やめよう! 早朝ジョギング・食後の運動。 [「健康常識ウソ・ホント」再録]
健康常識ウソ・ホント(45)
やめよう! 早朝ジョギング・食後の運動。
自分の持てる力の半分でやる運動「ニコニコペース」の名付け親、荒川規矩男・福岡大学名誉教授は、高血圧の専門医である。
高血圧の運動療法として、最大運動強度(その人が出せる最大限の力)の50%程度でやる運動のすぐれた効果を、多くの患者の症例で証明した。
なぜ、50%程度なのか?
運動量が50%を超えると、血液中の疲労物質(と、当時は考えられていた)乳酸がふえ始めることが、臨床実験でわかったからだ。
しかし、力を50%以下に抑えた有酸素運動であれば、そんなことはない。
乳酸がたまってこないので、らくらく続けられる。
「荒川方式(アラカワメソッド)」と呼ばれるこの高血圧の運動療法は、WHO(世界保健機構)も強く推奨している。
「運動強度さえ50%程度なら、運動の種類は問わない。水泳、テニス、ゴルフ、なんでもいいのですが、私がいちばんお勧めしたいのは歩くことです。
ちょっと早足で、息が切れない程度で歩くと、だいたい50%の運動になります」
1時間でも2時間でもちっともつらくない。
ニコニコしながらやれるから、ニコニコペースというわけだが、何時間もやる必要はない。1日30分でじゅうぶんだという。
「雨の日も風の日も歩けとは言いません。1日や2日、休んでもどうってことはない。
そこが薬と違うところです。薬を1日のみ忘れると具合のわるいこともありますが、運動にはそんな心配はいりません」
と、荒川先生は請け合ってくれた。
さて、そこで問題になるのが、いつやるか、である。
「食後に軽い運動を─」とはよく言われることだが、あまり感心しない。避けるべきだ。
早朝も、夜間も、よくない。
食後、胃にどっさり食物が入っているうちの運動は、消化を妨げる。
だから胃や肝臓に病気をもつ人は、食後の安静を医師にきびしく指示される。
そうではない元気な人も、食後はゆっくりお茶など楽しみながら歓談するのがよろしい。
この件について、貝原益軒『養生訓』が、
「わかき人は食後に弓を射、鑓(やり)・太刀を習ひ、身を動かし、歩行すべし。労動を過(すご)すべからず。
老人も其気体(そのきたい=その気や体)に応じ、少労動すべし。
案(おしまずき=脇息)によりかかり、一処に久しく安坐すべからず(長く楽な姿勢でいてはいけない)。気血を滞らしめ、飲食消化しがたし」(巻三)
―と勧めているのは暴論にひとしいと思う。「労動を過すべからず(体を動かし過ぎてはいけない)」の一行は別として。
もしかしたら、昔の日本人の胃弱の一因はここにあるのではないか。
『養生訓』といえば、必読順守の健康法の教典だったのだから─。
早朝の運動がよくないのは、体温が低く、エネルギーも水分も不足しているからだ。
そんなコンディションでジョギングなどやるのは命知らずの暴挙といっていい。
夜間の運動は交感神経が活発になって、寝つきが悪くなる。
最適な時間帯は、食後1時間~2時間後。消化も進んでいて、血糖値も安定している。
夕方から夜にかけて、できれば夕食前に、少しの食べ物と水分を摂って歩き、そのあと夕食を食べるのがベスト。
言うまでもないことだが、酒を飲んで走るなど、もってのほか。
風邪気味で熱がある、体がだるいなどの症状があるとき、睡眠不足が続いているときも、運動は控えたほうがよい。
前回述べたように過激な運動は免疫力を低下させるが、適度な運動は逆に免疫力を上げ、病気を防いで寿命を延ばしてくれる。
運動をしている人は、していない人に比べて、細胞の老化が10年分ほど遅い―という細胞レベルでの「抗加齢効果」もわかっている。
さあ、爽やか五月! ニコニコペースの運動を始めよう! 続けよう!
