「1週に1度の排便」というのも、どうかと思いますが、便秘には「何日間排便がなければ便秘である」といった明確な定義はありません。

 一般的には、排便が週に1回程度だったり、薬がないと排便できなかったりするような状態だと「便秘」と考えられています。

 毎日排便しないといけないと思っている人もいるようですが、3日に1度でもそのあとスッキリするのであれば問題なし。

 毎日出ていても、スッキリしないとか、ガスがたまっておなかが張るなど、不快症状があるようだと、ちと問題ありです。

 快食・快眠・快便は、健康の最もわかりやすいバロメーター。

 おいしく食べて、よく眠って、スッキリ出ると、今日も元気だ! と実感できます。

 反対に、食欲がなく、夜は眠れず、全然出ない─となると、日々の生きるよろこびは、はなはだしく損なわれます。

 便秘は、単にあの妙にうっとうしい不快感だけではなく、肌荒れもひどくなるし、腹痛を起こし、頭痛の原因にもなります。

 ストレスによって便秘が起こることもあります。

 ときには大腸がんなど重大な病気が隠れていることもあます。

「たかが便秘」と軽視してはいけないのです。

 ●高齢者の便秘、便秘促進食のせい!?

 かつて金沢医大老年病学教室が調べた「年代別排便回数の比較(週)」を見ると、

 幼児 7回以上=60%、4~6回=35%、0~3回=5%。

 成人 7回以上=70%、4~6回=25%、0~3回=5%。

 70歳以上 7回以上=15%、4~6回=35%、0~3回=50%。
 
 高齢者の半数は1週3回以下だったのです。

 年をとると、なぜ便通が激減するのでしょか?

 同教室の関本博教授(当時)が挙げた理由は、

 ①硬い物を食べなくなり、食物繊維の摂取が減る。

 ②腸内の食物を下へ送り便を出す「ぜん動運動」を行う腸管の平滑筋の数が中年以降へり始めて、70歳ぐらいでは、若いころの6割程度になる。

 ③腸内細菌のビフィズス菌とか乳酸菌のような善玉菌が少なくなり、腸の動きを悪くするウェルシュ菌などが増える。

 ④便が腸の中に長く滞留するため、水分が吸収されて硬くなる。

 要するに、便の材料になりにくい軟らかい物を好んで食べところへもってきて、胃腸の働きが悪くなり、腸内には悪玉菌が増え、便が硬くなる。

 悪条件がいくつも重なるというわけです。

 お年寄りが、うどんとかそばのような軟らかい物を好み、あまり硬い物は食べたがらないのは、歯が弱いということもあるが、年をとると、すぐエネルギーになる糖質を欲するように体が変わってくるのだろうと、専門家は言っています。

 でんぷんや砂糖のような糖質は、食べると体の中ですぐブドウ糖に変わってエネルギーになります。

 しかし、脂肪がブドウ糖に変わるには、複雑な過程を経なければなりません。

 たんぱく質も、脂肪ほどではないが、アミノ酸からアミノ基とかカルボキシル末端というようなものをはずして、燃料として燃えやすくするには、ちょっと時間がかかります。

 要するに脂肪やたんぱく質をエネルギーに変えるには手間ひまがかかり、お年寄りには体質的に合わなくなってくるのです。

 で、体の燃料としていちばん使いやすい糖質─うどんのような軟らかくて繊維質の少ない、便をつくる材料の少ない物─への好みが強くなる。

 つまり体の欲求として、便秘を促進するような食事になっているのです。

 便秘を解消するには、まず食事内容を変える必要があるようです。

 ●便秘の種類と便秘解消法

 便秘は、腸管に病変がある「器質性便秘」と、病変のない「機能性便秘」に大別されます。

 普通にいう便秘は機能性便秘のことで、便が大腸に長くとどまり、水分が吸収されて硬くなった状態です。

 器質性便秘の原因でいちばん気をつけなければいけないのは、大腸がんです。

 イヤな感じの便秘が何日も続くようなときは、便潜血検査、内視鏡検査、尿や血液の一般検査などきちんと診てもらいましょう。

 機能性便秘には、腸の動きが悪い「弛緩(しかん)性便秘」と、腸が動き過ぎる「痙攣(けいれん)性便秘」があります。

 弛緩性便秘は、①便意が少ない、②腹部に軽い不快感があるが、痛みはない、③便が硬くて、太い、④市販の下剤を飲むと具合がよくなる、⑤食物繊維の多い食事を取れば通じがよくなる─といった症状がみられます。

