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ビタミンDと大腸がん [健康短信]

ビタミンDが十分だと大腸がんリスク低下

 骨の健康維持に欠かせない栄養素であるビタミンDは、食事から摂取できるだけでなく、紫外線を浴びると体内で生成される。

 新たな研究で、ビタミンDの血中濃度が高いほど、大腸がんになるリスクは低減する可能性のあることが示された。

 研究によると、これらの関連は特に女性で強かったという。詳細は「Journal of the National Cancer Institute」6月14日オンライン版に掲載された。

 米国では、大腸がんはがんによる死亡原因の第3位を占めており、2018年には14万250人が新たに大腸がんと診断され、5万630人が大腸がんにより死亡すると推計されている。

 また、生涯で大腸がんに罹患(りかん)する確率は、女性では24人に1人、男性では22人に1人といわれている。

 米国がん協会(ACS)疫学研究部門長のMarjorie McCullough氏らは今回、17件のコホート研究に参加した計5706人のがん患者と、計7107人の健康な対照群のデータを用いて、血中25(OH)D濃度と大腸がん罹患との関連を調べた。

 対象者の約3分の1では、血液サンプルを再分析して新たに血中25(OH)D濃度を測定した。

 解析の結果、血中25(OH)D濃度が正常範囲だが低い(50~62.5nmol/L)場合に比べて、ビタミンDが不足または欠乏(血中25(OH)D濃度が30nmol/L未満)していると、大腸がんになるリスクが31%高いことが分かった。

 一方で、血中25(OH)D濃度が十分であると(75~87.5nmol/Lおよび87.5~100nmol/L)、大腸がんになるリスクはそれぞれ19%、27%低下した。

 また、血中25(OH)D濃度が25nmol/L上昇するごとに、大腸がんになるリスクは女性では19%、男性では7%低下することも明らかになった。

 ただし、血中25(OH)D濃度が100nmol/L以上になると、この効果は頭打ちになった。

 しかし、大腸がんを予防するために、わざわざ日焼けをする必要はないようだ。

 McCullough氏によれば、大腸がんリスクが上昇するほどビタミンDが欠乏している米国人はわずかに過ぎないという。

 ほとんどの人は普段の生活でビタミンDを十分に取れており、過剰摂取は逆に身体に悪影響を及ぼすため、サプリメントの摂取は勧められないとしている。

 また、紫外線は皮膚がんの強いリスク因子になるため、「ビタミンDの血中濃度を上げるために日焼けすることは勧められない」と同氏は強調している。

 ビタミンDは骨の健康に重要なことが知られているが、がんやそれ以外の疾患に対する有効性は十分に検討されていない。

 2011年の米国医学研究所(IOM、現・米国医学アカデミー;NAM)による食事摂取基準に関する報告書でも、ビタミンDによるがん予防効果については十分なエビデンス(科学的根拠)はないことが記されている。

 なお、ビタミンDががん予防に働く機序は明らかにされていないが、基礎研究で、ビタミンDには細胞の増殖を抑えたり、細胞死を促進する作用があることが示されている。

 McCullough氏は「ビタミンDはこうした作用により異常ながん細胞の増殖を抑えるように働くのではないか」と話している。

(HealthDay News 2018年6月15日)Copyright [コピーライト] 2018

「毎日新聞デジタル版 医療プレミア」2018年7月10日
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