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「皮膚自己チェック」 [医学・医療短信]

「皮膚自己チェック」でわかるあなたの心と体の調子
 丁宗鐵 / 日本薬科大学学長

 サプリメントの宣伝を見て、体によい成分と思ってすぐに試していませんか。

 サプリメントは食品なので手軽に購入できます。

 でも、自分の体質が実証か虚証なのか、体質に合っているのかくらいは、考えなくてはいけません。

 簡単にいうと、虚証は本来の生命力が弱まって体の機能が低下した状態=「虚弱な人が不健康になった状態」、

 実証は有害物によって体の機能が阻害された状態=「壮健な人が不健康になった状態」です。

 同じ“疲れ”という症状があっても、虚証と実証では捉え方が違ってきます。

 予備知識もなく宣伝のまま摂取していると、病気だった場合、肝心の治療の機会を逃すリスクもあります。

 分かっているようで意外に知らないのが自分の健康です。

 そこで、セルフチェックのための指標がないか考えてみました。服の色や顔色、皮膚の状態からその人の健康状態が 分かることがあります。

 観相家が見ているのは顔だけではない

 よく脈や舌を診ただけで、健康状態や病気が分ると言う人がいますが、日本の漢方の立場は違います。

 全身を診察することが医療の本当のあり方と考えます。

 仮に脈を診て99%分かったとしても、残り1%を見極めることで診断の精度が上がるからです。

 人相を鑑定する観相家も、顔だけを見ているのではありません。

 よく当たると言われる観相家は、歩いている様子からその人を見ています。

 うつむいてとぼとぼと歩いて来たら、何か悩みを抱えていそうだとピンときます。

 漢方もそれと似たところがあります。診察前から、すでに患者さんの診察は始まっているのです。

 その時に非常に大事なのが服の色です。昔の漢方医は、色をとても重要視しました。

 初対面の人や大切な人に会う時、負けられない場所に着ていく服を「勝負服」と呼んだりしますが、初診時の患者さんの服装にも当てはまります。

 特に女性の場合、ほとんどの人は、自分で服を選びます。

 その人の心が服の色を選んでいるので、それを見れば心の状況が予想できるのです。

 中高年の男性の中には毎朝自分で服を選ばず、奥さんが用意した服で出勤する人がいるでしょう。

 私もそうです。みなさんあまり意識していないかもしれませんが、好きな色には、自分も気づいていない心の中が表れます。

 私はモスグリーンがお気に入りで、この色の服を着ると落ち着きます。

 ほっとした気持ちになるからでしょう。

顔色からも分かる病気の特徴

 漢方には、四診<望診、聞診、問診、切診>と呼ばれる四つの診察法があります。

 そのうち望診は、目で全身を診察すること。患者さんの服の色を見るのもそのためです。

 また、顔や体の表面には体の異常が表れやすく、顔色や皮膚の状態もよく診ます。

 顔色から分かる病気としては、黄疸や貧血が代表的です。急性肝炎による黄疸は、白目の部分や顔色が黄色っぽくなります。

 肝臓に病気がある人は、顔色が黒っぽくなることもあります。

 貧血の人の顔色は、青白いというよりは黄色がかったように見えます。

 これは血色が失われるためです。また、低血圧の人は顔色が青白く見えます。

 低血圧と貧血はよく混同されますが別の病気であり、顔色の特徴もやや違います。

 皮膚の状態も自己チェックしよう

 皮膚の症状の程度や原因は人によってさまざま。

 例えば、女性に多いニキビは、

 ▽ニキビの赤みが弱く顔色がすぐれない タイプ

 ▽ニキビや皮膚の色が赤黒くなって炎症を起こすタイプ

 ▽皮膚が乾燥しやすいタイプ

 ▽化膿しやすいタイプ

 -- などがあります。

 肌荒れは、皮膚の乾燥以外に何らかの内臓疾患で起きる場合があります。

 しみは、加齢や紫外線だけでなく、ホルモンが関係している肝斑は、妊娠や更年期などが原因になります。

 しわは、自然にできるものと局所的にできるものがあり、 亀裂は皮膚が切れて切れ目ができた状態です。手のひらや足のうらにできやすく、皮膚疾患の症状としても表れます。

 皮膚の症状は美容の観点から気にする人が多く、化粧品で対処していることがあります。

 しかし、刺激を与えてかえって悪化することがあるので、注意してください。

 症状によっては医師に診てもらった方がいい場合もあります。

 服の色や何気なく選んでいる色に、自分でも気づいていない心の中が表れます。

 顔色や皮膚の状態は、体の中の異変を知らせているかもしれません。

 顔、手のひら、足のうらは、特に皮膚の代謝が著しい部位です。

 目や鏡で見てチェックし、自分の健康状態を知る手掛かりにしてみてはいかがでしょうか。【聞き手=医療ライター・阿部厚香】

「毎日新聞 医療プレミア」による

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