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菜食vs肉食、長命はどちら? [「健康常識ウソ・ホント」再録]

健康常識ウソ・ホント(43) 

菜食vs肉食、長命はどちら?


「元気に長生きするのにいちばんだいじなことは?」 と聞かれたら、「正しい食生活です」。

だれでもそう答えるだろう。

そこで古来さまざまな食事法が説かれてきた。

なかで、最もえんえんと信奉されてきた一つが「菜食長命」説で、これを裏返すと「肉食短命」になるので、しばしば両者の激突がみられた。

最近も、『長生きしたけりゃ肉は食べるな』と唱導する本と、『肉を食べる人は長生きする』と推奨する本が、ほとんど同時に出版されて話題になった。

「肉食べるな」の若杉友子さんは、桜沢如一氏などが提唱した「マクロビオティック(東洋の陰陽説による長寿法)」の流れを汲む食養生の指導者。

「日本人に肉は合わない」と断言している。

農耕民族の日本人は穀物菜食をしてきたため腸が長く、肉のカスが腸内に長く残り、腐敗し、さまざまな毒素が発生、血液が汚され、細胞のガン化を招いてしまう、と。

「肉、食べろ」の柴田博さんは、東京都老人総合研究所副所長、桜美林大学大学院老年学教授を経て、現在は日本応用老年学会理事長。

「肉こそ長寿の秘訣」と強調する。

年をとっても体は新陳代謝をするので、体内では合成できない必須アミノ酸を多く含む動物性たんぱく質が欠かせない。

年をとればたんぱく質の合成能力そのものも落ちるので、肉をきちんと食べる必要がある。

「80代でなお元気盛んな人は、70代のときよりも1週間に肉を食べる回数が、むしろ多くなっています」と。

肉大好き人間としてはつい肉食派の肩を持ちたくなる。

えこ贔屓のついでに、もう少し引用する。

東京都老人総合研究所は、東京都小金井市などで、多くの老人たちを十数年間、追跡調査した。

それによると、ある種の信念によって、あるいは医師の指示によって、肉や魚をほとんどまったく食べないような食生活をしていた人たちが、最も早く亡くなったり、あるいは体力が弱って働けなくなったりしている。

肉も魚もよく食べる、牛乳もよく飲む―という人たちが、いちばん元気で長生きしているという。

昔の田舎のじいさん、ばあさんは、たいてい腰が曲がっていた。顔はしわだらけだった。

だがいまはめったにそんな人は見かけない。いまの日本人は寿命が延びただけではなく、若々しい。

これは労働形態が変わり、昔のように腰をかがめて長時間の農作業をするといったことがなくなったからでもあるだろう。

しかし、最大の原因は食生活が豊かになり、栄養がよくなったからだ。

明治以来、日本人の食事は、1日約2000㌔㌍というエネルギー摂取量は(戦中戦後の食糧難時代を除いて)それほど変わってない。変わったのはそのエネルギー構成の内容だ。

明治の末期、日本人は1日平均で動物性たんぱく質を3グラム(12㌔㌍)、脂肪を13グラム(117㌔㌍)しかとってなかった。両方合わせて129㌔㌍、総エネルギー摂取量の1割にも達しない。

あとの大半のエネルギーは、大豆などの植物性たんぱく質がいくらかあったにせよ、米、麦、イモ類などの炭水化物(でんぷんや糖質)で補っていたわけだ。

現在の日本人の動物性たんぱく質の摂取量は一日約45グラム(明治時代の15倍)、脂肪は58グラム(同4・5倍)。

早くいえば肉や魚を15倍多く食べるようになった。これが長命と若さの最大原因だ。

体格がよくなり、寿命が延び、腰が曲がらず、しわくちゃにもならなくなった。

東京都健康長寿医療センター長の井藤英喜先生も、こう話している。

「たんぱく質のとり過ぎはよくないとされていますが、高齢者へのたんぱく質制限は、長寿には結びつかないことがわかってきました。高齢者では、筋肉の減少が大きな問題になります。たんぱく質は筋肉減少の防止に大いに役立ちますから、十分に摂取することが大切です」

元気で若々しくありたいと思うのなら、肉も、魚も、卵も、そしてもちろん野菜も、バランスよく食べるべきだ。

ただし、脂肪のとりすぎは動脈硬化のもと。それだけはよくよく注意が必要だ。

健康総合ニュースサイト「One's Life」2015年4月25日掲載の「コラム」より再録。
 同サイトは、美容・ヘルスケア・妊娠・介護福祉に関するニュースや体によい食事のレシピなど、健康・医療に関する情報を日々発信している。
拙稿の過去の掲載分は同サイトの「特集」→「コラム」でお読みいただけます。
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