 一方、痙攣性便秘は、①しばしば腹痛や不快感が生じ、②排便するとその症状がなくなる、③便が硬くコロコロしている、④残便感がある、⑤腹が張るのに通じがない、⑥ストレスがたまっている─といったふうです。

 便秘を解消する効果的な方法を三つ、専門家に挙げてもらいました。

 1 朝食前に冷たい水を飲む。

 レントゲンで胃の透視をしているとき、氷のうを腹に当てると、ピピッと胃が動きます。

 同じように冷たい水を飲んでも胃腸が動いて、排便を促します。

「年寄りの冷や水」というのは、水の中に入ったりするのがよくないので、飲む分にはいいはず。

 便の軟らかさを保つためにも、水分は十分、補給すべきです。

 2 運動して体をよく動かす。

 運動は"ウン動"、運動しないと腸も動きません。

 お年寄りの便秘の一因は運動不足。

 これを解消するには歩くのが一番。ゴルフやテニス、ラジオ体操など、体をひねる運動―もおすすめです。

 腹筋運動も効果的。

 やり方はこうです。

 仰向けに寝て、上体を心持ち起こしてヘソを見る。

 数秒こらえて元に戻し、繰り返す。この動作を朝晩、寝床の中で─。

 そのあと、腹の上に「の」の字を書くように手のひらでマッサージするのも、即効性ありです。

 3 食物繊維を多くとる。

 食物繊維や水分をバランスよくとると、便のかさがふえたり、軟らかくなったりして、出やすくなります。

 絶対的推奨品は、おから。これを天然塩で味つけし、ニンジン、ゴボウと煮込みます。

 便秘に効くだけでなく健康食としても最上の一品です。

 ●便秘と塩と下剤の関係

 便秘薬を正しく使うには、自分の便秘はどのタイプか正しく知る必要があります。

 先年、便秘や胃炎の治療に使われている医療用医薬品「酸化マグネシウム」をのんだ高齢者らが、意識を失うなどの高マグネシウム血症を起こし、2人が死亡するということがありました。

 マグネシウムは、腸の中に水分を引き寄せて、腸の運動や排便を助ける効果があります。

 で、マグネシウムの化合物(酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム)が便秘症の治療に用いられます。 

 各製薬会社による推計使用者は年間延べ約4500万人。

 症状の性質上、長期服用になりがちで、意識障害、不整脈、呼吸抑制、血圧低下などが起きる可能性があります。

 長期服用者に対しては、血液中のマグネシウム濃度の測定など十分な観察を─と厚労省は指示しました。

 そこでお勧めしたいのが、マグネシウムだけでなくカリウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛など微量元素をバランスよく含む海洋ミネラル製剤「MCM」です。詳しくはネットで──。 

 ところで、昔の天然塩の中にはマグネシウムがたくさん入っていました(だからすぐしっけてべとついた)。

 それが糞便中の水分を保持して便を軟らかくしました。

 便秘に悩む人は天然塩を用い、食物繊維の豊富な物を食べるとよいのです。

 イチ押しは、さっきいった、おから。天然塩で味つけしたおから料理を!

 しかし、糞闘努力の甲斐もなく、ウンに見放される日が続くと、下剤に頼りたくなります。

 ところが、その下剤の乱用が便秘をいっそう悪化させてしまいます。

 下剤は「出なくて苦しい」状態を一時的に改善するもので、便秘そのものを治す薬ではありません。

 どうにも苦しいときに薬を使うのはかまわないのですが、下剤を使うことに慣れると、便意を感じて、トイレに行き、排便するという腸のリズムが失われます。

 下剤はあくまでも急場の対処法、一時的使用を原則とすべき薬です。

 市販の下剤のうち最も種類が多いアロエやセンナ、大黄が成分として配合されている「アントラキノン系下剤(刺激性便秘薬)」は、大腸を刺激することによって便意を生じさせます。

