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炭水化物が命を縮める [ひとこと養生記]

 糖尿病の臨床医にして「糖質制限食」の推進者、江部康二・高雄病院理事長が、「炭水化物が命を縮める」という衝撃論文の紹介記事を毎日新聞に寄稿している。

 以下、その要旨。

 「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という論文が英医学誌『ランセット』に掲載されました。

 ランセットといえば、世界五大医学誌の一つ。

『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション:JAMA』(米国医師会雑誌)、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル:BMJ』(英国医師会雑誌)、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン:NEJM』(米マサチューセッツ内科外科学会発行)、『アナルズ・オブ・インターナル・メディシン:Ann Intern Med』(米国内科学会発行)とともに最も権威ある総合医学雑誌です。

 ランセットの論文は、カナダ・マクマスター大学のMahshid Dehghan博士らが、5大陸18カ国の35~70歳の13万5335人を、2003年1月1日から13年3月31日まで7.4年間、追跡調査した報告です。

 全死亡と心血管疾患に対し、食事がどのように影響するのかを検証しました。

 これまでの研究データのほとんどが、高所得で栄養過剰傾向にある欧米のものでした。

 しかし、この研究は低所得、中所得、高所得の全層を網羅しており、その点でも信頼性の高い研究だといえます。

 健康常識をくつがえす結果

 論文の内容は以下の4点に要約できます。

1)炭水化物摂取量の多さは、全死亡リスクの上昇と関連している

2)総脂質も各種脂質も摂取量の多さが全死亡リスクの低下と関連している

3)総脂質、各種脂質の摂取量は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管疾患死と関連していない

4)(乳製品や動物性食品に多く含まれる)飽和脂肪酸の摂取量は脳卒中の発症リスクと逆相関している

 端的に言えば、「炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する」という内容です。

 つまり「脂質をなるべく減らしましょう」という日本の従来の健康常識を真っ向から覆す研究報告です。

 炭水化物は「糖質+食物繊維」です。

 食物繊維は体内に吸収されず、血糖値の上昇を緩やかにするのを助けたり、腸内細菌の餌になったりします。

 一方、糖質は体内に吸収され、血糖値を直接上昇させたり、老化や生活習慣病の原因となる糖化にかかわったりします。

 ですから、死亡リスクの上昇には糖質が関係していると考えていいでしょう。

 総死亡率が示す炭水化物の影響

 論文では、炭水化物と脂質それぞれについて、摂取比率によって五つのグループに分け、全死亡率を比較しています。

 炭水化物の摂取比率が高いほど総死亡率が上昇しています。

 摂取比率が最も低い1群(46.4%)は総死亡率が4.1%で、最も高い5群(77.2%)は総死亡率が7.2%、5群は1群よりも総死亡率が1.76倍も高くなっています。

 脂質については逆で、摂取比率が高いほど総死亡率が減少しています。

 摂取比率が最も少ない1群(10.6%)の総死亡率は6.7%。最も高い5群(35.3%)の総死亡率は4.1%。

 5群の総死亡率は1群の0.61倍しかありません。

 食事ガイドラインは再検討すべきだ

 「今回の結果を踏まえ、世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである」と著者はこの論文で提言しています。

 日本人の炭水化物摂取比率は約60%で、この研究の3群に相当します。

 1群のレベルに炭水化物摂取比率を制限すれば、総死亡率は4.5%から4.1%に下がる可能性があるのです。
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