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母よ、海よ [日記・雑感]

 母よ、海よ

海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。

そして母よ、仏蘭西(フランス)人の言葉では、あなたの中に海がある。

─三好達治の散文詩『郷愁』の最終節だ。

フランス語の母は「mere」で、海は「mer」。どちらも「メール」と発音する。

むかし、新橋の居酒屋で飲んでいたら、酔った男が、すっくと立ち上がり、叫んだ。

「知床の海は広い! 知床の空はもっと広い! だが、もっともっと広いものがある! それは人の心だ! さあ、みんなで歌おう! 知床旅情!」

加藤登紀子さんが歌う『知床旅情』が大はやりしているときだった。

酒場中の合唱になった。

まことに海よりも深く、空よりも広いもの。

それが母なる人のわが子への心であるだろう。

これも遠い日の話だが、生涯独身を通した華道家の安達曈子さんが、

「好きな言葉は、母性です」とおっしゃるのを聞いて、この人にして…と感じ入ったことがある。

母性、母性本能、母性愛。そして母性保護─それは文明社会の証左である。

「母の日」にそんなことを思った。
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