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脂肪肝もいろいろ、その危険性 [ひとこと養生記]


 脂肪肝の原因

 酒もすき餅(もち)もすきなり今朝の春  高浜虚子

 というわけで、正月の休み明けに会う人の顔が、ふっくら丸くなったように見えるのは、食べ過ぎ+飲み過ぎ+運動不足のせいだ。

 正月太りぐらいならよいが、脂肪肝ともなると、厄介だ。

 脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪がたまった状態。

 健康な肝臓には通常3~5%の脂質が含まれている。

 それが30%以上になると、脂肪肝と呼ばれる。

 たまる脂肪は、大部分が中性脂肪で、肥満・アルコール・糖尿病などが原因といわれる。

 しかし、そのどれとも関係のない脂肪肝もかなり多い。

 原因は糖分の取り過ぎと低栄養だと、肝臓の専門医、栗原毅・慶応大特任教授/栗原クリニック院長は指摘する。

「野菜を食べるかわりに100%果汁飲料を飲んでいる、ジュースを水がわりに飲んでいる、ケーキばかり食べているというような人には、標準体重以下でも脂肪肝がけっこう多いのです。

 それから、果物にも注意が必要です。

 果物に非常に多く含まれている果糖は、砂糖よりも脂肪に変化しやすいからです」

 いま、人間ドックなどの超音波検査では約30%が「脂肪肝」と診断される。

 ある施設のデータを見ると、男性では3人に1人、女性では5人に1人が脂肪肝で、原因はアルコール性=23%、肥満性=22・5%、糖尿病性=9・5%。

 残りの45%が原因不明とされる。

 糖分の取り過ぎや低栄養がもとになっていることが多いようだ。

 糖分の取り過ぎはわかるが、低栄養がなぜ脂肪肝を招くのか? 

「低栄養で脂肪肝が起こるのは、食事から脂肪分を摂取できないと、エネルギー不足を補うために体内の脂肪が肝臓に集まるのです。

 そして、肝臓の外に脂肪を運び出すのにはたんぱく質が必要ですが、たんぱく質の摂取が足りないと脂肪を処理できない。

 この二重の作用によって、低栄養は脂肪肝の原因になりやすいのです」と、肝臓病の専門医、栗原毅教授。

 実際、拒食や不自然なダイエットの人のほとんどが、脂肪肝を併発しているという。

「間食と夜食、特に寝る前の3時間は実に吸収がよくて太りやすい。

 朝食抜きも吸収率がぐんと高くなります」

 原因不明の脂肪肝

 脂肪肝には「原因不明」とされるものが少なくない。

 特に女性では、50歳を過ぎるとその比率が高くなる。

 推測される原因について、栗原毅・栗原クリニック院長(東京・日本橋)は、「女性ホルモンの影響があるかもしれません」と言う。

「女性ホルモンのエストロゲンには、脂肪肝に対する『抗脂肪化作用』があるのですが、閉経期になってエストロゲンの分泌が減ってくると、脂肪肝になりやすくなるということが考えられます。

 また、中性脂肪を分解するリポプロティンリパーゼ(LPL)という物質が、加齢とともに減ってくることもわかっています。

 さらに、肝臓の中の細い血管の血液の流れが悪くなると、脂肪肝ができやすくなるといわれています。

 こういったことが複合的に作用して、中高年の女性に原因不明の脂肪肝が増えるのではないでしょうか」

 なお、大量飲酒が脂肪肝に直結するのは常識だが、1日1合程度の適正飲酒はむしろよい働きをするそうだ。

 善玉コレステロールのHDLを増やし、脂肪肝を予防するという。

 脂肪肝の危険性

 脂肪肝は軽症の間は自覚症状はほとんどない。

 中等度以上になると、体がだるく、気力が薄れ、食欲が減退する。

 肝臓が腫れるので右上腹部が重苦しく、不快感が生じる。

 一般にアルコール性の脂肪肝は酒を飲み続けると進行するが、しかし、酒を止めて食事療法をすれば1~2カ月で治る。

 肥満性や糖尿病性の脂肪肝は、たぶん肝硬変には移行しないといわれている。

 では、あまり心配しなくてもいいのか? 

 とんでもない! と、肝臓病の専門医、栗原毅先生は首を振った。

「肥満性の脂肪肝というのは、肝臓だけに脂肪がつくわけではなく、全身につくのです。

 皮下脂肪だけならまだしも、血管にも、内臓にも脂肪がつき、当然、動脈硬化が促進されます。

 そして心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、あるいは糖尿病などさまざまな生活習慣病の発生母体をつくります。

 もし20代、30代から脂肪肝になるようだったら、その人の寿命はおそらく短いでしょうね。

 それが一番の問題だと思います」

 脂肪肝の段階できちんと治すことが大切なのです。


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