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肝臓の炎を消そう [医学・医療短信]

 肝臓の炎症、それはあなたが思うよりも近い

 すこし気が早いが、この週末、7月28日は「日本肝炎デー」である。

 WHO(世界保健機構)が、世界的レベルでのウイルス肝炎のまん延防止と、感染予防の推進などを目的に、B型肝炎ウイルスの発見者、バルーク・ブラムバーグの誕生日のこの日を、「World Hepatitis Day(世界肝炎デー)」と定めたのは、2010年。

 テーマは、「This is hepatitis(これは肝炎である)」、スローガンは、「Its closer than you think(それはあなたが思うよりも近い)」だった。

 肝炎のABC

 肝炎の原因になる5種類のウイルス──A、B、C、D、E──のうち、日本人に特に縁の深いのはA型とB型とC型だ。

 A型は口からうつる消化器伝染病の一種。

 一度かかれば免疫ができて二度とかからない。

 昔は数年おきに流行し、流行性肝炎と呼ばれたが、今は激減した。

 発展途上国への旅行で感染する例がままみられる。

 抗体を持ってない人は、旅行前に予防ワクチンの接種を受けるとよい。

 B型肝炎ウイルスは、血液、体液を介して感染する。

 ウイルスが体に居ついてしまう持続感染(キャリア)と、急性肝炎で治ってしまうものとがある。

 出生時や乳幼児期にうつるとキャリアになりやすいが、免疫機構が正常な成人では、A型と同じように一過性の感染で済む。

 ワクチンと免疫グロブリンによる予防が、1986年から始まり、今はもうキャリアになる子どもはほとんどいない。

 数十年後にはB型の慢性肝炎、B型の肝硬変、B型の肝がんは消滅するだろう。

 残るはC型肝炎だが、これの多くは大人になってからの感染で、60~70%がキャリアになり、肝硬変、肝がんに進む人がいる。

 国民的肝炎

 毎年約3万4000人が肝臓がんで亡くなっている。

 その原因の8割がC型肝炎、一割がB型肝炎だ。どちらも血液を介して感染する。

 B型は、出生時や乳幼児期の母子感染と、昔の集団予防接種での注射針の使い回しなど、医療行為による感染が多かった。

 C型は、血液から作った薬や輸血などによって広がった。

 俳優の渡辺謙さんも、1989年に発症した白血病の治療で輸血を受けたさい、C型肝炎に感染したと、自著『誰? WHO AM I?』(ブックマン社)の中に書いている。

 大人になってから感染したB型は慢性化しないが、C型は慢性肝炎になる。

 患者・持続感染者は、B型100万人以上、C型150万人以上とみられる。

 国民病といってもいいだろう。

 慢性肝炎は自覚症状がほとんどなく、感染に気づいてない人も多い。

 治療法は劇的に進歩。

 インターフェロンを改良したペグイントロンと抗ウイルス薬リバビリンの併用による完治例が増えている。

 渡辺さんもこの治療法によって「非常にいい状態をキープしている」そうだ。

 お知らせ。 

 幼少期に受けた集団予防接種等の際に注射器が連続使用されたことによってB型肝炎ウイルスに持続感染した人への給付金制度。

 具体的には…

①昭和16年7月2日から昭和63年1月27日
までに生まれた方

②B型肝炎ウイルスに持続感染している方

 その他、基本合意書に定められた要件を充たすと国に認められた方。

 上記の条件にあたる方には、病態に応じて50〜3,600万円の給付金が国から支給される可能性があります。

 国を相手とする「国家賠償請求訴訟」という訴訟を提起することが必要。

 一定の証拠を提出して、基本合意書に定める要件を充たすと認めると国が和解をし、その和解調書を国の窓口に提出することによって給付金を受け取ることができます。
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