すべての女性にかかわる骨量・骨密度 [健康短信]
骨密度が低い…その先にあるリスク
一生、自力で動けるために〜スポーツドクターからの提言
順天堂大学女性スポーツ研究センター
女性アスリートの健康上の問題として「無月経」「疲労骨折」「摂取エネルギーの不足」が挙げられ、合わせて「女性アスリートの3主徴」とよばれます。
このうち骨の健康に関して、最近はアスリートだけでなく一般の女性の関心も高まっています。
骨密度が低下するとどのようなリスクがあり、また、骨を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。
スポーツドクターの草分けで整形外科医の順天堂大学大学院スポーツ医学教授、桜庭景植さんに聞きました。
適切な指導を受けられない現状がある?
女性アスリートの中でも長距離ランナーは、無月経で骨密度の低い人が多く、それが疲労骨折の原因の一つといわれています。
このようなアスリートがいることは事実です。
しかし、すべての女子ランナーが疲労骨折になり、無月経だったから妊娠できないということはありません。
競技をやめて妊娠や出産を希望したとき、とくに問題がないという人もいるのです。
長年、アスリートを診てきたスポーツドクターとしては、少し大げさにとらえすぎているのではないか、というのが私の意見です。
月経がないから骨が弱くなり、疲労骨折になるとは必ずしも言い切れません。
アスリートの疲労骨折に詳しくない産婦人科医や、月経を詳しく知らない整形外科医も少なからずいます。
関連する診療科の医師が相互に連携していない医療のシステムの中で、女性アスリートは適切な指導を受けていない現状があります。
それをなくしたいというのが女性アスリート外来を開設した狙いの一つです。
骨の健康はすべての女性にかかわる問題
骨の健康は、すべての女性にかかわります。
骨密度が低いことそのものよりも、むしろそれが原因で転倒や骨折をして寝たきりになることが大きな問題です。
高齢化を迎えた日本の女性は、この問題に直面しています。
平均寿命が延びても健康寿命(自立して活動的に生活ができる期間)が短かったら、その後は介護が必要になります。
介護は本人が不自由であるだけでなく、家族に負担がかかり、働き盛りの人の時間や労力までも奪います。
体が動かないことが周囲の人や社会にどれだけ影響を及ぼすかを知ってほしいと思います。
骨量は20代までに増やし、その後は目減りを減らそう
健康寿命を延ばすためには、骨の健康が大切だということがおわかりいただけたと思います。
そのためには、若いうちからの「骨の貯金」が大切なのです。
中年になってから骨粗しょう症が心配になり、あわててカルシウムを取って骨量を増やそうとする人がいます。
しかし、40代、50代になって骨量を増やすことは難しいのです。
骨量は蓄えられる時期が限られます。
20代までに最大量を確保して、いかに目減りを抑えるか。
貯金に例えると20代で貯蓄額をピークにして、その後は残高の減り方をできるだけ少なくしていくことが重要です。
骨量を減らさないためには、運動で骨に適度な負荷をかけることも大切です。
運動は自分の体に合ったレベルが重要になります。
初心者はまず歩き、慣れてきたら次に走ることが基本です。
運動教室に入るか、トレーナーに指導してもらってもいいと思います。
体を動かしていない人がいきなり跳ぶと転倒や骨折をすることがあるので、無理はしないようにしましょう。
寝たきりにならないために続けてほしいこと
日本は世界に例を見ない超高齢化社会を迎えています。
そのマイナスの問題が介護と、「ロコモティブ症候群」(運動器に障害が起き、立つ、座る、歩くといった移動機能が低下した状態)です。
寝たきりにならず、健康で自活できる体づくりのためには、次の三つが大切です。
1.動きましょう:時間は決めず、おっくうがらず、なんでもいいです。でも、転ばないでください。
2.日光を浴びましょう:体内でカルシウムの吸収を助けるビタミンDの代謝活性が上がります。
最近は、骨の健康にビタミンDが必要ということが忘れられています。
顔のシミが心配なら、顔は避けて日光を浴びましょう。
3.カルシウムも適度に取りましょう:思ったように体が動かせる自分の姿をイメージして、生活の中で続けていきましょう。
一生、自力で動けるために〜スポーツドクターからの提言
順天堂大学女性スポーツ研究センター
女性アスリートの健康上の問題として「無月経」「疲労骨折」「摂取エネルギーの不足」が挙げられ、合わせて「女性アスリートの3主徴」とよばれます。
このうち骨の健康に関して、最近はアスリートだけでなく一般の女性の関心も高まっています。
骨密度が低下するとどのようなリスクがあり、また、骨を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。
スポーツドクターの草分けで整形外科医の順天堂大学大学院スポーツ医学教授、桜庭景植さんに聞きました。
適切な指導を受けられない現状がある?
女性アスリートの中でも長距離ランナーは、無月経で骨密度の低い人が多く、それが疲労骨折の原因の一つといわれています。
このようなアスリートがいることは事実です。
しかし、すべての女子ランナーが疲労骨折になり、無月経だったから妊娠できないということはありません。
競技をやめて妊娠や出産を希望したとき、とくに問題がないという人もいるのです。
長年、アスリートを診てきたスポーツドクターとしては、少し大げさにとらえすぎているのではないか、というのが私の意見です。
月経がないから骨が弱くなり、疲労骨折になるとは必ずしも言い切れません。
アスリートの疲労骨折に詳しくない産婦人科医や、月経を詳しく知らない整形外科医も少なからずいます。
関連する診療科の医師が相互に連携していない医療のシステムの中で、女性アスリートは適切な指導を受けていない現状があります。
それをなくしたいというのが女性アスリート外来を開設した狙いの一つです。
骨の健康はすべての女性にかかわる問題
骨の健康は、すべての女性にかかわります。
骨密度が低いことそのものよりも、むしろそれが原因で転倒や骨折をして寝たきりになることが大きな問題です。
高齢化を迎えた日本の女性は、この問題に直面しています。
平均寿命が延びても健康寿命(自立して活動的に生活ができる期間)が短かったら、その後は介護が必要になります。
介護は本人が不自由であるだけでなく、家族に負担がかかり、働き盛りの人の時間や労力までも奪います。
体が動かないことが周囲の人や社会にどれだけ影響を及ぼすかを知ってほしいと思います。
骨量は20代までに増やし、その後は目減りを減らそう
健康寿命を延ばすためには、骨の健康が大切だということがおわかりいただけたと思います。
そのためには、若いうちからの「骨の貯金」が大切なのです。
中年になってから骨粗しょう症が心配になり、あわててカルシウムを取って骨量を増やそうとする人がいます。
しかし、40代、50代になって骨量を増やすことは難しいのです。
骨量は蓄えられる時期が限られます。
20代までに最大量を確保して、いかに目減りを抑えるか。
貯金に例えると20代で貯蓄額をピークにして、その後は残高の減り方をできるだけ少なくしていくことが重要です。
骨量を減らさないためには、運動で骨に適度な負荷をかけることも大切です。
運動は自分の体に合ったレベルが重要になります。
初心者はまず歩き、慣れてきたら次に走ることが基本です。
運動教室に入るか、トレーナーに指導してもらってもいいと思います。
体を動かしていない人がいきなり跳ぶと転倒や骨折をすることがあるので、無理はしないようにしましょう。
寝たきりにならないために続けてほしいこと
日本は世界に例を見ない超高齢化社会を迎えています。
そのマイナスの問題が介護と、「ロコモティブ症候群」(運動器に障害が起き、立つ、座る、歩くといった移動機能が低下した状態)です。
寝たきりにならず、健康で自活できる体づくりのためには、次の三つが大切です。
1.動きましょう:時間は決めず、おっくうがらず、なんでもいいです。でも、転ばないでください。
2.日光を浴びましょう:体内でカルシウムの吸収を助けるビタミンDの代謝活性が上がります。
最近は、骨の健康にビタミンDが必要ということが忘れられています。
顔のシミが心配なら、顔は避けて日光を浴びましょう。
3.カルシウムも適度に取りましょう:思ったように体が動かせる自分の姿をイメージして、生活の中で続けていきましょう。
“貯筋”のすすめ [健康小文]
百歳まで生きるための“貯筋”のすすめ
まずはあなたの「筋肉年齢」を調べましょう
今回は筋肉の話です。
「筋肉の話」と聞くと「自分には関係ない」と考える方がいるかもしれませんね?
