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性格で異なる「ストレス耐性」 [医学・医療短信]

性格で異なる「ストレス耐性」あなたはどのタイプ?
 米井嘉一 / 同志社大学教授(アンチエイジングリサーチセンター)

 老化を促進する危険因子

 職場にも家庭にも、精神的なストレスを抱える人がたくさんいます。

 ストレスは心の状態にさまざまな影響を与えるばかりか、体の健康にも影響します。

 現代社会では、心と精神の問題は以前にも増して大切なテーマになっています。

 医学的に見ると、心の問題を扱うのは決して簡単ではありません。

 ストレスの大きさや、ストレスによるダメージを評価したいと思っても、どんな状態が正常で、どこから病気なのかを判断するのが難しいからです。

 男女差があり、子供と大人でも異なり、高齢者にはまた別の事情があります。

 まず、正常な心の状態について考えます。

 感情に乏しく、個性のないロボットのような人たちばかりでは、人間が営む社会は面白くありません。

 個性豊かな人たちが集まるからこそ、この世は楽しい。

 人間であるからには、喜怒哀楽の感情が豊かで、夢と希望にあふれている状態が正常と言えるでしょう。

 この考え方は「陰陽五行学説」に基づいています。

 科学的な法則というよりは、四季があるアジア地域(中国、朝鮮半島、日本)で数千年にわたって育まれた経験則です。

 人の心「五情」のバランスとは

 人には「五情(あるいは五志)」と呼ばれる五つの感情があります。

「怒り、喜び、憂い、悲しみ、恐れ」です。

 お互いに影響し合っています。

 一つの感情が強すぎたり、あるいは極端に抑えられたりすると、心のバランスに乱れが生じます。

 感情が乱れたら調和を図り、うまくバランスを保つことが重要です。

 感情には陰と陽があります。

 例えば、感情が自分に向かう(陰)状態では、「悲」は悲しみですが、他人に向かう(陽)と「哀れみ」になります。

「憂」は内側にしぼめば抑うつ状態(陰)になりますが、外に広がれば夢や希望、想像力(陽)になります。

「恐」には不安や恐ろしさという要素がありますが、「畏れ」という文字を用いれば神々への畏れ、自然賛歌、敬いの心に通じます。

 心のバランスに乱れを生じさせる大きな要因が心身のストレスです。

 広辞苑によると、「ストレス(stress)」とは種々の外部刺激が負担として働くとき心身に生ずる機能変化、とされています。

 原因となる要素(ストレッサー)には寒暑、騒音、化学物質などの物理化学的なもの▽飢餓、感染、過労、睡眠不足など生物学的なもの▽精神的緊張、不安、恐怖、興奮など心理的社会的なもの--があります。

 人が営むひとつひとつの行動がストレスになり得ます。

 朝起きて食事の支度、通勤、通学、仕事、勉強、試験や会議、家族関係、職場の人間関係、友人関係、部活動、サークル活動など、良いことも嫌なこともすべてがストレスです。

 一日にこれだけ活動すれば夜には疲れます。疲れはストレスによるダメージの一種ですから、夜の休養と睡眠でダメージから回復することが大切です。

 そして翌日、再び新たなストレスに向き合うのです。

 人によって大きく違うストレス耐性

 ストレスのない生活は望ましくありません。

 ストレスは刺激の一種です。

 外的刺激がないと、特に高齢者は認知障害が進みます。

 これまでピンピン元気に自立生活を送っていた高齢者が肺炎で入院し、病気は治ったものの3日目にボケてしまうことは、しばしばあります。

 また子供に負担や刺激を与えず、ストレスのない状態で育てると、大人になってストレス対処に苦しむことになります。

 ストレスに対する強さ(ストレス耐性)は個人の性格によって異なります。

 英国の心理学者Eysenck (アイゼンク)は、人間の性格(パーソナリティー)を四つに分類しています。

 タイプAはいわゆる完璧主義者。

 もっともストレスの影響を受けやすく、免疫機能が低下しやすいと言われています。

 タイプBはストレスを怒りによって発散するタイプです。

 結構、周りに迷惑をかけます。

 タイプCはAとBの混合型。

 このタイプが一番多いのではないでしょうか。

 タイプDは精神的な柔軟性に富み、ストレスに対する適応力が一番強いタイプと言えます。

 自分がどのタイプなのかを知ることは、社会の中でどう生きるかを考える時に、大いに参考になるでしょう。

 「毎日新聞 医療プレミア」による

 米井嘉一(よねい・よしかず) 慶応義塾大学医学部卒業、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。

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