すべての女性にかかわる骨量・骨密度 [健康短信]
骨密度が低い…その先にあるリスク
一生、自力で動けるために〜スポーツドクターからの提言
順天堂大学女性スポーツ研究センター
女性アスリートの健康上の問題として「無月経」「疲労骨折」「摂取エネルギーの不足」が挙げられ、合わせて「女性アスリートの3主徴」とよばれます。
このうち骨の健康に関して、最近はアスリートだけでなく一般の女性の関心も高まっています。
骨密度が低下するとどのようなリスクがあり、また、骨を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。
スポーツドクターの草分けで整形外科医の順天堂大学大学院スポーツ医学教授、桜庭景植さんに聞きました。
適切な指導を受けられない現状がある?
女性アスリートの中でも長距離ランナーは、無月経で骨密度の低い人が多く、それが疲労骨折の原因の一つといわれています。
このようなアスリートがいることは事実です。
しかし、すべての女子ランナーが疲労骨折になり、無月経だったから妊娠できないということはありません。
競技をやめて妊娠や出産を希望したとき、とくに問題がないという人もいるのです。
長年、アスリートを診てきたスポーツドクターとしては、少し大げさにとらえすぎているのではないか、というのが私の意見です。
月経がないから骨が弱くなり、疲労骨折になるとは必ずしも言い切れません。
アスリートの疲労骨折に詳しくない産婦人科医や、月経を詳しく知らない整形外科医も少なからずいます。
関連する診療科の医師が相互に連携していない医療のシステムの中で、女性アスリートは適切な指導を受けていない現状があります。
それをなくしたいというのが女性アスリート外来を開設した狙いの一つです。
骨の健康はすべての女性にかかわる問題
骨の健康は、すべての女性にかかわります。
骨密度が低いことそのものよりも、むしろそれが原因で転倒や骨折をして寝たきりになることが大きな問題です。
高齢化を迎えた日本の女性は、この問題に直面しています。
平均寿命が延びても健康寿命(自立して活動的に生活ができる期間)が短かったら、その後は介護が必要になります。
介護は本人が不自由であるだけでなく、家族に負担がかかり、働き盛りの人の時間や労力までも奪います。
体が動かないことが周囲の人や社会にどれだけ影響を及ぼすかを知ってほしいと思います。
骨量は20代までに増やし、その後は目減りを減らそう
健康寿命を延ばすためには、骨の健康が大切だということがおわかりいただけたと思います。
そのためには、若いうちからの「骨の貯金」が大切なのです。
中年になってから骨粗しょう症が心配になり、あわててカルシウムを取って骨量を増やそうとする人がいます。
しかし、40代、50代になって骨量を増やすことは難しいのです。
骨量は蓄えられる時期が限られます。
20代までに最大量を確保して、いかに目減りを抑えるか。
貯金に例えると20代で貯蓄額をピークにして、その後は残高の減り方をできるだけ少なくしていくことが重要です。
骨量を減らさないためには、運動で骨に適度な負荷をかけることも大切です。
運動は自分の体に合ったレベルが重要になります。
初心者はまず歩き、慣れてきたら次に走ることが基本です。
運動教室に入るか、トレーナーに指導してもらってもいいと思います。
体を動かしていない人がいきなり跳ぶと転倒や骨折をすることがあるので、無理はしないようにしましょう。
寝たきりにならないために続けてほしいこと
日本は世界に例を見ない超高齢化社会を迎えています。
そのマイナスの問題が介護と、「ロコモティブ症候群」(運動器に障害が起き、立つ、座る、歩くといった移動機能が低下した状態)です。
寝たきりにならず、健康で自活できる体づくりのためには、次の三つが大切です。
1.動きましょう:時間は決めず、おっくうがらず、なんでもいいです。でも、転ばないでください。
2.日光を浴びましょう:体内でカルシウムの吸収を助けるビタミンDの代謝活性が上がります。
最近は、骨の健康にビタミンDが必要ということが忘れられています。
顔のシミが心配なら、顔は避けて日光を浴びましょう。
3.カルシウムも適度に取りましょう:思ったように体が動かせる自分の姿をイメージして、生活の中で続けていきましょう。
一生、自力で動けるために〜スポーツドクターからの提言
順天堂大学女性スポーツ研究センター
女性アスリートの健康上の問題として「無月経」「疲労骨折」「摂取エネルギーの不足」が挙げられ、合わせて「女性アスリートの3主徴」とよばれます。
このうち骨の健康に関して、最近はアスリートだけでなく一般の女性の関心も高まっています。
骨密度が低下するとどのようなリスクがあり、また、骨を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。
スポーツドクターの草分けで整形外科医の順天堂大学大学院スポーツ医学教授、桜庭景植さんに聞きました。
適切な指導を受けられない現状がある?