しかし、体全体における筋肉の大切さを知るうえで、そういう方にこそ読んでほしい内容です。
まず、読み進める前に「Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック」で、あなたの機能年齢を測りましょう。
その結果のうち、「筋肉年齢」に注目してください。
あなたの実年齢より若くなりましたか?
それとも年を取った結果になったでしょうか?
30歳以降、年に1%ずつ減少
最近はいろいろと便利な世の中になってきましたが、便利過ぎて運動が不足し、筋肉が衰えている人が増えています。
30歳を超えると筋肉は年1%ずつ萎縮し、70歳を超えた人の筋肉は、「全盛期」の7割以下、80歳では6割以下に減ってしまいます。
筋肉の役割は第一に体を動かすことですが、それ以外にも重要な役割があります。
食事から得たブドウ糖(グルコース)の7割が骨格筋で消費されます。
筋肉が減れば太りやすくなるばかりか、糖尿病にもなりやすくなります。
筋肉は骨を丈夫にするたんぱくを作りますし、転んでもけがが少なくすむように筋肉が骨と関節を守っています。
筋肉運動によって生じる乳酸は脳下垂体に作用して成長ホルモン分泌を刺激します。
これは若さと健康を保つための重要なホルモンです。
さらには筋肉量の低下を放置していると寝たきりの原因になります。
女性はもともと男性より筋肉が少ないですから、特に注意が必要です。
「まだ先のこと」「自分には関係ない」と思っている30代の段階で、筋力トレーニングなどの対策を始めておくべきです。
早い段階から筋肉を作る「貯筋」をしましょう。
日本人約1万人を対象に、私たちが行った筋肉量の調査結果を紹介します。
男性も女性も大腿(だいたい)すなわち「ふともも」と、腹筋と背筋を合わせた「体幹」の筋肉の衰えが目立っています。
ふとももの「大腿四頭筋」という筋肉は人体で最大の筋肉です。
効率よく鍛えて貯筋をしましょう。
男性4365人、女性5970人を対象に調査。
百寿者の元気の秘密は筋肉にあり?
興味深いのは100歳近い人たちの変化です。
男性では体幹の筋肉が90歳から100歳にかけて増えています。
見方を変えると、腹筋が無い人、衰えてしまった人は、100歳まで生き残れないという可能性を示しています。
ここはぜひとも「百寿者」に学んで、腹筋と背筋のトレーニングを実践しましょう。
女性では下腿、すなわち「ふくらはぎ」の筋肉が100歳で増えています。
100歳まで生きた女性はふくらはぎが発達している、と言うことができます。
そこで女性には、60歳、70歳を過ぎてもハイヒールを履くことをお勧めします。
大学でも学生に「ハイヒールの引退年齢は遅い方が良い」と講義しています。
ハイヒールを履くと疲れる。
でも、それが良いのです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられて、脚が美しく締まります。
背筋がピンと伸びて、お尻は上がるし、なんといってもおしゃれです。
ハイヒールが苦手な方は筋肉が衰えている証拠。
今からでも遅くはありません。初心者や再起者はまずは5cmくらいの高さから始めましょう。
スクワットでふとももを鍛錬
それでは貯筋の具体的な方法を伝授します。
年1%の筋肉萎縮を防ぐには、週3日以上の筋トレが必要です。
前述の人体最大の筋肉「大腿四頭筋」は、ふとももの前にあり、立ち上がる際や歩行時に使いますが、特に衰えやすく、衰えると寝たきりの原因になります。
「寝たきり」なんてずっと遠い未来の話と思っているあなた、今から貯筋で将来に備えましょう。
筋トレには、立ったり座ったりする反復運動(スクワット)を必ず盛り込んでください。
スクワットにも種類があります。
完全にしゃがんだ状態から立ち上がるフルスクワット、椅子に座った状態から立ち上がるハーフスクワット。初心者はテーブルやキッチンにつかまって体を支えながら行うのが良いでしょう。
これならばオフィスでの仕事の合間や、キッチンでの食事の支度の合間でも実践できます。
筋トレは、自分のライフスタイルの中に組み込んだ方が長続きします。
できるだけ早く、若いうちに始めるほど効果的ですが、筋年齢の“高齢者”も悲観することはありません。
コツコツと努力すれば、効果は必ず表れます。
ランチに「たんぱく質をプラス」の意識を
筋肉を保つために、もう一つ忘れてはならないのは栄養バランスです。
その基本は摂取カロリーの比率が炭水化物:たんぱく質:脂質=6:2:2に近づけること。
最近、炭水化物が多すぎて、たんぱく質が少ない人が増えています。
たんぱく質が足りないと貯筋ができなくなります。
炭水化物を減らし、たんぱく質を増やして6:2:2を目指しましょう。当然、お菓子をランチ代わりにするのは厳禁です。
炭水化物過多に当てはまりそうな人は、1日でご飯1杯分を減らして、お肉かお魚を80g増やす感じに変えてみましょう。
特にランチは炭水化物が多くなりがちです。
ラーメンはチャーシューメンに、もりそばは天ぷらそばに変更し、パンだけではなくチーズとハムを追加しましょう。
炭水化物を全然取らないとか、肉や魚などたんぱく質しか食べないといった極端な食事療法はかえって危険。健康を損ねてしまいます。何ごともバランスが肝要です。
健康な方はもちろん、太り気味の方、糖尿病予備軍の方、筋肉量が減ると体重や血糖コントロールはさらに難しくなってしまいます。
全身のバランスから見直してみて筋肉量が落ちている、と感じる方は、ぜひとも今から筋肉量を増やす「貯筋の習慣」を始めましょう。
まずはあなたの「筋肉年齢」を調べましょう
今回は筋肉の話です。
「筋肉の話」と聞くと「自分には関係ない」と考える方がいるかもしれませんね?
しかし、体全体における筋肉の大切さを知るうえで、そういう方にこそ読んでほしい内容です。
まず、読み進める前に「Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック」で、あなたの機能年齢を測りましょう。
その結果のうち、「筋肉年齢」に注目してください。
あなたの実年齢より若くなりましたか?
それとも年を取った結果になったでしょうか?
30歳以降、年に1%ずつ減少
最近はいろいろと便利な世の中になってきましたが、便利過ぎて運動が不足し、筋肉が衰えている人が増えています。
30歳を超えると筋肉は年1%ずつ萎縮し、70歳を超えた人の筋肉は、「全盛期」の7割以下、80歳では6割以下に減ってしまいます。
筋肉の役割は第一に体を動かすことですが、それ以外にも重要な役割があります。
食事から得たブドウ糖(グルコース)の7割が骨格筋で消費されます。
筋肉が減れば太りやすくなるばかりか、糖尿病にもなりやすくなります。
筋肉は骨を丈夫にするたんぱくを作りますし、転んでもけがが少なくすむように筋肉が骨と関節を守っています。
筋肉運動によって生じる乳酸は脳下垂体に作用して成長ホルモン分泌を刺激します。
これは若さと健康を保つための重要なホルモンです。
さらには筋肉量の低下を放置していると寝たきりの原因になります。
女性はもともと男性より筋肉が少ないですから、特に注意が必要です。
「まだ先のこと」「自分には関係ない」と思っている30代の段階で、筋力トレーニングなどの対策を始めておくべきです。
早い段階から筋肉を作る「貯筋」をしましょう。
日本人約1万人を対象に、私たちが行った筋肉量の調査結果を紹介します。
男性も女性も大腿(だいたい)すなわち「ふともも」と、腹筋と背筋を合わせた「体幹」の筋肉の衰えが目立っています。
ふとももの「大腿四頭筋」という筋肉は人体で最大の筋肉です。
効率よく鍛えて貯筋をしましょう。
男性4365人、女性5970人を対象に調査。
百寿者の元気の秘密は筋肉にあり?
