「朝から牛丼」のすすめ [医学・医療短信]
「朝から牛丼」は昼の血糖値急上昇を防ぐ?
米井嘉一 / 同志社大学教授
健康な体を作るためには朝ご飯をきちんと食べることが大切です。
しかし最近、朝食を取らない子供や大人が増えています。
朝食を欠食すると子供が肥満になりやすいことが知られています。
大人では脳卒中の頻度が増えます。
過去と比べて日本人の食事パターンは大きく変化しています。
子供も大人も夜型の生活パターンが増え、夜食や間食は増えていますが、朝食を抜くケースも増える傾向にあります。
その原因を突き詰めると睡眠との関連が大きいことがわかります。
夜更かしをすれば当然、睡眠不足になります。
それは朝食の欠食に直結します。
朝起きても、寝ぼけ状態が強ければ朝食を食べる気にはなれません。
胃腸のぜん動運動が落ち込んでしまっているからです。
同じカロリーでも、夜食は血糖値が上がりやすくなります。
そのため睡眠中に高血糖になったり、その反動で低血糖になったりします。
反動というのは、高血糖になった時にインスリンが過剰に分泌され、余分のインスリン作用によって低血糖が生じてしまう現象です。
高血糖や低血糖のように、睡眠中に血糖値が不安定になると睡眠の質が下がります。
また、寝る前にスマートフォンを触る人も要注意です。
スマホの光は網膜を刺激して、睡眠を促すホルモンのメラトニン分泌を止める作用があります。
そのため睡眠の質が低下します。
心身のストレスが強い人も、朝食を食べない率が高いようです。
ストレスが強いと寝つきが悪くなり、夜中に目が覚める頻度が高まります。
朝起きても気分はすぐれず、元気よく朝食を食べる気分にはなれないでしょう。
朝食を食べないと何が起きるの?
朝食を食べないと、昼食や夕食時の血糖値が上昇します。
血糖値が140 mg/dL 以上になる急激な血糖上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、さまざまなアルデヒドが同時多発的に生成される「アルデヒドスパーク」を引き起こします。
これが血管内皮障害など、体のさまざまな部位の細胞障害、組織障害の直接的な原因になるのです。
ではなぜ、朝食を食べないと昼食時の血糖値が上昇するのでしょうか。
それは血糖を上昇させるホルモンが多く分泌されるからです。
血糖値を調整するホルモンは、血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンに大別されます。
血糖値低下ホルモンはインスリンだけですが、血糖値上昇ホルモンはコルチゾル、アドレナリン、成長ホルモン、グルカゴンなど複数あります。
低血糖は体にとって危険なので、低血糖を防ぐための機構が備わっているのです。
低血糖防御機構の中でもっとも強力な血糖上昇作用があるのが、グルカゴンです。
朝食「あり」と「なし」の時の血糖変動の違い
朝食を食べた時と欠食した時の血糖値変動の違いを図で説明します。
朝食をしっかりと、よくかんでゆっくり食べると、食後の血糖上昇は緩やかで、血糖値スパイクは生じません。
低血糖にもならないのでグルカゴンの出番はありません。
ところが、朝食を抜くと食べない時間が長くなります。
血糖値が下がるのでグルカゴンが分泌されて血糖値を上げようとします。
その状態で昼食を取ると血糖値はさらに上がりやすくなります。
当然、上昇した血糖値を下げるためにインスリンも多く分泌されます。
朝食を抜くとインスリンもグルカゴンも多く分泌されます。
両者ともに膵臓(すいぞう)で作られます。
このような生活を続けると、膵臓がインスリンもグルカゴンも大量に作り続けなくてはならないため、膵臓が疲れてインスリンを作れなくなり、糖尿病の発症につながります。
朝食を食べられる体作りが大切
これまで朝食を食べない習慣がついた人が突然、朝食を食べるとかえって調子が悪くなることがあります。
おなかが張ったり、気持ち悪くなったり、胃がもたれたりします。
そのような人は胃腸の働き(ぜん動運動)が衰えているので、まずは胃腸の働きを整え、朝食を受け入れる準備から始めましょう。
朝食の欠食と睡眠には深い関係があります。
朝食を食べたいと思ったら、前の日は夜更かしをせず、睡眠を十分にとることが大切です。
時間の余裕がないと朝食も食べられないので、朝は早めに起きましょう。
できれば散歩するくらいの余裕がほしいところです。
これでばっちり、朝食受け入れ準備の完了です。
前夜の飲酒が過ぎると、アルコール分解過程で生成されたアルデヒドの作用で睡眠の質が下がり、胃腸のぜん動運動も抑えられます。
お酒の量を減らしてみましょう。
タバコのニコチンも胃腸の動きを抑えます。
ニコチンの禁断症状がもっとも強く表れる朝に一服すると食欲が抑えられ、朝ご飯を食べられなくなります。
一服をやめ、散歩などをしておなかをすかせましょう。
朝食に何を食べればよいか?
