膵がんリスク [医学・医療短信]
果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連
国立がん研究センターなどの研究グループは、約9万人のデータに基づき、果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連を検討。
膵がんの罹患リスクは果物摂取により低下し、野菜の摂取で上昇することが示された、と発表しました。
解析対象は45~74歳の男女9万185人。
138食品を含む食品摂取頻度調査を基に、果物(17品目)・野菜(29品目)の摂取量によって対象者を4群に分け、最少群を対照としてその他の群のがん罹患リスクを調べました。
16.9年間(中央値)の追跡期間中に、577人が膵がんと診断された。
全果物摂取量の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが26%低かった。
柑橘類(みかん、みかん以外の柑橘類、オレンジジュース)に限定した場合にも、ほぼ同様のリスク低下が認められた。
果物摂取と膵がん罹患リスク低下との関連は、非喫煙者でより明瞭だった。
一方、全野菜摂取の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが30%高かった。
ただ、アブラナ科野菜や緑黄色野菜など特定の種類に限定した場合、膵がん罹患リスクとの有意な関連は認められなかった。
また、全野菜摂取と膵がん罹患リスク上昇との関連は、喫煙者において有意だったが、非喫煙者では有意な関連は示されなかった。
果物や野菜の摂取によるがんの予防効果については、幾つかのがんで可能性が示されている。
しかし、膵がんに関しては、これまでに一定の研究結果が得られていない。
そこで研究グループは、日本人の生活習慣病予防と健康寿命延伸を目的に国内で実施されているJPHCのデータを用いて、果物・野菜の摂取量と膵がんの罹患リスクとの関連を検討した。
果物摂取と膵がんの罹患リスク低下との関連が認められた今回の結果について、研究グループは、
「果物に含まれるビタミンなどの抗酸化成分が、膵がんのリスク低下に関係しているのではないか」と考察。
一方で、野菜摂取にリスク上昇との関連が認められた点については、
「喫煙者でリスクの上昇が顕著になることから、野菜とたばこに含まれる成分との相互作用の可能性が考えられるが、明確な理由は分からない」とコメントしている。
その上で、
「今回の研究は、日本人が対象のものでは過去最大規模だが、症例数は必ずしも多くはない。日本人を含むアジア人における疫学研究は少ないため、さらなる研究の蓄積が必要だ」と今後の課題を示している。
食物繊維をとろう
さまざまな食材をバランスよく食べましょう。
なかでも便秘予防に役立つ食物繊維は重要。
食物繊維には2種類あり、ごぼうやいも類などに多い「不溶性食物繊維」は便のかさを増し、海藻類や雑穀などに多い「水溶性食物繊維」は便の滑りをよくします。
こうして便通がよくなっていると、腸内が掃除され、腸内環境が整うのです。
さらには、全粒穀物に含まれる食物繊維により、満腹感を長時間持続しやすくなり、摂取カロリーを抑えられる。全粒穀物は体重コントロールにも有利です。
発酵食品も強い味方
味噌、納豆、チーズをはじめ、有益な菌を含む発酵食品も、腸の健康に欠かせません。
なかでも手軽にとれるヨーグルトはおすすめで、目安量は毎日100g。
夕食後に食べると有益な菌が腸に長時間留まるので、より高い効果が期待できるようです。
ヨーグルトは商品によって入っている菌が異なります。
ドリンクやフルーツ入りなどのタイプもありますが、カロリーなどに気をつければ、基本的にどれを選んでもOK。体調や便の状態をチェックしながら、いろいろ試すのもいいでしょう。
食べる量も大切
食べる量が少ないと便の材料が不足して、スムーズに排便できなくなります。
その対策のためにもしっかり食べ、体に必要な成分を取り込みましょう。
食欲がないときは、具だくさんの味噌汁やスープ、ヨーグルトなどがおすすめです。
なお、お菓子やインスタント食品に含まれる添加物は、腸内細菌のバランスを崩すとも言われています。
できるだけ避けましょう。
体を動かす
ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、腸の動きを活性化し、排便を促します。体を動かせば、おなかがすき、おいしく食事ができるというメリットもあります。