興味深いのは100歳近い人たちの変化です。
男性では体幹の筋肉が90歳から100歳にかけて増えています。
見方を変えると、腹筋が無い人、衰えてしまった人は、100歳まで生き残れないという可能性を示しています。
ここはぜひとも「百寿者」に学んで、腹筋と背筋のトレーニングを実践しましょう。
女性では下腿、すなわち「ふくらはぎ」の筋肉が100歳で増えています。
100歳まで生きた女性はふくらはぎが発達している、と言うことができます。
そこで女性には、60歳、70歳を過ぎてもハイヒールを履くことをお勧めします。
大学でも学生に「ハイヒールの引退年齢は遅い方が良い」と講義しています。
ハイヒールを履くと疲れる。
でも、それが良いのです。ふくらはぎの筋肉が鍛えられて、脚が美しく締まります。
背筋がピンと伸びて、お尻は上がるし、なんといってもおしゃれです。
ハイヒールが苦手な方は筋肉が衰えている証拠。
今からでも遅くはありません。初心者や再起者はまずは5cmくらいの高さから始めましょう。
スクワットでふとももを鍛錬
それでは貯筋の具体的な方法を伝授します。
年1%の筋肉萎縮を防ぐには、週3日以上の筋トレが必要です。
前述の人体最大の筋肉「大腿四頭筋」は、ふとももの前にあり、立ち上がる際や歩行時に使いますが、特に衰えやすく、衰えると寝たきりの原因になります。
「寝たきり」なんてずっと遠い未来の話と思っているあなた、今から貯筋で将来に備えましょう。
筋トレには、立ったり座ったりする反復運動(スクワット)を必ず盛り込んでください。
スクワットにも種類があります。
完全にしゃがんだ状態から立ち上がるフルスクワット、椅子に座った状態から立ち上がるハーフスクワット。初心者はテーブルやキッチンにつかまって体を支えながら行うのが良いでしょう。
これならばオフィスでの仕事の合間や、キッチンでの食事の支度の合間でも実践できます。
筋トレは、自分のライフスタイルの中に組み込んだ方が長続きします。
できるだけ早く、若いうちに始めるほど効果的ですが、筋年齢の“高齢者”も悲観することはありません。
コツコツと努力すれば、効果は必ず表れます。
ランチに「たんぱく質をプラス」の意識を
筋肉を保つために、もう一つ忘れてはならないのは栄養バランスです。
その基本は摂取カロリーの比率が炭水化物:たんぱく質:脂質=6:2:2に近づけること。
最近、炭水化物が多すぎて、たんぱく質が少ない人が増えています。
たんぱく質が足りないと貯筋ができなくなります。
炭水化物を減らし、たんぱく質を増やして6:2:2を目指しましょう。当然、お菓子をランチ代わりにするのは厳禁です。
炭水化物過多に当てはまりそうな人は、1日でご飯1杯分を減らして、お肉かお魚を80g増やす感じに変えてみましょう。
特にランチは炭水化物が多くなりがちです。
ラーメンはチャーシューメンに、もりそばは天ぷらそばに変更し、パンだけではなくチーズとハムを追加しましょう。
炭水化物を全然取らないとか、肉や魚などたんぱく質しか食べないといった極端な食事療法はかえって危険。健康を損ねてしまいます。何ごともバランスが肝要です。
健康な方はもちろん、太り気味の方、糖尿病予備軍の方、筋肉量が減ると体重や血糖コントロールはさらに難しくなってしまいます。
全身のバランスから見直してみて筋肉量が落ちている、と感じる方は、ぜひとも今から筋肉量を増やす「貯筋の習慣」を始めましょう。
「座り過ぎ」と脳の関係 [医学・医療短信]
「座り過ぎ」は心臓だけでなく脳にも悪影響
椅子やソファに長く座り過ぎると、心臓だけでなく脳にも悪影響を及ぼすようだ。
「PLOS ONE」4月12日オンライン版に掲載された研究によると、座った姿勢で長時間過ごす人は、新たな記憶の形成に重要な脳領域の皮質が薄いことが分かった。
研究を行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)セメル神経科学・ヒト行動研究所のPrabha Siddarth氏らは、こうした脳領域の皮質の菲薄(ひはく)化には、座りがちな生活による運動不足ではなく、座ること自体が関連しているのではないかと指摘している。
この研究では、認知機能が正常な45~75歳の男女35人を対象に、日常的な運動量と過去1週間の1日の平均座位時間について尋ねた上で、脳のMRI検査を実施し、記憶の形成に関わる内側側頭葉と小領域の皮質の厚さと、運動量および座位時間との関連を調べた。
結果、座っている時間が長い人ほど、内側側頭葉とその小領域の皮質が薄いことが分かった。
一方、こうした脳領域の皮質の厚さと運動量との間には関連はみられず、比較的運動をしている人でも座位時間が長いと、これらの領域の皮質は薄くなっていた。
しかし、専門家の一人で、米ズッカー・ヒルサイド病院のMarc Gordon氏は、
「座るという行動全てが脳に悪影響を与えるわけではなく、座っている間に何をしているかで影響は異なる可能性がある」と指摘する。
Siddarth氏らもこの意見に同意を示しており、
「座っていても、クロスワードパズルや書き物、書類の作成、コンピューターゲームなどで認知的な活動をしている人と、テレビや映画を見ているだけの人では差があるかもしれない」と話している。
また、同氏らは、内側側頭葉の皮質が薄くなることは、中年期以降に認知機能が低下したり、認知症を発症する前兆である可能性を指摘し、
「座位時間をいかに短くするかが、アルツハイマー病やその他の認知症を予防する鍵となる可能性がある」と述べている。
さらに、これまでの研究で座位時間が長いと心臓病や糖尿病、早期死亡リスクが高まることが報告されており、同氏らは、
「座りがちな生活を解消することは、これらの疾患の発症や死亡リスクの低減にも役立つだろう」と付け加えている。
なお、今回の研究では、座ること自体が脳組織の菲薄化の原因であるとは証明されていない。
Siddarth氏らの研究チームは、これらの関連を長期的に調べる研究を実施したいと話している。
椅子やソファに長く座り過ぎると、心臓だけでなく脳にも悪影響を及ぼすようだ。
「PLOS ONE」4月12日オンライン版に掲載された研究によると、座った姿勢で長時間過ごす人は、新たな記憶の形成に重要な脳領域の皮質が薄いことが分かった。
研究を行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)セメル神経科学・ヒト行動研究所のPrabha Siddarth氏らは、こうした脳領域の皮質の菲薄(ひはく)化には、座りがちな生活による運動不足ではなく、座ること自体が関連しているのではないかと指摘している。
この研究では、認知機能が正常な45~75歳の男女35人を対象に、日常的な運動量と過去1週間の1日の平均座位時間について尋ねた上で、脳のMRI検査を実施し、記憶の形成に関わる内側側頭葉と小領域の皮質の厚さと、運動量および座位時間との関連を調べた。
結果、座っている時間が長い人ほど、内側側頭葉とその小領域の皮質が薄いことが分かった。
一方、こうした脳領域の皮質の厚さと運動量との間には関連はみられず、比較的運動をしている人でも座位時間が長いと、これらの領域の皮質は薄くなっていた。
しかし、専門家の一人で、米ズッカー・ヒルサイド病院のMarc Gordon氏は、
「座るという行動全てが脳に悪影響を与えるわけではなく、座っている間に何をしているかで影響は異なる可能性がある」と指摘する。
Siddarth氏らもこの意見に同意を示しており、
「座っていても、クロスワードパズルや書き物、書類の作成、コンピューターゲームなどで認知的な活動をしている人と、テレビや映画を見ているだけの人では差があるかもしれない」と話している。
また、同氏らは、内側側頭葉の皮質が薄くなることは、中年期以降に認知機能が低下したり、認知症を発症する前兆である可能性を指摘し、
「座位時間をいかに短くするかが、アルツハイマー病やその他の認知症を予防する鍵となる可能性がある」と述べている。
さらに、これまでの研究で座位時間が長いと心臓病や糖尿病、早期死亡リスクが高まることが報告されており、同氏らは、
「座りがちな生活を解消することは、これらの疾患の発症や死亡リスクの低減にも役立つだろう」と付け加えている。
なお、今回の研究では、座ること自体が脳組織の菲薄化の原因であるとは証明されていない。
Siddarth氏らの研究チームは、これらの関連を長期的に調べる研究を実施したいと話している。
くらしの危険・ 乳幼児の事故 [健康短信]
「くらしの危険」乳幼児の事故
乳幼児が磁石を誤飲する事故が発生しています!
