中高年女性の人に言えない悩み解消! [医学・医療短信]
中高年女性の尿失禁にヨガが効果的
中高年女性の尿失禁の軽減にヨガが有効な可能性があることが、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)クリニカル・アンド・トランスレーショナル・サイエンス研究所のAlison Huang氏らによる研究から明らかになった。
この研究結果は米国泌尿器学会(AUA )で発表された。
現在、尿失禁を伴う女性外来患者の行動療法は、泌尿器科医または他の専門医療従事者が、集中的に1対1のセッションで行っている。
AUAのプレスリリースによると、米国には尿失禁で日常的に苦労している女性が2000万人以上いるが、全ての女性がこうした行動療法を受けることは難しいため、より利用しやすく、かつ有効な尿失禁の管理法が必要とされている。
そこでHuang氏らは、特別なヨガ・プログラムを開発し、ヨガを経験したことがない55~83歳の女性56人(平均年齢66歳)を対象として、その有効性を検証するために、試験を実施した。
対象者の女性は毎日、数回の尿失禁を経験していたという。
この試験では、対象者を3カ月間にわたってアイアンガー・スタイルのヨガをベースとしたヨガ・プログラムを実施する群(ヨガ群)と、筋肉ストレッチや筋力強化を行うプログラムを実施する群(対照群)のいずれかにランダムに割り付けた。
このヨガ・プログラムは、15の標準的なヨガのポーズと、姿勢および呼吸のコントロールに主眼を置いたテクニックで構成されたもので、ヨガ群の女性たちの「骨盤底の構造」への意識を高めることを狙いとしていた。
一方、対照群では、骨盤底には関係なく全身のストレッチと筋力の強化が行われた。
いずれの群も、集団クラスを週2回、自宅でのクラスを週1回のペースで受けてもらった。
また、排尿日誌を付けてもらい、それに基づきベースライン時と3カ月後の尿失禁の頻度を評価した。
結果、ベースライン時と比べて、3カ月後には尿失禁の頻度がヨガ群で74%、対照群で51%低下した。
有害事象はいずれの群においても認められなかった。
今回の結果について、Huang氏は「対象者は比較的高齢で、失禁の頻度も高く、ヨガの未経験者だったが、プログラム終了時にはヨガ群で74%も尿失禁の頻度が低下していた。
これは、かなり大きな変化だ」とHuang氏。
同氏はヨガで尿失禁が改善した要因について、
「定期的なヨガは全身の健康状態の向上にもつながる。このことは、フレイル(虚弱)の高齢女性において、尿失禁に対して保護的に働く」と説明。
さらに、ヨガで深呼吸や意識のリラクゼーションを行うことで、不安やストレスが軽減され、神経系のバランスが改善することも、過活動ぼうこうや尿意切迫感に良い影響を与えている可能性があるとの見解を示している。
今回の試験では、対照群でも尿失禁の減少がみられたことから、Huang氏は「ヨガ以外の運動でも高齢女性の尿失禁に対して有効な可能性はある」としている。
今回の報告を受け、米アルバートアインシュタイン医科大学モンテフィオーレ病院のMeena Davuluri氏は、
「ヨガには尿失禁の標準治療を上回るベネフィットがある」と話す。
ヨガでは失禁の改善だけでなく、健康的なライフスタイルへの変化にもつながる点がメリットとして挙げられるという。
さらに、同氏は「薬物療法を避けたい患者にも、ヨガが選択肢になり得る」との見方を示している。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学雑誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。
(HealthDay News 2018年5月22日)=『毎日新聞 医療プレミア』より転載
中高年女性の尿失禁の軽減にヨガが有効な可能性があることが、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)クリニカル・アンド・トランスレーショナル・サイエンス研究所のAlison Huang氏らによる研究から明らかになった。
この研究結果は米国泌尿器学会(AUA )で発表された。
現在、尿失禁を伴う女性外来患者の行動療法は、泌尿器科医または他の専門医療従事者が、集中的に1対1のセッションで行っている。
AUAのプレスリリースによると、米国には尿失禁で日常的に苦労している女性が2000万人以上いるが、全ての女性がこうした行動療法を受けることは難しいため、より利用しやすく、かつ有効な尿失禁の管理法が必要とされている。
そこでHuang氏らは、特別なヨガ・プログラムを開発し、ヨガを経験したことがない55~83歳の女性56人(平均年齢66歳)を対象として、その有効性を検証するために、試験を実施した。
対象者の女性は毎日、数回の尿失禁を経験していたという。
この試験では、対象者を3カ月間にわたってアイアンガー・スタイルのヨガをベースとしたヨガ・プログラムを実施する群(ヨガ群)と、筋肉ストレッチや筋力強化を行うプログラムを実施する群(対照群)のいずれかにランダムに割り付けた。
このヨガ・プログラムは、15の標準的なヨガのポーズと、姿勢および呼吸のコントロールに主眼を置いたテクニックで構成されたもので、ヨガ群の女性たちの「骨盤底の構造」への意識を高めることを狙いとしていた。
一方、対照群では、骨盤底には関係なく全身のストレッチと筋力の強化が行われた。
いずれの群も、集団クラスを週2回、自宅でのクラスを週1回のペースで受けてもらった。
また、排尿日誌を付けてもらい、それに基づきベースライン時と3カ月後の尿失禁の頻度を評価した。
結果、ベースライン時と比べて、3カ月後には尿失禁の頻度がヨガ群で74%、対照群で51%低下した。
有害事象はいずれの群においても認められなかった。
今回の結果について、Huang氏は「対象者は比較的高齢で、失禁の頻度も高く、ヨガの未経験者だったが、プログラム終了時にはヨガ群で74%も尿失禁の頻度が低下していた。
これは、かなり大きな変化だ」とHuang氏。
同氏はヨガで尿失禁が改善した要因について、
「定期的なヨガは全身の健康状態の向上にもつながる。このことは、フレイル(虚弱)の高齢女性において、尿失禁に対して保護的に働く」と説明。
さらに、ヨガで深呼吸や意識のリラクゼーションを行うことで、不安やストレスが軽減され、神経系のバランスが改善することも、過活動ぼうこうや尿意切迫感に良い影響を与えている可能性があるとの見解を示している。
今回の試験では、対照群でも尿失禁の減少がみられたことから、Huang氏は「ヨガ以外の運動でも高齢女性の尿失禁に対して有効な可能性はある」としている。
今回の報告を受け、米アルバートアインシュタイン医科大学モンテフィオーレ病院のMeena Davuluri氏は、
「ヨガには尿失禁の標準治療を上回るベネフィットがある」と話す。
ヨガでは失禁の改善だけでなく、健康的なライフスタイルへの変化にもつながる点がメリットとして挙げられるという。
さらに、同氏は「薬物療法を避けたい患者にも、ヨガが選択肢になり得る」との見方を示している。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学雑誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。
(HealthDay News 2018年5月22日)=『毎日新聞 医療プレミア』より転載