“貯筋”のすすめ [健康小文]
百歳まで生きるための“貯筋”のすすめ
まずはあなたの「筋肉年齢」を調べましょう
今回は筋肉の話です。
「筋肉の話」と聞くと「自分には関係ない」と考える方がいるかもしれませんね?
しかし、体全体における筋肉の大切さを知るうえで、そういう方にこそ読んでほしい内容です。
まず、読み進める前に「Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック」で、あなたの機能年齢を測りましょう。
その結果のうち、「筋肉年齢」に注目してください。
あなたの実年齢より若くなりましたか?
それとも年を取った結果になったでしょうか?
30歳以降、年に1%ずつ減少
最近はいろいろと便利な世の中になってきましたが、便利過ぎて運動が不足し、筋肉が衰えている人が増えています。
30歳を超えると筋肉は年1%ずつ萎縮し、70歳を超えた人の筋肉は、「全盛期」の7割以下、80歳では6割以下に減ってしまいます。
筋肉の役割は第一に体を動かすことですが、それ以外にも重要な役割があります。
食事から得たブドウ糖(グルコース)の7割が骨格筋で消費されます。
筋肉が減れば太りやすくなるばかりか、糖尿病にもなりやすくなります。
筋肉は骨を丈夫にするたんぱくを作りますし、転んでもけがが少なくすむように筋肉が骨と関節を守っています。
筋肉運動によって生じる乳酸は脳下垂体に作用して成長ホルモン分泌を刺激します。
これは若さと健康を保つための重要なホルモンです。
さらには筋肉量の低下を放置していると寝たきりの原因になります。
女性はもともと男性より筋肉が少ないですから、特に注意が必要です。
「まだ先のこと」「自分には関係ない」と思っている30代の段階で、筋力トレーニングなどの対策を始めておくべきです。
早い段階から筋肉を作る「貯筋」をしましょう。
日本人約1万人を対象に、私たちが行った筋肉量の調査結果を紹介します。
男性も女性も大腿(だいたい)すなわち「ふともも」と、腹筋と背筋を合わせた「体幹」の筋肉の衰えが目立っています。
ふとももの「大腿四頭筋」という筋肉は人体で最大の筋肉です。
効率よく鍛えて貯筋をしましょう。
男性4365人、女性5970人を対象に調査。
百寿者の元気の秘密は筋肉にあり?
興味深いのは100歳近い人たちの変化です。
男性では体幹の筋肉が90歳から100歳にかけて増えています。
見方を変えると、腹筋が無い人、衰えてしまった人は、100歳まで生き残れないという可能性を示しています。
ここはぜひとも「百寿者」に学んで、腹筋と背筋のトレーニングを実践しましょう。
女性では下腿、すなわち「ふくらはぎ」の筋肉が100歳で増えています。
100歳まで生きた女性はふくらはぎが発達している、と言うことができます。
そこで女性には、60歳、70歳を過ぎてもハイヒールを履くことをお勧めします。
大学でも学生に「ハイヒールの引退年齢は遅い方が良い」と講義しています。
ハイヒールを履くと疲れる。
でも、それが良いのです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられて、脚が美しく締まります。
背筋がピンと伸びて、お尻は上がるし、なんといってもおしゃれです。
ハイヒールが苦手な方は筋肉が衰えている証拠。
今からでも遅くはありません。初心者や再起者はまずは5cmくらいの高さから始めましょう。
スクワットでふとももを鍛錬
それでは貯筋の具体的な方法を伝授します。
年1%の筋肉萎縮を防ぐには、週3日以上の筋トレが必要です。
前述の人体最大の筋肉「大腿四頭筋」は、ふとももの前にあり、立ち上がる際や歩行時に使いますが、特に衰えやすく、衰えると寝たきりの原因になります。
「寝たきり」なんてずっと遠い未来の話と思っているあなた、今から貯筋で将来に備えましょう。
筋トレには、立ったり座ったりする反復運動(スクワット)を必ず盛り込んでください。
スクワットにも種類があります。