小さい磁石(マグネット)を複数飲み込んだり、磁石と金属とを一緒に飲み込んでしまうと、それらが腸を挟んでくっついて、炎症を起こし、腸に穴を開けてしまうなど、重症事故をひき起こすおそれがあります。
万一、誤飲した可能性がある場合には、医師の診断を受けましょう。
乳幼児の誤飲事故の原因の第1位はたばこです。
加熱式たばこの普及により、たばこ葉が入った. 部分の誤飲事故も増加することが考えられます。
加熱式たばこは、スティックやカプセル状の葉を、別売りの本体装置に装着して利用します。
国民生活センターが市販の全3タイプ12銘柄を調べたところ、葉の部分はいずれも44ミリ以下で、乳幼児が誤飲しやすい形状でした。
1本に2~7ミリグラムのニコチンが含まれ、中毒症状が表れる恐れのある量を超えていました。
医療機関からの情報提供などで、これまでに国民生活センターが把握した事故は11件。
生後7カ月~1歳5カ月の乳幼児が、室内やごみ箱にあった葉を口に入れ、ぐったりしたり吐いたりして病院を受診しました。
火を使わないため、そのままごみ箱に捨てるなど通常のたばこと比べて扱い方が無防備になりやすいことも、事故のリスクを高めるとみられます。
使用前後のスティック等など 乳幼児の手の届かないところに保管・廃棄しましょう。
● スティック等を誤飲した場合には、 水や牛乳等は飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。
もし、乳幼児が加熱式たばこのスティック等を口にしてしまったら、口の中にたばこ葉が ある場合にはかき出し、水や牛乳などは飲ませずに、直ちに医療機関を受診しましょう。
水や牛乳などを飲ませると、水分にニコチンが溶け出し、かえってニコチンが吸収されや すくなってしまいます。
乳幼児が磁石を誤飲する事故が発生しています!
小さい磁石(マグネット)を複数飲み込んだり、磁石と金属とを一緒に飲み込んでしまうと、それらが腸を挟んでくっついて、炎症を起こし、腸に穴を開けてしまうなど、重症事故をひき起こすおそれがあります。
万一、誤飲した可能性がある場合には、医師の診断を受けましょう。
乳幼児の誤飲事故の原因の第1位はたばこです。
加熱式たばこの普及により、たばこ葉が入った. 部分の誤飲事故も増加することが考えられます。
加熱式たばこは、スティックやカプセル状の葉を、別売りの本体装置に装着して利用します。
国民生活センターが市販の全3タイプ12銘柄を調べたところ、葉の部分はいずれも44ミリ以下で、乳幼児が誤飲しやすい形状でした。
1本に2~7ミリグラムのニコチンが含まれ、中毒症状が表れる恐れのある量を超えていました。
医療機関からの情報提供などで、これまでに国民生活センターが把握した事故は11件。
生後7カ月~1歳5カ月の乳幼児が、室内やごみ箱にあった葉を口に入れ、ぐったりしたり吐いたりして病院を受診しました。
火を使わないため、そのままごみ箱に捨てるなど通常のたばこと比べて扱い方が無防備になりやすいことも、事故のリスクを高めるとみられます。
使用前後のスティック等など 乳幼児の手の届かないところに保管・廃棄しましょう。
● スティック等を誤飲した場合には、 水や牛乳等は飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。
もし、乳幼児が加熱式たばこのスティック等を口にしてしまったら、口の中にたばこ葉が ある場合にはかき出し、水や牛乳などは飲ませずに、直ちに医療機関を受診しましょう。
水や牛乳などを飲ませると、水分にニコチンが溶け出し、かえってニコチンが吸収されや すくなってしまいます。
高脂血症治療剤が痛風リスクを減らす [健康短信]
高脂血症治療剤「フェノフィブラート錠」糖尿病の痛風リスク半減
高脂血症治療剤「フェノフィブラート錠」で、糖尿病の痛風リスク半減することがオーストラリア、ニュージーランド、フィンランドの3カ国で行われたFIELD試験の事後解析で明らかになった。
FIELD試験=フェノフィブラートの心血管イベント抑制効果を検討した大規模ランダム化比較試験。
結果は「Lancet Diabetes Endocrinol(ランセット糖尿病エンドクリノール)」に発表された。
対象は軽度脂質異常症を伴う50~75歳の2型糖尿病患者9,795例で、フェノフィブラート群に4,895例、プラセボ群に4,900例を割り付け、中央値で5年間追跡した。
事後解析では、両群の尿酸値の変化と痛風発作リスクを比較した。
ランダム化前の導入期間における6週間のフェノフィブラート投与で尿酸値は20.2%(1mg/dL相当)低下し、ランダム化後1年時点のフェノフィブラート群の尿酸値はプラセボ群に比べて20.1%低かった。
5年間に報告された初回痛風発作はプラセボ群の151例に対し、フェノフィブラート群では81例と有意に少なかった。
初回痛風発作の累積発生率は、プラセボ群では登録時尿酸値6mg/dL超群が7.7%、同7mg/dL超群が13.9%、フェノフィブラート群ではそれぞれ3.4%、5.7%であった。
痛風リスクの軽減は男女、脂質異常症の程度、利尿薬使用、尿酸高値を通じて類似していた。
アロプリノール使用にもかかわらず登録時の尿酸値が高かった患者でも、痛風リスクに対するフェノフィブラートの効果に不均一性はなかった。
すべての痛風発作を考慮すると、フェノフィブラート群はプラセボ群に対して痛風リスクが半減していた。
高脂血症治療剤「フェノフィブラート錠」で、糖尿病の痛風リスク半減することがオーストラリア、ニュージーランド、フィンランドの3カ国で行われたFIELD試験の事後解析で明らかになった。
FIELD試験=フェノフィブラートの心血管イベント抑制効果を検討した大規模ランダム化比較試験。
結果は「Lancet Diabetes Endocrinol(ランセット糖尿病エンドクリノール)」に発表された。
対象は軽度脂質異常症を伴う50~75歳の2型糖尿病患者9,795例で、フェノフィブラート群に4,895例、プラセボ群に4,900例を割り付け、中央値で5年間追跡した。
事後解析では、両群の尿酸値の変化と痛風発作リスクを比較した。
ランダム化前の導入期間における6週間のフェノフィブラート投与で尿酸値は20.2%(1mg/dL相当)低下し、ランダム化後1年時点のフェノフィブラート群の尿酸値はプラセボ群に比べて20.1%低かった。
5年間に報告された初回痛風発作はプラセボ群の151例に対し、フェノフィブラート群では81例と有意に少なかった。
初回痛風発作の累積発生率は、プラセボ群では登録時尿酸値6mg/dL超群が7.7%、同7mg/dL超群が13.9%、フェノフィブラート群ではそれぞれ3.4%、5.7%であった。
痛風リスクの軽減は男女、脂質異常症の程度、利尿薬使用、尿酸高値を通じて類似していた。
アロプリノール使用にもかかわらず登録時の尿酸値が高かった患者でも、痛風リスクに対するフェノフィブラートの効果に不均一性はなかった。
すべての痛風発作を考慮すると、フェノフィブラート群はプラセボ群に対して痛風リスクが半減していた。
たばこのニコチン含有量 [医学・医療短信]
たばこのニコチン含有量、米国で規制へ
米食品医薬品局(FDA)は3月15日、米国で販売される紙巻きたばこに含まれるニコチンの量に上限を設ける計画を発表した。
最終的な目標として、FDAは「ニコチンへの依存性をもたらさない含有量に抑えたい」としている。
FDA長官のScott Gottlieb氏は、記者説明会で
「規制は短期間に喫煙者を死亡や疾患の原因となる燃焼たばこ製品から遠ざけ、燃焼によって生じる有害物質をもたらさないニコチン含有製品への切り替えを促進する可能性がある」と話した。
ただし、喫煙者を禁煙に導く「橋渡し役」として期待されている電子たばこなど、紙巻きたばこ以外の製品については、「厳密な評価が必要」との見解を示した。
FDAによると、紙巻きたばこを主としたたばこ製品の喫煙が原因で死亡する米国民は年間48万人を超え、その医療費や生産性の損失で約3000億ドル(約31兆円)を費やしていると推定されている。
Gottlieb氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量の規制をはじめとするさまざまな政策によって、たばこが原因の死亡を減らせる可能性がある」と説明した。