 この「刺激性便秘薬」長期使用で効きがわるくなったり、大腸の自発的な動きが弱ったりする欠点があります。

 大腸の粘膜が黒ずむ大腸メラノーシス(大腸黒皮症)も発生しやすくなります。

 アロエ、センナ、大黄は、自然の成分の生薬なので安心感がありますが、長期連用は控えたほうがよいのです。

 が、便秘に詳しくない先生にかかると、下剤の大半を占めるアントラキノン系下剤を処方されることが多いようです。

 便秘の名医としてしられる、松生恒夫・松生クリニック院長は、漢方薬を下剤として選ぶさいは、大黄などの含有量はごく少量で効果が得られる「防風通聖散」を第一選択にしているということです。

 2012年、便秘治療薬としては約30年ぶりに発売された「ルビプロストン(商品名アミティーザカプセル」は、小腸に作用し、便に含まれる水分をふやし、便を軟らかく移動しやすくします。

 慢性便秘に広く効果があり、長く飲んでも効きがわるくなる心配が少ないことがわかっています。

 ルビプロストン(Lubiprostone)は、主に過敏性腸症候群に関連する慢性特発性便秘症やオピオイド投与の副作用としての便秘の治療に用いられる医薬品である。

 米国で2006年1月に(2007年9月、2013年4月に承認追加)、日本では2012年7月に承認された。商品名アミティーザ。

 続いて2017年3月、同じように腸管の水分量をふやす便秘型過敏性腸症候群の治療薬としてリナクロチド(商品名リンゼス錠)が発売されました。

 2017年10月、日本最初の「慢性便秘症診療ガイドライン(指針)」が、日本消化器病学会関連研究会の慢性便秘の診断・治療研究会により刊行されました。

 同指針の策定に加わった横浜市立大学大学院の中島淳・主任教授(肝胆膵消化器病学)は、メディア・セミナーで、「ガイドラインで変わる日本の慢性便秘症」をテーマに講演。

「日本の便秘治療がガラパゴスから脱して、グローバル基準となり、患者が適切な治療を受けられるよう願っている」と話しました。

 同指針で、エビデンス(科学的証拠)レベルAかつ推奨度1で「有用であり使用を推奨する」とされたのは、ルビプロストン、リナクロチドと酸化マグネシウムなどの2種類。

「ルビプロストンと酸化マグネシウムを強く推奨」とされています。

 平成30年が便秘医療の元年になるよう期待したいと思います。

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果物、食べよう! 食べよう! [健康短信]

果物は肥満、高血糖、動脈硬化を改善する

 果物は「体にいい」といわれるものの、ちまたでは「甘いから太る」「血糖値を上げる」というイメージもあります。

ところが最新の研究で、むしろ果物を食べたほうが肥満や高血糖を改善するということがわかってきました。

果物についての間違った認識を改め、積極的に食生活に取り入れてみませんか?

果物にまつわる「誤解」

 日本は、世界的に見ても果物の消費量が少ない国です。

とくに20~40代の若い世代、働き盛りの世代は、果物をあまり食べない傾向にあります。

なぜ食べないのか。

それは、果物に対して「血糖値を上げる」「太る」「中性脂肪を増やす」というイメージがあることも大きいようです。

ダイエットに関心のある若者、メタボリックシンドロームや動脈硬化など生活習慣病が気になる世代は、果物を敬遠しがちになります。

しかし、果物を食べると「血糖値が急上昇する」「太る」「中性脂肪が増える」というのは、全くの誤解です。

<誤解1> 果物は血糖値を上げる?

食後血糖値を上昇させる作用を数値にしたものをGI(グリセミック・インデックス)値といいます。

GI値は100に近いほど血糖値が上がりやすい食品といえます。

穀類、イモ類などの食品はGI値が高い傾向にあり、たとえばフランスパンは95。

それに比べ、果物はGI値が低いものがほとんどで、イチゴは40、リンゴは38、グレープフルーツは25です。

穀類やイモ類に多く含まれるデンプンは、食後すみやかにブドウ糖に分解されて血液中に送られるため、血糖値が上がりやすくなります。

一方で、果物に含まれる果糖のGI値は低く、血液中の血糖値を急に上げないだけでなく、果物に豊富に含まれている水溶性食物繊維は、糖質の消化や吸収のスピードを緩やかにする効果があります。

糖尿病学会の作成した『糖尿病食事療法のための食品交換表』では、果物は「1日80kcal程度とること」が推奨されています。

血糖値をコントロールするうえでも、果物をバランスよくとることは重要なのです。

<誤解2> 果物は甘いから太る?

