耳を守る食生活 [健康]
きょう3月3日は「耳の日」。
私事ですが、小生、10年来の重度難聴。
ほとんど全聾同然の耳の持ち主であります。
当時、「目でなくてよかったな」といわれたり、「耳が遠くなると長生きするそうだよ」と慰められたりした。
目と耳とどちらがより重要か。
これは一概にはいえない。
視力には、感覚・知覚・認知のすべてが反映され、人間は外部情報のほとんどを目から収集しており、その割合は約80%にもなるといわれる。
一方、聴力の欠如は人間関係をいちじるしく希薄にする。
人の肉声(話)を聞くことができないことが、どれほど寂しいものか、なった者でなければわからないだろう。
「目が見えないことは、人と物を切り離す。耳が聴こえないことは、人と人を切り離す」と、カントがいっているそうだ。
なるほど、目、耳、どちらを選ぶ? という問いを突き詰めると、
物か? 人か? の二者択一、
人それぞれの価値観を問うことに通じることになるようだ。
つまり一概にはいえないってわけ。
─と、書いて、いま、目を閉じて全盲の状態をつくってみて、これが死ぬまでつづくのかと想像したら、怖くなった。
聾のほうがまだしも救いがあるな、と思い、わが精神性の低さを自覚したしだい。
さて、ところで、「耳が遠くなると長生き」、これ、ホントか? ウソか?
まるっきりウソ、ナンセンスな俗説である。
難聴は「伝音難聴」と「感音難聴」に大別される。
前者は、外耳から中耳までの音を伝える働きが障害された場合に起こる。
後者は、内耳から大脳までの音を感じる神経系が壊れる。
内耳は、耳の奥にある体の中で最も硬い骨に囲まれている。
そこの蝸牛(かぎゅう)と呼ばれるカタツムリのような形の器官に、有毛細胞という毛の生えた細胞がびっしり並んでいる。
この細胞の壁に収縮たんぱく(プレスチン)という物質があり、音の振動が伝わると、伸び縮みしてその刺激を脳へ伝える。
蝸牛の中にひしめき合うように生えている有毛細胞は、生まれたときから減り始めて、けっして再生しない。
だから年をとるにつれてだんだん耳が遠くなるのは(個人差はあるが)、だれも避けられない。
いわゆる老人性難聴である。
昔、「人生50年」といわれた短命時代には、老人性難聴が起こるまで長生きする人はごく少なかった。
結果、長生きした人はみんな耳が遠かった。
その原因と結果が逆立ちして、「耳が遠くなると長生きする」という俗説が生まれ、信じられるようになったわけだろう。
いまや「人生80年」どころか「90年」、「100年」の時代になりかけている。
加齢性難聴はだれもが避けられない。
その進行を抑えるにはどうしたらよいか。
小川郁・慶応大教授(耳鼻咽喉科)らは、10年以上前から「イヤー・フード」の実験的研究を続けていて、抗酸化物質が難聴の進行を抑えることを実証した。
抗酸化物質を多く含む食品といえば、
バナナ、アボカド、プルーン、アーモンド、キウイフルーツ、リンゴ、ミカン、キャベツ、タマネギ、カボチャ、ニンジン、トマト、ブロッコリー、ニンニク、納豆、豆腐、豆乳、そば、卵の黄身、ワカメ、ココナッツオイル、赤ワイン...きりがない。
小川先生は、プレスセミナーでこう話していられる。
「治せない難聴は、いかに予防するかが大切です。
いま注目の抗加齢医学では、たとえば脳を守るための、「ブレイン(脳)フード」として、ビタミンEとかウコン、カテキン、青い魚に含まれるDHAなどの効果がわかっています。
耳についてはどうか。
われわれも10年以上前から、「イヤー(耳)フード」の実験的研究を続けていますが、一つはカロリー制限、もう一つは抗酸化物質が、難聴の進行を抑えることがわかっています。
たとえば、Sir2という長寿遺伝子はカロリーを抑えるとスイッチがオンになります。
抗酸化物質では赤ワインのポリフェノールがSir2遺伝子を活性化するという論文が2003年に発表されて、赤ワインブームが起こりました。
が、赤ワインをどれくらい飲めばSir2遺伝子をオンできるかといえば、1日5本ということで、それじゃ寿命が伸びる前に肝硬変で死んでしまう(笑)。
そこで赤ワインの、そのレスベラトロールという物質をサプリメントにすればいいだろうと、いまそれの開発が進んでいるようです」。
レスベラトロールとそのサプリメントについては、別のブログ「健康1日1話」の「長寿サプリ」にすこし詳しく記しました。
ご参照ください。
私事ですが、小生、10年来の重度難聴。
ほとんど全聾同然の耳の持ち主であります。
当時、「目でなくてよかったな」といわれたり、「耳が遠くなると長生きするそうだよ」と慰められたりした。
目と耳とどちらがより重要か。
これは一概にはいえない。
視力には、感覚・知覚・認知のすべてが反映され、人間は外部情報のほとんどを目から収集しており、その割合は約80%にもなるといわれる。
一方、聴力の欠如は人間関係をいちじるしく希薄にする。
人の肉声(話)を聞くことができないことが、どれほど寂しいものか、なった者でなければわからないだろう。
「目が見えないことは、人と物を切り離す。耳が聴こえないことは、人と人を切り離す」と、カントがいっているそうだ。
なるほど、目、耳、どちらを選ぶ? という問いを突き詰めると、
物か? 人か? の二者択一、
人それぞれの価値観を問うことに通じることになるようだ。
つまり一概にはいえないってわけ。
─と、書いて、いま、目を閉じて全盲の状態をつくってみて、これが死ぬまでつづくのかと想像したら、怖くなった。
聾のほうがまだしも救いがあるな、と思い、わが精神性の低さを自覚したしだい。
さて、ところで、「耳が遠くなると長生き」、これ、ホントか? ウソか?