一方、FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は、
「毒性や依存性、普及率、非喫煙者への影響などを総合的に勘案すると、紙巻きたばこは公衆衛生において最大の負担をもたらしているたばこ製品だといえる」と指摘。
また、「紙巻きたばこは、長期にわたって喫煙習慣がある人のほぼ半数に早期死亡をもたらしうるにもかかわらず、合法的に販売されている唯一の製品だ」と話し、その有害性を強調した。
なお、ニコチン含有量の上限値や、規制の導入を一気に、あるいは段階的に行うかなどについては、一般から寄せられた意見や科学的データの分析に基づき決定する。
Gottlieb氏は「規制によって高用量のニコチンを含有するたばこ製品が闇市場で販売されるなど、予期できない問題が生じる可能性もある」と付け加えた。
それでも、週刊総合医学雑誌「New England Journal of Medicine」3月15日オンライン版に発表されたFDAのグループの研究によると、紙巻きたばこのニコチン含有量の規制によって1年以内に約500万人の喫煙者を禁煙に導くことができると予測されている。
また、規制によって日常的な喫煙者とならずに済む人は2100年までに3300万人を超えると推定され、特に若年層での喫煙回避に効果的だとみられているという。
さらに、現在は米国の喫煙率は15%だが、規制によって1.4%まで下がるとの予測も示されている。
呼吸器専門医の1人で、ノースウェル・ヘルス喫煙対策センターのAndrea Spatarella氏は、今回のFDAの動きを称賛し、紙巻きたばこのニコチン含有量の削減は「素晴らしいコンセプトだ」と評価。
「たばこを原因とした死亡者数は多く、国民の健康に重くのしかかっている負担を軽減、あるいは解消するための取り組みであれば、どのような内容であろうと検討に値する」と話している。
反たばこ団体の米たばこフリー・キッズ・キャンペーン代表のMatthew Myers氏も、
「規制によって得られるベネフィットは極めて大きい。できるだけ迅速に導入してほしい」と話し、
「これ以上、喫煙する若者やそれによって命を奪われる若者を増やさないために、この計画を阻むいかなる動きも認めるべきではない」と強調している。
しかし、一部の専門家からはニコチン規制の効果を疑問視する声も上がっている。
米レノックス・ヒル病院の呼吸器専門医であるLen Horovitz氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量を抑えれば、喫煙者はたばこの本数を増やすだけだろう」と予測する。
前出のSpartarella氏も「満足できる量のニコチンが含まれていなければ、喫煙本数を増やす喫煙者はいるだろう。
違法なルートで高用量の紙巻きたばこを手に入れようとする人もいるかもしれない」と話している。
米食品医薬品局(FDA)は3月15日、米国で販売される紙巻きたばこに含まれるニコチンの量に上限を設ける計画を発表した。
最終的な目標として、FDAは「ニコチンへの依存性をもたらさない含有量に抑えたい」としている。
FDA長官のScott Gottlieb氏は、記者説明会で
「規制は短期間に喫煙者を死亡や疾患の原因となる燃焼たばこ製品から遠ざけ、燃焼によって生じる有害物質をもたらさないニコチン含有製品への切り替えを促進する可能性がある」と話した。
ただし、喫煙者を禁煙に導く「橋渡し役」として期待されている電子たばこなど、紙巻きたばこ以外の製品については、「厳密な評価が必要」との見解を示した。
FDAによると、紙巻きたばこを主としたたばこ製品の喫煙が原因で死亡する米国民は年間48万人を超え、その医療費や生産性の損失で約3000億ドル(約31兆円)を費やしていると推定されている。
Gottlieb氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量の規制をはじめとするさまざまな政策によって、たばこが原因の死亡を減らせる可能性がある」と説明した。
一方、FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は、
「毒性や依存性、普及率、非喫煙者への影響などを総合的に勘案すると、紙巻きたばこは公衆衛生において最大の負担をもたらしているたばこ製品だといえる」と指摘。
また、「紙巻きたばこは、長期にわたって喫煙習慣がある人のほぼ半数に早期死亡をもたらしうるにもかかわらず、合法的に販売されている唯一の製品だ」と話し、その有害性を強調した。
なお、ニコチン含有量の上限値や、規制の導入を一気に、あるいは段階的に行うかなどについては、一般から寄せられた意見や科学的データの分析に基づき決定する。
Gottlieb氏は「規制によって高用量のニコチンを含有するたばこ製品が闇市場で販売されるなど、予期できない問題が生じる可能性もある」と付け加えた。
それでも、週刊総合医学雑誌「New England Journal of Medicine」3月15日オンライン版に発表されたFDAのグループの研究によると、紙巻きたばこのニコチン含有量の規制によって1年以内に約500万人の喫煙者を禁煙に導くことができると予測されている。
また、規制によって日常的な喫煙者とならずに済む人は2100年までに3300万人を超えると推定され、特に若年層での喫煙回避に効果的だとみられているという。
さらに、現在は米国の喫煙率は15%だが、規制によって1.4%まで下がるとの予測も示されている。
呼吸器専門医の1人で、ノースウェル・ヘルス喫煙対策センターのAndrea Spatarella氏は、今回のFDAの動きを称賛し、紙巻きたばこのニコチン含有量の削減は「素晴らしいコンセプトだ」と評価。
「たばこを原因とした死亡者数は多く、国民の健康に重くのしかかっている負担を軽減、あるいは解消するための取り組みであれば、どのような内容であろうと検討に値する」と話している。
反たばこ団体の米たばこフリー・キッズ・キャンペーン代表のMatthew Myers氏も、
「規制によって得られるベネフィットは極めて大きい。できるだけ迅速に導入してほしい」と話し、
「これ以上、喫煙する若者やそれによって命を奪われる若者を増やさないために、この計画を阻むいかなる動きも認めるべきではない」と強調している。
しかし、一部の専門家からはニコチン規制の効果を疑問視する声も上がっている。
米レノックス・ヒル病院の呼吸器専門医であるLen Horovitz氏は「紙巻きたばこのニコチン含有量を抑えれば、喫煙者はたばこの本数を増やすだけだろう」と予測する。
前出のSpartarella氏も「満足できる量のニコチンが含まれていなければ、喫煙本数を増やす喫煙者はいるだろう。
違法なルートで高用量の紙巻きたばこを手に入れようとする人もいるかもしれない」と話している。
中高年の水泳、是か非か [健康小文]
中高年の水泳が盛んだ。
腰痛、ひざ関節症などの治療や再発予防に水泳を勧める医師も多い。
しかし、運動は「薬」と同じ。その人に応じた量と種類を間違えると、危険につながる。
高血圧、心臓病、糖尿病、痛風などを持っている人、肥満し過ぎていたり、体調があまりよくない人は、水泳を始める前にぜひ健康診査を受けよう。
関節が弱くなったり変形している人も、整形外科医のチェックやアドバイスを受けるべきだ。
なかには潜水反射といって、顔を水面につけると脈が乱れたり、心拍数が減少する自律神経反射を起こす人もいる。
洗面器の冷水に顔をつけて、脈拍をチェックしてみるとわかる。
泳ぎの種類では、中高年に向くのは、クロールか背泳ぎ。
平泳ぎはまぁまぁだが、バタフライは首、腰、ひざをいためることが多い。
上体をそらせる運動は、しびれ感の原因にもなりやすいようだ。
少しでも疲れたと感じたらすぐ出る。
腹八分目というが、水泳の基準は六分目くらいが適当だ。
注意点を守れば、水泳は、中高年の心身をリフレッシュする好適のスポーツといえる。
腰痛、ひざ関節症などの治療や再発予防に水泳を勧める医師も多い。
しかし、運動は「薬」と同じ。その人に応じた量と種類を間違えると、危険につながる。
高血圧、心臓病、糖尿病、痛風などを持っている人、肥満し過ぎていたり、体調があまりよくない人は、水泳を始める前にぜひ健康診査を受けよう。
