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歩いて重症脳卒中を予防 [医学・医療短信]

1日35分歩いて重症脳卒中を予防
スウェーデン・断面研究

 週に4時間以上歩く、週に2~3時間水泳をするなど、軽~中等度の身体活動をする人は、活動性の低い人に比べて重症脳卒中が少ない。

 スウェーデン・University of GothenburgのMalin Reinholdsson氏らが、初回脳卒中患者925例の発症前の身体活動レベルを後ろ向きに調査した断面研究の結果をNeurology(2018年9月19日オンライン版)で発表した。

発症前の身体活動を質問調査

 身体活動・運動は、自己管理できる費用効果が高い健康増進法としてよく知られているが、運動不足は世界的に蔓延している。

 動物実験では、脳卒中発症前の身体活動は神経保護に作用し、神経障害を軽減して重症脳卒中を減らすと報告されている。

 しかし、この効果は臨床研究では一貫していない。

 今回の研究では、急性脳卒中の重症度に、脳卒中発症前の身体活動量が及ぼす影響について検討した。

 スウェーデンの脳卒中登録2件から、2014年11月~16年4月にSahlgrenska University Hospital脳卒中センターで治療した20歳以上の初回脳卒中患者925例(平均年齢73歳、女性45.2%)のデータを抽出。

 脳卒中発症前の身体活動は、Saltin-Grimby Physical Activity Level Scale(SGPALS)を用いて患者または近親者に質問調査を実施。

 レベル1:低度、レベル2:軽度(歩行週4時間以上)、レベル3:中等度(水泳、速歩、ランニングなど週2~3時間)、レベル4:高度(競技目的の練習週数回)−の4段階で評価したところ、レベル1が481例(52%)、レベル2~3が443例(47.9%)だった。

 脳卒中重症度は、米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS:0~42点)を用いて、軽症(0~5点)、中等症(6~14点)、重症(15~24点)、極めて重症(25点以上)に分類。入院時738例(79.8%)が軽症脳卒中と評価された。

 毎週軽い運動で重症化防ぐ可能性も

 軽症脳卒中の頻度は、レベル1群は354例(73.6%)、レベル2群は330例(85.9%)、レベル3群は53例(89.8%)。

 多変量回帰分析の結果、脳卒中が軽症である可能性は、発症前の身体活動レベル2~3群でレベル1群の約2倍になり〔オッズ比(OR)2.02、95%CI 1.43~2.86、P<0.001〕、また若年ほど高くなることが示された(年齢のOR 0.97、95%CI 0.96~0.99)。

 身体活動と年齢は、脳卒中重症度の6.8%を予測していた。

重症度の差の大部分は他因子が関与

 以上の結果から、軽度および中等度の身体活動は同等に有益であることが示された。

 共著者で同大学のKatharina S. Sunnerhagen氏は

 「1日35分歩くだけでも、その後の脳卒中重症化を防ぐ可能性がある。

 身体活動が脳に保護的に作用することを示す報告が増えており、今回の研究でエビデンスが増強された。

 さらなる検討が必要だが、運動不足は重症脳卒中のリスクとして監視すべき」と述べている。

 また、研究の限界として、断面研究であること、発症前の身体活動量を発症後に質問調査で評価した点や、身体活動量の違いは脳卒中重症度の差の大部分を説明するものではない点を挙げている。

 Medical Tribune編集部  坂田真子
タグ:歩行 脳卒中
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