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夜の失敗、賢い対処法 [医学・医療短信]

 夏休み! 

 臨海学校や合宿に出かける子どもも多いだろう。

 そこで心配になるのが、おねしょ。

 小学生になってもまだおねしょをしている子はけっこう多く、旅行の前になると、

「夜中に一度、起こしてください」と、担任の先生に頼みに来る母親が何人もいるそうだ。

 で、旅行から帰って来た子が、

「僕だけじゃなかったよ。夜中にトイレに行ったら、みんないたよ」と明るい声で報告、それをきっかけにおねしょが治ったという例もある。

 夜尿には、①多尿型、②膀胱型、③混合型、④正常型という四つのタイプがある。

 ①は、睡眠中に作られる尿の量が多いタイプ。

 人間は普通、昼間より夜間のほうが尿の量が減る。

 夜、寝ている間は、尿の産生を抑える抗利尿ホルモンが多く分泌されるためだ。

 その分、尿は濃くなる。

 赤ちゃんのときは昼も夜も同じように排尿するが、3~4歳ごろになると、抗利尿ホルモンの分泌や、排尿にかかわる自律神経のバランスがうまくとれるようになり、夜、寝ているときには排尿をしなくなる。

 多尿型の子どもは、抗利尿ホルモンの分泌が不十分なために、夜間にもたくさんうすい尿ができ、尿を貯める膀胱の容量を超えて、漏らしてしまう。

 ②は、作られる尿の量は通常だが、膀胱の発達が未熟なために貯められる尿の容量が少なく、尿があふれて夜尿をしてしまうタイプだ。

 ③は、①と②の両方がみられるタイプ。

 ④は、尿の量も多くはなく、膀胱の容量もほぼ正常で、データ的には異常はないが、夜尿をするというもの。

 大部分は①、②、③が改善し、もうすぐ治るという状態になっているもので、夜尿の程度や頻度も少なく、ある日突然、治ってしまうものがほとんどだ。

「夜尿症は、一つの病気ではありますが、そのほとんどが自然に治っていくものです。

 だからといって、いつまでも放っておいてよいということではありませんが、あまり早くから心配しすぎるのも考えものです」と、新都心こどもクリニック(さいたま市)の赤司俊二院長。

 治療は、体には何の異常もないことをはっきりさせて、本人を安心させる。

 自信をつけさせる。薬物療法、アラーム療法(パンツに小さなセンサーをつけ、尿がちょっと漏れると水分に反応してブザーが鳴って、目が覚める)などいろいろあるが、中心は生活習慣の改善だ。

 夜尿のタイプに合った食事や水分の摂取コントロール、排尿訓練、そして家族の協力だ。

 夕方からの水分摂取はなるべく減らし、夕食は就寝の3時間前までに─。

 料理は塩分を少なめに─(尿は塩分を排泄するために作られるので、塩分の多い食事は尿の量を多くする)。

 昼間に排尿を我慢する排尿訓練は、膀胱の容量を大きくしていく効果がある。

 こうした夜尿を治すための食生活や排尿訓練は、最低でも数カ月以上かかる。

 必須条件は「根気」である。

「だからこそ家族で話し合い、夜尿を治すために全員で協力していくことが、とても大切なのです。

 焦っても夜尿は治らない、怒っても良いことはなにもない、夜は起こさずよく寝かせる─焦らず、怒らず、起こさない─が三原則です」と、赤司先生。

 先生の本『夜尿症―その正しい理解のために』(悠飛社=1470円)のご一読を、子どものおねしょに悩むお母さんにお勧めしたい。

 なお、ときには、大人でもおねしょをすることがある。精神的なストレスが原因となることが多い。

 以前に見たテレビドラマで、大口の得意先を失ったデパートの外商部の課長が睡眠中に失禁するシーンがあったが、そうした強い精神的過労による夜尿も珍しくないようだ。

 むろん、このような夜尿自体は心配無用である。
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