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日本人の前立腺がん、最適な治療は? [医学・医療短信]

日本人に最適な前立腺がん治療は?

男性特有「前立腺がん」は新たに発症する人が年間およそ10万人と急増。

その伸びは、ここ10年で2倍以上。

進行性、転移性前立腺がんに対する治療は目覚ましく変化しているが、ホルモン療法が主体であることに変わりはない。

ホルモン療法の有効性には人種差があることが示唆されている。

昭和大学江東豊洲病院泌尿器科教授の深貝隆志氏は、日本と欧米におけるホルモン療法の現状を比較した上で、今後、臨床において日本人に最適なホルモン療法を独自に検証する必要があると第106回日本泌尿器科学会で述べた。

日本人は欧米人に比べてホルモン療法の効果が高い

 深貝氏は、前立腺がんの日本研究グループ(Japan Study Group of Prostate Cancer=J-CaP )と、米国の泌尿器診療施設(Cancer of the Prostate Strategic Urologic Research Endeavor=CaPSURE)のデータを用いて前立腺がん治療の動向を紹介した。  

近年では、日本でも米国と同様に前立腺摘除術が主流となりつつあるが、日本は米国と比べて転移がん、高リスクがんが多く、高齢患者が多い。

そして、限局がんから転移がんまで広くホルモン療法が行われている。

ホルモン療法の内訳を見ると、日本ではビカルタミドを用いた複合アンドロゲン遮断(CAB)療法が約75%の症例で行われている点が特徴だ。

日本人では白人や黒人と比較して、ホルモン療法が有効である可能性が示唆されている。

深貝氏らは2006年に発表したハワイ在住の日系人と白人でホルモン療法後の臨床転帰を比較した研究で、全生存率と疾患特異的生存率は日系人患者の方が良好であり、多変量解析の結果、有意な予後予測因子の1つとして人種が同定されたことを報告している。

同様に、米国の白人、黒人、アジア人を対象とした報告でも、アジア人の予後は白人より有意に良好であることが示されている。

さらに、J-CapとCaPSUREを比較した研究においても、日本人のホルモン療法後の予後が米国人より良好であると報告されている。

 同氏は
「日本人を含むアジア人ではホルモン療法に対する感受性が高い可能性や、虚血性心疾患や骨折などの有害事象が少ない可能性、日本の泌尿器科医の方が手厚いホルモン療法を施行している可能性などが挙げられるものの、その原因は明確ではない」と言う。

また、同氏らの研究のサブ解析では、前立腺特異抗原(PSA)100ng/mL以上の進行性前立腺がん患者で、予後に白人との差が認められない傾向が示されている。

同氏は、

「日本人では、より早期のがんの方が欧米人と比べてホルモン療法による生存期間の延長が期待できる可能性がある」と述べた。
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