女性アスリートの中でも長距離ランナーは、無月経で骨密度の低い人が多く、それが疲労骨折の原因の一つといわれています。
このようなアスリートがいることは事実です。
しかし、すべての女子ランナーが疲労骨折になり、無月経だったから妊娠できないということはありません。
競技をやめて妊娠や出産を希望したとき、とくに問題がないという人もいるのです。
長年、アスリートを診てきたスポーツドクターとしては、少し大げさにとらえすぎているのではないか、というのが私の意見です。
月経がないから骨が弱くなり、疲労骨折になるとは必ずしも言い切れません。
アスリートの疲労骨折に詳しくない産婦人科医や、月経を詳しく知らない整形外科医も少なからずいます。
関連する診療科の医師が相互に連携していない医療のシステムの中で、女性アスリートは適切な指導を受けていない現状があります。
それをなくしたいというのが女性アスリート外来を開設した狙いの一つです。
骨の健康はすべての女性にかかわる問題
骨の健康は、すべての女性にかかわります。
骨密度が低いことそのものよりも、むしろそれが原因で転倒や骨折をして寝たきりになることが大きな問題です。
高齢化を迎えた日本の女性は、この問題に直面しています。
平均寿命が延びても健康寿命(自立して活動的に生活ができる期間)が短かったら、その後は介護が必要になります。
介護は本人が不自由であるだけでなく、家族に負担がかかり、働き盛りの人の時間や労力までも奪います。
体が動かないことが周囲の人や社会にどれだけ影響を及ぼすかを知ってほしいと思います。
骨量は20代までに増やし、その後は目減りを減らそう
健康寿命を延ばすためには、骨の健康が大切だということがおわかりいただけたと思います。
そのためには、若いうちからの「骨の貯金」が大切なのです。
中年になってから骨粗しょう症が心配になり、あわててカルシウムを取って骨量を増やそうとする人がいます。
しかし、40代、50代になって骨量を増やすことは難しいのです。
骨量は蓄えられる時期が限られます。
20代までに最大量を確保して、いかに目減りを抑えるか。
貯金に例えると20代で貯蓄額をピークにして、その後は残高の減り方をできるだけ少なくしていくことが重要です。
骨量を減らさないためには、運動で骨に適度な負荷をかけることも大切です。
運動は自分の体に合ったレベルが重要になります。
初心者はまず歩き、慣れてきたら次に走ることが基本です。
運動教室に入るか、トレーナーに指導してもらってもいいと思います。
体を動かしていない人がいきなり跳ぶと転倒や骨折をすることがあるので、無理はしないようにしましょう。
寝たきりにならないために続けてほしいこと
日本は世界に例を見ない超高齢化社会を迎えています。
そのマイナスの問題が介護と、「ロコモティブ症候群」(運動器に障害が起き、立つ、座る、歩くといった移動機能が低下した状態)です。
寝たきりにならず、健康で自活できる体づくりのためには、次の三つが大切です。
1.動きましょう:時間は決めず、おっくうがらず、なんでもいいです。でも、転ばないでください。
2.日光を浴びましょう:体内でカルシウムの吸収を助けるビタミンDの代謝活性が上がります。
最近は、骨の健康にビタミンDが必要ということが忘れられています。
顔のシミが心配なら、顔は避けて日光を浴びましょう。
3.カルシウムも適度に取りましょう:思ったように体が動かせる自分の姿をイメージして、生活の中で続けていきましょう。
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