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肺と肺炎 [健康]

 風邪・インフルエンザの本格的流行が始まっている。

  いちばん心配なのは肺炎を併発することだ。

「肺炎は老人に安らかな死をもたらす最後の友だ」と言ったのは、近代内科学の父、ウイリアム・オスラーだが、ま、いずれはそれを望むとしても、なるべくならずーっと先延ばしにしたいものだ。

 肺の最も大切な役目は、空気の中の酸素を血液中に取り入れ、血液中の炭酸ガスを吐き出すことだが、吸い込む空気の中には病原菌がいっぱい混じっている。

 そこへもってきて肺には、全身から心臓に戻った、汚れた(栄養豊富な)血液が、そのまま入ってくる。病原菌の繁殖にはもってこいの環境だ。

 繁殖し始めた病原菌を追い出そうと、白血球など体の防衛軍が集まってきて、戦争(炎症)が起こるのが、肺炎だ。

 エックス線写真にはそこは真っ白に映る。
 
 が、ごく初期の肺炎はエックス線にはまだ影が出ない。

 聴診器のほうがよくわかると練達の内科医は言う。

 「慣れた医者は、聴診器で肺の中の小さな特異な雑音をキャッチし、素早く病変を見つけます」

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