完全にしゃがんだ状態から立ち上がるフルスクワット、椅子に座った状態から立ち上がるハーフスクワット。初心者はテーブルやキッチンにつかまって体を支えながら行うのが良いでしょう。
これならばオフィスでの仕事の合間や、キッチンでの食事の支度の合間でも実践できます。
筋トレは、自分のライフスタイルの中に組み込んだ方が長続きします。
できるだけ早く、若いうちに始めるほど効果的ですが、筋年齢の“高齢者”も悲観することはありません。
コツコツと努力すれば、効果は必ず表れます。
ランチに「たんぱく質をプラス」の意識を
筋肉を保つために、もう一つ忘れてはならないのは栄養バランスです。
その基本は摂取カロリーの比率が炭水化物:たんぱく質:脂質=6:2:2に近づけること。
最近、炭水化物が多すぎて、たんぱく質が少ない人が増えています。
たんぱく質が足りないと貯筋ができなくなります。
炭水化物を減らし、たんぱく質を増やして6:2:2を目指しましょう。当然、お菓子をランチ代わりにするのは厳禁です。
炭水化物過多に当てはまりそうな人は、1日でご飯1杯分を減らして、お肉かお魚を80g増やす感じに変えてみましょう。
特にランチは炭水化物が多くなりがちです。
ラーメンはチャーシューメンに、もりそばは天ぷらそばに変更し、パンだけではなくチーズとハムを追加しましょう。
炭水化物を全然取らないとか、肉や魚などたんぱく質しか食べないといった極端な食事療法はかえって危険。健康を損ねてしまいます。何ごともバランスが肝要です。
健康な方はもちろん、太り気味の方、糖尿病予備軍の方、筋肉量が減ると体重や血糖コントロールはさらに難しくなってしまいます。
全身のバランスから見直してみて筋肉量が落ちている、と感じる方は、ぜひとも今から筋肉量を増やす「貯筋の習慣」を始めましょう。
まずはあなたの「筋肉年齢」を調べましょう
今回は筋肉の話です。
「筋肉の話」と聞くと「自分には関係ない」と考える方がいるかもしれませんね?
しかし、体全体における筋肉の大切さを知るうえで、そういう方にこそ読んでほしい内容です。
まず、読み進める前に「Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック」で、あなたの機能年齢を測りましょう。
その結果のうち、「筋肉年齢」に注目してください。
あなたの実年齢より若くなりましたか?
それとも年を取った結果になったでしょうか?
30歳以降、年に1%ずつ減少
最近はいろいろと便利な世の中になってきましたが、便利過ぎて運動が不足し、筋肉が衰えている人が増えています。
30歳を超えると筋肉は年1%ずつ萎縮し、70歳を超えた人の筋肉は、「全盛期」の7割以下、80歳では6割以下に減ってしまいます。
筋肉の役割は第一に体を動かすことですが、それ以外にも重要な役割があります。
食事から得たブドウ糖(グルコース)の7割が骨格筋で消費されます。
筋肉が減れば太りやすくなるばかりか、糖尿病にもなりやすくなります。
筋肉は骨を丈夫にするたんぱくを作りますし、転んでもけがが少なくすむように筋肉が骨と関節を守っています。
筋肉運動によって生じる乳酸は脳下垂体に作用して成長ホルモン分泌を刺激します。
これは若さと健康を保つための重要なホルモンです。
さらには筋肉量の低下を放置していると寝たきりの原因になります。
女性はもともと男性より筋肉が少ないですから、特に注意が必要です。
「まだ先のこと」「自分には関係ない」と思っている30代の段階で、筋力トレーニングなどの対策を始めておくべきです。
早い段階から筋肉を作る「貯筋」をしましょう。
日本人約1万人を対象に、私たちが行った筋肉量の調査結果を紹介します。
男性も女性も大腿(だいたい)すなわち「ふともも」と、腹筋と背筋を合わせた「体幹」の筋肉の衰えが目立っています。
ふとももの「大腿四頭筋」という筋肉は人体で最大の筋肉です。
効率よく鍛えて貯筋をしましょう。
男性4365人、女性5970人を対象に調査。
百寿者の元気の秘密は筋肉にあり?
