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リウマチ治療は変わった [ひとこと養生記]

 冬のリウマチ

 ずいぶん以前に聞いた話だが、縄文人にもリウマチ患者がいたそうだ。

 日本人類学会での、福田真輔・滋賀医大整形外科教授(当時)らの研究発表で、過去に出土した縄文時代の人骨の中に確実に関節リウマチとみられるものが一体、見つかったといった話だった。

 関節リウマチは、過労、風邪、寒冷刺激、湿気、低気圧などで悪化しやすい。

 リウマチの人にとって冬はとりわけつらい。

 日常生活の基本的な注意はまず安静。

 睡眠を十分にとり、昼間も1時間ぐらいは横になろう。

 しかし、ベッドに寝たきりとか悪い関節を全然動かさないのはよくないし、動かし過ぎるのもよくない。運動は疲れや痛みが残らない程度に─。

 保温はなによりも大切。

 風邪をひかないように気をつけ、関節を冷えから守ろう。

 手首など病気に侵されている関節が露出していたら、包帯を巻きつける、手袋をはめる、毛糸でカバーを作るなどしょう。

 それにしても、縄文時代の冬を、リウマチの人はどんなふうにしのいだのだろう。

 つらかっただろうなあ。

 リウマチ治療①

 山本一彦・東京大学大学院教授(アレルギーリウマチ学)の「関節リウマチのパラダイムシフト」という講演を聴いた。

 広辞苑によると、パラダイムとは「プラトンでは…」となんやらかんやら小難しい記述のあと、

「一時代の支配的な物の見方、時代に共通の思考の枠組」で、

 シフトは「移動、転換」だ。

 つまり関節リウマチ治療の考え方が一変したということだろう。

 以前のリウマチ治療は、まずNSAIDs(非ステロイド系抗炎症剤)という副作用のない薬から始めて、ダメだったら、抗リウマチ薬、ステロイド薬、免疫抑制薬と、少し副作用はきつくても効く薬にする─というように〝弱い薬〟から〝強い薬〟へと段階的に積み上げていく「ピラミッド療法」といわれるものだった。

 それが教科書的な治療法で、多くの医師が順守していた。

 しかし、関節リウマチの骨破壊は発症2年以内に生じることがわかり、それを防ぐには最初から強い薬を用いたほうがよい。

「ピラミッド療法は古い!」といわれるようになっている。

 昔、リウマチは一生の病気といわれた。

 そうではない。

 早期に見つけて適切な治療をすれば、とても経過がよくそのまま治ってしまう人が多い。

 この初期治療の大切さをある専門医は「山火事」にたとえる。

「火の見やぐらで見張っていると、遠くで煙が上がった。

 大きなたき火か、山火事の始まりか、区別がつかない。

 もう少し見ていようと思って、あ、火事だと分かったときは遅い。

 消防車が何台も駆けつけてもすぐには消せない。

 たき火か山火事か分からないけど、現場に行ってみたら山火事の始まりだったというのなら消防車1台で簡単に消火できる。

 これが早期診断・早期治療です」(越智隆弘・大阪大学名誉教授)

 関節リウマチは発症2年以内に骨破壊が生じることが多い。

 最初から積極的に抗リウマチ薬を使用、経過を見ながら必要なら生物学的製剤を使用するのが、新しいリウマチ治療だという。

 朝、体や手指がこわばる、ひざや肩など関節が痛い、なんだかおかしいと感じたらぜひ早く「リウマチ登録医」へ─。
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