関節が弱くなったり変形している人も、整形外科医のチェックやアドバイスを受けるべきだ。
なかには潜水反射といって、顔を水面につけると脈が乱れたり、心拍数が減少する自律神経反射を起こす人もいる。
洗面器の冷水に顔をつけて、脈拍をチェックしてみるとわかる。
泳ぎの種類では、中高年に向くのは、クロールか背泳ぎ。
平泳ぎはまぁまぁだが、バタフライは首、腰、ひざをいためることが多い。
上体をそらせる運動は、しびれ感の原因にもなりやすいようだ。
少しでも疲れたと感じたらすぐ出る。
腹八分目というが、水泳の基準は六分目くらいが適当だ。
注意点を守れば、水泳は、中高年の心身をリフレッシュする好適のスポーツといえる。
迷惑な鳥、厄介な鳥 [医学・医療短信]
ただいま愛鳥週間中(5月10日~16日)。
野鳥を通して自然保護の大切を伝える週間である。
鳥類保護連絡協議会が設けた。
だが、人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろ、鳥だっていろいろ……。
なかには迷惑な鳥もいる。
最たる一つが、動物から人にうつる「動物由来感染症」のもとになる鳥だ。
動物由来感染症は、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重症になる病気など、病原体によってさまざま。
鳥関連でよく知られているのは、高病原性インフルエンザ(H5N1)とオウム病である。
高病原性インフルエンザ
犬、ネコ、キツネなどからうつる。
ニワトリへの感染流行で、人もまれに感染発生。
オウム病
部屋で飼うインコの糞で感染し、お年寄りがひどい発熱。
動物園でも集団感染。
2017年、2人の妊産婦が死亡した。
オウム病による妊産婦の死亡報告は国内初。
オウム病は「クラミジア・シッタシ」(以下「C.シッタシ」)という細菌による感染症だ。
C.シッタシは乾燥に強く、環境中で長期間、感染力を保つ。
感染している鳥のフンなどに混じってC.シッタシが排出され、それが乾いて粉じんとなったものをヒトが吸い込むことで感染する。
1~2週間の潜伏期間の後、急な発熱とせきで発症し、頭痛や筋肉痛を伴う。
頑固なせき、粘ついたたんが出るなどの呼吸器症状があり、肺炎を引き起こすことも多い。
初期の治療が不適切だと重症化して死に至ることがある。
厚生労働省によると、現在の届け出制度が始まった1999年4月以降、2017年4月10日までに冒頭の妊産婦を含めて計388人の感染が報告され、そのうち8人が死亡している。
ウイルスのような性質の細菌
国立感染症研究所の安藤秀二ウイルス第一部第五室長はC.シッタシについて、
「ウイルスのような性質を持った特殊な細菌」と説明。
細菌は一般的に、適した環境になると自ら分裂して増殖する。
しかし、C.シッタシはウイルスと同じように人や動物の細胞に寄生しないと増えることができない。
C.シッタシはまず、感染した動物の細胞表面に取り付き、異物を取り込む細胞の働きを誘発して細胞内に入り込む。
そして、動物の細胞のエネルギーを使って分裂・増殖する。
約48~72時間かけて一つの細胞内で十分に増殖すると、細胞膜を壊して細胞外に飛び出す。
その後さらに別の細胞表面に取り付いて、次々に増殖を繰り返す。
ヒトへ感染した場合は、まず鼻やのどの上気道の細胞で増殖し、だんだんと気管や肺の下気道へと感染を進めていく。
感染源は鳥
オウム病の感染源は鳥と考えていい。
ヘラジカの出産に携わった川崎市の動物園の職員5人が発症した例があるが、これはきわめてまれな例だ。
また、ヒトからヒトへの感染については、海外での報告例はあるが、医学的に証明されたものはない。
感染研などのまとめでは、国内で報告のあったヒトへの感染例の約60%がペットに多いオウム・インコ類からの感染だ。
ハトを含めたその他の鳥が20%、感染源が不明な例も約20%ある。
鳥類臨床研究会によると、オウム・インコ類のC.シッタシ保菌率は、
▽ボウシインコ10.8%、▽ラブバード6.2%、▽オカメインコ3.8%。▽セキセイインコ2.7%。▽ヨウム1.7%。
不顕性感染の鳥も菌を排出
鳥がオウム病に感染しているかどうかは、フンと血液を混ぜた検体を検査機関に送ると2~3週間で結果が出る。
不顕性感染も多く、その場合はC.シッタシが排出されたりやんだりするため、フンは5~10日分が必要だ。
鳥がオウム病を発症すると、体温を保つために羽を立てて膨らんで動かなくなったり、食欲不振、嘔吐(おうと)や下痢、結膜炎や鼻汁が出たりする。
悪化すると、肺炎を起こして苦しいために大きく体を動かして呼吸をしたり、肝障害を起こすことでフンのうち通常は白いおしっこの部分が黄色や緑色になったりするなどの症状が出る。
治療にはテトラサイクリン系かマクロライド系のヒト用の抗菌薬を鳥の体に合わせて約45日間飲ませる。
ただ、C.シッタシが細胞内に潜伏していると抗菌薬の効力が及ばず、体外にも排出されない。
このため、症状がなくなりC.シッタシの排出が止まっても、完全に鳥の体内からC.シッタシがいなくなったかどうかはわからない。
獣医師は、年に1~2回は検査を受けることを勧める。
感染率の高いドバト 野鳥にも注意
オウム病の感染源となるのはペットの鳥だけではない。
14年2月下旬~3月上旬、川崎市内の社会福祉施設でオウム病の集団発生があった。
入所者と職員の計12人が発熱し、そのうち6人が肺炎を発症した。
肺炎患者4人の、のどの粘膜などからC.シッタシが検出された。
感染源は施設の換気扇フードに巣を作ったドバトだった。
そのフンからも同じ遺伝子配列のC.シッタシが検出された。ドバトの保菌率は20%ともいわれる。
家の周りでドバトが巣を作るなどしていたら、注意が必要だ。
また、ドバトに限らず、鳥のフンがたくさん落ちているような所には近寄らない方がいい。
治療や予防方法は?
ヒトがオウム病にかかってしまった場合、治療にはテトラサイクリン系やマクロライド系、ニューキノロン系の抗菌薬が有効だ。
妊婦や子供にはテトラサイクリン系やニューキノロン系は副作用の懸念があり使用できないが、マクロライド系は使える。
一方で、一般に肺炎を起こすことで知られる肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などに使うβラクタム系の抗菌薬は効かない。
ここ数年のオウム病の年間報告数は全国で10例未満。
オウム病は症状だけでは診断がつきにくく、医師がオウム病を疑わない可能性もある。
オウム病は治せる病気だが、治療が遅れると、重症肺炎になったり、呼吸器で増えたC.シッタシが血中に流れ出て全身に回り多臓器不全になったりするおそれがある。
きちんと対応しないと死亡することもある。
鳥を飼っている人で高熱や呼吸器症状が出た場合は、必ず医師に鳥を飼っていることを伝えてほしい。
鳥を飼うときの注意点。
C.シッタシを含んだフンが乾いて飛散しないうちに、こまめに掃除をする。
▽換気をしっかりする▽一緒に食事をしたり、口移しで餌を与えたり、キスをしたり、布団に上げたりするような濃厚接触は避ける。
▽鳥に触ったり世話をしたりした後は必ず手を洗う。
これらは、免疫能が低下している妊産婦や高齢者などに限らず、健康な大人も子供も同じだ。
オウム病をむやみに怖がるのではなく、感染や重症化のリスクを減らすために、どういう病気なのかを知り、鳥との適切な付き合い方を知ることが大切だ。
毎日新聞2017年5月7日「藤野基文 / 医療プレミア編集部」を参照。
野鳥を通して自然保護の大切を伝える週間である。
鳥類保護連絡協議会が設けた。
だが、人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろ、鳥だっていろいろ……。
なかには迷惑な鳥もいる。
最たる一つが、動物から人にうつる「動物由来感染症」のもとになる鳥だ。
動物由来感染症は、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重症になる病気など、病原体によってさまざま。
鳥関連でよく知られているのは、高病原性インフルエンザ(H5N1)とオウム病である。
高病原性インフルエンザ
犬、ネコ、キツネなどからうつる。
ニワトリへの感染流行で、人もまれに感染発生。