私たちの実験で、朝に牛丼を食べると、おにぎりやサンドイッチに比べて昼食後の血糖値が上がりにくいという結果が得られました。
朝はできるだけガッツリ食べた方がよいというのが結論です。
結果を見て以降、私も時々「朝牛(あさぎゅう=朝に牛丼を食べること)」をしています。
朝から牛丼が食べられるのは元気な証拠。健康に生まれ変わった自分を実感してください。
米井嘉一 / 同志社大学教授
健康な体を作るためには朝ご飯をきちんと食べることが大切です。
しかし最近、朝食を取らない子供や大人が増えています。
朝食を欠食すると子供が肥満になりやすいことが知られています。
大人では脳卒中の頻度が増えます。
過去と比べて日本人の食事パターンは大きく変化しています。
子供も大人も夜型の生活パターンが増え、夜食や間食は増えていますが、朝食を抜くケースも増える傾向にあります。
その原因を突き詰めると睡眠との関連が大きいことがわかります。
夜更かしをすれば当然、睡眠不足になります。
それは朝食の欠食に直結します。
朝起きても、寝ぼけ状態が強ければ朝食を食べる気にはなれません。
胃腸のぜん動運動が落ち込んでしまっているからです。
同じカロリーでも、夜食は血糖値が上がりやすくなります。
そのため睡眠中に高血糖になったり、その反動で低血糖になったりします。
反動というのは、高血糖になった時にインスリンが過剰に分泌され、余分のインスリン作用によって低血糖が生じてしまう現象です。
高血糖や低血糖のように、睡眠中に血糖値が不安定になると睡眠の質が下がります。
また、寝る前にスマートフォンを触る人も要注意です。
スマホの光は網膜を刺激して、睡眠を促すホルモンのメラトニン分泌を止める作用があります。
そのため睡眠の質が低下します。
心身のストレスが強い人も、朝食を食べない率が高いようです。
ストレスが強いと寝つきが悪くなり、夜中に目が覚める頻度が高まります。
朝起きても気分はすぐれず、元気よく朝食を食べる気分にはなれないでしょう。
朝食を食べないと何が起きるの?
朝食を食べないと、昼食や夕食時の血糖値が上昇します。
血糖値が140 mg/dL 以上になる急激な血糖上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれ、さまざまなアルデヒドが同時多発的に生成される「アルデヒドスパーク」を引き起こします。
これが血管内皮障害など、体のさまざまな部位の細胞障害、組織障害の直接的な原因になるのです。
ではなぜ、朝食を食べないと昼食時の血糖値が上昇するのでしょうか。
それは血糖を上昇させるホルモンが多く分泌されるからです。
血糖値を調整するホルモンは、血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンに大別されます。
血糖値低下ホルモンはインスリンだけですが、血糖値上昇ホルモンはコルチゾル、アドレナリン、成長ホルモン、グルカゴンなど複数あります。
低血糖は体にとって危険なので、低血糖を防ぐための機構が備わっているのです。
低血糖防御機構の中でもっとも強力な血糖上昇作用があるのが、グルカゴンです。
朝食「あり」と「なし」の時の血糖変動の違い
朝食を食べた時と欠食した時の血糖値変動の違いを図で説明します。
朝食をしっかりと、よくかんでゆっくり食べると、食後の血糖上昇は緩やかで、血糖値スパイクは生じません。
低血糖にもならないのでグルカゴンの出番はありません。
ところが、朝食を抜くと食べない時間が長くなります。
血糖値が下がるのでグルカゴンが分泌されて血糖値を上げようとします。
その状態で昼食を取ると血糖値はさらに上がりやすくなります。
当然、上昇した血糖値を下げるためにインスリンも多く分泌されます。
朝食を抜くとインスリンもグルカゴンも多く分泌されます。
両者ともに膵臓(すいぞう)で作られます。
このような生活を続けると、膵臓がインスリンもグルカゴンも大量に作り続けなくてはならないため、膵臓が疲れてインスリンを作れなくなり、糖尿病の発症につながります。
朝食を食べられる体作りが大切
これまで朝食を食べない習慣がついた人が突然、朝食を食べるとかえって調子が悪くなることがあります。
おなかが張ったり、気持ち悪くなったり、胃がもたれたりします。
そのような人は胃腸の働き(ぜん動運動)が衰えているので、まずは胃腸の働きを整え、朝食を受け入れる準備から始めましょう。
朝食の欠食と睡眠には深い関係があります。
朝食を食べたいと思ったら、前の日は夜更かしをせず、睡眠を十分にとることが大切です。
時間の余裕がないと朝食も食べられないので、朝は早めに起きましょう。
できれば散歩するくらいの余裕がほしいところです。
これでばっちり、朝食受け入れ準備の完了です。
前夜の飲酒が過ぎると、アルコール分解過程で生成されたアルデヒドの作用で睡眠の質が下がり、胃腸のぜん動運動も抑えられます。
お酒の量を減らしてみましょう。
タバコのニコチンも胃腸の動きを抑えます。
ニコチンの禁断症状がもっとも強く表れる朝に一服すると食欲が抑えられ、朝ご飯を食べられなくなります。
一服をやめ、散歩などをしておなかをすかせましょう。
朝食に何を食べればよいか?
私たちの実験で、朝に牛丼を食べると、おにぎりやサンドイッチに比べて昼食後の血糖値が上がりにくいという結果が得られました。
朝はできるだけガッツリ食べた方がよいというのが結論です。
結果を見て以降、私も時々「朝牛(あさぎゅう=朝に牛丼を食べること)」をしています。
朝から牛丼が食べられるのは元気な証拠。健康に生まれ変わった自分を実感してください。
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