果物と野菜を区別する基準はさまざまですが、国際連合食糧農業機関(FAO)などの世界的な機関ではイチゴ、スイカなどは「果物」としています。

一般的にも「果物は甘くておいしい、甘いものはカロリーが高く、太りやすい」と思われがちです。

そのため、「果物は体に悪く、野菜は体にいい」、そのように考える人は少なくありません。

しかし、甘みの強さとカロリーは、必ずしも比例するわけではありません。

また、「野菜は果物よりカロリーが低い」と考える人もいます。

しかしたとえば、ゴボウは100g当たり65kcalで、リンゴの57kcal、キウイフルーツの53kcalなどよりもややカロリーが高くなります。

さらに、野菜は調理してから食べることが多いため、口に入るときのカロリーは高くなりがちです。

果物は調理せず食べることが多いので、カロリーを低く抑えることができます。

こうしてみると、果物はむしろダイエットの助けになるといえます。

一般的なスナック菓子やケーキ類などと比べると、1回分の果物のカロリーは3分の1以下です。

そのうえ果物は食物繊維が豊富なため、少量で満腹感を得やすくなります。

間食に甘味が欲しくなったときに、菓子を果物に置き換えるだけで、一日の摂取カロリーを抑えられるでしょう。

実際に欧米では、肥満体型の人は標準体型の人より果物の摂取量が少ないという研究もあり、日本でも同じような結果になると考えられています。

<誤解3> 果物は中性脂肪が増える?

果物に含まれている果糖は、長年、中性脂肪を増やすといわれてきました。

血中の中性脂肪が濃い状態が続くと、動脈硬化が進行し、脳卒中や心不全を引き起こす危険があります。

しかし、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版』では、むしろ適量の果物を食べることで動脈硬化のリスクを減らせる可能性があるとしています。

ガイドラインによると、果物の摂取量が多いほど、冠動脈疾患や脳卒中のリスクが下がり、とくにリンゴ、ナシ、かんきつ類を食べたときにその傾向が強いとのこと。

また、グレープフルーツ、キウイフルーツ、ベリー類を食べている人は、LDLコレステロールや血中の中性脂肪が減少したという研究も紹介されています。

さらに、一日に1.5~2個のリンゴを3週間食べ続けると、血中の中性脂肪が下がった、または正常範囲の中間値に近づいた、という調査もあります。

食事全体のバランスが大事

野菜などもそうですが、体にいいからといって果物ばかり食べ過ぎると、かえって健康を損ねます。

大事なのは、さまざまな食品からバランスよく食べることです。

厚生労働省と農林水産省が提案している「食事バランスガイド」では、一日に食べる食品を主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5グループに分け、それぞれを食べる量の目安を示しています。

これによると、果物は一日に200gとることが推奨されています。リンゴなら1個、ミカンなら2個、イチゴなら15~20粒、グレープフルーツなら1個の量です。

外食が多く、果物を食べる機会があまりない人は、コンビニやスーパーマーケットで売られているカットフルーツでもよいでしょう。

果物ジュースだと食物繊維などの効果が期待できなくなるので、できるだけ生で、固形の果物を食べましょう。

「果物は高い」も誤解?

果物がいくら健康にいいからといって、毎日食べるのは結構出費になる……、そのように思った人もいるかもしれません。

総務省が行った2012~14年の「家計調査」によると、100g当たりの小売価格の平均は、野菜が37.8円、果物は42.1円です。

確かに果物のほうが高いですが、差は5円弱。家計の大きな負担になるほどではありません。

また、旬のものを選べば、価格が抑えられることもあります。

果物が体にいいことは、もはや世界の常識

ここまでみてきたとおり、果物を食べると「血糖値をコントロールできる」「ダイエットできる」「中性脂肪が減る可能性がある」など、体にとってはむしろいいことずくめです。

2004年に世界保健機構(WHO)が採択した『食事、運動、健康に関する世界戦略』では、慢性疾患を予防するための栄養摂取の目標として、果物の摂取を増やすことを勧告しています。

果物が体にいいことは、すでに世界の常識となっているのです。

あなたも、今日から食生活に果物を積極的に取り入れてみませんか?

「みんなの健康ライブラリー」2018年5月掲載より(C)保健同人社
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