オウム病
部屋で飼うインコの糞で感染し、お年寄りがひどい発熱。
動物園でも集団感染。
2017年、2人の妊産婦が死亡した。
オウム病による妊産婦の死亡報告は国内初。
オウム病は「クラミジア・シッタシ」(以下「C.シッタシ」)という細菌による感染症だ。
C.シッタシは乾燥に強く、環境中で長期間、感染力を保つ。
感染している鳥のフンなどに混じってC.シッタシが排出され、それが乾いて粉じんとなったものをヒトが吸い込むことで感染する。
1~2週間の潜伏期間の後、急な発熱とせきで発症し、頭痛や筋肉痛を伴う。
頑固なせき、粘ついたたんが出るなどの呼吸器症状があり、肺炎を引き起こすことも多い。
初期の治療が不適切だと重症化して死に至ることがある。
厚生労働省によると、現在の届け出制度が始まった1999年4月以降、2017年4月10日までに冒頭の妊産婦を含めて計388人の感染が報告され、そのうち8人が死亡している。
ウイルスのような性質の細菌
国立感染症研究所の安藤秀二ウイルス第一部第五室長はC.シッタシについて、
「ウイルスのような性質を持った特殊な細菌」と説明。
細菌は一般的に、適した環境になると自ら分裂して増殖する。
しかし、C.シッタシはウイルスと同じように人や動物の細胞に寄生しないと増えることができない。
C.シッタシはまず、感染した動物の細胞表面に取り付き、異物を取り込む細胞の働きを誘発して細胞内に入り込む。
そして、動物の細胞のエネルギーを使って分裂・増殖する。
約48~72時間かけて一つの細胞内で十分に増殖すると、細胞膜を壊して細胞外に飛び出す。
その後さらに別の細胞表面に取り付いて、次々に増殖を繰り返す。
ヒトへ感染した場合は、まず鼻やのどの上気道の細胞で増殖し、だんだんと気管や肺の下気道へと感染を進めていく。
感染源は鳥
オウム病の感染源は鳥と考えていい。
ヘラジカの出産に携わった川崎市の動物園の職員5人が発症した例があるが、これはきわめてまれな例だ。
また、ヒトからヒトへの感染については、海外での報告例はあるが、医学的に証明されたものはない。
感染研などのまとめでは、国内で報告のあったヒトへの感染例の約60%がペットに多いオウム・インコ類からの感染だ。
ハトを含めたその他の鳥が20%、感染源が不明な例も約20%ある。
鳥類臨床研究会によると、オウム・インコ類のC.シッタシ保菌率は、
▽ボウシインコ10.8%、▽ラブバード6.2%、▽オカメインコ3.8%。▽セキセイインコ2.7%。▽ヨウム1.7%。
不顕性感染の鳥も菌を排出
鳥がオウム病に感染しているかどうかは、フンと血液を混ぜた検体を検査機関に送ると2~3週間で結果が出る。
不顕性感染も多く、その場合はC.シッタシが排出されたりやんだりするため、フンは5~10日分が必要だ。
鳥がオウム病を発症すると、体温を保つために羽を立てて膨らんで動かなくなったり、食欲不振、嘔吐(おうと)や下痢、結膜炎や鼻汁が出たりする。
悪化すると、肺炎を起こして苦しいために大きく体を動かして呼吸をしたり、肝障害を起こすことでフンのうち通常は白いおしっこの部分が黄色や緑色になったりするなどの症状が出る。
治療にはテトラサイクリン系かマクロライド系のヒト用の抗菌薬を鳥の体に合わせて約45日間飲ませる。
ただ、C.シッタシが細胞内に潜伏していると抗菌薬の効力が及ばず、体外にも排出されない。
このため、症状がなくなりC.シッタシの排出が止まっても、完全に鳥の体内からC.シッタシがいなくなったかどうかはわからない。
獣医師は、年に1~2回は検査を受けることを勧める。
感染率の高いドバト 野鳥にも注意
オウム病の感染源となるのはペットの鳥だけではない。
14年2月下旬~3月上旬、川崎市内の社会福祉施設でオウム病の集団発生があった。
入所者と職員の計12人が発熱し、そのうち6人が肺炎を発症した。
肺炎患者4人の、のどの粘膜などからC.シッタシが検出された。
感染源は施設の換気扇フードに巣を作ったドバトだった。
そのフンからも同じ遺伝子配列のC.シッタシが検出された。ドバトの保菌率は20%ともいわれる。
家の周りでドバトが巣を作るなどしていたら、注意が必要だ。
また、ドバトに限らず、鳥のフンがたくさん落ちているような所には近寄らない方がいい。
治療や予防方法は?
ヒトがオウム病にかかってしまった場合、治療にはテトラサイクリン系やマクロライド系、ニューキノロン系の抗菌薬が有効だ。
妊婦や子供にはテトラサイクリン系やニューキノロン系は副作用の懸念があり使用できないが、マクロライド系は使える。
一方で、一般に肺炎を起こすことで知られる肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などに使うβラクタム系の抗菌薬は効かない。
ここ数年のオウム病の年間報告数は全国で10例未満。
オウム病は症状だけでは診断がつきにくく、医師がオウム病を疑わない可能性もある。
オウム病は治せる病気だが、治療が遅れると、重症肺炎になったり、呼吸器で増えたC.シッタシが血中に流れ出て全身に回り多臓器不全になったりするおそれがある。
きちんと対応しないと死亡することもある。
鳥を飼っている人で高熱や呼吸器症状が出た場合は、必ず医師に鳥を飼っていることを伝えてほしい。
鳥を飼うときの注意点。
C.シッタシを含んだフンが乾いて飛散しないうちに、こまめに掃除をする。
▽換気をしっかりする▽一緒に食事をしたり、口移しで餌を与えたり、キスをしたり、布団に上げたりするような濃厚接触は避ける。
▽鳥に触ったり世話をしたりした後は必ず手を洗う。
これらは、免疫能が低下している妊産婦や高齢者などに限らず、健康な大人も子供も同じだ。
オウム病をむやみに怖がるのではなく、感染や重症化のリスクを減らすために、どういう病気なのかを知り、鳥との適切な付き合い方を知ることが大切だ。
毎日新聞2017年5月7日「藤野基文 / 医療プレミア編集部」を参照。
突然死、急性死を防ごう [医学・医療短信]
突然死、急性死
大杉漣さんの突然の訃報を信じがたい思いで聞いたのは、2月の寒い日だった。
TVドラマのロケ先で仲間たちと夕食を共にし、ホテルの部屋へ戻ったところで、急に腹痛が生じた。
タクシーで救急病院に搬送されたが、すでに重体、「治療が間に合わない」といわれた。
急性心不全だった。
驚き、悲しむひまもないほどの突然死だった。
突然死とは、体の具合がおかしくなってから24時間以内の病死で、同じく発病後1週間以内の病死が急性死だ。
その二大原因が、虚血性心疾患(主に心筋梗塞)と、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)だ。
しかし、突然死、急性死といっても、けっしてある日突然に、または急性に発症するわけではない。
必ず何日も前から前兆が現れることが確認されている。
脳血管障害の場合、多い順に、
①頭痛、眼痛、顔面痛。
②首の痛み・こり、肩こり。
③めまい、ふらつき、耳鳴り―の症状が出る。
脳梗塞では、一時的な手足のまひ(片側の手足がしびれ、物を取り落としたりする)、言語障害(ろれつが回らない)、視力障害(片側のものがみえなくなる半盲)などのTIA(一過性脳虚血発作)を起こす割合が高い。
こうした症状があったら短時間に消えても安心せず、専門医に診てもらうべきだ。
虚血性心疾患は、心臓の血管(冠状動脈)が狭くなったり詰まったりして、血行が悪くなる病気。
虚血とは血液が不足するといった意味だ。
運動したときなど一時的に血行が悪くなる狭心症と、血管のどこかが詰まってしまう心筋梗塞がある。
突然死、急性死に結びつくのは心筋梗塞のほうだ。
心筋梗塞の前ぶれ症状は、
①息切れ・呼吸困難。
②胸や背中の痛み。
③動悸(どうき)・脈の乱れ。
④手足が動かない―など。
なかには、「ろれつが回らない」という脳梗塞の前ぶれ発作のような症状を起こした翌日、心臓発作で倒れた人もいる。
東洋医学では、舌と心臓とは密接な関係があり、舌の動きが悪ければ心臓にも異常が生じているという。
ともあれ、最初はちょっとした症状なのだが、突然死・急性死の兆候である場合が少なくない。
そうした兆候を軽視せず、専門医を受診、治療を受けていれば、突然の死を未然に防ぐことができる。
働き盛りの突然死・急性死は、日ごろ体力自慢で、がんばり屋の人に多いという。
おかしい? と感じたらすぐ病院へ!
