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加齢黄斑変性の意外な関連 [健康短信]

加齢黄斑変性に車の排気ガスが関連

 日本で増加が続く加齢黄斑変性(AMD)は、加齢の他に喫煙や太陽光など種々の要因が発症・増悪に関連すると考えられている。

 帝京大学眼科学准教授の三村達哉氏は、AMDと揮発性有機化合物(VOC)の関連に着目。

 AMDの病態に自動車由来VOCの曝露が関与していることを、第122回日本眼科学会(4月19〜22日)で報告した。

 自動車由来VOCの尿中代謝産物が有意に高値

 VOCは大気中で気体となる有機化合物の総称で、ベンゼン、トルエンなど100種類以上が存在する。

 VOC発生源は塗料や廃棄物処理などさまざまであるが、自動車の場合は主にガソリンである。

 VOCは生体毒性を有するものが多く、発がん性、遺伝毒性、神経障害などの悪影響を及ぼすことが知られている。

 しかし、これまでAMDとの関連についての報告はなかった。

 三村氏はVOC濃度が高い国ほどAMDの罹患率が高いこと、米国の州別に見るとVOC排出量とAMD罹患率に関連が認められたことから、VOC排出量が多いエリアに所在する帝京大学病院のAMD患者とVOCとの関連について検討した。

 対象は未治療のAMD患者40例(平均年齢73.9±7.2歳)で、白内障患者10例、健康人10例を対照とした。

 3群間で年齢や性、基礎疾患、喫煙歴に有意差は認められなかった。

 自動車由来VOCのうち体内毒性を有するベンゼン、トルエン、スチレン、キシレンの尿中代謝産物5つを検査対象とし、各代謝産物の尿中クレアチニンに対する濃度比と、健康人の平均値に対する増加率を算出。

 それらをAMD群と対照群(白内障患者+健康人)の2群間で比較した。

 5つの尿中代謝産物のうち、2-メチル馬尿酸(トルエン・キシレン由来)とマンデル酸塩(スチレン・エチルベンゼン由来)の濃度比および増加率が、AMD群で有意に高かった。

 白内障患者、健康人では2-メチル馬尿酸の濃度比はともに正常値であった。

 他の3つの代謝産物は、AMD群で濃度比と増加率が高値であったものの有意差はなかった。

 AMD群と健康人で各尿中代謝産物の平均濃度および変動率を比較したところ、2-メチル馬尿酸、3-メチル馬尿酸、マンデル酸塩でAMD群が有意に高かった。

 以上の結果から、同氏は「AMDの病態には自動車由来VOCの曝露が関与している可能性が示唆された」と述べた。

 詳細な機序は不明であるが、体内に取り込まれたVOCがTCAサイクルを抑制し、黄斑の老化を促進させている可能性があるという。
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