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睡眠時間と脱水 [医学・医療短信]

睡眠時間が短いと脱水リスク上昇

 睡眠時間が短いと脱水になるリスクが高くなる。

米・Pennsylvania State UniversityのAsher Y. Rosinger氏らは、米国人と中国人を対象に睡眠時間と脱水リスクについて検討した結果、一晩の睡眠時間が8時間の人に比べて6時間の人では脱水になるリスクが6割上昇すると「Sleep」オンライン版)で報告した。

バソプレシンの分泌を逃す

 短時間または長時間の睡眠は腎機能の低下に関連するとされているが、睡眠と脱水の関連についてはほとんど研究が行われていない。

 そこでRosinger氏らは、米国人と中国人を対象に睡眠が体内水分量と脱水リスクに与える影響を検討した。

 米国民保健栄養調査(NHANES)に参加した米国人1万4,239例(2007~08年:4,680例、2009~12年:9,559例)とKailuan Studyに参加した中国人1万1,903例を対象に、睡眠時間と体内水分量のバイオマーカー(尿比重と尿浸透圧)との関係を検討した。

 尿比重が1.020 g/mL超、尿浸透圧は831mOsm/kg超の場合を不適切な体内水分量と定義した。

 糖尿病患者と利尿薬服用者を除外し、より健康的なサブグループ(米国人1万1,353例、中国人8,766例)を対象に解析を行った。

 米国人の解析では、睡眠時間が8時間の群に比べて6時間の群では尿比重が有意に上昇し、体内水分量が不適切になるリスクが59%上昇していた(調整後オッズ比1.59、95%CI 1.25~2.03)。

 中国人の解析では、8時間睡眠群に比べて6時間以下の睡眠群で尿比重が上昇し、体内水分量が不適切になる傾向が認められた(8時間睡眠群に対する6時間睡眠群の調整後オッズ比1.42、95%CI 1.26~1.60)。

 9時間以上の睡眠と体内水分量に関連は認められなかった。

 同氏は「体内水分量を調整する抗利尿ホルモンのバソプレシンは終日分泌されているが、睡眠サイクルの後半に短時間でより多量に分泌される。

 そのため夜間の睡眠時間が短いと、バソプレシンがより多く分泌されるタイミングを逃してしまう可能性がある」と指摘する。

 脱水は認知、気分、体力など多くの身体システムと機能に負の影響を及ぼし、長期または慢性の脱水は尿路感染症や腎結石などのリスクを高める可能性がある。

 同氏は、

 「夜間に6時間しか寝ていない人では脱水リスクが上昇する可能性がある。十分な睡眠時間が確保できなかった日の翌日に体調不良または疲労を感じた場合は、水分を多く摂取することが重要だ」とアドバイスしている。

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