やめよう! 早朝ジョギング・食後の運動。
自分の持てる力の半分でやる運動「ニコニコペース」の名付け親、荒川規矩男・福岡大学名誉教授は、高血圧の専門医である。
高血圧の運動療法として、最大運動強度(その人が出せる最大限の力)の50%程度でやる運動のすぐれた効果を、多くの患者の症例で証明した。
なぜ、50%程度なのか?
運動量が50%を超えると、血液中の疲労物質(と、当時は考えられていた)乳酸がふえ始めることが、臨床実験でわかったからだ。
しかし、力を50%以下に抑えた有酸素運動であれば、そんなことはない。
乳酸がたまってこないので、らくらく続けられる。
「荒川方式(アラカワメソッド)」と呼ばれるこの高血圧の運動療法は、WHO(世界保健機構)も強く推奨している。
「運動強度さえ50%程度なら、運動の種類は問わない。水泳、テニス、ゴルフ、なんでもいいのですが、私がいちばんお勧めしたいのは歩くことです。
ちょっと早足で、息が切れない程度で歩くと、だいたい50%の運動になります」
1時間でも2時間でもちっともつらくない。
ニコニコしながらやれるから、ニコニコペースというわけだが、何時間もやる必要はない。1日30分でじゅうぶんだという。
「雨の日も風の日も歩けとは言いません。1日や2日、休んでもどうってことはない。
そこが薬と違うところです。薬を1日のみ忘れると具合のわるいこともありますが、運動にはそんな心配はいりません」
と、荒川先生は請け合ってくれた。
さて、そこで問題になるのが、いつやるか、である。
「食後に軽い運動を─」とはよく言われることだが、あまり感心しない。避けるべきだ。
早朝も、夜間も、よくない。
食後、胃にどっさり食物が入っているうちの運動は、消化を妨げる。
だから胃や肝臓に病気をもつ人は、食後の安静を医師にきびしく指示される。
そうではない元気な人も、食後はゆっくりお茶など楽しみながら歓談するのがよろしい。
この件について、貝原益軒『養生訓』が、
「わかき人は食後に弓を射、鑓(やり)・太刀を習ひ、身を動かし、歩行すべし。労動を過(すご)すべからず。
老人も其気体(そのきたい=その気や体)に応じ、少労動すべし。
案(おしまずき=脇息)によりかかり、一処に久しく安坐すべからず(長く楽な姿勢でいてはいけない)。気血を滞らしめ、飲食消化しがたし」(巻三)
―と勧めているのは暴論にひとしいと思う。「労動を過すべからず(体を動かし過ぎてはいけない)」の一行は別として。
もしかしたら、昔の日本人の胃弱の一因はここにあるのではないか。
『養生訓』といえば、必読順守の健康法の教典だったのだから─。
早朝の運動がよくないのは、体温が低く、エネルギーも水分も不足しているからだ。
そんなコンディションでジョギングなどやるのは命知らずの暴挙といっていい。
夜間の運動は交感神経が活発になって、寝つきが悪くなる。
最適な時間帯は、食後1時間~2時間後。消化も進んでいて、血糖値も安定している。
夕方から夜にかけて、できれば夕食前に、少しの食べ物と水分を摂って歩き、そのあと夕食を食べるのがベスト。
言うまでもないことだが、酒を飲んで走るなど、もってのほか。
風邪気味で熱がある、体がだるいなどの症状があるとき、睡眠不足が続いているときも、運動は控えたほうがよい。
前回述べたように過激な運動は免疫力を低下させるが、適度な運動は逆に免疫力を上げ、病気を防いで寿命を延ばしてくれる。
運動をしている人は、していない人に比べて、細胞の老化が10年分ほど遅い―という細胞レベルでの「抗加齢効果」もわかっている。
さあ、爽やか五月! ニコニコペースの運動を始めよう! 続けよう!
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