興味深いのは100歳近い人たちの変化です。
男性では体幹の筋肉が90歳から100歳にかけて増えています。
見方を変えると、腹筋が無い人、衰えてしまった人は、100歳まで生き残れないという可能性を示しています。
ここはぜひとも「百寿者」に学んで、腹筋と背筋のトレーニングを実践しましょう。
女性では下腿、すなわち「ふくらはぎ」の筋肉が100歳で増えています。
100歳まで生きた女性はふくらはぎが発達している、と言うことができます。
そこで女性には、60歳、70歳を過ぎてもハイヒールを履くことをお勧めします。
大学でも学生に「ハイヒールの引退年齢は遅い方が良い」と講義しています。
ハイヒールを履くと疲れる。
でも、それが良いのです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられて、脚が美しく締まります。
背筋がピンと伸びて、お尻は上がるし、なんといってもおしゃれです。
ハイヒールが苦手な方は筋肉が衰えている証拠。
今からでも遅くはありません。初心者や再起者はまずは5cmくらいの高さから始めましょう。
スクワットでふとももを鍛錬
それでは貯筋の具体的な方法を伝授します。
年1%の筋肉萎縮を防ぐには、週3日以上の筋トレが必要です。
前述の人体最大の筋肉「大腿四頭筋」は、ふとももの前にあり、立ち上がる際や歩行時に使いますが、特に衰えやすく、衰えると寝たきりの原因になります。
「寝たきり」なんてずっと遠い未来の話と思っているあなた、今から貯筋で将来に備えましょう。
筋トレには、立ったり座ったりする反復運動(スクワット)を必ず盛り込んでください。
スクワットにも種類があります。
完全にしゃがんだ状態から立ち上がるフルスクワット、椅子に座った状態から立ち上がるハーフスクワット。初心者はテーブルやキッチンにつかまって体を支えながら行うのが良いでしょう。
これならばオフィスでの仕事の合間や、キッチンでの食事の支度の合間でも実践できます。
筋トレは、自分のライフスタイルの中に組み込んだ方が長続きします。
できるだけ早く、若いうちに始めるほど効果的ですが、筋年齢の“高齢者”も悲観することはありません。
コツコツと努力すれば、効果は必ず表れます。
ランチに「たんぱく質をプラス」の意識を
筋肉を保つために、もう一つ忘れてはならないのは栄養バランスです。
その基本は摂取カロリーの比率が炭水化物:たんぱく質:脂質=6:2:2に近づけること。
最近、炭水化物が多すぎて、たんぱく質が少ない人が増えています。
たんぱく質が足りないと貯筋ができなくなります。
炭水化物を減らし、たんぱく質を増やして6:2:2を目指しましょう。当然、お菓子をランチ代わりにするのは厳禁です。
炭水化物過多に当てはまりそうな人は、1日でご飯1杯分を減らして、お肉かお魚を80g増やす感じに変えてみましょう。
特にランチは炭水化物が多くなりがちです。
ラーメンはチャーシューメンに、もりそばは天ぷらそばに変更し、パンだけではなくチーズとハムを追加しましょう。
炭水化物を全然取らないとか、肉や魚などたんぱく質しか食べないといった極端な食事療法はかえって危険。健康を損ねてしまいます。何ごともバランスが肝要です。
健康な方はもちろん、太り気味の方、糖尿病予備軍の方、筋肉量が減ると体重や血糖コントロールはさらに難しくなってしまいます。
全身のバランスから見直してみて筋肉量が落ちている、と感じる方は、ぜひとも今から筋肉量を増やす「貯筋の習慣」を始めましょう。