まるっきりウソ、ナンセンスな俗説である。
難聴は「伝音難聴」と「感音難聴」に大別される。
前者は、外耳から中耳までの音を伝える働きが障害された場合に起こる。
後者は、内耳から大脳までの音を感じる神経系が壊れる。
内耳は、耳の奥にある体の中で最も硬い骨に囲まれている。
そこの蝸牛(かぎゅう)と呼ばれるカタツムリのような形の器官に、有毛細胞という毛の生えた細胞がびっしり並んでいる。
この細胞の壁に収縮たんぱく(プレスチン)という物質があり、音の振動が伝わると、伸び縮みしてその刺激を脳へ伝える。
蝸牛の中にひしめき合うように生えている有毛細胞は、生まれたときから減り始めて、けっして再生しない。
だから年をとるにつれてだんだん耳が遠くなるのは(個人差はあるが)、だれも避けられない。
いわゆる老人性難聴である。
昔、「人生50年」といわれた短命時代には、老人性難聴が起こるまで長生きする人はごく少なかった。
結果、長生きした人はみんな耳が遠かった。
その原因と結果が逆立ちして、「耳が遠くなると長生きする」という俗説が生まれ、信じられるようになったわけだろう。
いまや「人生80年」どころか「90年」、「100年」の時代になりかけている。
加齢性難聴はだれもが避けられない。
その進行を抑えるにはどうしたらよいか。
小川郁・慶応大教授(耳鼻咽喉科)らは、10年以上前から「イヤー・フード」の実験的研究を続けていて、抗酸化物質が難聴の進行を抑えることを実証した。
抗酸化物質を多く含む食品といえば、
バナナ、アボカド、プルーン、アーモンド、キウイフルーツ、リンゴ、ミカン、キャベツ、タマネギ、カボチャ、ニンジン、トマト、ブロッコリー、ニンニク、納豆、豆腐、豆乳、そば、卵の黄身、ワカメ、ココナッツオイル、赤ワイン...きりがない。
小川先生は、プレスセミナーでこう話していられる。
「治せない難聴は、いかに予防するかが大切です。
いま注目の抗加齢医学では、たとえば脳を守るための、「ブレイン(脳)フード」として、ビタミンEとかウコン、カテキン、青い魚に含まれるDHAなどの効果がわかっています。
耳についてはどうか。
われわれも10年以上前から、「イヤー(耳)フード」の実験的研究を続けていますが、一つはカロリー制限、もう一つは抗酸化物質が、難聴の進行を抑えることがわかっています。
たとえば、Sir2という長寿遺伝子はカロリーを抑えるとスイッチがオンになります。
抗酸化物質では赤ワインのポリフェノールがSir2遺伝子を活性化するという論文が2003年に発表されて、赤ワインブームが起こりました。
が、赤ワインをどれくらい飲めばSir2遺伝子をオンできるかといえば、1日5本ということで、それじゃ寿命が伸びる前に肝硬変で死んでしまう(笑)。
そこで赤ワインの、そのレスベラトロールという物質をサプリメントにすればいいだろうと、いまそれの開発が進んでいるようです」。
レスベラトロールとそのサプリメントについては、別のブログ「健康1日1話」の「長寿サプリ」にすこし詳しく記しました。
ご参照ください。
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