大杉漣さんの突然の訃報を信じがたい思いで聞いたのは、2月の寒い日だった。
TVドラマのロケ先で仲間たちと夕食を共にし、ホテルの部屋へ戻ったところで、急に腹痛が生じた。
タクシーで救急病院に搬送されたが、すでに重体、「治療が間に合わない」といわれた。
急性心不全だった。
驚き、悲しむひまもないほどの突然死だった。
突然死とは、体の具合がおかしくなってから24時間以内の病死で、同じく発病後1週間以内の病死が急性死だ。
その二大原因が、虚血性心疾患(主に心筋梗塞)と、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)だ。
しかし、突然死、急性死といっても、けっしてある日突然に、または急性に発症するわけではない。
必ず何日も前から前兆が現れることが確認されている。
脳血管障害の場合、多い順に、
①頭痛、眼痛、顔面痛。
②首の痛み・こり、肩こり。
③めまい、ふらつき、耳鳴り―の症状が出る。
脳梗塞では、一時的な手足のまひ(片側の手足がしびれ、物を取り落としたりする)、言語障害(ろれつが回らない)、視力障害(片側のものがみえなくなる半盲)などのTIA(一過性脳虚血発作)を起こす割合が高い。
こうした症状があったら短時間に消えても安心せず、専門医に診てもらうべきだ。
虚血性心疾患は、心臓の血管(冠状動脈)が狭くなったり詰まったりして、血行が悪くなる病気。
虚血とは血液が不足するといった意味だ。
運動したときなど一時的に血行が悪くなる狭心症と、血管のどこかが詰まってしまう心筋梗塞がある。
突然死、急性死に結びつくのは心筋梗塞のほうだ。
心筋梗塞の前ぶれ症状は、
①息切れ・呼吸困難。
②胸や背中の痛み。
③動悸(どうき)・脈の乱れ。
④手足が動かない―など。
なかには、「ろれつが回らない」という脳梗塞の前ぶれ発作のような症状を起こした翌日、心臓発作で倒れた人もいる。
東洋医学では、舌と心臓とは密接な関係があり、舌の動きが悪ければ心臓にも異常が生じているという。
ともあれ、最初はちょっとした症状なのだが、突然死・急性死の兆候である場合が少なくない。
そうした兆候を軽視せず、専門医を受診、治療を受けていれば、突然の死を未然に防ぐことができる。
働き盛りの突然死・急性死は、日ごろ体力自慢で、がんばり屋の人に多いという。
おかしい? と感じたらすぐ病院へ!
ラッキョウ、効くぞ! [健康雑談]
故郷の屋久島からラッキョウが山ほど送られてきた。
むさぼるように食べた。
小学校(当時は国民学校)の児童だったころを思い出した。
ラッキョウの季節には教室が〃ガス室〃になったことを......。
カライモ(サツマイモ)めしのおかずにラッキョウとくれば、腸管内にガス発生の条件が完備したようなものだった。
ラッキョウをどっさり食うと、なぜ、ガスが盛んに製造されるのか。
理由は三つばかり考えられる。
一つはラッキョウに含まれる硫化アリルという成分、このものはニンニクに最も多く含まれている。
あの臭みの原因物質である。
二つめは、あのシャキシャキとした歯ざわりをつくる食物繊維。
消化がわるいから腸内に長く滞留する。
そして、シャキシャキと、よく噛んで食べると、それだけたくさん空気を飲み込むことになる。
これが三つめの理由だ。
おならは、食物のカスが大腸菌によって発酵したり、腐敗したりしてできたガスと、口から飲み込んだ空気が一緒になったもの。
その成分は、酸素、水素、窒素、炭酸ガス、メタン、エタン、メルカプタン、硫化水素、アンモニア、インドールなど。
自分にはえも言われぬ芳香だが、他人にとっては悪臭以外の何物でもない、あの特異な臭気の元になるのは、メルカプタン以下の物質だ。
ラッキョウに含まれる硫化アリルは、腸内で硫化水素をつくる。
ラッキョウをたくさん食べると、芳香ないし悪臭性のガスが多量製造されるわけだが、この硫化アリルこそ、ラッキョウをラッキョウたらしめている特効成分でもある。
硫化アリルの働きの主要なものは抗菌・殺菌作用と強壮作用だ。
たとえば、カツオのたたきにニンニクのみじん切りをどっさりつけて食うと、食当たりや夏バテを防ぎ、もりもりと活力がつくようでもあるのは、大部分、硫化アリルの効果だ。
ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ、ニラなどアリル属と呼ばれる植物群の中で、ニンニクに次いで硫化アリルの含量の多いのがラッキョウだ。
ラッキョウはまた、昔から「心臓の薬」といわれ、漢方薬としても用いられている。
括呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)、括呂薤白半夏湯(かろがいはくはんげとう)と呼ばれる薬などがそれだ。
前者は括呂実(かろじつ=キカラスウリの種)と薤白(がいはく=ラッキョウ)を清酒と水で煎(せん)じたもの。
後者はそれに半夏(はんげ=カラスビシャクの塊茎)を加えて、同じく酒と水で煎じたものだ。
『金匱要略』(きんきようりゃく)という漢方の古典にはこれらの薬の効能として、
「胸痺(きょうひ=胸がしめつけられる感じ)臥スルコトヲ得ズ。
心痛、背ニ徹スルモノヲ治ス」
と、記されてあるという。
この症状はまさに狭心症、心筋梗塞、のそれだ。
冠動脈(心臓の血管)が動脈硬化のため狭くなり、運動したときなどに酸素不足を起こすのが狭心症。
狭くなった冠動脈の一部が詰まってしまうのが、心筋梗塞。
発作時には胸がしめつけられるような痛みが生じる。
左手、とくに小指の側が痛んだり重だるく感じたり、左肩や背中がこったり、痛むこともある。
むさぼるように食べた。
小学校(当時は国民学校)の児童だったころを思い出した。
ラッキョウの季節には教室が〃ガス室〃になったことを......。
カライモ(サツマイモ)めしのおかずにラッキョウとくれば、腸管内にガス発生の条件が完備したようなものだった。
ラッキョウをどっさり食うと、なぜ、ガスが盛んに製造されるのか。
理由は三つばかり考えられる。
一つはラッキョウに含まれる硫化アリルという成分、このものはニンニクに最も多く含まれている。
あの臭みの原因物質である。
二つめは、あのシャキシャキとした歯ざわりをつくる食物繊維。
消化がわるいから腸内に長く滞留する。
そして、シャキシャキと、よく噛んで食べると、それだけたくさん空気を飲み込むことになる。
これが三つめの理由だ。
おならは、食物のカスが大腸菌によって発酵したり、腐敗したりしてできたガスと、口から飲み込んだ空気が一緒になったもの。
その成分は、酸素、水素、窒素、炭酸ガス、メタン、エタン、メルカプタン、硫化水素、アンモニア、インドールなど。
自分にはえも言われぬ芳香だが、他人にとっては悪臭以外の何物でもない、あの特異な臭気の元になるのは、メルカプタン以下の物質だ。
ラッキョウに含まれる硫化アリルは、腸内で硫化水素をつくる。
ラッキョウをたくさん食べると、芳香ないし悪臭性のガスが多量製造されるわけだが、この硫化アリルこそ、ラッキョウをラッキョウたらしめている特効成分でもある。
硫化アリルの働きの主要なものは抗菌・殺菌作用と強壮作用だ。
たとえば、カツオのたたきにニンニクのみじん切りをどっさりつけて食うと、食当たりや夏バテを防ぎ、もりもりと活力がつくようでもあるのは、大部分、硫化アリルの効果だ。
ニンニク、ラッキョウ、ネギ、タマネギ、ニラなどアリル属と呼ばれる植物群の中で、ニンニクに次いで硫化アリルの含量の多いのがラッキョウだ。
ラッキョウはまた、昔から「心臓の薬」といわれ、漢方薬としても用いられている。
括呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)、括呂薤白半夏湯(かろがいはくはんげとう)と呼ばれる薬などがそれだ。
前者は括呂実(かろじつ=キカラスウリの種)と薤白(がいはく=ラッキョウ)を清酒と水で煎(せん)じたもの。
後者はそれに半夏(はんげ=カラスビシャクの塊茎)を加えて、同じく酒と水で煎じたものだ。
『金匱要略』(きんきようりゃく)という漢方の古典にはこれらの薬の効能として、
「胸痺(きょうひ=胸がしめつけられる感じ)臥スルコトヲ得ズ。
心痛、背ニ徹スルモノヲ治ス」
と、記されてあるという。
この症状はまさに狭心症、心筋梗塞、のそれだ。
冠動脈(心臓の血管)が動脈硬化のため狭くなり、運動したときなどに酸素不足を起こすのが狭心症。
狭くなった冠動脈の一部が詰まってしまうのが、心筋梗塞。
発作時には胸がしめつけられるような痛みが生じる。
左手、とくに小指の側が痛んだり重だるく感じたり、左肩や背中がこったり、痛むこともある。