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ニコニコ歩き [健康短信]

「東京に行ったとき、浜松町でモノレールを降りたら帝国ホテルとか、パレスホテル、ホテルオークラぐらいまでは歩くことにしています。

帝国ホテルまで30分、オークラまで40分、パレスまででも50分かかりません。

東京駅からだとニューオータニが50分、オークラもやはり50分ぐらいです」と、荒川規矩男・福岡大学名誉教授。
 
循環器学の権威で、先生が開発した生活習慣病の運動療法は「アラカワ・メソッド(荒川方式)」と呼ばれ、WHO(世界保健機関)も推奨している。

荒川方式とは、その人が最高に頑張って出せる力の、半分程度の力で、早足歩きなどの運動をすること。

運動量がその人のもつ能力の50%を超えると、エネルギーとして使われる糖質が不完全燃焼するため、血液の中に「疲労物質」の乳酸がたまってくる。

これを裏返すと、その人がもつ能力の50%以下に抑えた運動であれば、疲労物質は血液中にたまらず、らくに運動を続けることができるわけだ。

この自分の持てる力の半分を出す運動を荒川先生は「ニコニコペース」(ニコニコ話し合いながら歩ける速さ)と名づけて、軽症の高血圧や心臓病の患者たちに勧めた。
 
軽症高血圧(最大血圧160ミリHg前後または最小血圧90~104四ミリHg)の患者の約半数が、10週後には最大血圧が20ミリHg、最小血圧が10ミリHg下がり、20週後には約8割の人が正常血圧になった。

血圧が下がれば、心臓の負担が減る。

また、運動によって心臓の血管にバイパスができ、狭心症の発作がぐんと少なくなる。

心臓の血管(冠動脈)が、動脈硬化のため狭くなり、血液の流れが悪くなるのが狭心症、血管が詰まって血流がストップするのが心筋梗塞だ。

冠動脈は、3本の大きな幹から何本もの枝が分かれているが、枝の側に普段は血液の流れてない別の血管(側副血行路)がある。

心臓に適度の負荷(わずかにきつめの運動)を加えると、心臓は軽い低酸素状態になり、ふだんより多くの酸素を取り入れる必要が生じ、そのため血管が拡張する。

そして、側副血行路が開いて血液が流れるようになり、血管のバイパスができる。

これは、すでに狭心症をもっている人には効果的なリハビリになるし、健康な人にとってはあらゆる生活習慣病の最良の予防法の一つである。

歩く時間は1日30分でOK。

「雨の日も風の日も歩けとは言いません。
1日や2日、休んでもどうってことはない。
そこが薬と違うところです。
薬を1日のみ忘れると具合の悪いこともありますが、運動にはそんな心配はいりません」
と、荒川先生はそう請合ってくださった。

追記・上記の「乳酸=疲労物質」説は、近年の生理・生化学的研究で否定された。

だが、運動強度が50%を超えると、乳酸の血中濃度が上昇し、疲労が生じるという現象じたいは事実である。

詳しくは明日━。
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