監修:飯野久和昭和女子大教授 農学博士
(「みんなの健康ライブラリー」2017年3月掲載より)
国立がん研究センターなどの研究グループは、約9万人のデータに基づき、果物および野菜の摂取と膵がん罹患との関連を検討。
膵がんの罹患リスクは果物摂取により低下し、野菜の摂取で上昇することが示された、と発表しました。
解析対象は45~74歳の男女9万185人。
138食品を含む食品摂取頻度調査を基に、果物(17品目)・野菜(29品目)の摂取量によって対象者を4群に分け、最少群を対照としてその他の群のがん罹患リスクを調べました。
16.9年間(中央値)の追跡期間中に、577人が膵がんと診断された。
全果物摂取量の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが26%低かった。
柑橘類(みかん、みかん以外の柑橘類、オレンジジュース)に限定した場合にも、ほぼ同様のリスク低下が認められた。
果物摂取と膵がん罹患リスク低下との関連は、非喫煙者でより明瞭だった。
一方、全野菜摂取の最多群では、最少群に比べて膵がんの罹患リスクが30%高かった。
ただ、アブラナ科野菜や緑黄色野菜など特定の種類に限定した場合、膵がん罹患リスクとの有意な関連は認められなかった。
また、全野菜摂取と膵がん罹患リスク上昇との関連は、喫煙者において有意だったが、非喫煙者では有意な関連は示されなかった。
果物や野菜の摂取によるがんの予防効果については、幾つかのがんで可能性が示されている。
しかし、膵がんに関しては、これまでに一定の研究結果が得られていない。
そこで研究グループは、日本人の生活習慣病予防と健康寿命延伸を目的に国内で実施されているJPHCのデータを用いて、果物・野菜の摂取量と膵がんの罹患リスクとの関連を検討した。
果物摂取と膵がんの罹患リスク低下との関連が認められた今回の結果について、研究グループは、
「果物に含まれるビタミンなどの抗酸化成分が、膵がんのリスク低下に関係しているのではないか」と考察。
一方で、野菜摂取にリスク上昇との関連が認められた点については、
「喫煙者でリスクの上昇が顕著になることから、野菜とたばこに含まれる成分との相互作用の可能性が考えられるが、明確な理由は分からない」とコメントしている。
その上で、
「今回の研究は、日本人が対象のものでは過去最大規模だが、症例数は必ずしも多くはない。日本人を含むアジア人における疫学研究は少ないため、さらなる研究の蓄積が必要だ」と今後の課題を示している。
食物繊維をとろう
さまざまな食材をバランスよく食べましょう。
なかでも便秘予防に役立つ食物繊維は重要。
食物繊維には2種類あり、ごぼうやいも類などに多い「不溶性食物繊維」は便のかさを増し、海藻類や雑穀などに多い「水溶性食物繊維」は便の滑りをよくします。
こうして便通がよくなっていると、腸内が掃除され、腸内環境が整うのです。
さらには、全粒穀物に含まれる食物繊維により、満腹感を長時間持続しやすくなり、摂取カロリーを抑えられる。全粒穀物は体重コントロールにも有利です。
発酵食品も強い味方
味噌、納豆、チーズをはじめ、有益な菌を含む発酵食品も、腸の健康に欠かせません。
なかでも手軽にとれるヨーグルトはおすすめで、目安量は毎日100g。
夕食後に食べると有益な菌が腸に長時間留まるので、より高い効果が期待できるようです。
ヨーグルトは商品によって入っている菌が異なります。
ドリンクやフルーツ入りなどのタイプもありますが、カロリーなどに気をつければ、基本的にどれを選んでもOK。体調や便の状態をチェックしながら、いろいろ試すのもいいでしょう。
食べる量も大切
食べる量が少ないと便の材料が不足して、スムーズに排便できなくなります。
その対策のためにもしっかり食べ、体に必要な成分を取り込みましょう。
食欲がないときは、具だくさんの味噌汁やスープ、ヨーグルトなどがおすすめです。
なお、お菓子やインスタント食品に含まれる添加物は、腸内細菌のバランスを崩すとも言われています。
できるだけ避けましょう。
体を動かす
ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、腸の動きを活性化し、排便を促します。体を動かせば、おなかがすき、おいしく食事ができるというメリットもあります。
監修:飯野久和昭和女子大教授 農学博士
(「みんなの健康ライブラリー」2017年3月掲載より)